民法 / テーマ別まとめ

多数当事者の債権及び債務/不可分債権及び不可分債務

不可分債権及び不可分債務の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

民法428条から431条は、給付の内容が性質上分けられない「不可分債権」「不可分債務」について定めたものです。数人の債権者・債務者がいる場合の扱いを、連帯債権・連帯債務の規定を一部除いて準用する形で整理しつつ、更改・免除の場面や可分債権・可分債務に変わった場合の独自ルールを置いています。実務担当者は、どの場面で連帯型のルールが働き、どの場面で不可分特有のルールに切り替わるかを押さえておく必要があります。

不可分債権及び不可分債務
観点不可分債権不可分債務
準用される規定連帯債権の規定(433条・435条除く)連帯債務の規定(440条除く)
一人との更改・免除他の債権者が全部履行を請求可-
可分に変わったとき自己の権利部分のみ請求可負担部分のみ責任を負う
  • 428条は連帯債権の規定のうち433条・435条を除いて準用する
  • 430条は連帯債務の規定のうち440条を除いて準用する
  • 429条は不可分債権者の一人との更改・免除の場合を定めたもので、不可分債務についての対応規定はここには含まれない
  • 429条:更改・免除で権利を失った一人が本来分与されるはずだった利益分は、他の債権者が債務者に償還する
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不可分債権及び不可分債務

不可分債権及び不可分債務について、条文は何を定めているか。

第428条不可分債権不可分債権に連帯債権の規定を準用1項判例 2件
  • 数人の債権者がいて、給付の目的が性質上分けられない場合が対象
  • 連帯債権の規定を準用するが、433条〈連帯債権者の一人との間の更改又は免除〉と435条〈連帯債権者の一人との間の混同〉は除く
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第429条不可分債権者の一人との間の更改又は免除一人と更改・免除しても他の債権者は全部請求できる1項判例 3件
  • 不可分債権者の一人と債務者の間で更改・免除をしても、他の債権者は債務全部の履行を請求できる
  • その一人が権利を失わなければ得られたはずの利益分を、他の債権者が債務者に償還する
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第430条不可分債務不可分債務に連帯債務の規定を準用1項判例 2件
  • 数人の債務者がいて、給付の目的が性質上分けられない場合が対象
  • 連帯債務の規定を準用するが、440条〈連帯債務者の一人との間の混同〉は除く
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第431条可分債権又は可分債務への変更可分債権・債務に変わったときの扱い1項判例なし
  • 不可分債権が可分債権になったら、各債権者は自分の権利部分のみ請求できる
  • 不可分債務が可分債務になったら、各債務者は自分の負担部分のみ責任を負う
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第428条民法

一、連帯債務の成立について理由不備の違法があるとされた事例
二、連帯債務者の一人が消滅時効完成後債務を承認した場合において、同人が全債務について消滅時効を援用しえないとした判断に理由不備があるとされた事例

裁判要旨一、共同買受人であるとの理由のみから直ちに買受代金債務を買受人全員の連帯債務であるとすることはできない。
二、連帯債務者の一人が消滅時効完成後債務を承認した場合において、連帯債務者間の各負担部分を確定することなく、直ちに、同人が全債務について消滅時効を援用しえないとすることはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和44年11月13日 昭和42(オ)1053
登載
集民 第97号249頁
参照法条
民法432条,民法428条,民法439条,民法440条,商法511条
論点2第428条民法

貸主が数名あるときの家屋明渡請求権と不可分給付を求める権利

裁判要旨使用貸借契約の終了を原因とする家屋明渡請求権は性質上の不可分給付を求める権利と解すべきであつて、貸主が数名あるときは、各貸主は総貸主のため家屋全部の明渡を請求することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年8月25日 昭和42(オ)208
登載
民集 第21巻7号1740頁
参照法条
民法428条
論点3第429条民法

共同借地人の一部の者に対してされた借地法一二条に基づく賃料増額請求の効力

裁判要旨土地の賃貸人が賃借人に対し借地法一二条に基づく賃料増額請求をする場合において、賃借人が複数の共同賃借人であるときは、賃借人の全員に対して増額の意思表示をすることが必要であり、その意思表示が賃借人の一部に対してされたにすぎないときは、これを受けた者との関係においてもその効力を生じない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和54年1月19日 昭和53(オ)666
登載
集民 第126号1頁
参照法条
借地法12条,民法429条2項
論点4第429条民法

共同借地人の一部の者に対してなされた借地法一二条に基づく賃料増額請求の効力

裁判要旨賃貸人が共同借地人に対し借地法一二条に基づく賃料増額の請求をするには、共同借地人全員に対して増額の意思表示をすることが必要であり、右意思表示がその一部の者に対してなされたにすぎない場合には、右意思表示のなされた者に対する関係のみにおいても賃料増額の効力を生じない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和50年10月2日 昭和50(オ)404
登載
集民 第116号155頁
参照法条
借地法12条,民法429条2項
論点5第429条民法

土地所有権に基づく収去明渡の確定判決の執行債務者が右土地所有権の共同相続持分の一部を取得した場合の執行の許否。

裁判要旨甲の乙に対する土地所有権に基づく建物収去、土地明渡の確定判決の事実審口頭弁論終結後、甲の死亡により土地所有権が丙丁らに共同相続された場合、乙が丙からその土地共有持分を取得したとしても、丙以外の共同相続人らは、民法第四二九条〈不可分債権者の一人との間の更改又は免除〉の法意に従い、乙に対して右判決を執行し得る。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和36年3月2日 昭和35(オ)201
登載
民集 第15巻3号337頁
参照法条
民法899条,民法429条,民訴法201条,民訴法545条
論点6第430条民法

一 共有登記の一部抹消(更正)登記請求訴訟と共有名義人全員を被告とすることの要否
二 被相続人の不動産に関する登記義務が共同相続人によつて承継された場合における当該共同相続人の登記義務の性質

裁判要旨一 自己の持分を登記上侵害されている共同相続人の一人がこれを侵害している他の複数の共同相続人に対して妨害排除としての実質を有する一部抹消(更正)登記手続を請求する訴訟は、右他の共同相続人全員を被告とすべき固有必要的共同訴訟ではない。
二 被相続人の不動産に関する登記義務が共同相続人によつて承継された場合における当該共同相続人の登記義務は、不可分債務である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和60年11月29日 昭和58(オ)49
登載
集民 第146号197頁
参照法条
民訴法62条,民法430条,民法896条,民法898条,不動産登記法63条
論点7第430条民法

賃貸人の共同相続人に対して賃借権の確認を求める訴訟と必要的共同訴訟の成否

裁判要旨不動産の賃借人が賃貸人の相続人に対して賃借権の確認を求める訴訟は、相続人が数人あるときでも、必要的共同訴訟ではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和45年5月22日 昭和45(オ)64
登載
民集 第24巻5号415頁
参照法条
民訴法62条,民法430条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民法 第428条(不可分債権) 詳細ページ
(不可分債権)
第四百二十八条次款(連帯債権)の規定(第四百三十三条及び第四百三十五条の規定を除く。)は、債権の目的がその性質上不可分である場合において、数人の債権者があるときについて準用する。
民法 第429条(不可分債権者の一人との間の更改又は免除) 詳細ページ
(不可分債権者の一人との間の更改又は免除)
第四百二十九条不可分債権者の一人と債務者との間に更改又は免除があった場合においても、他の不可分債権者は、債務の全部の履行を請求することができる。この場合においては、その一人の不可分債権者がその権利を失わなければ分与されるべき利益を債務者に償還しなければならない。
民法 第430条(不可分債務) 詳細ページ
(不可分債務)
第四百三十条第四款(連帯債務)の規定(第四百四十条の規定を除く。)は、債務の目的がその性質上不可分である場合において、数人の債務者があるときについて準用する。
民法 第431条(可分債権又は可分債務への変更) 詳細ページ
(可分債権又は可分債務への変更)
第四百三十一条不可分債権が可分債権となったときは、各債権者は自己が権利を有する部分についてのみ履行を請求することができ、不可分債務が可分債務となったときは、各債務者はその負担部分についてのみ履行の責任を負う。
出

一次情報

原文ママ

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