行政事件訴訟法 / テーマ別まとめ

抗告訴訟/その他の抗告訴訟

その他の抗告訴訟の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

取消訴訟以外の抗告訴訟(無効等確認の訴え、不作為の違法確認の訴え、義務付けの訴え、差止めの訴え、仮の義務付け・仮の差止め)について、誰が提起できるか(原告適格)と、どのような場合に提起・認容されるかを定めています。あわせて、取消訴訟に関する規定のうちこれらの訴えに準用される規定も定めています。

その他の抗告訴訟
類型原告になれる人訴えの要件裁判所の認容判断
無効等確認の訴え続く処分で損害の恐れがある者等現在の法律関係の訴えで目的達成不可―
不作為の違法確認の訴え申請をした者に限る――
義務付けの訴え(直接型)処分を求める法律上の利益がある者重大な損害+他に方法なし明らかまたは裁量逸脱濫用
義務付けの訴え(申請型)申請・審査請求をした者期間内応答なし/却下棄却が違法明らかまたは裁量逸脱濫用
差止めの訴え処分されない法律上の利益がある者重大な損害の恐れ(他に方法なければ)明らかまたは裁量逸脱濫用
仮の義務付け・仮の差止め義務付け・差止めの訴えの原告償えない損害回避の緊急性+本案に理由公共の福祉への重大な影響で不可
  • 無効等確認の訴えは、現在の法律関係に関する訴えで目的を達成できない場合に限られる
  • 義務付けの訴え・差止めの訴えの重大な損害の判断では、損害の回復困難の程度・性質及び程度・処分の内容及び性質も勘案する
  • 差止めの訴えは、他に適当な方法があるときは提起できない
  • 申請満足型の義務付けの訴えは、不作為の違法確認の訴えまたは取消訴訟・無効等確認の訴えを併合して提起しなければならない
  • 仮の義務付け・仮の差止めは、公共の福祉に重大な影響を及ぼす恐れがあるときはできない
  • 取消訴訟に関する規定(管轄・出訴期間等を除く)の多くが、その他の抗告訴訟に準用される
1

その他の抗告訴訟

その他の抗告訴訟について、条文は何を定めているか。

第36条無効等確認の訴えの原告適格無効等確認の訴えを起こせる人の条件1項判例 6件
  • 後続処分で損害を受ける恐れがある者などが対象
  • 現在の法律関係の訴えで目的を達成できない場合に限る
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第37条不作為の違法確認の訴えの原告適格不作為の違法確認は申請した人だけが起こせる1項判例 2件
  • 処分・裁決の申請をした者に限り提起できる
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第37_2条義務付けの訴えの要件等処分を求める義務付けの訴えの要件5項判例なし
  • 重大な損害の恐れがあり、他に適当な方法がない場合に限る
  • 損害の回復困難の程度・性質及び程度・処分の内容及び性質を考慮して判断
  • 処分をすべきことが明らかか裁量の逸脱濫用と認められれば命令判決
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第37_3条申請への応答を求める義務付けの訴えの要件7項・4号判例なし
  • 相当期間内に処分・裁決がない、または却下・棄却が取消しうる等の場合に限る
  • 当該申請・審査請求をした者に限り提起できる
  • 不作為の違法確認の訴え、または取消訴訟・無効等確認の訴えを併合提起する
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第37_4条差止めの訴えの要件処分をさせない差止めの訴えの要件5項判例なし
  • 重大な損害の恐れがある場合に限り、他に適当な方法があれば提起不可
  • 損害の回復困難の程度・性質及び程度・処分の内容及び性質を考慮
  • 処分をすべきでないことが明らかか裁量の逸脱濫用なら命令判決
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第37_5条仮の義務付け及び仮の差止め仮の義務付け・仮の差止めの要件5項判例なし
  • 償うことのできない損害を避ける緊急の必要があり、本案に理由があるとみえること
  • 公共の福祉に重大な影響を及ぼす恐れがあるときは認められない
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第38条取消訴訟に関する規定の準用取消訴訟の規定をその他の抗告訴訟に準用4項判例なし
  • 取消訴訟に関する多くの規定を取消訴訟以外の抗告訴訟に準用
  • 無効等確認の訴えには執行停止等の規定も準用
  • 不作為の違法確認の訴えには関連請求等の規定を準用
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第36条行政事件訴訟法

照応の原則違反を理由とする換地処分無効確認の訴えの適法性

裁判要旨照応の原則違反を理由とする換地処分無効確認の訴えは、適法である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和62年4月17日 昭和57(行ツ)97
登載
民集 第41巻3号286頁
参照法条
土地改良法53条1項2号,土地改良法54条,行政事件訴訟法36条
論点2第36条行政事件訴訟法

入会権を主張する者と入会林野整備計画認可処分の無効確認訴訟の原告適格の有無

裁判要旨入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律一一条〈被告適格等〉に基づく入会林野整備計画の認可の対象となつた入会林野につき入会権を主張する者は、右認可処分の無効確認を求める訴えの原告適格を有しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和60年9月6日 昭和56(行ツ)50
登載
集民 第145号349頁
参照法条
行政事件訴訟法36条,入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律11条,入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律12条
論点3第36条行政事件訴訟法

一 土地区画整理組合の設立認可と抗告訴訟の対象
二 土地区画整理組合の事業の施行地区内の宅地の所有者と当該組合設立認可処分の無効確認訴訟の原告適格
三 上告審が下級審の訴え却下の判断を違法であると認めたにもかかわらず事件を下級審に差し戻すことなく上告を棄却した事例
四 土地区画整理法九八条一項前段にいう「工事のため必要がある場合」にされる換地予定地的仮換地指定処分と換地計画の要否

裁判要旨一 土地区画整理組合の設立認可は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。
二 土地区画整理組合の事業施行地区内の宅地の所有者は、右事業施行に伴う処分を受けるおそれのあるときは、同組合の設立認可処分の無効確認訴訟につき原告適格を有する。
三 甲が、乙を被告とする丙土地区画整理組合の設立認可処分の無効確認請求と同組合を被告とする仮換地指定処分の無効確認請求(第二次的にその取消請求)とを併合請求し、後者の処分の違法無効事由として丙組合の設立の無効ないし設立認可処分の無効事由をも主張している訴訟において、前者の請求については一、二審判決とも訴えを不適法として却下すべきものとし、後者の請求については、一審が第一次請求を認容したのに対し、原審は第一次、第二次請求とも棄却すべきものとしたため、原判決に対し甲のみが上告したものであるところ、丙組合の設立の無効ないし設立認可処分の無効事由等の有無については、一審以来重要な争点として、当事者双方の主張、立証が十分に尽くされているなど判示のような事情がある場合に、上告審において、前者の訴えを却下すべきものとした原審の判断は違法であるが、後者の請求についてした原審の認定判断が是認でき、その確定した事実関係によれば前者の訴えによる請求は理由がないと判断したときは、右訴えについて、原判決を破棄し、一審判決を取り消したうえ、事件を一審裁判所に差し戻すことは必要でなく、その請求の当否について直ちに判断することが許される。
四 土地区画整理法九八条一項前段にいう「土地の区画形質の変更若しくは公共施設の新設若しくは変更に係る工事のため必要がある場合」にされる仮換地指定処分は、換地予定地的なものであつても、換地計画に基づくことを要しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和60年12月17日 昭和57(行ツ)128
登載
民集 第39巻8号頁
参照法条
土地区画整理法3条2項,土地区画整理法14条,土地区画整理法21条1項,土地区画整理法21条4項,土地区画整理法25条1項,土地区画整理法98条1項前段,行政事件訴訟法3条2項,行政事件訴訟法3条4項,行政事件訴訟法36条,民訴法388条,民訴法396条
論点4第36条行政事件訴訟法

一 設置許可申請に係る原子炉の周辺に居住する住民と原子炉設置許可処分の無効確認を求めるにつき行政事件訴訟法三六条〈無効等確認の訴えの原告適格〉にいう「法律上の利益を有する者」
二 設置許可申請に係る原子炉(高速増殖炉)から約二九キロメートルないし約五八キロメートルの範囲内の地域に居住している住民が右原子炉の設置許可処分の無効確認を求めるにつき行政事件訴訟法三六条にいう「法律上の利益を有する者」に該当するとされた事例

裁判要旨一 設置許可申請に係る原子炉の周辺に居住し、原子炉事故等がもたらす災害により生命、身体等に直接的かつ重大な被害を受けることが想定される範囲の住民は、原子炉設置許可処分の無効確認を求めるにつき、行政事件訴訟法三六条〈無効等確認の訴えの原告適格〉にいう「法律上の利益を有する者」に該当する。
二 設置許可申請に係る電気出力二八万キロワットの原子炉(高速増殖炉)から約二九キロメートルないし約五八キロメートルの範囲内の地域に居住している住民は、右原子炉の設置許可処分の無効確認を求めるにつき、行政事件訴訟法三六条にいう「法律上の利益を有する者」に該当する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成4年9月22日 平成1(行ツ)130
登載
民集 第46巻6号571頁
参照法条
行政事件訴訟法9条,行政事件訴訟法36条,核原料物質核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律23条,核原料物質核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律24条
論点5第36条行政事件訴訟法

一 行政事件訴訟法三六条〈無効等確認の訴えの原告適格〉にいう「その効力の有無を前提とする現在の」法律関係に関する訴えによって目的を達することができない一の意義
二 設置許可申請に係る原子炉の周辺に居住する住民が右原子炉の設置者に対しその建設ないし運転の差止めを求める民事訴訟を提起している場合における右住民が提起した右原子炉の設置許可処分の無効確認の訴えの適法性

裁判要旨一 行政事件訴訟法三六条〈無効等確認の訴えの原告適格〉にいう「その効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができない」とは、当該処分に基づいて生ずる法律関係に関し、処分の無効を前提とする当事者訴訟又は民事訴訟によっては、その処分のため被っている不利益を排除することができない場合はもとより、当該処分に起因する紛争を解決するための争訟形態として、右の当事者訴訟又は民事訴訟との比較において、当該処分の無効確認を求める訴えの方がより直せつ的で適切な争訟形態であるとみるべき場合をも意味する。
二 設置許可申請に係る原子炉の周辺に居住する住民が右原子炉の設置者に対しその建設ないし運転の差止めを求める民事訴訟を提起している場合であっても、右住民が提起した右原子炉の設置許可処分の無効確認の訴えは、適法である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成4年9月22日 平成1(行ツ)131
登載
民集 第46巻6号1090頁
参照法条
行政事件訴訟法36条
論点6第36条行政事件訴訟法

1 産業廃棄物処分業及び特別管理産業廃棄物処分業の許可処分及び許可更新処分の取消訴訟及び無効確認訴訟と産業廃棄物の最終処分場の周辺住民の原告適格
2 産業廃棄物の最終処分場の周辺住民が産業廃棄物処分業及び特別管理産業廃棄物処分業の許可処分の無効確認訴訟並びに上記各処分業の許可更新処分の取消訴訟の原告適格を有するとされた事例

裁判要旨1 産業廃棄物の最終処分場の周辺に居住する住民のうち,当該最終処分場から有害な物質が排出された場合にこれに起因する大気や土壌の汚染,水質の汚濁,悪臭等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は,当該最終処分場を事業の用に供する施設としてされた産業廃棄物処分業及び特別管理産業廃棄物処分業の許可処分及び許可更新処分の取消訴訟及び無効確認訴訟につき,これらの取消し及び無効確認を求める法律上の利益を有する者として原告適格を有する。
2 産業廃棄物の最終処分場の周辺に居住する住民は,約3万㎡の埋立地を有する管理型最終処分場である当該最終処分場の中心地点から約1.8kmの範囲内の地域に居住する者であって,当該最終処分場の設置の許可に際して生活環境に及ぼす影響についての調査の対象とされた地域にその居住地が含まれているなどの判示の事情の下では,当該最終処分場を事業の用に供する施設としてされた産業廃棄物処分業及び特別管理産業廃棄物処分業の許可処分の無効確認訴訟並びに上記各処分業の許可更新処分の取消訴訟につき,これらの無効確認及び取消しを求める法律上の利益を有する者として原告適格を有する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成26年7月29日 平成24(行ヒ)267
登載
民集 第68巻6号620頁
参照法条
(1,2につき)行政事件訴訟法9条,行政事件訴訟法36条,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)14条6項,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)14条7項,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)14条の4第6項,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)14条の4第7項 (1につき)廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)14条10項1号,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)14条11項,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)14条の4第10項1号,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)14条の4第11項,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)15条3項,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)15条4項,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)15条5項,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)15条6項,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)15条の2第1項1号,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)15条の2第1項2号,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)15条の2第3項,廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(平成23年環境省令第1号による改正前のもの)10条の5第2号イ(1),廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(平成23年環境省令第1号による改正前のもの)10条の17第2号イ(1),廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(平成23年環境省令第1号による改正前のもの)11条の2
論点7第37条行政事件訴訟法

1 自衛隊が設置し,海上自衛隊及びアメリカ合衆国海軍が使用する飛行場の周辺住民が,当該飛行場における航空機の運航による騒音被害を理由として自衛隊の使用する航空機の運航の差止めを求める訴えについて,行政事件訴訟法37条の4第1項〈差止めの訴えの要件〉所定の「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められた事例
2 自衛隊が設置し,海上自衛隊及びアメリカ合衆国海軍が使用する飛行場における自衛隊の使用する航空機の運航に係る防衛大臣の権限の行使が,行政事件訴訟法37条の4第5項所定の行政庁がその処分をすることがその裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認められるときに当たるとはいえないとされた事例

裁判要旨1 自衛隊が設置し,海上自衛隊及びアメリカ合衆国海軍が使用する飛行場の周辺に居住する住民が,当該飛行場における航空機の運航による騒音被害を理由として,自衛隊の使用する航空機の毎日午後8時から午前8時までの間の運航等の差止めを求める訴えについて,①上記住民は,当該飛行場周辺の「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」4条〈当事者訴訟〉所定の第一種区域内に居住し,当該飛行場に離着陸する航空機の発する騒音により,睡眠妨害,聴取妨害及び精神的作業の妨害や不快感等を始めとする精神的苦痛を反復継続的に受けており,その程度は軽視し難いこと,②このような被害の発生に自衛隊の使用する航空機の運航が一定程度寄与していること,③上記騒音は,当該飛行場において内外の情勢等に応じて配備され運航される航空機の離着陸が行われる度に発生するものであり,上記被害もそれに応じてその都度発生し,これを反復継続的に受けることにより蓄積していくおそれのあるものであることなど判示の事情の下においては,当該飛行場における自衛隊の使用する航空機の運航の内容,性質を勘案しても,行政事件訴訟法37条の4第1項〈差止めの訴えの要件〉所定の「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められる。
2 自衛隊が設置し,海上自衛隊及びアメリカ合衆国海軍が使用する飛行場における,自衛隊の使用する航空機の毎日午後8時から午前8時までの間の運航等に係る防衛大臣の権限の行使は,①上記運航等が我が国の平和と安全,国民の生命,身体,財産等の保護の観点から極めて重要な役割を果たしており,高度の公共性,公益性があること,②当該飛行場周辺の「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」4条所定の第一種区域内に居住する住民は,当該飛行場に離着陸する航空機の発する騒音により,睡眠妨害,聴取妨害及び精神的作業の妨害や不快感等を始めとする精神的苦痛を反復継続的に受けており,このような被害は軽視することができないものの,これを軽減するため,自衛隊の使用する航空機の運航については一定の自主規制が行われるとともに,住宅防音工事等に対する助成,移転補償,買入れ等に係る措置等の周辺対策事業が実施されるなど相応の対策措置が講じられていることなど判示の事情の下においては,行政事件訴訟法37条の4第5項所定の行政庁がその処分をすることがその裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認められるときに当たるとはいえない。
(1,2につき補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成28年12月8日 平成27(行ヒ)512
登載
民集 第70巻8号1833頁
参照法条
(1,2につき)行政事件訴訟法3条7項,自衛隊法8条,防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律4条 (1につき)行政事件訴訟法37条の4第1項,行政事件訴訟法37条の4第2項 (2につき)行政事件訴訟法37条の4第5項,自衛隊法(平成27年法律第76号による改正前のもの)3条,第6章 自衛隊の行動,自衛隊法(平成27年法律第67号による改正前のもの)107条1項,自衛隊法107条4項,自衛隊法107条5項
論点8第37条行政事件訴訟法

1 処分の差止めの訴えについて行政事件訴訟法37条の4第1項〈差止めの訴えの要件〉所定の「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められる場合
2 公立高等学校等の教職員が卒業式等の式典における国歌斉唱時の起立斉唱等に係る職務命令の違反を理由とする懲戒処分の差止めを求める訴えについて行政事件訴訟法37条の4第1項所定の「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められた事例
3 公立高等学校等の教職員が卒業式等の式典における国歌斉唱時の起立斉唱等に係る職務命令に基づく義務の不存在の確認を求める訴えについていわゆる無名抗告訴訟としては不適法であるとされた事例
4 公立高等学校等の教職員が卒業式等の式典における国歌斉唱時の起立斉唱等に係る職務命令に基づく義務の不存在の確認を求める訴えについて公法上の法律関係に関する確認の訴えとして確認の利益があるとされた事例

裁判要旨1 処分の差止めの訴えについて行政事件訴訟法37条の4第1項〈差止めの訴えの要件〉所定の「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められるためには,処分がされることにより生ずるおそれのある損害が,処分がされた後に取消訴訟又は無効確認訴訟を提起して執行停止の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができるものではなく,処分がされる前に差止めを命ずる方法によるのでなければ救済を受けることが困難なものであることを要する。
2 公立高等学校等の教職員が卒業式等の式典における国歌斉唱の際に国旗に向かって起立して斉唱すること又はピアノ伴奏をすることを命ずる旨の校長の職務命令の違反を理由とする懲戒処分の差止めを求める訴えについて,次の(1),(2)など判示の事情の下では,行政事件訴訟法37条の4第1項所定の「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められる。
(1) 当該地方公共団体では,教育委員会が各校長に対し上記職務命令の発出の必要性を基礎付ける事項等を示達した通達を踏まえ,多数の公立高等学校等の教職員が,毎年度2回以上の各式典に際し,上記職務命令を受けている。
(2) 上記職務命令に従わない教職員については,過去の懲戒処分の対象と同様の非違行為を再び行った場合には処分を加重するという方針の下に,おおむね,その違反が1回目は戒告,2,3回目は減給,4回目以降は停職という処分量定に従い,懲戒処分が反復継続的かつ累積加重的にされる危険がある。
3 公立高等学校等の教職員が卒業式等の式典における国歌斉唱の際に国旗に向かって起立して斉唱すること又はピアノ伴奏をすることを命ずる旨の校長の職務命令に基づく義務の不存在の確認を求める訴えは,上記職務命令の違反を理由としてされる蓋然性のある懲戒処分の差止めの訴えを法定の類型の抗告訴訟として適法に提起することができ,その本案において当該義務の存否が判断の対象となるという事情の下では,上記懲戒処分の予防を目的とするいわゆる無名抗告訴訟としては,他に適当な争訟方法があるものとして,不適法である。
4 公立高等学校等の教職員が卒業式等の式典における国歌斉唱の際に国旗に向かって起立して斉唱すること又はピアノ伴奏をすることを命ずる旨の校長の職務命令に基づく義務の不存在の確認を求める訴えは,次の(1),(2)など判示の事情の下では,上記職務命令の違反を理由とする行政処分以外の処遇上の不利益の予防を目的とする公法上の法律関係に関する確認の訴えとして,確認の利益がある。
(1) 当該地方公共団体では,教育委員会が各校長に対し上記職務命令の発出の必要性を基礎付ける事項等を示達した通達を踏まえ,多数の公立高等学校等の教職員が,毎年度2回以上の各式典に際し,上記職務命令を受けている。
(2) 上記職務命令に従わない教職員については,その違反及びその累積が懲戒処分の処分事由及び加重事由との評価を受けることに伴い,勤務成績の評価を通じた昇給等に係る不利益という行政処分以外の処遇上の不利益が反復継続的かつ累積加重的に発生し拡大する危険がある。
(1〜4につき補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成24年2月9日 平成23(行ツ)177等
登載
民集 第66巻2号183頁
参照法条
(1〜3につき)行政事件訴訟法3条7項,行政事件訴訟法37条の4第1項,地方公務員法29条1項,(1,2につき)行政事件訴訟法37条の4第2項,(3につき)行政事件訴訟法3条1項,(4につき)行政事件訴訟法4条,地方公務員法40条1項
原

条文原文

原文ママ

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行政事件訴訟法 第36条(無効等確認の訴えの原告適格) 詳細ページ
(無効等確認の訴えの原告適格)
第三十六条無効等確認の訴えは、当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないものに限り、提起することができる。
行政事件訴訟法 第37条(不作為の違法確認の訴えの原告適格) 詳細ページ
(不作為の違法確認の訴えの原告適格)
第三十七条不作為の違法確認の訴えは、処分又は裁決についての申請をした者に限り、提起することができる。
行政事件訴訟法 第37_2条(義務付けの訴えの要件等) 詳細ページ
(義務付けの訴えの要件等)
第三十七条の二第三条第六項第一号に掲げる場合において、義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる。
2裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。
3第一項の義務付けの訴えは、行政庁が一定の処分をすべき旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる。
4前項に規定する法律上の利益の有無の判断については、第九条第二項の規定を準用する。
5義務付けの訴えが第一項及び第三項に規定する要件に該当する場合において、その義務付けの訴えに係る処分につき、行政庁がその処分をすべきであることがその処分の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、行政庁がその処分をすべき旨を命ずる判決をする。
行政事件訴訟法 第37_3条 詳細ページ
第三十七条の三第三条第六項第二号に掲げる場合において、義務付けの訴えは、次の各号に掲げる要件のいずれかに該当するときに限り、提起することができる。
一当該法令に基づく申請又は審査請求に対し相当の期間内に何らの処分又は裁決がされないこと。
二当該法令に基づく申請又は審査請求を却下し又は棄却する旨の処分又は裁決がされた場合において、当該処分又は裁決が取り消されるべきものであり、又は無効若しくは不存在であること。
2前項の義務付けの訴えは、同項各号に規定する法令に基づく申請又は審査請求をした者に限り、提起することができる。
3第一項の義務付けの訴えを提起するときは、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める訴えをその義務付けの訴えに併合して提起しなければならない。この場合において、当該各号に定める訴えに係る訴訟の管轄について他の法律に特別の定めがあるときは、当該義務付けの訴えに係る訴訟の管轄は、第三十八条第一項において準用する第十二条の規定にかかわらず、その定めに従う。
一第一項第一号に掲げる要件に該当する場合同号に規定する処分又は裁決に係る不作為の違法確認の訴え
二第一項第二号に掲げる要件に該当する場合同号に規定する処分又は裁決に係る取消訴訟又は無効等確認の訴え
4前項の規定により併合して提起された義務付けの訴え及び同項各号に定める訴えに係る弁論及び裁判は、分離しないでしなければならない。
5義務付けの訴えが第一項から第三項までに規定する要件に該当する場合において、同項各号に定める訴えに係る請求に理由があると認められ、かつ、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決につき、行政庁がその処分若しくは裁決をすべきであることがその処分若しくは裁決の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分若しくは裁決をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決をすべき旨を命ずる判決をする。
6第四項の規定にかかわらず、裁判所は、審理の状況その他の事情を考慮して、第三項各号に定める訴えについてのみ終局判決をすることがより迅速な争訟の解決に資すると認めるときは、当該訴えについてのみ終局判決をすることができる。この場合において、裁判所は、当該訴えについてのみ終局判決をしたときは、当事者の意見を聴いて、当該訴えに係る訴訟手続が完結するまでの間、義務付けの訴えに係る訴訟手続を中止することができる。
7第一項の義務付けの訴えのうち、行政庁が一定の裁決をすべき旨を命ずることを求めるものは、処分についての審査請求がされた場合において、当該処分に係る処分の取消しの訴え又は無効等確認の訴えを提起することができないときに限り、提起することができる。
行政事件訴訟法 第37_4条(差止めの訴えの要件) 詳細ページ
(差止めの訴えの要件)
第三十七条の四差止めの訴えは、一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り、提起することができる。ただし、その損害を避けるため他に適当な方法があるときは、この限りでない。
2裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分又は裁決の内容及び性質をも勘案するものとする。
3差止めの訴えは、行政庁が一定の処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる。
4前項に規定する法律上の利益の有無の判断については、第九条第二項の規定を準用する。
5差止めの訴えが第一項及び第三項に規定する要件に該当する場合において、その差止めの訴えに係る処分又は裁決につき、行政庁がその処分若しくは裁決をすべきでないことがその処分若しくは裁決の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分若しくは裁決をすることがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずる判決をする。
行政事件訴訟法 第37_5条(仮の義務付け及び仮の差止め) 詳細ページ
(仮の義務付け及び仮の差止め)
第三十七条の五義務付けの訴えの提起があつた場合において、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずること(以下この条において「仮の義務付け」という。)ができる。
2差止めの訴えの提起があつた場合において、その差止めの訴えに係る処分又は裁決がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずること(以下この条において「仮の差止め」という。)ができる。
3仮の義務付け又は仮の差止めは、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときは、することができない。
4第二十五条第五項から第八項まで、第二十六条から第二十八条まで及び第三十三条第一項の規定は、仮の義務付け又は仮の差止めに関する事項について準用する。
5前項において準用する第二十五条第七項の即時抗告についての裁判又は前項において準用する第二十六条第一項の決定により仮の義務付けの決定が取り消されたときは、当該行政庁は、当該仮の義務付けの決定に基づいてした処分又は裁決を取り消さなければならない。
行政事件訴訟法 第38条(取消訴訟に関する規定の準用) 詳細ページ
(取消訴訟に関する規定の準用)
第三十八条第十一条から第十三条まで、第十六条から第十九条まで、第二十一条から第二十三条まで、第二十四条、第三十三条及び第三十五条の規定は、取消訴訟以外の抗告訴訟について準用する。
2第十条第二項の規定は、処分の無効等確認の訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決に係る抗告訴訟とを提起することができる場合に、第二十条の規定は、処分の無効等確認の訴えをその処分についての審査請求を棄却した裁決に係る抗告訴訟に併合して提起する場合に準用する。
3第二十三条の二、第二十五条から第二十九条まで及び第三十二条第二項の規定は、無効等確認の訴えについて準用する。
4第八条及び第十条第二項の規定は、不作為の違法確認の訴えに準用する。
出

一次情報

原文ママ

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