民法 / テーマ別まとめ

扶養義務

公的資料に現れる論点です。条文と判例から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

扶養義務は、生活に困っている親族に対して誰がどこまで面倒を見るかを定める民法上の制度です。義務を負う範囲、複数の義務者・権利者がいる場合の順位の決め方、扶養の程度・方法の決め方の3点で構成されています。

扶養義務
論点対象・内容決め方
当然に義務を負う範囲直系血族・兄弟姉妹法律上当然に発生
家裁が追加できる範囲三親等内の親族特別の事情+審判が必要
審判の見直し追加された扶養義務事情変更で家裁が取消し可
義務者が複数いる順序誰が先に扶養するか協議→不調なら家裁が決定
権利者が複数いる順序資力不足時に誰を優先するか協議→不調なら家裁が決定
扶養の程度・方法金額・方法をどうするか協議→不調なら家裁が決定
  • 三親等内親族への扶養義務は当然には発生せず、家庭裁判所の審判が必要です。
  • 三親等内親族への扶養義務を命じる審判後に事情が変わった場合、家庭裁判所はその審判を取り消せます。
  • 扶養の程度・方法は、扶養を受ける側の必要と扶養する側の資力その他一切の事情を考慮して家庭裁判所が決めます。
1

扶養義務

扶養義務について、条文は何を定めているか。

第877条扶養義務者直系血族と兄弟姉妹は互いに扶養義務を負う3項判例 4件
  • 親子・祖父母孫などの直系血族と、兄弟姉妹は当然に扶養し合う義務があります。
  • 家庭裁判所は特別の事情があれば三親等内の親族にも扶養義務を負わせることができます。
  • 三親等内親族への扶養を命じた審判は、事情が変わればその後家庭裁判所が取り消せます。
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第878条扶養の順位誰が先に扶養するかは協議、まとまらなければ家裁が決定1項判例 1件
  • 扶養義務者が複数いて順序で話がまとまらない・話し合いできない場合は家庭裁判所が決めます。
  • 扶養義務者の資力が全員分に足りないときの優先順位も、同じく家庭裁判所が決めます。
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第879条扶養の程度又は方法扶養の金額・方法も協議、まとまらなければ家裁が決定1項判例 1件
  • 扶養の程度や方法について話がまとまらない・話し合いできない場合は家庭裁判所が決めます。
  • 家庭裁判所は、扶養を受ける側の必要と扶養する側の資力その他一切の事情を考慮します。
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第877条民法

新民法附則第四条〈成年〉により新法の遡及効を認め得ない一事例

裁判要旨旧民法施行当時、子と家を異にする母が、親権者母たる資格において子の法定代理人として締結した賃貸借には、新民法附則第四条〈成年〉によつて新民法を適用すべきでない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和27年5月27日 昭和25(オ)350
登載
民集 第6巻5号568頁
参照法条
民法附則4条,民法818条2項,民法824条,旧民法884条,旧民法877条2項
論点2第877条民法

扶養義務者の意に反して扶養権利者を引き取り扶養した他の扶養義務者と扶養費用の負担

裁判要旨現に扶養をしている扶養義務者の意に反して扶養権利者を引き取つて扶養したという事実だけでは、引き取つた他の扶養義務者が自己のみで扶養費用を負担すべきものとすることはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和26年2月13日 昭和24(オ)350
登載
民集 第5巻3号47頁
参照法条
旧民法954条,旧民法955条,旧民法956条,新民法877条
論点3第877条民法

不法行為によって扶養者が死亡した場合における被扶養者の将来の扶養利益喪失による損害額の算定方法

裁判要旨不法行為によって扶養者が死亡した場合における被扶養者の将来の扶養利益喪失による損害額は、扶養者の生前の収入、そのうち被扶養者の生計の維持に充てるべき部分、被扶養者各人につき扶養利益として認められるべき比率割合、扶養を要する状態が存続すべき期間などの具体的事情に応じて算定すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成12年9月7日 平成11(受)94
登載
集民 第199号477頁
参照法条
民法416条,民法709条,民法877条
論点4第877条民法

婚姻費用分担審判において、夫とその妻が婚姻後に出産し戸籍上夫婦の嫡出子とされている子であって民法772条〈嫡出の推定〉による嫡出の推定を受けないものとの間の父子関係の存否を審理判断することなく、夫の上記子に対する上記父子関係に基づく扶養義務を認めた原審の判断に違法があるとされた事例

裁判要旨婚姻費用分担審判において、夫とその妻が婚姻後に出産し戸籍上夫婦の嫡出子とされている子であって民法772条〈嫡出の推定〉による嫡出の推定を受けないものとの間の父子関係の存否は訴訟において最終的に判断されるべきものであることを理由に、上記父子関係の不存在を確認する旨の判決が確定するまで夫は扶養義務を免れないとして、上記父子関係の存否を審理判断することなく、夫の上記子に対する上記父子関係に基づく扶養義務を認めた原審の判断には、違法がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 令和5年5月17日 令和4(許)17
登載
集民 第270号103頁
参照法条
民法760条、民法772条、民法877条1項、家事事件手続法39条、家事事件手続法別表第2の2の項
論点5第878条民法

過去の扶養料の求償と民法第八七八条および第八七九条

裁判要旨扶養権利者を扶養してきた扶養義務者が他の扶養義務者に対して求償する場合における各自の扶養分担額は、協議がととのわないかぎり、家庭裁判所が審判で定めるべきであつて、通常裁判所が判決手続で定めることはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年2月17日 昭和41(オ)783
登載
民集 第21巻1号133頁
参照法条
民法878条,民法879条,民法703条,家事審判法9条1項乙類8号
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民法 第877条(扶養義務者) 詳細ページ
(扶養義務者)
第八百七十七条直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
2家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
3前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。
民法 第878条(扶養の順位) 詳細ページ
(扶養の順位)
第八百七十八条扶養をする義務のある者が数人ある場合において、扶養をすべき者の順序について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。扶養を受ける権利のある者が数人ある場合において、扶養義務者の資力がその全員を扶養するのに足りないときの扶養を受けるべき者の順序についても、同様とする。
民法 第879条(扶養の程度又は方法) 詳細ページ
(扶養の程度又は方法)
第八百七十九条扶養の程度又は方法について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、扶養権利者の需要、扶養義務者の資力その他一切の事情を考慮して、家庭裁判所が、これを定める。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。