行政手続法 / テーマ別まとめ

不利益処分/通則

通則の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

不利益処分の通則は、行政庁が処分基準を定めて公表するよう努める義務(12条)、処分前に名あて人へ意見陳述の機会を与える手続(13条)、処分の理由を示す義務(14条)を定めています。処分が重いほど手厚い手続が求められ、一定の場合には手続や理由提示そのものが省略できます。実務担当者は、自社が受ける処分の性質に応じて必要な手続を確認する必要があります。

通則
場面原則例外
処分基準定めて公表する努力義務特になし
意見陳述の手続取消し等→聴聞それ以外→弁明の機会の付与
適用除外聴聞・弁明とも実施緊急性など5類型に該当時は省略可
理由の提示処分と同時に提示差し迫った必要があれば事後に提示
  • 聴聞が必要なのは、取消し・資格地位のはく奪・役員解任等・行政庁が相当と認めるときの4類型(13条1項1号イ〜ニ)
  • 意見陳述の手続を省略できるのは、緊急性・資格喪失が客観的資料で証明済み・技術基準の不充足が客観的に確認済み・金銭の給付に関する処分・政令で定める軽微な処分の5類型(13条2項)
  • 理由を示さずに処分できるのは差し迫った必要がある場合に限られる(14条1項ただし書)
  • 事後に理由を示す場合も、名あて人の所在不明など困難な事情があれば示さなくてよい(14条2項)
  • 不利益処分を書面でする場合、理由も書面で示さなければならない(14条3項)
1

通則

通則について、条文は何を定めているか。

第12条処分の基準処分基準を定め、公表するよう努める2項判例 2件
  • 処分基準を定め、公にしておく努力義務がある
  • 基準は処分の性質に応じてできる限り具体的にする
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第13条不利益処分をしようとする場合の手続重い処分は聴聞、それ以外は弁明の機会2項・7号判例なし
  • 取消し・資格はく奪・役員解任等は聴聞が必要
  • それ以外は弁明の機会の付与で足りる
  • 緊急性など5類型に該当すれば手続自体が不要になる
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第14条不利益処分の理由の提示処分の理由を同時に、書面なら書面で示す3項判例 1件
  • 原則、処分と同時に理由を示す
  • 差し迫った必要があるときは事後でもよい
  • 書面による処分なら理由も書面で示す
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第12条行政手続法

行政手続法12条1項〈処分の基準〉により定められ公にされている処分基準に先行の処分を受けたことを理由として後行の処分に係る量定を加重する旨の定めがある場合における先行の処分の取消しを求める訴えの利益

裁判要旨行政手続法12条1項〈処分の基準〉により定められ公にされている処分基準において,先行の処分を受けたことを理由として後行の処分に係る量定を加重する旨の不利益な取扱いの定めがある場合には,上記先行の処分を受けた者は,将来において上記後行の処分の対象となり得るときは,上記先行の処分の効果が期間の経過によりなくなった後においても,当該処分基準の定めにより上記の不利益な取扱いを受けるべき期間内はなお当該処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成27年3月3日 平成26(行ヒ)225
登載
民集 第69巻2号143頁
参照法条
行政事件訴訟法9条1項,行政手続法12条1項
論点2第12条行政手続法

公にされている処分基準の適用関係を示さずにされた建築士法(平成18年法律第92号による改正前のもの)10条1項2号及び3号に基づく一級建築士免許取消処分が,行政手続法14条1項〈不利益処分の理由の提示〉本文の定める理由提示の要件を欠き,違法であるとされた事例

裁判要旨建築士法(平成18年法律第92号による改正前のもの)10条1項2号及び3号に基づいてされた一級建築士免許取消処分の通知書において,処分の理由として,名宛人が,複数の建築物の設計者として,建築基準法令に定める構造基準に適合しない設計を行い,それにより耐震性等の不足する構造上危険な建築物を現出させ,又は構造計算書に偽装が見られる不適切な設計を行ったという処分の原因となる事実と,同項2号及び3号という処分の根拠法条とが示されているのみで,同項所定の複数の懲戒処分の中から処分内容を選択するための基準として多様な事例に対応すべくかなり複雑な内容を定めて公にされていた当時の建設省住宅局長通知による処分基準の適用関係が全く示されていないなど判示の事情の下では,名宛人において,いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって当該処分が選択されたのかを知ることができず,上記取消処分は,行政手続法14条1項〈不利益処分の理由の提示〉本文の定める理由提示の要件を欠き,違法である。
(補足意見及び反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成23年6月7日 平成21(行ヒ)91
登載
民集 第65巻4号2081頁
参照法条
行政手続法12条,行政手続法14条,建築士法(平成18年法律第92号による改正前のもの)10条1項,建築士の処分等について(平成11年12月28日建設省住指発第784号都道府県知事宛て建設省住宅局長通知。平成19年6月20日廃止前のもの)記(附則を除く。),建築士の処分等について(平成11年12月28日建設省住指発第784号都道府県知事宛て建設省住宅局長通知。平成19年6月20日廃止前のもの)別表第1(表1を除く。)
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

行政手続法 第12条(処分の基準) 詳細ページ
(処分の基準)
第十二条行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。
2行政庁は、処分基準を定めるに当たっては、不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
行政手続法 第13条(不利益処分をしようとする場合の手続) 詳細ページ
(不利益処分をしようとする場合の手続)
第十三条行政庁は、不利益処分をしようとする場合には、次の各号の区分に従い、この章の定めるところにより、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、当該各号に定める意見陳述のための手続を執らなければならない。
一次のいずれかに該当するとき聴聞
イ許認可等を取り消す不利益処分をしようとするとき。
ロイに規定するもののほか、名あて人の資格又は地位を直接にはく奪する不利益処分をしようとするとき。
ハ名あて人が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる不利益処分、名あて人の業務に従事する者の解任を命ずる不利益処分又は名あて人の会員である者の除名を命ずる不利益処分をしようとするとき。
ニイからハまでに掲げる場合以外の場合であって行政庁が相当と認めるとき。
二前号イからニまでのいずれにも該当しないとき弁明の機会の付与
2次の各号のいずれかに該当するときは、前項の規定は、適用しない。
一公益上、緊急に不利益処分をする必要があるため、前項に規定する意見陳述のための手続を執ることができないとき。
二法令上必要とされる資格がなかったこと又は失われるに至ったことが判明した場合に必ずすることとされている不利益処分であって、その資格の不存在又は喪失の事実が裁判所の判決書又は決定書、一定の職に就いたことを証する当該任命権者の書類その他の客観的な資料により直接証明されたものをしようとするとき。
三施設若しくは設備の設置、維持若しくは管理又は物の製造、販売その他の取扱いについて遵守すべき事項が法令において技術的な基準をもって明確にされている場合において、専ら当該基準が充足されていないことを理由として当該基準に従うべきことを命ずる不利益処分であってその不充足の事実が計測、実験その他客観的な認定方法によって確認されたものをしようとするとき。
四納付すべき金銭の額を確定し、一定の額の金銭の納付を命じ、又は金銭の給付決定の取消しその他の金銭の給付を制限する不利益処分をしようとするとき。
五当該不利益処分の性質上、それによって課される義務の内容が著しく軽微なものであるため名あて人となるべき者の意見をあらかじめ聴くことを要しないものとして政令で定める処分をしようとするとき。
行政手続法 第14条(不利益処分の理由の提示) 詳細ページ
(不利益処分の理由の提示)
第十四条行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。
2行政庁は、前項ただし書の場合においては、当該名あて人の所在が判明しなくなったときその他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除き、処分後相当の期間内に、同項の理由を示さなければならない。
3不利益処分を書面でするときは、前二項の理由は、書面により示さなければならない。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。