民法 / テーマ別まとめ

多数当事者の債権及び債務/連帯債務

連帯債務の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

連帯債務は、内容が分けられる債務を複数人が連帯して負う仕組みで、債権者は連帯債務者の一人に対しても全員に対しても、全部でも一部でも支払いを求めることができます。実務上は、連帯債務者の一人に生じた事情(無効・更改・相殺・混同など)が他の連帯債務者にどこまで及ぶか、また弁済した人が他の連帯債務者にどう求償できるかが中心的な論点になります。

連帯債務者の一人に生じた事由の効力
事由他の連帯債務者への効力根拠条文
一人について無効・取消他の債務に影響なし437条
一人と債権者間の更改全員のため消滅438条
一人が相殺を援用全員のため消滅439条1項
相殺を援用しない間負担部分の限度で履行拒絶可439条2項
一人と債権者間の混同弁済したものとみなす440条
上記以外の事由(原則)他の連帯債務者に効力なし441条
  • 441条ただし書:債権者と他の連帯債務者が別段の意思表示をすれば、その意思に従う
  • 445条:一人への免除や一人のための時効完成があっても、442条1項の求償権は行使できる
  • 443条:通知を怠って弁済すると、他の連帯債務者が有していた対抗事由をその負担部分について対抗されうる
  • 444条:償還できない資力のない者がいる場合、その部分は求償者と資力のある者で負担部分に応じ分担する(負担部分が全員なければ等しい割合)
  • 444条3項:償還を受けられないことについて求償者に過失があるときは、他の連帯債務者に分担請求できない
  • 436条:可分な債務について、法令の規定または当事者の意思表示があるときに連帯債務となる
1

連帯債務

連帯債務について、条文は何を定めているか。

第436条連帯債務者に対する履行の請求一人にも全員にも請求できる1項判例なし
  • 可分な債務を法令や合意で連帯債務にできる
  • 一人だけ、同時に全員、順番に、いずれも請求可
  • 全部でも一部でも請求できる
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第437条連帯債務者の一人についての法律行為の無効等一人の無効・取消は他に影響しない1項判例 4件
  • 一人の法律行為が無効・取消でも他の人の債務は残る
  • 一人だけ事情があっても連帯債務全体は影響を受けない
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第438条連帯債務者の一人との間の更改一人との更改で全員の債務が消える1項判例 1件
  • 債権者が連帯債務者の一人と更改すると債権は全員のため消滅する
  • 他の連帯債務者も支払い義務がなくなる
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第439条連帯債務者の一人による相殺等一人の相殺は全員に効力が及ぶ2項判例 1件
  • 一人が反対債権で相殺を援用すると債権は全員のため消滅
  • 相殺を援用しない間は、他の人がその人の負担部分の限度で履行を拒める
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第440条連帯債務者の一人との間の混同一人との混同は弁済したとみなす1項判例 3件
  • 一人が債権者との間で混同を生じるとその人は弁済をしたものとみなされる
  • 結果として他の連帯債務者の債務も消える
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第441条相対的効力の原則それ以外の事由は本人だけに効力(相対効)1項判例なし
  • 更改・相殺援用・混同以外の事由は他の連帯債務者に効力を生じない
  • 債権者と他の連帯債務者の一人が別段の意思表示をすればそれに従う
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第442条連帯債務者間の求償権弁済した人は他の人に負担分を求償できる2項判例 13件
  • 自己の負担部分を超えたかどうかにかかわらず求償できる
  • 求償額は支出額と免責額のうち低い方を各自の負担部分で按分
  • 弁済日以後の法定利息や避けられなかった費用も含めて求償できる
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第443条通知を怠った連帯債務者の求償の制限通知を怠ると求償が制限されることがある2項判例 1件
  • 他の連帯債務者に事前に知らせず弁済すると、その負担部分について対抗事由を主張されうる
  • 相殺で対抗されたときは、その分を債権者に改めて請求できる
  • 事後の通知を怠ると、後で弁済した人の行為を有効とみなされることがある
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第444条償還をする資力のない者の負担部分の分担資力のない人の分は他の人で分担する3項判例なし
  • 払えない部分は求償者と資力のある人が負担部分に応じて分担
  • 求償者・他の資力ある者が負担部分を持たないときは等しい割合で分担
  • 償還を受けられないことに求償者の過失があれば分担請求できない
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第445条連帯債務者の一人との間の免除等と求償権免除・時効完成があっても求償権は残る1項判例なし
  • 一人への免除や一人のための時効完成があっても求償権を行使できる
  • 求償できる範囲は442条1項〈連帯債務者間の求償権〉の求償権のとおり
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第437条民法

共同保証人の一人に対する債務の免除は他の保証人に効果を及ぼすか

裁判要旨共同保証人の一人に対する債務の免除は、他の保証人に効果を及ぼさない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年11月15日 昭和41(オ)1373
登載
民集 第22巻12号2649頁
参照法条
民法437条,民法446条,民法458条
論点2第437条民法

民法第七一五条〈使用者等の責任〉の使用者責任と被用者自身の責任との関係

裁判要旨民法第七一五条〈使用者等の責任〉の使用者の損害賠償義務と加害者(被用者)本人の損害賠償義務とはいわゆる不真正連帯債務の関係にあるにすぎないから、加害者本人と被害者間の示談契約によつては、使用者は事故による損害賠償義務を免れるものではないと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和40年9月14日 昭和39(オ)1430
登載
集民 第80号335頁
参照法条
民法715条,民法437条
論点3第437条民法

共同不法行為者が負担する損害賠償債務と民法四三七条の適用の有無

裁判要旨共同不法行為者が負担する損害賠償債務については、民法四三七条〈連帯債務者の一人についての法律行為の無効等〉の規定は適用されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成6年11月24日 平成4(オ)1814
登載
集民 第173号431頁
参照法条
民法437条,民法719条
論点4第437条民法

一 共同不法行為者の一人と被害者との間で成立した訴訟上の和解における債務の免除の効力が他の共同不法行為者に対しても及ぶ場合
二 共同不法行為者の一人と被害者との間で成立した訴訟上の和解における債務の免除の効力が他の共同不法行為者に対しても及ぶ場合における求償金額の算定

裁判要旨一 甲と乙が共同の不法行為により丙に損害を加えたが、甲と丙との間で成立した訴訟上の和解により、甲が丙の請求額の一部につき和解金を支払うとともに、丙が甲に対し残債務を免除した場合において、丙が右訴訟上の和解に際し乙の残債務をも免除する意思を有していると認められるときは、乙に対しても残債務の免除の効力が及ぶ。
二 共同不法行為者の一人甲と被害者丙との間で成立した訴訟上の和解により、甲が丙の請求額の一部につき和解金を支払うとともに、丙が甲に対し残債務を免除した場合において、他の共同不法行為者乙に対しても残債務の免除の効力が及ぶときは、甲の乙に対する求償金額は、確定した損害額である右訴訟上の和解における甲の支払額を基準とし、双方の責任割合に従いその負担部分を定めて、これを算定すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成10年9月10日 平成9(オ)448
登載
民集 第52巻6号1494頁
参照法条
民法437条,民法442条,民法719条
論点5第438条民法

一、自動車の借主の運行による事故につき貸主に自動車損害賠償保障法三条による運行供用者責任が認められた事例
二、数人が自動車損害賠償保障法三条による運行供用者責任を負う場合と民法四三八条の規定の適用の有無

裁判要旨一、甲がその所有の自動車を乙に貸与し、乙がその被用者に運転させて運行中事故を起こし、同乗していた乙の子丙が死亡した場合において、甲と乙とはかねてから親交があつて、相互に自動車の貸し借り、融通をしていた関係があり、右貸与の目的は休日のドライブという一時的なものであつたなど判示の事情があるときは、甲は、丙の被つた損害につき、自動車損害賠償保障法三条による運行供用者としての責任を負うべきである。
二、同一事故につき数人が自動車損害賠償保障法三条による運行供用者としての責任を負う場合には、各人の損害賠償債務は、相互に不真正連帯の関係に立ち、これにつき民法四三八条の規定の適用はないものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和48年1月30日 昭和46(オ)1109
登載
集民 第108号119頁
参照法条
自動車損害賠償保障法3条,民法432条,民法438条
論点6第439条民法

一、連帯債務の成立について理由不備の違法があるとされた事例
二、連帯債務者の一人が消滅時効完成後債務を承認した場合において、同人が全債務について消滅時効を援用しえないとした判断に理由不備があるとされた事例

裁判要旨一、共同買受人であるとの理由のみから直ちに買受代金債務を買受人全員の連帯債務であるとすることはできない。
二、連帯債務者の一人が消滅時効完成後債務を承認した場合において、連帯債務者間の各負担部分を確定することなく、直ちに、同人が全債務について消滅時効を援用しえないとすることはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和44年11月13日 昭和42(オ)1053
登載
集民 第97号249頁
参照法条
民法432条,民法428条,民法439条,民法440条,商法511条
論点7第440条民法

地方団体の徴収金につき連帯納入義務者がある場合の法定納期限等

裁判要旨地方団体の徴収金につき連帯納入義務者がある場合における法定納期限等は、各連帯納入義務者ごとに行われる税額確定手続に応じて各別に定まる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成元年7月14日 昭和60(オ)109
登載
集民 第157号403頁
参照法条
地方税法10条,地方税法14条の9第1項,地方税法14条の10,民法440条
論点8第440条民法

連帯債務者の一部の者に対する債権の転付とその余の連帯債務者に対する債権の移転の有無

裁判要旨連帯債務者の一部の者に対する債権が転付命令によって第三者に移転したとしても、その余の連帯債務者に対する債権は移転しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成3年5月10日 平成2(オ)1330
登載
集民 第163号37頁
参照法条
民法432条,民法440条,民事執行法159条,民事執行法160条
論点9第442条民法

被用者と第三者との共同不法行為による損害を賠償した第三者からの使用者に対する求償権の成否

裁判要旨被用者と第三者との共同不法行為により他人に損害を加えた場合において、第三者が自己と被用者との過失割合に従つて定められるべき自己の負担部分を超えて被害者に損害を賠償したときは、第三者は、被用者の負担部分について使用者に対し求償することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和63年7月1日 昭和60(オ)1145
登載
民集 第42巻6号451頁
参照法条
民法442条,民法715条,民法719条
論点10第442条民法

一 保証人と債務者との間に成立した求償権につき約定利率による遅延損害金を支払う旨の特約と民法五〇一条所定の代位の範囲
二 保証人と物上保証人との間に成立した民法五〇一条但書五号所定の代位の割合と異なる特約の第三者に対する効力

裁判要旨一 保証人と債務者との間に求償権について法定利息と異なる約定利率による遅延損害金を支払う旨の特約がある場合には、代位弁済をした右保証人は、物上保証人及び当該物件の後順位担保権者等の利害関係人に対する関係において、債権者の有していた債権及び担保権につき、右特約に基づく遅延損害金を含む求償権の総額を上限として、これを行使することができる。
二 保証人と物上保証人との間に民法五〇一条但書五号所定の代位の割合と異なる特約がある場合には、代位弁済をした右保証人は、物上保証人の後順位担保権者等の利害関係人に対する関係において、右特約の割合に応じて債権者が物上保証人に対して有していた抵当権等の担保権を代位行使することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和59年5月29日 昭和55(オ)351
登載
民集 第38巻7号885頁
参照法条
民法442条2項,民法459条,民法501条
論点11第442条民法

一 保証人と債務者との間に成立した求償権につき約定利率による遅延損害金を支払う旨の特約と民法五〇一条所定の代位の範囲
二 保証人と物上保証人との間に成立した民法五〇一条但書五号所定の代位の割合と異なる特約の第三者に対する効力

裁判要旨一 保証人と債務者との間に求償権について法定利息と異なる約定利率による遅延損害金を支払う旨の特約がある場合には、代位弁済をした右保証人は、物上保証人及び当該物件の後順位担保権者等の利害関係人に対する関係において、債権者の有していた債権及び担保権につき、右特約に基づく遅延損害金を含む求償権の総額を上限として、これを行使することができる。
二 保証人と物上保証人との間に民法五〇一条但書五号所定の代位の割合と異なる特約がある場合には、代位弁済をした右保証人は、物上保証人の後順位担保権者等の利害関係人に対する関係において、右特約の割合に応じて債権者が物上保証人に対して有していた抵当権等の担保権を代位行使することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和59年11月16日 昭和54(オ)448
登載
集民 第143号165頁
参照法条
民法442条2項,民法459条,民法501条
論点12第442条民法

一 保証人と債務者との間に成立した求償権につき約定利率による遅延損害金を支払う旨の特約と民法五〇一条所定の代位の範囲
二 保証人と物上保証人との間に成立した民法五〇一条但書五号所定の代位の割合と異なる特約の第三者に対する効力

裁判要旨一 保証人と債務者との間に求償権について法定利息と異なる約定利率による遅延損害金を支払う旨の特約がある場合には、代位弁済をした右保証人は、物上保証人及び当該物件の後順位担保権者等の利害関係人に対する関係において、債権者の有していた債権及び担保権につき、右特約に基づく遅延損害金を含む求償権の総額を上限として、これを行使することができる。
二 保証人と物上保証人との間に民法五〇一条但書五号所定の代位の割合と異なる特約がある場合には、代位弁済をした右保証人は、物上保証人の後順位担保権者等の利害関係人に対する関係において、右特約の割合に応じて債権者が物上保証人に対して有していた抵当権等の担保権を代位行使することができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和59年10月4日 昭和55(オ)252
登載
集民 第143号1頁
参照法条
民法442条2項,民法459条,民法501条
論点13第442条民法

約束手形の第一裏書人及び第二裏書人がいずれも保証の趣旨で裏書したものである場合に手形を受戻した第二裏書人に対し第一裏書人が負うべき遡求義務の範囲

裁判要旨約束手形の第一裏書人及び第二裏書人がいずれも振出人の手形債務を保証する趣旨で裏書したものである場合において、第二裏書人が所持人から手形を受戻したうえ第一裏書人に対し遡求したときは、第一裏書人は民法四六五条一項の規定の限度においてのみ遡求に応じれば足り、右の遡求義務の範囲の基準となる裏書人間の負担部分につき特約がないときは、負担部分は平等である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和57年9月7日 昭和56(オ)851
登載
民集 第36巻8号1607頁
参照法条
民法427条,民法442条,民法465条1項,手形法17条,手形法30条1項,手形法47条1項,手形法47条3項,手形法49条,手形法77条1項1号,手形法77条1項4号,手形法77条3項
論点14第442条民法

一、信用保証委託約定書六条〈未成年者の営業の許可〉一、二項の解釈
二、代位弁済による求償債権の損害金に関する特約と第三者

裁判要旨一、信用保証委託約定書六条〈未成年者の営業の許可〉一、二項の約定は、信用保証協会が債務を弁済した場合において、求償権及び代位の範囲を第三者との関係についても定めたものではなく、単に保証人との間において右協会に負担部分がないことを定めたものと解すべきである。
二、信用保証協会が債務者及び保証人と、右協会の代位弁済による求償債権の損害金につき法定利息と異なる約定をしても、右協会は右約定を第三者に対抗することはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和49年11月5日 昭和47(オ)897
登載
集民 第113号89頁
参照法条
民法442条,民法465条,民法501条
論点15第442条民法

債権者に対する関係では主債務者であるが内部関係においては実質上の連帯保証人にすぎない者に対する他の連帯保証人の求償権

裁判要旨甲が債権者に対する関係では主債務者であるが、内部関係においては実質上の主債務者乙の連帯保証人にすぎない場合において、連帯保証人丙が債権者に対し自己の負担部分をこえる額を弁済したときは、丙は、甲に対し丙の負担部分をこえる部分についてのみ甲の負担部分の範囲内で求償権を行使することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和46年3月16日 昭和45(オ)617
登載
民集 第25巻2号173頁
参照法条
民法465条1項,民法442条
論点16第442条民法

一、任意に支払われた法定の制限をこえる利息・損害金と弁済充当の順位に関する特約がある場合の充当関係
二、法定の制限をこえて支払われた利息・損害金を残存元本等に充当するには債務者からその旨の抗弁が提出されることを要するか
三、法定の制限をこえる利息を支払つた連帯債務者は他の連帯債務者に対して制限超過の利息相当金を求償することができるか
四、利息について法定の制限をこえる約定があるが遅延損害金については約定のない貸金債権と民法第四一九条第一項但書および利息制限法第四条第一項の適用の有無

裁判要旨一、債権者と債務者間に数口の貸金債権が存在し、弁済充当の順序について特約が存在する場合において、債務者が利息制限法所定の制限をこえる利息を支払つたときは、右超過部分に対する弁済は、右特約の趣旨に従つて次順位に充当されるべき債務で有効に存在するものに充当されるものと解すべきである。
(反対意見がある)
二、裁判所は、利息制限法所定の制限をこえて任意に支払われた利息・損害金の存在することが弁論にあらわれ、これを確定した以上、当事者から右制限超過分を残存元本等に充当すべき旨の特別の申立ないし抗弁が提出されなくても、右弁済充当関係を判断することができる。
三、連帯債務者の一人が利息制限法所定の制限をこえる利息を支払つても、他の連帯債務者に対して右制限をこえる利息相当金を求償することはできない。
四、金銭を目的とする消費貸借上の利息について利息制限法第一条第一項の利率の制限をこえる約定があるが、遅延損害金の約定がない場合には、遅延損害金についても利息制限法第一条の制限額にまで減縮され、その限度で支払を求めうるにすぎない。
(反対意見がある)
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和43年10月29日 昭和42(オ)967
登載
民集 第22巻10号2257頁
参照法条
利息制限法1条,利息制限法2条,利息制限法4条,民法419条,民法442条,民法491条
論点17第442条民法

一 被用者と第三者との共同過失によつて惹起された交通事故による損害を賠償した使用者の第三者に対する求償権の成否
二 右の場合における第三者の負担部分

裁判要旨一 使用者は、被用者と第三者との共同過失によつて惹起された交通事故による損害を賠償したときは、右第三者に対し、求償権を行使することができる。
二 右の場合における第三者の負担部分は、共同不法行為者である被用者と第三者との過失の割合にしたがつて定められるべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和41年11月18日 昭和41(オ)58
登載
民集 第20巻9号1886頁
参照法条
民法719条,民法442条
論点18第442条民法

一 共同不法行為の加害者の各使用者間における求償権の成立する範囲
二 加害者の複数の使用者間における各使用者の負担部分
三 加害者の複数の使用者間における求償権の成立する範囲

裁判要旨一 共同不法行為の加害者の各使用者が使用者責任を負う場合において、一方の加害者の使用者は、当該加害者の過失割合に従って定められる自己の負担部分を超えて損害を賠償したときは、その超える部分につき、他方の加害者の使用者に対し、当該加害者の過失割合に従って定められる負担部分の限度で、求償することができる。
二 加害者の複数の使用者が使用者責任を負う場合において、各使用者の負担部分は、加害者の加害行為の態様及びこれと各使用者の事業の執行との関連性の程度各使用者の指揮監督の強弱などを考慮して定められる責任の割合に従って定めるべきである。
三 加害者の複数の使用者が使用者責任を負う場合において、使用者の一方は、自己の負担部分を超えて損害を賠償したときは、その超える部分につき、使用者の他方に対し、その負担部分の限度で、求償することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成3年10月25日 昭和63(オ)1383
登載
民集 第45巻7号1173頁
参照法条
民法442条,民法715条,民法719条
論点19第442条民法

保証人が主たる債務者に対して取得した求償権の消滅時効の中断事由がある場合における共同保証人間の求償権の消滅時効中断の有無

裁判要旨保証人が主たる債務者に対して取得した求償権の消滅時効の中断事由がある場合であっても,共同保証人間の求償権について消滅時効の中断の効力は生じない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成27年11月19日 平成25(受)2001
登載
民集 第69巻7号1988頁
参照法条
民法147条,民法442条,民法465条
論点20第442条民法

一 構成員に会社を含む共同企業体の債務と各構成員の連帯債務関係
二 和議開始の申立てをした連帯債務者の一人に対し他の連帯債務者が右申立てを知って和議開始決定前の弁済により取得した求償権をもって相殺することの可否
三 和議認可決定を受けた連帯債務者の一人に対し他の連帯債務者が和議開始決定後の弁済により取得した求償権をもってする相殺の要件及び限度

裁判要旨一 構成員に会社を含む共同企業体の各構成員は、共同企業体がその事業のために第三者に対して負担した債務につき連帯債務を負う。
二 連帯債務関係が発生した後に連帯債務者の一人が和議開始の申立てをした場合において、右申立てを知って和議開始決定前の弁済により求償権を取得した他の連帯債務者は、右求償権をもって和議債務者の債権と相殺することができる。
三 連帯債務者の一人について和議認可決定が確定した場合において、和議開始決定後の弁済により求償権を取得した他の連帯債務者は、債権者が全額の弁済を受けたときに限り、右弁済によって取得する債権者の和議債権(和議条件により変更されたもの)の限度で右求償権をもって和議債務者の債権と相殺することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成10年4月14日 平成6(オ)2137
登載
民集 第52巻3号813頁
参照法条
民法442条,民法501条,民法675条,商法511条1項,和議法5条,和議法45条,和議法57条,破産法24条,破産法26条,破産法104条,破産法326条
論点21第443条民法

民法四四三条一項〈通知を怠った連帯債務者の求償の制限〉の事前の通知を怠つた連帯債務者が同条二項の規定により自己の免責行為を有効であるとみなすことの可否

裁判要旨連帯債務者の一人が弁済その他の免責の行為をするに先立ち他の連帯債務者に対し民法四四三条一項の通知をすることを怠つた場合は、既に弁済その他により共同の免責を得ていた他の連帯債務者に対し、同条二項の規定により自己の免責行為を有効であるとみなすことはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和57年12月17日 昭和56(オ)477
登載
民集 第36巻12号2399頁
参照法条
民法443条
原

条文原文

原文ママ

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民法 第436条(連帯債務者に対する履行の請求) 詳細ページ
(連帯債務者に対する履行の請求)
第四百三十六条債務の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次に全ての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。
民法 第437条(連帯債務者の一人についての法律行為の無効等) 詳細ページ
(連帯債務者の一人についての法律行為の無効等)
第四百三十七条連帯債務者の一人について法律行為の無効又は取消しの原因があっても、他の連帯債務者の債務は、その効力を妨げられない。
民法 第438条(連帯債務者の一人との間の更改) 詳細ページ
(連帯債務者の一人との間の更改)
第四百三十八条連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
民法 第439条(連帯債務者の一人による相殺等) 詳細ページ
(連帯債務者の一人による相殺等)
第四百三十九条連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
2前項の債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分の限度において、他の連帯債務者は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。
民法 第440条(連帯債務者の一人との間の混同) 詳細ページ
(連帯債務者の一人との間の混同)
第四百四十条連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったときは、その連帯債務者は、弁済をしたものとみなす。
民法 第441条(相対的効力の原則) 詳細ページ
(相対的効力の原則)
第四百四十一条第四百三十八条、第四百三十九条第一項及び前条に規定する場合を除き、連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない。ただし、債権者及び他の連帯債務者の一人が別段の意思を表示したときは、当該他の連帯債務者に対する効力は、その意思に従う。
民法 第442条(連帯債務者間の求償権) 詳細ページ
(連帯債務者間の求償権)
第四百四十二条連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、その免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず、他の連帯債務者に対し、その免責を得るために支出した財産の額(その財産の額が共同の免責を得た額を超える場合にあっては、その免責を得た額)のうち各自の負担部分に応じた額の求償権を有する。
2前項の規定による求償は、弁済その他免責があった日以後の法定利息及び避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する。
民法 第443条(通知を怠った連帯債務者の求償の制限) 詳細ページ
(通知を怠った連帯債務者の求償の制限)
第四百四十三条他の連帯債務者があることを知りながら、連帯債務者の一人が共同の免責を得ることを他の連帯債務者に通知しないで弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得た場合において、他の連帯債務者は、債権者に対抗することができる事由を有していたときは、その負担部分について、その事由をもってその免責を得た連帯債務者に対抗することができる。この場合において、相殺をもってその免責を得た連帯債務者に対抗したときは、その連帯債務者は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
2弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得た連帯債務者が、他の連帯債務者があることを知りながらその免責を得たことを他の連帯債務者に通知することを怠ったため、他の連帯債務者が善意で弁済その他自己の財産をもって免責を得るための行為をしたときは、当該他の連帯債務者は、その免責を得るための行為を有効であったものとみなすことができる。
民法 第444条(償還をする資力のない者の負担部分の分担) 詳細ページ
(償還をする資力のない者の負担部分の分担)
第四百四十四条連帯債務者の中に償還をする資力のない者があるときは、その償還をすることができない部分は、求償者及び他の資力のある者の間で、各自の負担部分に応じて分割して負担する。
2前項に規定する場合において、求償者及び他の資力のある者がいずれも負担部分を有しない者であるときは、その償還をすることができない部分は、求償者及び他の資力のある者の間で、等しい割合で分割して負担する。
3前二項の規定にかかわらず、償還を受けることができないことについて求償者に過失があるときは、他の連帯債務者に対して分担を請求することができない。
民法 第445条(連帯債務者の一人との間の免除等と求償権) 詳細ページ
(連帯債務者の一人との間の免除等と求償権)
第四百四十五条連帯債務者の一人に対して債務の免除がされ、又は連帯債務者の一人のために時効が完成した場合においても、他の連帯債務者は、その一人の連帯債務者に対し、第四百四十二条第一項の求償権を行使することができる。
出

一次情報

原文ママ

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