行政手続法 / テーマ別まとめ

申請に対する処分

申請に対する処分の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

行政手続法5条から11条は、許認可等の申請を受けた行政庁が、どのような基準・期間で審査し、いつ・どのような形で申請者に応答すべきかを定めている。審査基準の設定・公表から、標準処理期間、審査開始と補正・拒否の手続、拒否処分の理由提示、情報提供・公聴会・複数行政庁の連携までを一体として整理する。

申請に対する処分
条規定内容程度・時期備考
5条審査基準の設定・公表できる限り具体的に原則公表
6条標準処理期間の設定(努力)定めたら公表義務設定自体は努力義務
7条到達後遅滞なく審査開始不備なら補正要求か拒否速やかに対応
8条拒否時に理由を提示書面なら理由も書面で例外あり(客観基準時)
9条進行状況・処分時期の見通し求めに応じ努力義務申請書記載等の情報提供も
10条第三者の意見聴取必要に応じ努力義務利害関係が要件の場合
11条審査の遅延防止・連携殊更な遅延は禁止複数申請は連絡・促進に努力義務
  • 5条3項ただし書き:行政上特別の支障があるときは公表しなくてよい
  • 6条の標準処理期間の設定自体は努力義務であり、必ず定めなければならないわけではない
  • 8条ただし書き:数量的指標等で明確な基準に適合しないことが申請内容から明らかなときは、申請者の求めがあった場合のみ理由を示せば足りる
  • 9条(情報提供)・10条(公聴会等)・11条2項(相互連絡等)はいずれも「努めなければならない」という努力義務である
  • 11条1項の遅延禁止は「してはならない」という禁止規定であり、努力義務ではない
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申請に対する処分

申請に対する処分について、条文は何を定めているか。

第5条審査基準審査基準を定め、具体的にして公表する3項判例 1件
  • 行政庁は審査基準を定める(1項)
  • 許認可等の性質に照らしできる限り具体的に定める(2項)
  • 行政上特別の支障がある場合を除き備付け等で公表する(3項)
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第6条標準処理期間標準処理期間は努力義務、定めたら公表1項判例なし
  • 申請到達から処分までの標準的な期間を定めるよう努める
  • 提出先が異なる機関の場合は取次ぎに要する期間も対象になり得る
  • 定めたときは備付け等で公表しなければならない
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第7条申請に対する審査、応答到達後遅滞なく審査し、不備は補正か拒否1項判例なし
  • 申請が到達したら遅滞なく審査を開始しなければならない
  • 記載不備・添付書類不足等の形式要件違反は速やかに補正を求める
  • 補正を求めるか、求めた許認可等を拒否しなければならない
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第8条理由の提示拒否処分には理由を示す義務がある2項判例なし
  • 申請を拒否する処分をするときは同時に理由を示さなければならない
  • 書面で処分するときは理由も書面で示さなければならない
  • 客観的指標による基準への不適合が明らかなときは求めがあれば足りる
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第9条情報の提供審査状況や処分時期の見通しを示す努力義務2項判例なし
  • 申請者の求めに応じ審査の進行状況・処分時期の見通しを示すよう努める
  • 申請をしようとする者・申請者の求めに応じ必要な情報の提供にも努める
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第10条公聴会の開催等第三者の利害が絡む処分は意見聴取に努める1項判例なし
  • 申請者以外の利害考慮が許認可等の要件とされる処分が対象
  • 公聴会の開催その他の方法で意見を聴く機会を設けるよう努める
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第11条複数の行政庁が関与する処分他庁の審査中を理由に殊更遅延させてはならない2項判例なし
  • 他の行政庁で関連申請が審査中でも自らの審査・判断を殊更に遅延させてはならない
  • 複数行政庁が関与する場合は相互連絡や説明の共同聴取等で審査促進に努める
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第5条行政手続法

1 沖縄県漁業調整規則(昭和47年沖縄県規則第143号。令和2年沖縄県規則第53号による改正前のもの)41条1項に基づく水産動植物の採捕に係る許可に関する県知事の判断と地方自治法245条の7第1項所定の法令の規定に違反していると認められるもの
2 沖縄県漁業調整規則(昭和47年沖縄県規則第143号。令和2年沖縄県規則第53号による改正前のもの)41条に基づく水産動植物の採捕に係る許可の申請について,県知事において審査基準にいう申請内容の必要性を認めることができないと判断したことが裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たると認められた事例

裁判要旨1 沖縄県漁業調整規則(昭和47年沖縄県規則第143号。令和2年沖縄県規則第53号による改正前のもの)41条1項に基づく水産動植物の採捕に係る許可に関する県知事の判断は,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たると認められる場合には,地方自治法245条の7第1項所定の法令の規定に違反していると認められるものに該当する。
2 公有水面埋立法42条1項に基づく承認を受けた公有水面の埋立てに関し,埋立区域の一部について当該承認に係る願書に記載された設計の概要に含まれていない内容の地盤改良工事を追加して行う必要があることが判明していた場合において,沖縄県漁業調整規則(昭和47年沖縄県規則第143号。令和2年沖縄県規則第53号による改正前のもの)41条に基づき埋立区域内に生息する造礁さんご類を埋立区域外に移植することを内容とする採捕の許可を求める申請について,県知事において審査基準にいう申請内容の必要性を認めることができないと判断したことは,当該造礁さんご類が上記地盤改良工事の対象となっている水域外における護岸造成工事の予定箇所又はその近辺に生息していたなど判示の事情の下では,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たると認められる。
(2につき反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第三小法廷 令和3年7月6日 令和3(行ヒ)76
登載
民集 第75巻7号3422頁
参照法条
(1,2につき)地方自治法245条の7第1項,漁業法(平成30年法律第95号による改正前のもの)65条2項1号,水産資源保護法(平成30年法律第95号による改正前のもの)4条2項1号,沖縄県漁業調整規則(昭和47年沖縄県規則第143号。令和2年沖縄県規則第53号による改正前のもの)33条2項,沖縄県漁業調整規則(昭和47年沖縄県規則第143号。令和2年沖縄県規則第53号による改正前のもの)41条1項,沖縄県漁業調整規則(昭和47年沖縄県規則第143号。令和2年沖縄県規則第53号による改正前のもの)41条2項 (2につき)公有水面埋立法2条2項,公有水面埋立法4条1項,公有水面埋立法13条ノ2,公有水面埋立法42条1項,公有水面埋立法42条3項,行政手続法5条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

行政手続法 第5条(審査基準) 詳細ページ
(審査基準)
第五条行政庁は、審査基準を定めるものとする。
2行政庁は、審査基準を定めるに当たっては、許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
3行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない。
行政手続法 第6条(標準処理期間) 詳細ページ
(標準処理期間)
第六条行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間(法令により当該行政庁と異なる機関が当該申請の提出先とされている場合は、併せて、当該申請が当該提出先とされている機関の事務所に到達してから当該行政庁の事務所に到達するまでに通常要すべき標準的な期間)を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、これらの当該申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。
行政手続法 第7条(申請に対する審査、応答) 詳細ページ
(申請に対する審査、応答)
第七条行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、かつ、申請書の記載事項に不備がないこと、申請書に必要な書類が添付されていること、申請をすることができる期間内にされたものであることその他の法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請をした者(以下「申請者」という。)に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。
行政手続法 第8条(理由の提示) 詳細ページ
(理由の提示)
第八条行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。
2前項本文に規定する処分を書面でするときは、同項の理由は、書面により示さなければならない。
行政手続法 第9条(情報の提供) 詳細ページ
(情報の提供)
第九条行政庁は、申請者の求めに応じ、当該申請に係る審査の進行状況及び当該申請に対する処分の時期の見通しを示すよう努めなければならない。
2行政庁は、申請をしようとする者又は申請者の求めに応じ、申請書の記載及び添付書類に関する事項その他の申請に必要な情報の提供に努めなければならない。
行政手続法 第10条(公聴会の開催等) 詳細ページ
(公聴会の開催等)
第十条行政庁は、申請に対する処分であって、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該法令において許認可等の要件とされているものを行う場合には、必要に応じ、公聴会の開催その他の適当な方法により当該申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければならない。
行政手続法 第11条(複数の行政庁が関与する処分) 詳細ページ
(複数の行政庁が関与する処分)
第十一条行政庁は、申請の処理をするに当たり、他の行政庁において同一の申請者からされた関連する申請が審査中であることをもって自らすべき許認可等をするかどうかについての審査又は判断を殊更に遅延させるようなことをしてはならない。
2一の申請又は同一の申請者からされた相互に関連する複数の申請に対する処分について複数の行政庁が関与する場合においては、当該複数の行政庁は、必要に応じ、相互に連絡をとり、当該申請者からの説明の聴取を共同して行う等により審査の促進に努めるものとする。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。