他人所有の不動産について、その地人を代理して同不動産を譲渡担保に供し、自ら金員を借用した者が、右契約締結に際し、同不動産を担保として他から金融を受け入れることに関する契約書、同不動産の登記済権利証、所有者の白紙委任状、印鑑証明書等を所持しているなどの事情があつたとしても、相手方において、貸付金の半額以上が自称代理人自身の用途に充てられるものであることを知つており、他方前記契約書には同不動産を担保とする資金の借入を必要とする者はもつぱら不動産所有者自身である旨が記載されていたなど判示の事情のもとにおいては、相手方が自称代理人の代理権の有無について直接所有者に問い合わせるなどの調査をしないで、その代理人に右契約を締結する権限があると信じたのは、特段の事情のない限り、民法
一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉にいう「正当ノ理由」があるものとはいえない。