民法 / テーマ別まとめ

婚姻/婚姻の効力

婚姻の効力の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

婚姻が成立すると、夫婦の氏・同居や協力扶助の義務・死別後の氏の扱いについて民法上のルールが適用されます。ここでは婚姻の効力として定められた氏の決定、生存配偶者の復氏、夫婦間の義務を整理します。

婚姻の効力
場面内容根拠条文
婚姻時の氏夫か妻いずれかの氏を称する第750条
配偶者の死亡後生存配偶者は婚姻前の氏に戻れる第751条
夫婦間の義務同居・協力・扶助の義務を負う第752条
  • 氏の選択は婚姻の際に夫婦が定めるところによる(第750条)。
  • 復氏は生存配偶者の任意であり、復氏しない選択もできる(第751条第1項)。
  • 復氏の場合、第769条の規定が準用される(第751条第2項)。
1

婚姻の効力

婚姻の効力について、条文は何を定めているか。

第750条夫婦の氏婚姻時に夫婦どちらかの氏を選ぶ1項判例 2件
  • 夫婦は婚姻の際に定めるところに従い、夫または妻いずれかの氏を称する
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第751条生存配偶者の復氏等配偶者と死別した後、旧姓に戻せる2項判例なし
  • 夫婦の一方が死亡したとき、生存配偶者は婚姻前の氏に戻ることができる
  • 第769条〈離婚による復氏の際の権利の承継〉の規定が、この復氏の場合と第728条第2項〈離婚等による姻族関係の終了〉の場合に準用される
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第752条同居、協力及び扶助の義務夫婦は同居し助け合う義務を負う1項判例 4件
  • 夫婦は同居しなければならない
  • 夫婦は互いに協力し扶助しなければならない
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第750条民法

1 民法750条〈夫婦の氏〉と憲法13条
2 民法750条と憲法14条1項
3 民法750条と憲法24条

裁判要旨1 民法750条〈夫婦の氏〉は,憲法13条に違反しない。
2 民法750条は,憲法14条1項に違反しない。
3 民法750条は,憲法24条に違反しない。
(3につき補足意見,意見,反対意見がある。)
裁判
最高裁判所大法廷 平成27年12月16日 平成26(オ)1023
登載
民集 第69巻8号2586頁
参照法条
(1~3につき)憲法13条,憲法14条1項,憲法24条,民法750条
論点2第750条民法

民法750条〈夫婦の氏〉及び戸籍法74条1号と憲法24条

裁判要旨民法750条〈夫婦の氏〉及び戸籍法74条1号は,憲法24条に違反しない。
(補足意見,意見及び反対意見がある。)
裁判
最高裁判所大法廷 令和3年6月23日 令和2(ク)102
登載
集民 第266号1頁
参照法条
憲法24条,民法750条,戸籍法74条1号
論点3第752条民法

一 家事審判法第九条第一項乙類第一号の夫婦の同居その他夫婦間の協力扶助に関する処分の審判についての規定の合憲性
二 夫婦の同居義務等に関する審判の効力

裁判要旨一 家事審判法第九条第一項乙類第一号の夫婦の同居その他夫婦間の協力扶助に関する処分の審判についての規定は、憲法第三二条、第八二条に違反しない。
二 夫婦の同居義務等を前提とする審判が確定した場合でも右同居義務等自体については、別に訴を提起することを妨げるものではない。

(補足意見および意見がある。)
裁判
最高裁判所大法廷 昭和40年6月30日 昭和36(ク)419
登載
民集 第19巻4号1089頁
参照法条
憲法32条,憲法82条,民法752条,家事審判法9条1項乙類1号,家事審判法7条,家事審判法15条
論点4第752条民法

民法第七七〇条第一項第二号〈裁判上の離婚 配偶者から悪意で遺棄されたとき。〉にいう悪意の遺棄に当らないとされた事例。

裁判要旨妻が婚姻関係の破綻について主たる責任を負い、夫からの扶助を受けないようになつたのもみずからの原因によるなど原判決認定の事情(原判決理由参照)のもとにおいては、夫が妻と同居を拒み、これを扶助しないといても、民法第七七〇条第一項第二号〈裁判上の離婚 配偶者から悪意で遺棄されたとき。〉にいう悪意の遺棄に当らないというべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和39年9月17日 昭和38(オ)719
登載
民集 第18巻7号1461頁
参照法条
民法770条1項2号,民法752条
論点5第752条民法

内縁関係の解消と内縁の妻の所有土地に対する夫の占有権原。

裁判要旨内縁の夫が妻の所有地上に共同生活維持のための住居および物置を所有して右土地を無償で占有している場合、その占有権原は、特段の事情のないかぎり、内縁関係の解消とともに消滅するものと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和35年11月10日 昭和34(オ)74
登載
民集 第14巻13号2813頁
参照法条
民法597条,民法752条
論点6第752条民法

1 精神障害者と同居する配偶者と民法714条1項にいう「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」
2 法定の監督義務者に準ずべき者と民法714条1項の類推適用
3 線路に立ち入り列車と衝突して鉄道会社に損害を与えた認知症の者の妻が法定の監督義務者に準ずべき者に当たらないとされた事例
4 線路に立ち入り列車と衝突して鉄道会社に損害を与えた認知症の者の長男が法定の監督義務者に準ずべき者に当たらないとされた事例

裁判要旨1 精神障害者と同居する配偶者であるからといって,その者が民法714条1項にいう「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」に当たるとすることはできない。
2 法定の監督義務者に該当しない者であっても,責任無能力者との身分関係や日常生活における接触状況に照らし,第三者に対する加害行為の防止に向けてその者が当該責任無能力者の監督を現に行いその態様が単なる事実上の監督を超えているなどその監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められる場合には,法定の監督義務者に準ずべき者として,民法714条1項〈責任無能力者の監督義務者等の責任〉が類推適用される。
3 認知症により責任を弁識する能力のない者Aが線路に立ち入り列車と衝突して鉄道会社に損害を与えた場合において,Aの妻Y1が,長年Aと同居しており長男Y2らの了解を得てAの介護に当たっていたものの,当時85歳で左右下肢に麻ひ拘縮があり要介護1の認定を受けており,Aの介護につきY2の妻Bの補助を受けていたなど判示の事情の下では,Y1は,民法714条1項所定の法定の監督義務者に準ずべき者に当たらない。
4 認知症により責任を弁識する能力のない者Aが線路に立ち入り列車と衝突して鉄道会社に損害を与えた場合において,Aの長男Y2がAの介護に関する話合いに加わり,Y2の妻BがA宅の近隣に住んでA宅に通いながらAの妻Y1によるAの介護を補助していたものの,Y2自身は,当時20年以上もAと同居しておらず,上記の事故直前の時期においても1箇月に3回程度週末にA宅を訪ねていたにすぎないなど判示の事情の下では,Y2は,民法714条1項所定の法定の監督義務者に準ずべき者に当たらない。
(1,2につき補足意見,4につき意見がある。)
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成28年3月1日 平成26(受)1434
登載
民集 第70巻3号681頁
参照法条
(1~4につき)民法709条,民法713条,民法714条 (1につき)民法752条,精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(平成25年法律第47号による改正前のもの)20条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民法 第750条(夫婦の氏) 詳細ページ
(夫婦の氏)
第七百五十条夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。
民法 第751条(生存配偶者の復氏等) 詳細ページ
(生存配偶者の復氏等)
第七百五十一条夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができる。
2第七百六十九条の規定は、前項及び第七百二十八条第二項の場合について準用する。
民法 第752条(同居、協力及び扶助の義務) 詳細ページ
(同居、協力及び扶助の義務)
第七百五十二条夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。