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契約/和解

和解の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

和解は、当事者が互いに譲歩して争いをやめる約束によって成立する契約です。和解が成立すると、争いの対象だった権利について実際と異なる内容で合意していても、原則としてその和解どおりの権利関係が確定します。

和解
条文内容効果
695条互いに譲歩して争いをやめる合意和解契約が成立
696条権利者・無権利者と認める合意権利が移転・消滅
696条後で異なる確証が出た場合和解の内容が優先
  • 696条が適用されるのは、和解で権利の有無を認めた当事者について、実際にはそれと異なる確証(反証)が得られた場合に限る。
  • 権利の移転・消滅は「和解によって」生じるとされており、和解の内容どおりに確定する扱いとなる。
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和解

和解について、条文は何を定めているか。

第695条和解互いに譲歩して争いをやめる合意が和解1項判例 7件
  • 和解は当事者双方が譲歩することが要件
  • 譲歩し合って争いをやめると約束した時点で成立
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第696条和解の効力和解で認めた権利関係は原則覆らない1項判例 7件
  • 和解で権利者と認められた当事者に権利が移転・消滅する扱いになる
  • 後から和解の内容と異なる確証が出ても、和解の内容が優先される
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第695条民法

賃借人が賃料の支払を一か月分でも怠つたときは建物賃貸借契約は当然解除となる旨の訴訟上の和解条項に基づく契約の当然解除が認められないとされた事例

裁判要旨訴訟上の和解によつて、建物の賃借人が賃料の支払を一か月分でも怠つたときは賃貸借契約は当然解除となる旨の定めがされた場合においても、賃料の延滞が一か月分であり、賃借人は、和解成立後賃貸人から賃料の受領を拒絶されるまで、約二年間右一か月分を除いては毎月の賃料を期日に支払つており、右延滞もなんらかの手違いによるものであつて賃借人がその当時これに気づいていなかつたなど判示の事情があり、賃貸借当事者間の信頼関係が賃貸借契約の当然解除を相当とする程度にまで破壊されたといえないときは、右和解条項に基づき賃貸借契約が当然に解除されたものとは認められない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和51年12月17日 昭和51(オ)633
登載
民集 第30巻11号1036頁
参照法条
民法第3編第2章第7節第3款,民法541条,民法695条,民訴法203条
論点2第695条民法

訴訟上の和解の解釈

裁判要旨訴訟の係属中に訴訟代理人たる弁護士も関与して成立した訴訟上の和解においては、その文言自体相互に矛盾し、または文言自体によつてその意味を了解しがたいなど、和解条項それ自体にかしを含むような特別の事情のないかぎり、和解調書に記載された文言と異なる意味に和解の趣旨を解すべきではない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和44年7月10日 昭和43(オ)1246
登載
民集 第23巻8号1450頁
参照法条
民法695条,民訴法203条,民訴法
論点3第695条民法

示談当時予想しなかつた後遺症等が発生した場合と示談の効力

裁判要旨交通事故による全損害を正確に把握し難い状況のもとにおいて、早急に、小額の賠償金をもつて示談がされた場合において、右示談によつて被害者が放棄した損害賠償請求は、示談当時予想していた損害についてのみと解すべきであつて、その当時予想できなかつた後遺症等については、被害者は、後日その損害の賠償を請求することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年3月15日 昭和40(オ)347
登載
民集 第22巻3号587頁
参照法条
民法709条,民法695条,民法696条
論点4第695条民法

訴訟上の和解の内容たる私法上の契約の解除と和解による訴訟終了の効果

裁判要旨訴訟上の和解の内容たる私法上の契約が債務不履行のために解除されても、右和解による訴訟終了の効果に影響を及ぼさない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年2月15日 昭和41(オ)630
登載
民集 第22巻2号184頁
参照法条
民訴法203条,民法545条,民法695条
論点5第695条民法

一 調停において他人の所有に属する土地の譲渡を約した場合と調停の効力
二 再度の調停申立に基きさきに一旦成立した調停の内容と異なる「調停に代わる裁判」をした場合と右裁判の効力
三 和解において係争物に関係なき物の給付を約するのは和解の本質に反するか

裁判要旨一 調停において、当事者の一方が相手方に譲渡することを約した特定の土地が、当時他人の所有であつたからとて、単にそれだけでは、右調停は履行不能により無効であるということはできない。
二 一旦、調停の成立した法律関係につきその後再度の調停申立がなされ裁判所が戦時民事特別法第一九条、金銭債務臨時調停法第七条による調停に代わる裁判をなし、さきの調停の内容を変更した場合、たとえ右裁判の内容が不当であつたとしても、これに対しては即時抗告をもつて争うのは格別、かかる手続によらないで右裁判を当然無効であるということはできない。
三 当事者が、和解において譲歩の方法として係争物に関係なき物の給付を約することは、和解の本質に反しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和27年2月8日 昭和25(オ)29
登載
民集 第6巻2号63頁
参照法条
民法559条,民法560条,民法561条,民法562条,民法695条,戦時民事特別法(昭和17年法律63号)19条,金銭債務臨時調停法(昭和7年法律26号)7条,金銭債務臨時調停法(昭和7年法律26号)9条
論点6第695条民法

過払金が発生している継続的な金銭消費貸借取引の当事者間で特定調停手続において成立した調停であって,借主の貸金業者に対する残債務の存在を認める旨の確認条項及びいわゆる清算条項を含むものが公序良俗に反するものとはいえないとされた事例

裁判要旨過払金が発生している継続的な金銭消費貸借取引に関し,借主と貸金業者との間で特定調停手続において成立した調停であって,借主の貸金業者に対する残債務の存在を認める旨の確認条項及び調停条項に定めるほか何らの債権債務がないことを確認する旨のいわゆる清算条項を含むものは,次の(1)~(3)など判示の事情の下においては,全体として公序良俗に反するものということはできない。
(1) 上記調停における調停の目的は,上記の継続的な金銭消費貸借取引のうち特定の期間内に借主が貸金業者から借り受けた借受金等の債務であると文言上明記され,上記確認条項及び上記清算条項もこれを前提とするものである。
(2) 上記確認条項は,上記(1)の借受金等の残債務として,上記特定の期間内の借受け及びこれに対する返済を利息制限法所定の制限利率に引き直して計算した残元利金を超えない金額の支払義務を確認する内容のものである。
(3) 上記清算条項に,上記の継続的な金銭消費貸借取引全体によって生ずる過払金返還請求権等の債権を特に対象とする旨の文言はない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成27年9月15日 平成25(受)1989
登載
集民 第250号47頁
参照法条
民法90条,民法91条,民法695条,利息制限法(平成18年法律第115号による改正前のもの)1条1項,民事調停法16条,特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律2条,特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律3条
論点7第695条民法

抗告事件を終了させることを合意内容に含む裁判外の和解と抗告の利益

裁判要旨抗告人と相手方との間において,抗告後に,抗告事件を終了させることを合意内容に含む裁判外の和解が成立した場合には,当該抗告は,抗告の利益を欠く。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成23年3月9日 平成21(ク)1027
登載
民集 第65巻2号723頁
参照法条
民法695条,民訴法第3編第3章 抗告
論点8第696条民法

賭博による債務の履行のために交付された第三者振出の小切手の支払につき所持人と振出人との間に成立した和解の効力

裁判要旨賭博による債務の履行のために第三者振出の小切手の交付を受けた所持人が、振出人との間で小切手金の支払に関し和解契約を締結した場合においては、右契約の内容である振出人の所持人に対する金銭支払の約定は、公序良俗に違反し無効である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和46年4月9日 昭和46(オ)134
登載
民集 第25巻3号264頁
参照法条
民法90条,民法696条,小切手法22条
論点9第696条民法

錯誤を理由とする和解の無効を失当とした事例

裁判要旨(省略)
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和43年7月9日 昭和43(オ)7
登載
集民 第91号645頁
参照法条
民法95条,民法696条
論点10第696条民法

裁判上の和解につき錯誤の主張が許されないとされた事例。

裁判要旨訴訟物たる債権の存否につき被告が答弁しないまま成立した裁判上の和解において、原告が右債権を有することを被告が認めるについての錯誤の主張は、民法第六九六条〈和解の効力〉により許されないものと解するのを相当とする。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年2月12日 昭和35(オ)625
登載
民集 第17巻1号171頁
参照法条
民法696条,民訴法136条
論点11第696条民法

錯誤による調停無効の主張と民法第六九六条。

裁判要旨借地権の期間満了による建物収去土地明渡の調停において期限後における借地権の消滅が合意せられた以上、借地法第六条の法定更新による期限後の借地権存続につき錯誤があつたことを理由として右調停の効力を争うことは、民法第六九六条〈和解の効力〉により許されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和36年5月26日 昭和32(オ)191
登載
民集 第15巻5号1336頁
参照法条
民法696条
論点12第696条民法

和解契約の無効の主張と民法第六九六条。

裁判要旨本家と分家との間に議定書と題する書面により成立した利益配分に関する契約の効力について争があり、右議定書による契約上の権利の無効を確認することを含む和解契約が成立した場合において、議定書上の権利が和解前に消滅していたということでこれを確認する趣意で和解をしたところ、当時右権利は消滅していなかつたことが判明したという理由で、和解の無効を主張することは民法第六九六条により許されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和36年12月27日 昭和28(オ)1228
登載
民集 第15巻12号3092頁
参照法条
民法696条
論点13第696条民法

一 和解が要素の錯誤によつて無効とされた事例
二 契約の要素に錯誤があつた場合と民法第五七〇条の適用の有無

裁判要旨一 仮差押の目的となつているジヤムが一定の品質を有することを前提として和解契約をなしたところ、右ジヤムが原判示の如き(原判決理由参照)粗悪品であつたときは、右和解は要素に錯誤があるものとして無効であると解すべきである
二 契約の要素に錯誤があつて無効であるときは、民法第五七〇条〈抵当権等がある場合の買主による費用の償還請求〉の瑕疵担保の規定の適用は排除される
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和33年6月14日 昭和32(オ)1171
登載
民集 第12巻9号1492頁
参照法条
民法696条,民法95条,民法570条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民法 第695条(和解) 詳細ページ
(和解)
第六百九十五条和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる。
民法 第696条(和解の効力) 詳細ページ
(和解の効力)
第六百九十六条当事者の一方が和解によって争いの目的である権利を有するものと認められ、又は相手方がこれを有しないものと認められた場合において、その当事者の一方が従来その権利を有していなかった旨の確証又は相手方がこれを有していた旨の確証が得られたときは、その権利は、和解によってその当事者の一方に移転し、又は消滅したものとする。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。