行政事件訴訟法 / テーマ別まとめ

総則

総則の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

行政事件訴訟法の総則(第1条〜第7条)は、行政事件訴訟が抗告訴訟・当事者訴訟・民衆訴訟・機関訴訟の4種類に分かれることと、それぞれの意味を定義しています。あわせて、他の法律との優先関係や、この法律に定めのない事項の扱いも定めています。実務担当者は、自分が関わる紛争がどの訴訟類型に当たるかを見極める出発点として、この総則の定義を確認します。

総則
種類内容条文
処分の取消しの訴え処分の取消しを求める訴訟第3条2項
裁決の取消しの訴え審査請求に対する裁決の取消しを求める訴訟第3条3項
無効等確認の訴え処分・裁決の存否や効力の有無の確認第3条4項
不作為の違法確認の訴え申請への不作為の違法を確認第3条5項
義務付けの訴え行政庁に処分・裁決を命じるよう求める第3条6項
差止めの訴え処分・裁決をしないよう命じるよう求める第3条7項
当事者訴訟公法上の法律関係に関する訴訟第4条
民衆訴訟自己の利益に関わらない資格での是正請求第5条
機関訴訟国・公共団体機関間の権限争いの訴訟第6条
  • 他の法律に特別の定めがある場合は、そちらが優先する(第1条)。
  • 抗告訴訟とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟全般を指す総称(第3条1項)。
  • 義務付けの訴えは、申請等をしていない場合(第3条6項一号)と、申請・審査請求をした場合(同項二号)の2つの場面に分かれる。
  • この法律に定めがない事項は、民事訴訟の例による(第7条)。
1

総則

総則について、条文は何を定めているか。

第1条この法律の趣旨他の法律優先、なければこの法律による1項判例 3件
  • 行政事件訴訟は原則この法律に従う
  • 他の法律に特別の定めがあればそちらが優先
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第2条行政事件訴訟行政事件訴訟の4つの種類を定義1項判例なし
  • 行政事件訴訟は4種類に分類される
  • 抗告訴訟・当事者訴訟・民衆訴訟・機関訴訟の4類型
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第3条抗告訴訟抗告訴訟の6つの訴訟類型を定義7項・2号判例 25件
  • 処分の取消し、裁決の取消し、無効等確認の3類型
  • 不作為の違法確認、義務付け、差止めの3類型
  • 抗告訴訟は行政庁の公権力行使への不服申立て
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第4条当事者訴訟公法上の法律関係に関する訴訟を定義1項判例 3件
  • 公法上の法律関係の確認訴訟などが対象
  • 法令により当事者の一方を被告とする訴訟も含む
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第5条民衆訴訟自己の利益と無関係な立場での是正請求1項判例 1件
  • 選挙人などの資格で行為の是正を求める訴訟
  • 自己の法律上の利益に関わらない資格で提起
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第6条機関訴訟国・公共団体の機関間の権限争いを扱う1項判例 2件
  • 機関相互間の権限の存否や行使をめぐる紛争
  • 国または公共団体の機関同士の訴訟
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第7条この法律に定めがない事項定めがない事項は民事訴訟法に従う1項判例 6件
  • この法律に規定がない部分は民事訴訟の例による
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第1条行政事件訴訟法

一 国税犯則取締法二条〈行政事件訴訟〉により裁判官がした差押等の許可自体に対する準抗告その他独立の不服申立の許否と憲法三二条〈取消判決等の効力〉
二 国税犯則取締法二条により収税官吏がした差押処分に対する不服申立方法

裁判要旨一 国税犯則取締法二条〈行政事件訴訟〉により収税官吏の請求に基づいて裁判官がした差押等の許可自体に対しては、準抗告その他独立の不服申立は許されない。このように解しても、憲法三二条に違反しない。
二 国税犯則取締法二条により収税官吏がした差押処分に対する不服申立は、行政事件訴訟に定める訴訟の方法によるべきであつて、これにつき刑訴法四三〇条の準抗告の規定を準用すべきではない。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和44年12月3日 昭和42(し)78
登載
刑集 第23巻12号1525頁
参照法条
国税犯則取締法2条,刑訴法429条1項2号,刑訴法430条,憲法32条,行政事件訴訟法1条
論点2第1条行政事件訴訟法

捜査機関がした捜査上の行為に対する行政訴訟または民事訴訟の提起の許否

裁判要旨捜査機関がした捜査上の行為に対し行政訴訟または民事訴訟を提起することは、許されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年4月7日 昭和41(行ツ)23
登載
集民 第87号31頁
参照法条
行政事件訴訟法1条
論点3第1条行政事件訴訟法

検察審査会法41条の6第1項所定の検察審査会による起訴をすべき旨の議決の適否につき行政事件訴訟を提起して争い,これを本案とする行政事件訴訟法25条2項の執行停止の申立てをすることができるか

裁判要旨検察審査会法41条の6第1項所定の検察審査会による起訴をすべき旨の議決の適否については,行政事件訴訟を提起して争うことはできず,これを本案とする行政事件訴訟法25条2項の執行停止の申立てをすることもできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成22年11月25日 平成22(行ト)63
登載
民集 第64巻8号1951頁
参照法条
検察審査会法41条の6第1項,検察審査会法41条の10第1項,行政事件訴訟法1条,行政事件訴訟法25条2項
論点4第3条行政事件訴訟法

一 公安委員会の行つた駐車禁止規則が裁量の範囲を逸脱していないとされた事例
二 交通反則金納付の通告処分に対する不服申立の途がない現行法制の合憲性

裁判要旨一 全長約五〇〇メートルにわたる駐車禁止区間のうち、約一二六メートルの区間の道路幅員が約一八メートルであつて、その前後の幅員が一〇メートル内外であるのにくらべて、相当幅広く中ぶくれの状態になつていても、都市部に流入する車両数の抑制及び歩行者等交通弱者の保護を目的としてされた右駐車禁止の規制は、公安委員会の裁量の範囲を逸脱していない。
二 交通反則金納付の通告処分に対する不服申立の途がない現行法制は、憲法一三条、三二条に違反しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和61年9月11日 昭和59(あ)617
登載
集刑 第243号697頁
参照法条
道路交通法4条1項,道路交通法45条1項,道路交通法119条の2第1項1号,道路交通法127条1項,行政事件訴訟法3条2項,憲法32条
論点5第3条行政事件訴訟法

一 土地区画整理組合の設立認可と抗告訴訟の対象
二 土地区画整理組合の事業の施行地区内の宅地の所有者と当該組合設立認可処分の無効確認訴訟の原告適格
三 上告審が下級審の訴え却下の判断を違法であると認めたにもかかわらず事件を下級審に差し戻すことなく上告を棄却した事例
四 土地区画整理法九八条一項前段にいう「工事のため必要がある場合」にされる換地予定地的仮換地指定処分と換地計画の要否

裁判要旨一 土地区画整理組合の設立認可は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。
二 土地区画整理組合の事業施行地区内の宅地の所有者は、右事業施行に伴う処分を受けるおそれのあるときは、同組合の設立認可処分の無効確認訴訟につき原告適格を有する。
三 甲が、乙を被告とする丙土地区画整理組合の設立認可処分の無効確認請求と同組合を被告とする仮換地指定処分の無効確認請求(第二次的にその取消請求)とを併合請求し、後者の処分の違法無効事由として丙組合の設立の無効ないし設立認可処分の無効事由をも主張している訴訟において、前者の請求については一、二審判決とも訴えを不適法として却下すべきものとし、後者の請求については、一審が第一次請求を認容したのに対し、原審は第一次、第二次請求とも棄却すべきものとしたため、原判決に対し甲のみが上告したものであるところ、丙組合の設立の無効ないし設立認可処分の無効事由等の有無については、一審以来重要な争点として、当事者双方の主張、立証が十分に尽くされているなど判示のような事情がある場合に、上告審において、前者の訴えを却下すべきものとした原審の判断は違法であるが、後者の請求についてした原審の認定判断が是認でき、その確定した事実関係によれば前者の訴えによる請求は理由がないと判断したときは、右訴えについて、原判決を破棄し、一審判決を取り消したうえ、事件を一審裁判所に差し戻すことは必要でなく、その請求の当否について直ちに判断することが許される。
四 土地区画整理法九八条一項前段にいう「土地の区画形質の変更若しくは公共施設の新設若しくは変更に係る工事のため必要がある場合」にされる仮換地指定処分は、換地予定地的なものであつても、換地計画に基づくことを要しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和60年12月17日 昭和57(行ツ)128
登載
民集 第39巻8号頁
参照法条
土地区画整理法3条2項,土地区画整理法14条,土地区画整理法21条1項,土地区画整理法21条4項,土地区画整理法25条1項,土地区画整理法98条1項前段,行政事件訴訟法3条2項,行政事件訴訟法3条4項,行政事件訴訟法36条,民訴法388条,民訴法396条
論点6第3条行政事件訴訟法

破産法人の清算中の事業年度の所得に係る法人税についてされた交付要求と抗告訴訟の対象

裁判要旨破産法人の清算中の事業年度の所得に係る法人税について国税徴収法八二条の規定により税務署長がした交付要求は、抗告訴訟の対象となる行政処分にはあたらない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和59年3月29日 昭和58(行ツ)10
登載
集民 第141号523頁
参照法条
行政事件訴訟法3条2項,国税徴収法82条
論点7第3条行政事件訴訟法

土地収用法三四条の三の規定に基づく手続開始の告示と抗告訴訟の対象

裁判要旨土地収用法三四条の三の規定に基づく手続開始の告示は、抗告訴訟の対象とならない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和59年2月16日 昭和55(行ツ)99
登載
集民 第141号239頁
参照法条
土地収用法34条の3,行政事件訴訟法3条
論点8第3条行政事件訴訟法

国税徴収法九六条に基づく公売の通知と抗告訴訟の対象

裁判要旨国税徴収法九六条に基づく公売の通知は、抗告訴訟の対象となる行政庁の処分にあたらない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和50年6月27日 昭和47(行ツ)67
登載
集民 第115号211頁
参照法条
国税徴収法96条,行政事件訴訟法3条
論点9第3条行政事件訴訟法

一、現業国家公務員に対する国家公務員法八九条一項所定の処分の法的性質
二、不当労働行為に該当する現業国家公務員に対する国家公務員法八九条一項所定の処分の効力
三、現業国家公務員に対する国家公務員法八九条一項所定の処分につき裁判による取消を求める方法
四、上告審が下級審の訴却下の判断を違法であると認めたにもかかわらず事件を下級審に差戻すことなく上告を棄却した事例

裁判要旨一、現業国家公務員に対する国家公務員法八九条一項所定の処分は、抗告訴訟の対象となる行政処分である。
二、不当労働行為該当の瑕疵を有する現業国家公務員に対する国家公務員法八九条一項所定の処分は、違法ではあるが、右瑕疵が重大かつ明白でないかぎり、当然無効ではない。
三、国家公務員法八九条一項所定の処分を受けた現業国家公務員は、直ちに右処分に対する取消訴訟を提起することができるが、右訴訟において不当労働行為該当の瑕疵以外の瑕疵を争うについては、審査請求に対する人事院の裁決を経由することを要する。
四、(省略)
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和49年9月2日 昭和43(行ツ)44
登載
集民 第112号517頁
参照法条
行政事件訴訟法3条2項,国家公務員法89条1項,国家公務員法92条の2,公共企業体等労働関係法40条1項1号,公共企業体等労働関係法40条3項,労働組合法7条,民訴法385条,民訴法388条,民訴法396条
論点10第3条行政事件訴訟法

異議申立棄却決定に対する取消訴訟の許否

裁判要旨国税に関する処分に対する異議申立てを棄却した決定に対しては、異議決定固有の瑕疵を理由としてその取消訴訟を提起することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和49年7月19日 昭和44(行ツ)68
登載
集民 第112号315頁
参照法条
行政事件訴訟法3条3項,行政事件訴訟法10条2項
論点11第3条行政事件訴訟法

換地処分取消請求棄却の確定判決の既判力と右換地処分の違法を理由とする国家賠償請求

裁判要旨換地処分の違法を理由とする国家賠償請求訴訟において原告の主張する違法と、当該原告がすでに請求棄却の確定判決を受けた右換地処分取消請求訴訟で主張した違法とが、その内容において異なるものでないときは、右確定判決の既判力は、右国家賠償の請求に及ぶ。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和48年3月27日 昭和47(オ)642
登載
集民 第108号529頁
参照法条
民訴法199条,行政事件訴訟法3条,国家賠償法1条
論点12第3条行政事件訴訟法

いわゆる勤評長野方式における自己評定義務の不存在確認の訴の適否

裁判要旨長野県教育委員会教育長の通達により同通達の定める勤務評定書(いわゆる長野方式)に自己観察の結果を表示することを命ぜられた教職員が、その表示義務の不履行に対して懲戒その他の不利益処分を受けるのを防止するために、あらかじめ右義務を負わないことの確認を求める訴は、不利益処分を受けたのちこれに関する訴訟において義務の存否を争うことによつては回復しがたい重大な損害を被るおそれがあるなど、事前の救済を認めないことを著しく不相当とする特段の事情がないかぎり、訴の利益を欠き不適法である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年11月30日 昭和41(行ツ)35
登載
民集 第26巻9号1746頁
参照法条
行政事件訴訟法3条1項,地方教育行政の組織及び運営に関する法律35条,地方公務員法40条,長野県立学校職員の勤務成績の評定に関する規則(長野県教育委員会規則 第1号)1条,長野県立学校職員の勤務成績の評定に関する規則6条2項,長野県立学校職員の勤務成績の評定に関する規則9条,長野県立学校職員の勤務評定実施について(通達),民訴法223条
論点13第3条行政事件訴訟法

私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律四五条一項に基づく措置要求を不問に付する旨の公正取引委員会の決定と抗告訴訟

裁判要旨私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律四五条一項に基づく措置要求を不問に付する旨の公正取引委員会の決定は、抗告訴訟の対象となる行政処分にあたらない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年11月16日 昭和43(行ツ)3
登載
民集 第26巻9号1573頁
参照法条
行政事件訴訟法3条,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律45条1項
論点14第3条行政事件訴訟法

一、弁済供託における供託金取戻請求が供託官により却下された場合と訴訟の形式
二、弁済供託における供託金取戻請求権の消滅時効の起算点および期間

裁判要旨一、弁済供託における供託金取戻請求が供託官により却下された場合には、供託官を被告として却下処分の取消の訴を提起することができる。
二、弁済供託における供託金取戻請求権の消滅時効は、供託の基礎となつた債務について紛争の解決などによつてその不存在が確定するなど、供託者が免責の効果を受ける必要が消滅した時から進行し、一〇年をもつて完成する。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和45年7月15日 昭和40(行ツ)100
登載
民集 第24巻7号771頁
参照法条
供託法1条ノ3,供託法8条2項,供託規則38条,民法166条1項,民法167条1項,民法496条1項,行政事件訴訟法3条2項,会計法30条
論点15第3条行政事件訴訟法

一、源泉徴収による所得税についての納税の告知の法的性質
二、源泉徴収による所得税についての納税の告知を受けた支払者が右所得税の徴収・納付義務の存否または範囲を争う場合の訴訟の形式
三、源泉徴収による所得税を徴収されまたは期限後に納付した支払者のする求償権の行使と受給者の支払拒絶
四、源泉徴収による所得税を徴収されまたは期限後に納付した支払者が受給者に対して行使しうる求償権の範囲

裁判要旨一、源泉徴収による所得税についての納税の告知は、徴収処分であつて課税処分ではない。
二、支払者は、源泉徴収による所得税の徴収・納付義務の存否または範囲を争つて、納税の告知(徴収処分)に対する抗告訴訟を提起することができ、また、これにあわせてまたはこれと別個に、右徴収・納付義務の存否または範囲を訴訟上確定させるため、右義務の全部または一部の不存在確認の訴を提起することができる。
三、受給者は、源泉徴収による所得税を税務署長から徴収されまたは期限後に納付した支払者から、その税額に相当する金額につき求償権の行使を受けたときは、自己の負担すべき源泉納税義務の存否または範囲を争つて、支払者の請求を拒むことができる。
四、源泉徴収による所得税を税務署長から徴収されまたは期限後に納付した支払者の受給者に対する求償権は、右所得税の本税相当額についてのみ行使することができ、附帯税相当額には及ばない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和45年12月24日 昭和43(オ)258
登載
民集 第24巻13号2243頁
参照法条
旧所得税法(昭和22年法律第27号)43条1項,旧所得税法(昭和22年法律第27号)43条2項,所得税法221条,所得税法222条,国税通則法15条,国税通則法36条,行政事件訴訟法3条,民訴法225条
論点16第3条行政事件訴訟法

一、行政事件訴訟法第一五条〈被告を誤つた訴えの救済〉の規定に基づく被告変更許可決定の効力
二、保留地の払下決定およびそれに基づく保留地の売渡処分の性質
三、保留地の払下申請の性質

裁判要旨一、裁判所が、行政事件訴訟法第一五条〈被告を誤つた訴えの救済〉の規定に基づき、被告を変更することを許可する旨の決定をした場合においても、原告の新被告に対する訴を不適法として却下することができないわけではない。
二、土地区画整理事業の施行者がした保留地の払下決定およびそれに基づく保留地の売渡処分は、いずれも行政事件訴訟法第三条第一項にいう行政庁の公権力の行使に該当しない。
三、私人が土地区画整理事業の施行者に対してした保留地の払下申請は、行政事件訴訟法第三条第五項〈抗告訴訟〉にいう法令に基づく申請に該当しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和43年12月17日 昭和43(オ)695
登載
集民 第93号685頁
参照法条
行政事件訴訟法15条,行政事件訴訟法3条,土地区画整理法108条
論点17第3条行政事件訴訟法

裁量処分の無効確認訴訟における無効事由の主張・立証責任

裁判要旨行政庁の裁量に任された行政処分の無効確認を求める訴訟においては、その無効確認を求める者において、行政庁が右行政処分をするにあたつてした裁量権の行使がその範囲をこえまたは濫用にわたり、しかも、当該瑕疵が重大かつ明白であることを主張および立証することを要する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年4月7日 昭和40(行ツ)45
登載
民集 第21巻3号572頁
参照法条
行政事件訴訟特例法1条,行政事件訴訟法3条4項,行政事件訴訟法30条,民訴法225条
論点18第3条行政事件訴訟法

検察審査会の議決に対する行政訴訟提起の許否

裁判要旨検察審査会の議決に対しては、行政訴訟の提起が許されないと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和41年1月13日 昭和39(行ツ)89
登載
集民 第82号21頁
参照法条
憲法32条,裁判所法3条,検察審査会法27条,行政事件訴訟法3条
論点19第3条行政事件訴訟法

行政処分の無効原因の主張方法。

裁判要旨行政処分の無効を主張するについては、当該行政処分に重大かつ明白な瑕疵があることを具体的事実に基づいて主張すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年7月7日 昭和38(オ)348
登載
集民 第74号473頁
参照法条
行政事件訴訟法3条,行政事件訴訟法45条
論点20第3条行政事件訴訟法

土地の所有者から河川管理者に対し当該土地につき河川法上の処分をしてはならない義務があることの確認ないし同法上の処分権限がないことの確認及び当該土地が同法にいう河川区域でないことの確認を求める訴えが不適法であるとされた事例

裁判要旨土地の所有者から河川管理者に対し、当該土地につき河川法上の処分をしてはならない義務があることの確認ないし同法上の処分権限がないことの確認、及び、当該土地が同法にいう河川区域でないことの確認を求める訴えは、いずれも同法七五条に基づく監督処分その他の不利益処分をまつてこれに関する訴訟等において事後的に争つたのでは回復しがたい重大な損害を被るおそれがある等特段の事情がないときは、その利益を欠き不適法である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成元年7月4日 昭和63(行ツ)92
登載
集民 第157号361頁
参照法条
行政事件訴訟法3条1項,河川法6条1項,河川法24条ないし27条,河川法75条,民訴法223条
論点21第3条行政事件訴訟法

一 公共施設の管理者である国若しくは地方公共団体又はその機関が都市計画法三二条〈取消判決等の効力〉所定の同意を拒否する行為と抗告訴訟の対象
二 主位的請求を認容した原判決を破棄して右請求に係る訴えを却下すべきものとした場合において不適法でその欠缺を補正することができない予備的請求に係る訴えを上告審が却下することの可否

裁判要旨一 公共施設の管理者である国若しくは地方公共団体又はその機関が都市計画法三二条〈取消判決等の効力〉所定の同意を拒否する行為は、抗告訴訟の対象となる処分に当たらない。
二 主位的請求を認容した原判決を破棄して右請求に係る訴えを却下すべきものとした場合において、予備的請求に係る訴えが不適法でその欠缺を補正することができないときは、上告審は、右訴えを却下することができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成7年3月23日 平成6(行ツ)19
登載
民集 第49巻3号1006頁
参照法条
行政事件訴訟法3条2項,都市計画法30条2項,都市計画法32条,民訴法202条,民訴法408条
論点22第3条行政事件訴訟法

国税通則法五七条による充当と抗告訴訟の対象

裁判要旨国税通則法五七条による充当は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成6年4月19日 平成5(行ツ)22
登載
集民 第172号363頁
参照法条
国税通則法57条,行政事件訴訟法3条2項
論点23第3条行政事件訴訟法

1 自衛隊が設置し,海上自衛隊及びアメリカ合衆国海軍が使用する飛行場の周辺住民が,当該飛行場における航空機の運航による騒音被害を理由として自衛隊の使用する航空機の運航の差止めを求める訴えについて,行政事件訴訟法37条の4第1項〈差止めの訴えの要件〉所定の「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められた事例
2 自衛隊が設置し,海上自衛隊及びアメリカ合衆国海軍が使用する飛行場における自衛隊の使用する航空機の運航に係る防衛大臣の権限の行使が,行政事件訴訟法37条の4第5項所定の行政庁がその処分をすることがその裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認められるときに当たるとはいえないとされた事例

裁判要旨1 自衛隊が設置し,海上自衛隊及びアメリカ合衆国海軍が使用する飛行場の周辺に居住する住民が,当該飛行場における航空機の運航による騒音被害を理由として,自衛隊の使用する航空機の毎日午後8時から午前8時までの間の運航等の差止めを求める訴えについて,①上記住民は,当該飛行場周辺の「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」4条〈当事者訴訟〉所定の第一種区域内に居住し,当該飛行場に離着陸する航空機の発する騒音により,睡眠妨害,聴取妨害及び精神的作業の妨害や不快感等を始めとする精神的苦痛を反復継続的に受けており,その程度は軽視し難いこと,②このような被害の発生に自衛隊の使用する航空機の運航が一定程度寄与していること,③上記騒音は,当該飛行場において内外の情勢等に応じて配備され運航される航空機の離着陸が行われる度に発生するものであり,上記被害もそれに応じてその都度発生し,これを反復継続的に受けることにより蓄積していくおそれのあるものであることなど判示の事情の下においては,当該飛行場における自衛隊の使用する航空機の運航の内容,性質を勘案しても,行政事件訴訟法37条の4第1項〈差止めの訴えの要件〉所定の「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められる。
2 自衛隊が設置し,海上自衛隊及びアメリカ合衆国海軍が使用する飛行場における,自衛隊の使用する航空機の毎日午後8時から午前8時までの間の運航等に係る防衛大臣の権限の行使は,①上記運航等が我が国の平和と安全,国民の生命,身体,財産等の保護の観点から極めて重要な役割を果たしており,高度の公共性,公益性があること,②当該飛行場周辺の「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」4条所定の第一種区域内に居住する住民は,当該飛行場に離着陸する航空機の発する騒音により,睡眠妨害,聴取妨害及び精神的作業の妨害や不快感等を始めとする精神的苦痛を反復継続的に受けており,このような被害は軽視することができないものの,これを軽減するため,自衛隊の使用する航空機の運航については一定の自主規制が行われるとともに,住宅防音工事等に対する助成,移転補償,買入れ等に係る措置等の周辺対策事業が実施されるなど相応の対策措置が講じられていることなど判示の事情の下においては,行政事件訴訟法37条の4第5項所定の行政庁がその処分をすることがその裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認められるときに当たるとはいえない。
(1,2につき補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成28年12月8日 平成27(行ヒ)512
登載
民集 第70巻8号1833頁
参照法条
(1,2につき)行政事件訴訟法3条7項,自衛隊法8条,防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律4条 (1につき)行政事件訴訟法37条の4第1項,行政事件訴訟法37条の4第2項 (2につき)行政事件訴訟法37条の4第5項,自衛隊法(平成27年法律第76号による改正前のもの)3条,第6章 自衛隊の行動,自衛隊法(平成27年法律第67号による改正前のもの)107条1項,自衛隊法107条4項,自衛隊法107条5項
論点24第3条行政事件訴訟法

1 処分の差止めの訴えについて行政事件訴訟法37条の4第1項〈差止めの訴えの要件〉所定の「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められる場合
2 公立高等学校等の教職員が卒業式等の式典における国歌斉唱時の起立斉唱等に係る職務命令の違反を理由とする懲戒処分の差止めを求める訴えについて行政事件訴訟法37条の4第1項所定の「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められた事例
3 公立高等学校等の教職員が卒業式等の式典における国歌斉唱時の起立斉唱等に係る職務命令に基づく義務の不存在の確認を求める訴えについていわゆる無名抗告訴訟としては不適法であるとされた事例
4 公立高等学校等の教職員が卒業式等の式典における国歌斉唱時の起立斉唱等に係る職務命令に基づく義務の不存在の確認を求める訴えについて公法上の法律関係に関する確認の訴えとして確認の利益があるとされた事例

裁判要旨1 処分の差止めの訴えについて行政事件訴訟法37条の4第1項〈差止めの訴えの要件〉所定の「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められるためには,処分がされることにより生ずるおそれのある損害が,処分がされた後に取消訴訟又は無効確認訴訟を提起して執行停止の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができるものではなく,処分がされる前に差止めを命ずる方法によるのでなければ救済を受けることが困難なものであることを要する。
2 公立高等学校等の教職員が卒業式等の式典における国歌斉唱の際に国旗に向かって起立して斉唱すること又はピアノ伴奏をすることを命ずる旨の校長の職務命令の違反を理由とする懲戒処分の差止めを求める訴えについて,次の(1),(2)など判示の事情の下では,行政事件訴訟法37条の4第1項所定の「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められる。
(1) 当該地方公共団体では,教育委員会が各校長に対し上記職務命令の発出の必要性を基礎付ける事項等を示達した通達を踏まえ,多数の公立高等学校等の教職員が,毎年度2回以上の各式典に際し,上記職務命令を受けている。
(2) 上記職務命令に従わない教職員については,過去の懲戒処分の対象と同様の非違行為を再び行った場合には処分を加重するという方針の下に,おおむね,その違反が1回目は戒告,2,3回目は減給,4回目以降は停職という処分量定に従い,懲戒処分が反復継続的かつ累積加重的にされる危険がある。
3 公立高等学校等の教職員が卒業式等の式典における国歌斉唱の際に国旗に向かって起立して斉唱すること又はピアノ伴奏をすることを命ずる旨の校長の職務命令に基づく義務の不存在の確認を求める訴えは,上記職務命令の違反を理由としてされる蓋然性のある懲戒処分の差止めの訴えを法定の類型の抗告訴訟として適法に提起することができ,その本案において当該義務の存否が判断の対象となるという事情の下では,上記懲戒処分の予防を目的とするいわゆる無名抗告訴訟としては,他に適当な争訟方法があるものとして,不適法である。
4 公立高等学校等の教職員が卒業式等の式典における国歌斉唱の際に国旗に向かって起立して斉唱すること又はピアノ伴奏をすることを命ずる旨の校長の職務命令に基づく義務の不存在の確認を求める訴えは,次の(1),(2)など判示の事情の下では,上記職務命令の違反を理由とする行政処分以外の処遇上の不利益の予防を目的とする公法上の法律関係に関する確認の訴えとして,確認の利益がある。
(1) 当該地方公共団体では,教育委員会が各校長に対し上記職務命令の発出の必要性を基礎付ける事項等を示達した通達を踏まえ,多数の公立高等学校等の教職員が,毎年度2回以上の各式典に際し,上記職務命令を受けている。
(2) 上記職務命令に従わない教職員については,その違反及びその累積が懲戒処分の処分事由及び加重事由との評価を受けることに伴い,勤務成績の評価を通じた昇給等に係る不利益という行政処分以外の処遇上の不利益が反復継続的かつ累積加重的に発生し拡大する危険がある。
(1〜4につき補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成24年2月9日 平成23(行ツ)177等
登載
民集 第66巻2号183頁
参照法条
(1〜3につき)行政事件訴訟法3条7項,行政事件訴訟法37条の4第1項,地方公務員法29条1項,(1,2につき)行政事件訴訟法37条の4第2項,(3につき)行政事件訴訟法3条1項,(4につき)行政事件訴訟法4条,地方公務員法40条1項
論点25第3条行政事件訴訟法

1 出生した子につき住民票の記載を求める親からの申出に対し特別区の区長がした上記記載をしない旨の応答は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるか
2 母がその戸籍に入る子につき適法な出生届を提出していない場合において,特別区の区長が住民である当該子につき上記母の世帯に属する者として住民票の記載をしていないことが違法ではないとされた事例

裁判要旨1 出生した子につき住民票の記載を求める親からの申出に対し特別区の区長がした上記記載をしない旨の応答は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。
2 母がその戸籍に入る子につき適法な出生届を提出していない場合において,特別区の区長が住民である当該子につき上記母の世帯に属する者として住民票の記載をしていないことは,(1)上記母が出生届の提出をけ怠していることにやむを得ない合理的な理由があるとはいえないこと,(2)住民票の記載がされないことにより当該子に看過し難い不利益が生じているとはうかがわれないことなど判示の事情の下では,住民基本台帳法上違法ということはできず,国家賠償法上も違法ではない。
(2につき意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成21年4月17日 平成20(行ヒ)35
登載
民集 第63巻4号638頁
参照法条
(1,2につき)住民基本台帳法8条,住民基本台帳法施行令7条 (1につき)住民基本台帳法14条2項,住民基本台帳法施行令11条,行政事件訴訟法3条1項,行政事件訴訟法3条2項 (2につき)住民基本台帳法14条1項,住民基本台帳法34条,住民基本台帳法施行令12条1項,住民基本台帳法施行令12条2項1号,住民基本台帳法施行令12条3項,国家賠償法1条1項
論点26第3条行政事件訴訟法

1 過大に登録免許税を納付して登記等を受けた者が登録免許税法(平成14年法律第152号による改正前のもの)31条2項〈特別の事情による請求の棄却〉所定の請求の手続によらないで過誤納金の還付を請求することの可否
2 登記等を受けた者が登録免許税法(平成14年法律第152号による改正前のもの)31条2項に基づいてした請求に対する登記機関の拒否通知と抗告訴訟の対象

裁判要旨1 過大に登録免許税を納付して登記等を受けた者は,登録免許税法(平成14年法律第152号による改正前のもの)31条2項所定の請求の手続によらなくても,国税通則法56条に基づき,過誤納金の還付を請求することができる。
2 登記等を受けた者が登録免許税法(平成14年法律第152号による改正前のもの)31条2項〈特別の事情による請求の棄却〉に基づいてした登記機関から税務署長に還付通知をすべき旨の請求に対し,登記機関のする拒否通知は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。
(1につき反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成17年4月14日 平成13(行ヒ)25
登載
民集 第59巻3号491頁
参照法条
登録免許税法31条1項,登録免許税法(平成14年法律第152号による改正前のもの)31条2項,国税通則法56条1項,国税通則法(平成11年法律第10号による改正前のもの)15条2項14号,国税通則法(平成11年法律第10号による改正前のもの)15条3項6号,行政事件訴訟法3条1項,行政事件訴訟法3条2項
論点27第3条行政事件訴訟法

法人でない社団の要件を具備すると認定してされた法人税等の更正が当然無効であるとはいえないとされた事例

裁判要旨無限連鎖講を主宰していた個人が,その事業主体が法人でない社団で代表者の定めがあるものになったとして,同社団名義で法人税,法人事業税,法人県民税及び法人市民税の申告をした場合につき,外形的事実に着目する限りにおいては,その社団というものが,意思決定機関,業務執行機関,代表機関等の団体としての組織を備え,その意思決定を多数決の原則で行い,定款の規定上は構成員の変更にかかわらず団体として存続するとされ,代表の方法,財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているようにみえるという事情の下においては,課税庁が法人でない社団の要件を具備すると認定してしたこれらの税の増額更正は,仮にその認定に誤りがあるとしても,誤認であることが上記各更正の成立の当初から外形上,客観的に明白であるとはいえず,また,上記個人が,税務対策等の観点から上記のとおり社団化を図り,その社団の名において事業活動を展開し,上記申告に係る税の納付により高額の所得税の負担を免れたなど判示の事情の下においては,上記個人に上記各更正による不利益を甘受させることが著しく不当と認められるような例外的な事情がある場合に該当せず,上記各更正は当然無効であるとはいえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成16年7月13日 平成12(行ヒ)32
登載
集民 第214号751頁
参照法条
行政事件訴訟法3条4項,国税通則法24条,国税通則法56条1項,法人税法(平成12年法律第14号による改正前のもの)4条1項,法人税法2条8号,法人税法3条,地方税法(昭和62年法律94号による改正前のもの)55条1項,地方税法(昭和62年法律94号による改正前のもの)321条の11第1項,地方税法(平成12年法律97号による改正前のもの)72条の39第1項,地方税法(平成15年法律第9号による改正前のもの)72条2項,地方税法17条,地方税法24条6項,地方税法294条8項
論点28第3条行政事件訴訟法

差止めの訴えの訴訟要件である「行政庁によって一定の処分がされる蓋然性があること」を満たさない場合における,将来の不利益処分の予防を目的として当該処分の前提となる公的義務の不存在確認を求める無名抗告訴訟の適否

裁判要旨将来の不利益処分の予防を目的として当該処分の前提となる公的義務の不存在確認を求める無名抗告訴訟は,差止めの訴えの訴訟要件である「行政庁によって一定の処分がされる蓋然性があること」を満たさない場合には,不適法である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 令和元年7月22日 平成30(行ヒ)195
登載
民集 第73巻3号245頁
参照法条
行政事件訴訟法3条1項,行政事件訴訟法3条7項
論点29第4条行政事件訴訟法

1 公職選挙法(平成10年法律第47号による改正前のもの)が在外国民の国政選挙における投票を平成8年10月20日に施行された衆議院議員の総選挙当時全く認めていなかったことと憲法15条1項〈被告を誤つた訴えの救済〉,3項,43条1項〈抗告訴訟又は当事者訴訟に関する規定の準用〉,44条〈仮処分の排除〉ただし書
2 公職選挙法附則8項の規定のうち在外国民に国政選挙における選挙権の行使を認める制度の対象となる選挙を当分の間両議院の比例代表選出議員の選挙に限定する部分と憲法15条1項,3項,43条1項,44条ただし書
3 在外国民が次回の衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において在外選挙人名簿に登録されていることに基づいて投票をすることができる地位にあることの確認を求める訴えの適否
4 在外国民と次回の衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において投票をすることができる地位
5 国会議員の立法行為又は立法不作為が国家賠償法1条1項〈この法律の趣旨〉の適用上違法の評価を受ける場合
6 平成8年10月20日に施行された衆議院議員の総選挙までに国会が在外国民の国政選挙における投票を可能にするための立法措置を執らなかったことについて国家賠償請求が認容された事例

裁判要旨1 平成8年10月20日に施行された衆議院議員の総選挙当時,公職選挙法(平成10年法律第47号による改正前のもの)が,国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民が国政選挙において投票をするのを全く認めていなかったことは,憲法15条1項,3項,43条1項〈抗告訴訟又は当事者訴訟に関する規定の準用〉,44条〈仮処分の排除〉ただし書に違反する。
2 公職選挙法附則8項の規定のうち,国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民に国政選挙における選挙権の行使を認める制度の対象となる選挙を当分の間両議院の比例代表選出議員の選挙に限定する部分は,遅くとも,本判決言渡し後に初めて行われる衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の時点においては,憲法15条1項,3項,43条1項,44条ただし書に違反する。
3 国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民が,次回の衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において,在外選挙人名簿に登録されていることに基づいて投票をすることができる地位にあることの確認を求める訴えは,公法上の法律関係に関する確認の訴えとして適法である。
4 国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民は,次回の衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において,在外選挙人名簿に登録され ていることに基づいて投票をすることができる地位にある。
5 国会議員の立法行為又は立法不作為は,その立法の内容又は立法不作為が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合や,国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり,それが明白であるにもかかわらず,国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合などには,例外的に,国家賠償法1条1項の適用上,違法の評価を受ける。
6 国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民に国政選挙における選挙権行使の機会を確保するためには,上記国民に上記選挙権の行使を認める制度を設けるなどの立法措置を執ることが必要不可欠であったにもかかわらず,上記国民の国政選挙における投票を可能にするための法律案が廃案となった後,平成8年10月20日の衆議院議員総選挙の施行に至るまで10年以上の長きにわたって国会が上記投票を可能にするための立法措置を執らなかったことは,国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものというべきであり,国は,上記選挙において投票をすることができなかったことにより精神的苦痛を被った上記国民に対し,慰謝料各5000円の支払義務を負う。
(1,2,4〜6につき,補足意見,反対意見がある。)
裁判
最高裁判所大法廷 平成17年9月14日 平成13(行ツ)82
登載
民集 第59巻7号2087頁
参照法条
憲法15条1項,憲法15条3項,憲法41条,憲法43条1項,憲法44条,公職選挙法第4章の2 在外選挙人名簿,公職選挙法42条,公職選挙法49条の2,公職選挙法附則8項,公職選挙法(平成12年法律第62号による改正前のもの)21条1項,公職選挙法(平成10年法律第47号による改正前のもの)42条,住民基本台帳法15条1項,行政事件訴訟法4条,国家賠償法1条1項
論点30第4条行政事件訴訟法

1 最高裁判所裁判官国民審査法が在外国民に最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査に係る審査権の行使を全く認めていないことと憲法15条1項〈被告を誤つた訴えの救済〉、79条2項、3項
2 国が在外国民に対して次回の最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査において審査権の行使をさせないことが違法であることの確認を求める訴えの適否
3 国会において在外国民に最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査に係る審査権の行使を認める制度を創設する立法措置がとられなかったことが国家賠償法1条1項〈この法律の趣旨〉の適用上違法の評価を受けるとされた事例

裁判要旨1 最高裁判所裁判官国民審査法が在外国民(国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民)に最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査に係る審査権の行使を全く認めていないことは、憲法15条1項、79条2項、3項に違反する。
2 国が在外国民(国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民)に対して国外に住所を有することをもって次回の最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査において審査権の行使をさせないことが憲法15条1項〈被告を誤つた訴えの救済〉、79条2項、3項等に違反して違法であることの確認を求める訴えは、公法上の法律関係に関する確認の訴えとして適法である。
3 国会において在外国民(国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民)に最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査に係る審査権の行使を認める制度を創設する立法措置がとられなかったことは、次の⑴~⑶など判示の事情の下では、平成29年10月22日に施行された上記審査の当時において、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける。
⑴ 国会においては、平成10年、在外国民に国政選挙の選挙権の行使を認める制度を創設する法律案に関連して、在外国民に審査権の行使を認める制度についての質疑がされた。
⑵ 平成17年、最高裁判所大法廷判決により在外国民に対する選挙権の制約に係る憲法適合性について判断が示され、これを受けて、同18年の法改正により在外国民に国政選挙の選挙権の行使を認める制度の対象が広げられ、同19年、在外国民に憲法改正についての国民の承認に係る投票の投票権の行使を認める法律も制定された。
⑶ 在外国民に審査権の行使を認める制度の創設に当たり検討すべき課題があったものの、その課題は運用上の技術的な困難にとどまり、これを解決することが事実上不可能ないし著しく困難であったとまでは考え難い。
(1、2につき、補足意見がある。)
裁判
最高裁判所大法廷 令和4年5月25日 令和2(行ツ)255
登載
民集 第76巻4号711頁
参照法条
(1~3につき) 憲法79条2項、憲法79条3項、憲法79条4項、最高裁判所裁判官国民審査法4条、最高裁判所裁判官国民審査法8条 (1、3につき) 憲法15条1項 (2につき) 行政事件訴訟法4条 (3につき) 国家賠償法1条1項
論点31第5条行政事件訴訟法

町議会議員選挙につき、選挙の効力または当選の効力に関する訴訟の係属中における町長による町議会の解散と右訴訟の利益

裁判要旨町議会議員選挙につき、選挙の効力に関する県選挙管理委員会の裁決の取消および選挙の無効、当選の効力に関する同委員会の裁決の取消および当選人の当選の無効の判決を求める訴の係属中、町長が地方自治法一七八条の規定により町議会を解散したときは、右訴は法律上の利益を失う。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和45年7月10日 昭和45(行ツ)22
登載
集民 第100号27頁
参照法条
公職選挙法203条,公職選挙法207条,地方自治法178条,行政事件訴訟法5条
論点32第6条行政事件訴訟法

一 土地収用法三六条五項〈無効等確認の訴えの原告適格〉所定の署名等代行事務の機関委任事務該当性

二 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条〈機関訴訟〉に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法(以下「駐留軍用地特措法」という。)三条〈抗告訴訟〉の規定による土地等の使用又は収用に関して適用される場合における土地収用法三六条五項所定の署名等代行事務の主務大臣

三 職務執行命令訴訟における司法審査の範囲

四 駐留軍用地特措法と憲法前文、九条〈原告適格〉、一三条〈関連請求に係る訴訟の移送〉、二九条三項〈執行停止に関する規定の準用〉

五 沖縄県における駐留軍用地特措法の適用と憲法前文、九条、一三条、一四条〈出訴期間〉、二九条三項、九二条

六 使用認定が無効である場合に駐留軍用地特措法一四条、土地収用法三六条五項に基づく署名等代行事務の執行を命ずることの適否

七 使用認定に取り消し得べき瑕疵がある場合に駐留軍用地特措法一四条、土地収用法三六条五項に基づく署名等代行事務の執行を命ずることの適否

八 沖縄県内の土地を駐留軍の用に供するためにされた使用認定にこれを当然に無効とするような瑕疵があるとはいえないとされた事例

九 土地収用法三六条二項が土地所有者等の立会いを求めている趣旨

一〇 駐留軍用地特措法一四条、土地収用法三六条五項に基づく署名等代行事務の執行の懈怠を放置することにより著しく公益を害することが明らかであるとされた事例

裁判要旨一 土地収用法三六条五項〈無効等確認の訴えの原告適格〉所定の署名等代行事務は、都道府県知事に機関委任された国の事務である。

二 駐留軍用地特措法三条〈抗告訴訟〉の規定による土地等の使用又は収用に関して適用される場合における土地収用法三六条五項所定の署名等代行事務の主務大臣は、内閣総理大臣である。

三 地方自治法一五一条の二第三項の規定による職務執行命令訴訟においては、裁判所は、主務大臣の発した職務執行命令がその適法要件を充足しているか否かを客観的に審理判断すべきである。

四 駐留軍用地特措法は、憲法前文、九条〈原告適格〉、一三条〈関連請求に係る訴訟の移送〉、二九条三項〈執行停止に関する規定の準用〉に違反しない。

五 内閣総理大臣の適法な裁量判断の下に沖縄県内の土地に駐留軍用地特措法を適用することがすべて許されないとまでいうことはできず、同法の同県内での適用が憲法前文、九条、一三条、一四条〈出訴期間〉、二九条三項九二条に違反するということはできない。

六 使用認定が無効である場合には、駐留軍用地特措法一四条、土地収用法三六条五項に基づく署名等代行事務の執行を命ずることは違法である。

七 使用認定に取り消し得べき瑕疵があるとしても、駐留軍用地特措法一四条、土地収用法三六条五項に基づく署名等代行事務の執行を命ずることは適法である。

八 駐留軍の用に供するためにされた使用認定の対象となった沖縄県内の土地が、沖縄復帰時において駐留軍の用に供することが日米両国間で合意された土地であり、その後における駐留軍の用に供された施設及び区域の整備縮小のための交渉によっても返還の合意に至らず、駐留軍基地の各種施設の敷地等として他の多くの土地と一体となって有機的に機能しており、駐留軍基地から派生する問題の軽減のための対策も講じられてきたなど判示の事実関係の下においては、同県に駐留軍基地が集中している現状や右各土地の使用状況等について沖縄県知事が主張する諸事情を考慮しても、右各土地の使用認定にこれを当然に無効とする瑕疵があるとはいえない。

九 土地収用法三六条二項は、土地調書及び物件調書が有効に成立する段階で、調書を土地所有者及び関係人に現実に提示し、記載事項の内容を周知させることを求めているものと解される。

一〇 駐留軍用地特措法三条の規定により沖縄県内の土地を使用する手続において、沖縄県知事が同法一四条、土地収用法三六条五項に基づく署名等代行事務の執行を懈怠していることを放置することは、これにより著しく公益を害することが明らかである。
裁判
最高裁判所大法廷 平成8年8月28日 平成8(行ツ)90
登載
民集 第50巻7号1952頁
参照法条
土地収用法36条2項,土地収用法36条5項,地方自治法148条1項,地方自治法148条2項,地方自治法151条の2第1項,地方自治法151条の2第2項,地方自治法151条の2第3項,地方自治法別表第3第1号(108),日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法1条,日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法3条,日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法5条,日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法14条,総理府設置法4条14号,行政事件訴訟法6条,日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約6条,日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定2条,憲法前文,憲法9条,憲法13条,憲法14条1項,憲法29条3項,憲法92条
論点33第6条行政事件訴訟法

職務執行命令訴訟における補助参加の許否と憲法三二条

裁判要旨地方自治法一五一条の二第三項による職務執行命令訴訟については、民訴法の補助参加に関する規定を準用する余地はなく、このように解しても憲法三二条に違反するものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成8年2月26日 平成8(行ト)12
登載
民集 第50巻2号274頁
参照法条
憲法32条,地方自治法151条の2,行政事件訴訟法6条,行政事件訴訟法7条,民訴法64条
論点34第7条行政事件訴訟法

一、高等海難審判庁の裁決の取消訴訟における右裁決の事実認定の拘束カ
二、船舶衝突海難事件における船舶の衝突地点に関する認定につき沈没地点との関係において理由梱稀ないし理由不備の違法があるとされた事例
三、海難事件における船舶の針路の認定に採証法則違背があるとされた事例

裁判要旨一、高等海難審判庁の裁決の取消訴訟において、右裁決における事実の認定は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律八〇条、八一条、電波法九九条のような規定がない以上、事実審たる裁判所を拘束するものではない。
二、約一七ノツトの速力で航行中の甲船(総トン数九五四七トン)と約八・五ノツトの速力で航行中の乙船(総トン数二三八トン)とが衝突したという海難事件において、甲船の船首が乙船の右舷船尾から約四メートル前方に、前方からほぼ七五度の角度で衝突し、乙船は、船尾を圧壊され、衝突と同時に機関が停止し、自力で航行する能力を失つていたけれども、衝突直後なお行き足があり、甲船の船尾方向に急速に移動して行つたとしながら、特段の事情を判示することなく、乙船が、衝突地点からみて衝突時の船尾方向から約六度半右に振つた方向ないしそれよりもさらに左の方向に、直線距離で六八〇メートル以上離れた地点で沈没したとする認定には、乙船の沈没地点との関係において、両船の衝突地点に関する認定に理由齟齬ないし理由不備の違法がある。
三、船舶衝突海難事件において、一定時刻の測定船位を基点とし、用紙の時刻目盛とコースペンとが性格に装着されていないコースレコードにつき、一定の時差があるものと認定したうえで、その機械的記録を証拠として右測定船位から衝突地点までの船の針路を認定した場合に、右測定船位を基点とし、コースレコードに認定どおりの時差があるものとして認定されていない部分の航跡を求めると、同船が港外に出るためには防波堤を突破することになるという不合理な結果を生ずるときは、右針路の認定には、採証法則を誤つた違法がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和47年4月21日 昭和42(行ツ)38
登載
民集 第26巻3号567頁
参照法条
海難審判法4条,海難審判法53条,海難審判法56条,行政事件訴訟法7条,民訴法395条,民訴法394条
論点35第7条行政事件訴訟法

農地法第六条の所有制限を受ける小作地の小作人から農業委員会に対し同法第八条所定の手続を開始する義務あることの確認を求める訴の許否

裁判要旨小作地が農地法第六条の所有制限を受けるにかかわらず、農業委員会がこれにつき同法第八条所定の手続を開始しなかつたとしても、それだけでは、右小作地の小作人から、右農業委員会に対し、右第八条〈処分の取消しの訴えと審査請求との関係〉による公示および通知をなすべき義務あることの確認を求める訴を提起することはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年12月19日 昭和41(行ツ)94
登載
集民 第93号723頁
参照法条
民訴法226条,行政事件訴訟法7条,農地法8条
論点36第7条行政事件訴訟法

一 給与等の受給者が支払者により誤って源泉徴収をされた金額を税額から控除して確定申告をすることの可否

二 課税処分の取消訴訟における実体上の審判の対象

裁判要旨一 給与等の受給者が、支払者により誤って所得税の源泉徴収をされた場合において、当該年分の所得税の額から右誤徴収額を控除して確定申告をすることはできない。

二 課税処分の取消訴訟における実体上の審判の対象は、当該課税処分によって確定された税額が租税法規によって客観的に定まる税額を総額において上回るか否かである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成4年2月18日 平成2(行ツ)155
登載
民集 第46巻2号77頁
参照法条
国税通則法56条,所得税法120条1項,所得税法128条,所得税法138条,行政事件訴訟法7条,民訴法第2編第1章
論点37第7条行政事件訴訟法

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成9年法律第85号による改正前のもの)15条1項〈被告を誤つた訴えの救済〉に基づく産業廃棄物のいわゆる管理型最終処分場の設置許可申請に対する知事の不許可処分の取消訴訟において当該施設の周辺地域の住民が知事を補助するため訴訟に参加することの許否

裁判要旨廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成9年法律第85号による改正前のもの)15条1項〈被告を誤つた訴えの救済〉に基づいてされた廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(平成9年政令第353号による改正前のもの)7条14号ハ〈この法律に定めがない事項〉所定の産業廃棄物のいわゆる管理型最終処分場の設置許可申請に対する知事の不許可処分の取消訴訟において,当該施設の周辺に居住し,当該施設から有害な物質が排出された場合に生命,身体等に直接的かつ重大な被害を受けることが想定される範囲の住民は,知事を補助するため訴訟に参加することが許される。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成15年1月24日 平成14(行フ)7
登載
集民 第209号59頁
参照法条
行政事件訴訟法7条,民訴法42条,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成9年法律第85号による改正前のもの)15条
論点38第7条行政事件訴訟法

労働者災害補償保険法に基づく保険給付の不支給決定取消訴訟において事業主が労働基準監督署長を補助するため訴訟に参加することが許される場合

裁判要旨労働者災害補償保険法に基づく保険給付の不支給決定取消訴訟において,事業主は,その事業が労働保険の保険料の徴収等に関する法律12条3項〈管轄〉各号所定の一定規模以上の事業である場合には,労働基準監督署長を補助するため訴訟に参加することが許される。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成13年2月22日 平成12(行フ)3
登載
集民 第201号201頁
参照法条
行政事件訴訟法7条,民訴法42条,労働保険の保険料の徴収等に関する法律12条3項
原

条文原文

原文ママ

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行政事件訴訟法 第1条(この法律の趣旨) 詳細ページ
(この法律の趣旨)
第一条行政事件訴訟については、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。
行政事件訴訟法 第2条(行政事件訴訟) 詳細ページ
(行政事件訴訟)
第二条この法律において「行政事件訴訟」とは、抗告訴訟、当事者訴訟、民衆訴訟及び機関訴訟をいう。
行政事件訴訟法 第3条(抗告訴訟) 詳細ページ
(抗告訴訟)
第三条この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。
2この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
3この法律において「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求その他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
4この法律において「無効等確認の訴え」とは、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟をいう。
5この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。
6この法律において「義務付けの訴え」とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。
一行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき(次号に掲げる場合を除く。)。
二行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき。
7この法律において「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。
行政事件訴訟法 第4条(当事者訴訟) 詳細ページ
(当事者訴訟)
第四条この法律において「当事者訴訟」とは、当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの及び公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟をいう。
行政事件訴訟法 第5条(民衆訴訟) 詳細ページ
(民衆訴訟)
第五条この法律において「民衆訴訟」とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいう。
行政事件訴訟法 第6条(機関訴訟) 詳細ページ
(機関訴訟)
第六条この法律において「機関訴訟」とは、国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟をいう。
行政事件訴訟法 第7条(この法律に定めがない事項) 詳細ページ
(この法律に定めがない事項)
第七条行政事件訴訟に関し、この法律に定めがない事項については、民事訴訟の例による。
出

一次情報

原文ママ

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