私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 / テーマ別まとめ

訴訟

訴訟の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

独占禁止法は、排除措置命令等を争う抗告訴訟、差止請求訴訟(24条)、損害賠償請求訴訟(25条)、刑事訴訟(89条から91条)について、それぞれ管轄裁判所や審理体制を定めています。差止請求訴訟では担保提供命令や秘密保持命令など訴訟手続上の特則も設けられています。損害賠償請求訴訟や差止請求訴訟では、裁判所が公正取引委員会に意見を求めるなど、行政機関との連携の仕組みも用意されています。

訴訟
訴訟の種類管轄裁判所裁判官の数主な制度
抗告訴訟(排除措置命令等)東京地裁(専属)3人(5人も可)被告は公正取引委員会
差止訴訟(24条)通常の管轄+特定地裁も可特則なし担保命令・秘密保持命令あり
損害賠償訴訟(25条)東京地裁(1審)3人(5人も可)公取委に意見聴取可
刑事訴訟(89~91条)地方裁判所(1審)+特定地裁特則なし刑事訴訟法の管轄特則
  • 85条の専属管轄は、抗告訴訟のほか70条の4・70条の5・97条・98条の事件にも及ぶ(表は訴訟のみ表示)
  • 87条:東京地裁の判決への控訴・決定への抗告事件では、東京高裁も合議体決定で5人体制にできる
  • 87条の2:同一・同種行為に関する24条訴訟が他裁判所に係属しているときは移送できる
  • 84条の2第2項:24条の請求を含む併合請求では民訴法7条の管轄規定に読み替えがある
  • 24条訴訟では秘密保持命令(81~83条)や書類等の提出命令(80条)といった証拠・秘密保護の手続がある
  • 79条:24条訴訟提起時は裁判所から公取委へ通知され、意見聴取・意見陳述(許可制)ができる
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訴訟

訴訟について、条文は何を定めているか。

第77条抗告訴訟の被告は公正取引委員会1項判例なし
  • 排除措置命令等を争う抗告訴訟は公正取引委員会が被告になる
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第78条被告の申立てで原告に担保を命令できる2項判例 1件
  • 24条〈第八条第五号又は第十九条の規定に違反する行為によつてその利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、これにより著しい…〉の差止訴訟で、被告の申立てにより裁判所が原告に担保提供を命じられる
  • 命令には、訴え提起が不正目的によることの疎明が必要
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第79条訴訟提起の通知と公取委の意見のやり取り3項判例なし
  • 24条〈第八条第五号又は第十九条の規定に違反する行為によつてその利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、これにより著しい…〉の差止訴訟が提起されたら裁判所は公正取引委員会に通知する
  • 裁判所は公取委に意見を求めることができる
  • 公取委は裁判所の許可を得て意見を述べることができる
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第80条証拠となる書類等の提出を命令できる4項判例 2件
  • 24条〈第八条第五号又は第十九条の規定に違反する行為によつてその利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、これにより著しい…〉の差止訴訟で、当事者の申立てにより裁判所が書類・電磁的記録の提出を命じられる
  • 所持者に正当な理由があれば提出を拒める
  • 正当理由の判断のため、裁判所は書類等の提示をさせ、原則第三者に開示させない
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第81条営業秘密保護のため秘密保持命令を出せる5項・5号判例 1件
  • 訴訟資料に当事者の営業秘密が含まれ、目的外使用・開示で支障が出る恐れがあれば命令可能
  • 申立て前に別の方法で秘密を知っていた者には命令できない
  • 却下決定には即時抗告ができる
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第82条秘密保持命令は要件を欠けば取消しできる5項判例 1件
  • 訴訟記録がある裁判所(なければ命令を出した裁判所)に取消しを申し立てられる
  • 取消し裁判に対しては即時抗告ができ、確定するまで効力を生じない
  • 取消し裁判時、他に同じ秘密の命令を受けている人にも直ちに通知される
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第83条秘密記載部分の閲覧等には2週間の待機期間3項判例なし
  • 秘密保持命令を受けていない者が閲覧等を請求すると、命令申立当事者に直ちに通知される
  • 請求後2週間(命令申立てがあれば確定まで)は閲覧等を禁止
  • 当事者全員が同意すれば、この閲覧等の制限は適用しない
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第84条損害賠償訴訟で公取委に意見を求められる2項判例なし
  • 25条〈第三条、第六条又は第十九条の規定に違反する行為をした事業者(第六条の規定に違反する行為をした事業者にあつては、当該国際的…〉の損害賠償訴訟が提起されたら、裁判所は公取委に損害額について意見を求められる
  • 相殺のために裁判上主張された場合も同様に意見を求められる
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第84_2条24条〈第八条第五号又は第十九条の規定に違反する行為によつてその利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、これにより著しい…〉訴訟は特定の地裁にも提起できる2項・8号判例なし
  • 民訴法の管轄地裁の高裁管内では、東京地裁など指定地裁にも提訴可能
  • 他の請求と併合する場合の管轄規定(民訴法7条)にも特則がある
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第84_3条89~91条〈第十一条第一項の規定に違反して株式を取得し、若しくは所有し、若しくは同条第二項の規定に違反して株式を所有した者又はこれら…〉の刑事訴訟は地方裁判所が第一審1項判例なし
  • 89条〈次の各号のいずれかに該当するものは、五年以下の拘禁刑又は五百万円以下の罰金に処する。〉から91条〈第十一条第一項の規定に違反して株式を取得し、若しくは所有し、若しくは同条第二項の規定に違反して株式を所有した者又はこれら…〉までの罪の第一審裁判権は地方裁判所に属する
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第84_4条刑事事件も84条の2〈第二十四条の規定による侵害の停止又は予防に関する訴えについて、民事訴訟法第四条及び第五条の規定により次の各号に掲げる裁判…〉と同じ特定地裁が管轄可1項判例なし
  • 84条の3〈第八十九条から第九十一条までの罪に係る訴訟の第一審の裁判権は、地方裁判所に属する。〉の罪の事件は、84条の2〈第二十四条の規定による侵害の停止又は予防に関する訴えについて、民事訴訟法第四条及び第五条の規定により次の各号に掲げる裁判…〉各号の地裁も管轄できる
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第85条抗告訴訟等は東京地裁の専属管轄1項・2号判例 1件
  • 排除措置命令等の抗告訴訟は東京地裁の専属管轄
  • 70条の4〈裁判所は、緊急の必要があると認めるときは、公正取引委員会の申立てにより、第三条、第六条、第八条、第九条第一項若しくは第二…〉・70条の5〈前条第一項の規定による裁判については、裁判所の定める保証金又は有価証券(社債、株式等の振替に関する法律第二百七十八条第一…〉・97条〈排除措置命令に違反したものは、五十万円以下の過料に処する。ただし、その行為につき刑を科するべきときは、この限りでない。〉・98条〈第七十条の四第一項の規定による裁判に違反したものは、三十万円以下の過料に処する。〉の事件も東京地裁の専属管轄
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第85_2条損害賠償訴訟の第一審は東京地裁1項判例なし
  • 25条〈第三条、第六条又は第十九条の規定に違反する行為をした事業者(第六条の規定に違反する行為をした事業者にあつては、当該国際的…〉の損害賠償訴訟の第一審裁判権は東京地方裁判所に属する
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第86条東京地裁は原則3人、決定で5人の合議体3項判例なし
  • 85条〈次に掲げる訴訟及び事件は、東京地方裁判所の管轄に専属する。〉の訴訟・事件と85条の2〈第二十五条の規定による損害賠償に係る訴訟の第一審の裁判権は、東京地方裁判所に属する。〉の訴訟は3人の裁判官の合議体で審理
  • 合議体の決定により5人の裁判官の合議体にできる
  • 5人合議体では判事補は同時に3人以上加われず、裁判長にもなれない
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第87条東京高裁も控訴・抗告事件で5人合議体可1項判例なし
  • 東京地裁の該当判決への控訴・決定への抗告事件は、東京高裁の合議体決定で5人体制にできる
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第87_2条同種訴訟が他裁判所にもあれば移送できる1項判例なし
  • 24条〈第八条第五号又は第十九条の規定に違反する行為によつてその利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、これにより著しい…〉訴訟で他裁判所に同一・同種行為の訴訟があるときは移送を検討できる
  • 住所・証人・争点等の事情を考慮し、申立てまたは職権で移送する
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第88条抗告訴訟に法務大臣権限法6条は不適用1項判例なし
  • 排除措置命令等の抗告訴訟には、国の利害関係訴訟についての法務大臣権限法6条を適用しない
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第78条私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律

一、昭和二八年公正取引委員会告示第一一号(不公正な取引方法)の八にいう取引の拘束があるとされる場合
二、昭和二八年公正取引委員会告示第一一号(不公正な取引方法)の八にいう正当な理由の意義
三、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律六九条〈公正取引委員会は、課徴金をその納期限までに納付しない者があるときは、督促状により期限を指定してその納付を督促しなければな…〉にいう利害関係人の範囲
四、公正取引委員会の審判で取り調べられた証拠の審決取消訴訟における取扱

裁判要旨一、昭和二八年公正取引委員会告示第一一号(不公正な取引方法)の八にいう取引の拘束があるとするためには、必ずしも相手方においてその取引条件に従うことが契約上の義務として定められていることを要せず、それに従わない場合に経済上なんらかの不利益を伴うことにより、現実にその実効性が確保されていれば足りる。
二、昭和二八年公正取引委員会告示第一一号(不公正な取引方法)の八にいう正当な理由とは、取引につけられた拘束条件が相手方の事業活動における自由な競争を阻害するおそれがないことをいうものであり、単に事業者の事業経営上又は取引上必要あるいは合理的であるというだけでは、右の正当な理由があるとすることはできない。
三、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律六九条〈公正取引委員会は、課徴金をその納期限までに納付しない者があるときは、督促状により期限を指定してその納付を督促しなければな…〉にいう利害関係人とは、当該事件の被審人のほか、同法五九条、六〇条により審判手続に参加しうるもの及び当該事件の対象をなす違反行為の被害者をいう。
四、公正取引委員会の審決の取消訴訟においては、審判で取り調べられた証拠はすべて当然に裁判所の判断資料となるものであり、右証拠につき改めて証拠調に関する手続を行う余地はない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和50年7月10日 昭和46(行ツ)82
登載
民集 第29巻6号888頁
参照法条
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律2条7項4号,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律69条,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律78条,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律80条,昭和28年公正取引委員会告示11号8項,民訴法第3章第1節
論点2第80条私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律

一 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和五二年法律第六三号による改正前のもの)の規定に違反する行為の不存在と同法四八条の規定に基づくいわゆる勧告審決の取消原因
二 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和五二年法律第六三号による改正前のもの)四八条〈公正取引委員会は、事件について必要な調査をしたときは、その要旨を調書に記載し、かつ、特に前条第一項に規定する処分があつた…〉の規定に基づくいわゆる勧告審決の取消訴訟と同法八〇条、八一条、八二条一号の適用
三 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和五二年法律第六三号による改正前のもの)の規定に基づくいわゆる無過失損害賠償請求訴訟と審決の認定事実の裁判所に対する拘束力

裁判要旨一 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和五二年法律第六三号による改正前のもの)の規定に違反する行為の不存在は、同法四八条に基づくいわゆる勧告審決を取り消すべき原因とはならない。
二 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和五二年法律第六三号による改正前のもの)四八条〈公正取引委員会は、事件について必要な調査をしたときは、その要旨を調書に記載し、かつ、特に前条第一項に規定する処分があつた…〉の規定に基づくいわゆる勧告審決の取消訴訟には、同法八〇条、八一条、八二条一号の適用はない。
三 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和五二年法律第六三号による改正前のもの)の規定に基づくいわゆる無過失損害賠償請求訴訟については、審決の認定事実は、裁判所を拘束しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和53年4月4日 昭和50(行ツ)112
登載
民集 第32巻3号515頁
参照法条
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律25条,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律80条,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律82条1号,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和52年法律第63号による改正前のもの)26条,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和52年法律第63号による改正前のもの)48条,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和52年法律第63号による改正前のもの)81条
論点3第85条私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律

一 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独禁法」という。)八五条三号〈次に掲げる訴訟及び事件は、東京地方裁判所の管轄に専属する。〉の規定と憲法一四条一項、三一条、三二条

二 独禁法八五条三号の規定と憲法七七条一項

三 石油製品の値上げの上限に関し通産省の了承を得させることとする行政指導がある場合と石油製品価格に関する不当な取引制限行為の成否

四 不当な取引制限行為が事業者団体によつて行われた場合と事業者の処罰

五 独禁法二条六項〈この法律において「事業者」とは、商業、工業、金融業その他の事業を行う者をいう。事業者の利益のためにする行為を行う役員、従…〉にいう「相互にその事業活動を拘束し」にあたる場合

六 独禁法二条六項にいう「公共の利益に反して」の意義

七 法人の従業者が法人の業務に関して独禁法八九条一項一号違反の行為をした場合と右従業者及び法人の処罰

八 独禁法八九条一項一号〈次の各号のいずれかに該当するものは、五年以下の拘禁刑又は五百万円以下の罰金に処する。 第三条の規定に違反して私的独占又は不当な取引制限をした者〉の罪の既遂時期

九 石油製品価格に関する行政指導の許される範囲

一〇 適法な行政指導に従つて行われた行為と違法性の阻却

一一 独禁法九六条二項〈第八十九条から第九十一条までの罪は、公正取引委員会の告発を待つて、これを論ずる。〉所定の告発状の方式

一二 刑訴規則五八条違反の瑕疵のある告発状の効力

一三 清算の結了による株式会社の法人格消滅の要件

一四 株式会社の吸収合併が不成立ないし不存在とはいえないとされた事例

一五 会社の吸収合併と刑事責任の承継

裁判要旨一 独禁法八九条〈次の各号のいずれかに該当するものは、五年以下の拘禁刑又は五百万円以下の罰金に処する。〉から九一条〈第十一条第一項の規定に違反して株式を取得し、若しくは所有し、若しくは同条第二項の規定に違反して株式を所有した者又はこれら…〉までの罪に係る訴訟につき二審制を定めた同法八五条三号の規定は、憲法一四条一項、三一条、三二条に違反しない。

二 独禁法八九条から九一条までの罪に係る訴訟の第一審の裁判権を東京高等裁判所に専属させた同法八五条三号の規定は、憲法七七条一項に違反しない。

三 石油製品の値上げの上限に関し通産省の了承を得させることとする行政指導が行われており、右行政指導が違法とまではいえない場合であつても、石油製品元売り会社の従業者等が、値上げの上限に関する通産省の了承を得るために右上限についての業界の希望案を合意するに止まらず、その属する事業者の業務に関し、通産省の了承の得られることを前提として、了承された限度一杯まで各社一致して石油製品の価格を引き上げることまで合意したときは、右合意は、独禁法三条〈事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。〉、八九条一項一号、九五条一項〈法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して、次の各号に掲げる規…〉によつて禁止・処罰される不当な取引制限行為にあたる。

四 独禁法上処罰の対象となる不当な取引制限行為が事業者団体によつて行われた場合であつても、これが同時に事業者団体を構成する各事業者の従業者等によりその業務に関して行われたと観念しうる事情があるときは、右行為に対する刑責を事業者団体のほか各事業者に対して問うことも許される。

五 各事業者の従業者等が、事業者の業務に関し、その内容の実施に向けて努力する意思をもち、かつ、他の事業者もこれに従うものと考えて、製品の価格をいつせいに一定の幅で引き上げる旨の協定を締結したときは、協定の実効性を担保するための制裁等の定めがなくても、独禁法二条六項〈この法律において「事業者」とは、商業、工業、金融業その他の事業を行う者をいう。事業者の利益のためにする行為を行う役員、従…〉にいう「相互にその事業活動を拘束し」にあたる。

六 独禁法二条六項の「公共の利益に反して」との文言は、原則としては同法の直接の保護法益である自由競争経済秩序に反することを意味するが、現に行われた行為が形式上これに該当するものであつても、右法益と当該行為によつて守られる利益とを比較衡量すれば「一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進する」という同法の究極の目的に実質的には反しないと認められる例外的な場合を、同項にいう「不当な取引制限」行為から除外する趣旨を含む。

七 事業者たる法人の従業者である自然人が、法人の業務に関して、独禁法八九条一項一号に違反する行為をした場合には、行為者たる自然人及びその所属する法人は、いずれも、同法九五条一項及び同法八九条一項一号により処罰される。

八 事業者が他の事業者と共同して対価を協議・決定する等相互にその事業活動を拘束すべき合意をした場合において、右合意により、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争が実質的に制限されたものと認められるときは、独禁法八九条一項一号の罪は直ちに既遂に達し、右決定された内容が各事業者によつて実施に移されることや決定された実施時期が現実に到来することなどは、同罪の成立に必要ではない。

九 石油業法に直接の根拠を持たない石油製品価格に関する行政指導であつても、これを必要とする事情がある場合に、これに対処するため社会通念上相当と認められる方法によつて行われるものは、「一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進する」という独禁法の究極の目的に実質的に抵触しない限り、違法とはいえない。

一〇 価格に関する事業者間の合意は、形式的に独禁法に違反するようにみえる場合であつても、適法な行政指導に従いこれに協力して行われたものであるときは、違法性を阻却される。

一一 独禁法九六条二項〈第八十九条から第九十一条までの罪は、公正取引委員会の告発を待つて、これを論ずる。〉所定の告発状の方式には、刑訴規則五八条の適用ないし準用があり、公正取引委員会委員長の署名押印が必要である。

一二 告発状の方式に刑訴規則五八条違反の瑕疵がある場合でも、その体裁・形式・記載内容などから告発人の真意に基づいて作成されたものであることが容易に推認されうるときは、告発状の訴訟法上の効力は否定されない。

一三 清算の結了により株式会社の法人格が消滅したというためには、商法四三〇条一項、一二四条所定の清算事務が終了しただけでは足りず、清算人が決算報告書を作成してこれを株主総会に提出しその承認を得ることを要する。

一四 解散後清算事務を終了したが商法四二七条一項所定の手続が未了であつた甲株式会社につき会社継続の手続をしたうえ、乙株式会社をこれに吸収する合併契約をする等の手続を履践して行われた本件吸収合併(判文参照)は、これを不成立ないし不存在ということはできない。

一五 乙会社の従業者が会社の業務に関して価格協定に参加したのち、同会社が甲会社との吸収合併により消滅したときは、合併当時甲会社が清算事務を終了しており、かつ、右合併が乙会社の株式の額面金額の変更のみを目的としたものであつたとしても、現に存在する甲会社に対し右従業者の行為を理由としてその刑責を追及することは許されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和59年2月24日 昭和55(あ)2153
登載
刑集 第38巻4号1287頁
参照法条
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独禁法」という。)1条,独禁法2条6項,独禁法8条1項,独禁法33条,独禁法85条3号,独禁法89条1項(昭和52年法律第63号による改正前のもの),独禁法95条1項(昭和52年法律第63号による改正前のもの),独禁法96条,憲法14条,憲法31条,憲法32条,憲法77条1項,商法124条,商法406条,商法408条,商法415条,商法427条,商法430条1項,刑訴法239条,刑訴法241条,刑訴法339条1項4号,刑訴法490条1項,刑訴規則58条,刑法35条,通商産業省設置法3条2号,石油業法3条,石油業法4条,石油業法7条,石油業法15条,法人ノ役員処罰ニ関スル法律
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 第77条 詳細ページ
第七十七条排除措置命令等に係る行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第三条第一項に規定する抗告訴訟については、公正取引委員会を被告とする。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 第78条 詳細ページ
第七十八条第二十四条の規定による侵害の停止又は予防に関する訴えが提起されたときは、裁判所は、被告の申立てにより、決定で、相当の担保を立てるべきことを原告に命ずることができる。
2前項の申立てをするには、同項の訴えの提起が不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。)によるものであることを疎明しなければならない。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 第79条 詳細ページ
第七十九条裁判所は、第二十四条の規定による侵害の停止又は予防に関する訴えが提起されたときは、その旨を公正取引委員会に通知するものとする。
2裁判所は、前項の訴えが提起されたときは、公正取引委員会に対し、当該事件に関するこの法律の適用その他の必要な事項について、意見を求めることができる。
3公正取引委員会は、第一項の訴えが提起されたときは、裁判所の許可を得て、裁判所に対し、当該事件に関するこの法律の適用その他の必要な事項について、意見を述べることができる。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 第80条 詳細ページ
第八十条裁判所は、第二十四条の規定による侵害の停止又は予防に関する訴訟においては、当事者の申立てにより、当事者に対し、当該侵害行為について立証するため必要な書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)の提出を命ずることができる。ただし、その書類の所持者又はその電磁的記録を利用する権限を有する者においてその提出を拒むことについて正当な理由があるときは、この限りでない。
2裁判所は、前項ただし書に規定する正当な理由があるかどうかの判断をするため必要があると認めるときは、書類の所持者又は電磁的記録を利用する権限を有する者にその提示をさせることができる。この場合においては、何人も、その提示された書類又は電磁的記録の開示を求めることができない。
3裁判所は、前項の場合において、第一項ただし書に規定する正当な理由があるかどうかについて前項後段の書類又は電磁的記録を開示してその意見を聴くことが必要であると認めるときは、当事者等(当事者(法人である場合にあつては、その代表者)又は当事者の代理人(訴訟代理人及び補佐人を除く。)、使用人その他の従業者をいう。次条第一項において同じ。)、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該書類又は当該電磁的記録を開示することができる。
4前三項の規定は、第二十四条の規定による侵害の停止又は予防に関する訴訟における当該侵害行為について立証するため必要な検証の目的の提示について準用する。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 第81条 詳細ページ
第八十一条裁判所は、第二十四条の規定による侵害の停止又は予防に関する訴訟において、その当事者が保有する営業秘密(不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)第二条第六項に規定する営業秘密をいう。以下同じ。)について、次に掲げる事由のいずれにも該当することにつき疎明があつた場合には、当事者の申立てにより、決定で、当事者等、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該営業秘密を当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用し、又は当該営業秘密に係るこの項の規定による命令を受けた者以外の者に開示してはならない旨を命ずることができる。ただし、その申立ての時までに当事者等、訴訟代理人又は補佐人が第一号に規定する準備書面の閲読又は同号に規定する証拠の取調べ若しくは開示以外の方法により当該営業秘密を取得し、又は保有していた場合は、この限りでない。
一既に提出され、若しくは提出されるべき準備書面に当事者の保有する営業秘密が記載され、又は既に取り調べられ、若しくは取り調べられるべき証拠(前条第三項の規定により開示された書類又は電磁的記録を含む。)の内容に当事者の保有する営業秘密が含まれること。
二前号の営業秘密が当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用され、又は当該営業秘密が開示されることにより、当該営業秘密に基づく当事者の事業活動に支障を生ずるおそれがあり、これを防止するため当該営業秘密の使用又は開示を制限する必要があること。
2前項の規定による命令(以下「秘密保持命令」という。)の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
一秘密保持命令を受けるべき者
二秘密保持命令の対象となるべき営業秘密を特定するに足りる事実
三前項各号に掲げる事由に該当する事実
3秘密保持命令が発せられた場合には、その電子決定書(民事訴訟法第百二十二条において準用する同法第二百五十二条第一項の規定により作成された電磁的記録(同法第百二十二条において準用する同法第二百五十三条第二項の規定により裁判所の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録されたものに限る。)をいう。以下同じ。)を秘密保持命令を受けた者に送達しなければならない。
4秘密保持命令は、秘密保持命令を受けた者に対する電子決定書の送達がされた時から、効力を生ずる。
5秘密保持命令の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 第82条 詳細ページ
第八十二条秘密保持命令の申立てをした者又は秘密保持命令を受けた者は、訴訟記録の存する裁判所(訴訟記録の存する裁判所がない場合にあつては、秘密保持命令を発した裁判所)に対し、前条第一項に規定する要件を欠くこと又はこれを欠くに至つたことを理由として、秘密保持命令の取消しの申立てをすることができる。
2秘密保持命令の取消しの申立てについての裁判があつた場合には、その電子決定書をその申立てをした者及び相手方に送達しなければならない。
3秘密保持命令の取消しの申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
4秘密保持命令を取り消す裁判は、確定しなければその効力を生じない。
5裁判所は、秘密保持命令を取り消す裁判をした場合において、秘密保持命令の取消しの申立てをした者又は相手方以外に当該秘密保持命令が発せられた訴訟において当該営業秘密に係る秘密保持命令を受けている者があるときは、その者に対し、直ちに、秘密保持命令を取り消す裁判をした旨を通知しなければならない。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 第83条 詳細ページ
第八十三条秘密保持命令が発せられた訴訟(すべての秘密保持命令が取り消された訴訟を除く。)に係る訴訟記録につき、民事訴訟法第九十二条第一項の決定があつた場合において、当事者から同項に規定する秘密記載部分の閲覧等の請求があり、かつ、その請求の手続を行つた者が当該訴訟において秘密保持命令を受けていない者であるときは、裁判所書記官は、同項の申立てをした当事者(その請求をした者を除く。第三項において同じ。)に対し、その請求後直ちに、その請求があつた旨を通知しなければならない。
2前項の場合において、裁判所書記官は、同項の請求があつた日から二週間を経過する日までの間(その請求の手続を行つた者に対する秘密保持命令の申立てがその日までにされた場合にあつては、その申立てについての裁判が確定するまでの間)、その請求の手続を行つた者に同項の秘密記載部分の閲覧等をさせてはならない。
3前二項の規定は、第一項の請求をした者に同項の秘密記載部分の閲覧等をさせることについて民事訴訟法第九十二条第一項の申立てをした当事者のすべての同意があるときは、適用しない。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 第84条 詳細ページ
第八十四条第二十五条の規定による損害賠償に関する訴えが提起されたときは、裁判所は、公正取引委員会に対し、同条に規定する違反行為によつて生じた損害の額について、意見を求めることができる。
2前項の規定は、第二十五条の規定による損害賠償の請求が、相殺のために裁判上主張された場合に、これを準用する。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 第84_2条 詳細ページ
第八十四条の二第二十四条の規定による侵害の停止又は予防に関する訴えについて、民事訴訟法第四条及び第五条の規定により次の各号に掲げる裁判所が管轄権を有する場合には、それぞれ当該各号に定める裁判所にも、その訴えを提起することができる。
一東京高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(東京地方裁判所を除く。)、大阪地方裁判所、名古屋地方裁判所、広島地方裁判所、福岡地方裁判所、仙台地方裁判所、札幌地方裁判所又は高松地方裁判所東京地方裁判所
二大阪高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(大阪地方裁判所を除く。)東京地方裁判所又は大阪地方裁判所
三名古屋高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(名古屋地方裁判所を除く。)東京地方裁判所又は名古屋地方裁判所
四広島高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(広島地方裁判所を除く。)東京地方裁判所又は広島地方裁判所
五福岡高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(福岡地方裁判所を除く。)東京地方裁判所又は福岡地方裁判所
六仙台高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(仙台地方裁判所を除く。)東京地方裁判所又は仙台地方裁判所
七札幌高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(札幌地方裁判所を除く。)東京地方裁判所又は札幌地方裁判所
八高松高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(高松地方裁判所を除く。)東京地方裁判所又は高松地方裁判所
2一の訴えで第二十四条の規定による請求を含む数個の請求をする場合における民事訴訟法第七条の規定の適用については、同条中「第四条から前条まで(第六条第三項を除く。)」とあるのは、「第四条から前条まで(第六条第三項を除く。)及び私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第八十四条の二第一項」とする。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 第84_3条 詳細ページ
第八十四条の三第八十九条から第九十一条までの罪に係る訴訟の第一審の裁判権は、地方裁判所に属する。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 第84_4条 詳細ページ
第八十四条の四前条に規定する罪に係る事件について、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第二条の規定により第八十四条の二第一項各号に掲げる裁判所が管轄権を有する場合には、それぞれ当該各号に定める裁判所も、その事件を管轄することができる。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 第85条 詳細ページ
第八十五条次に掲げる訴訟及び事件は、東京地方裁判所の管轄に専属する。
一排除措置命令等に係る行政事件訴訟法第三条第一項に規定する抗告訴訟
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 第85_2条 詳細ページ
第八十五条の二第二十五条の規定による損害賠償に係る訴訟の第一審の裁判権は、東京地方裁判所に属する。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 第86条 詳細ページ
第八十六条東京地方裁判所は、第八十五条各号に掲げる訴訟及び事件並びに前条に規定する訴訟については、三人の裁判官の合議体で審理及び裁判をする。
2前項の規定にかかわらず、東京地方裁判所は、同項の訴訟及び事件について、五人の裁判官の合議体で審理及び裁判をする旨の決定をその合議体ですることができる。
3前項の場合には、判事補は、同時に三人以上合議体に加わり、又は裁判長となることができない。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 第87条 詳細ページ
第八十七条東京地方裁判所がした第八十五条第一号に掲げる訴訟若しくは第八十五条の二に規定する訴訟についての終局判決に対する控訴又は第八十五条第二号に掲げる事件についての決定に対する抗告が提起された東京高等裁判所においては、当該控訴又は抗告に係る事件について、五人の裁判官の合議体で審理及び裁判をする旨の決定をその合議体ですることができる。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 第87_2条 詳細ページ
第八十七条の二裁判所は、第二十四条の規定による侵害の停止又は予防に関する訴えが提起された場合において、他の裁判所に同一又は同種の行為に係る同条の規定による訴訟が係属しているときは、当事者の住所又は所在地、尋問を受けるべき証人の住所、争点又は証拠の共通性その他の事情を考慮して、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部について、当該他の裁判所又は当該訴えにつき第八十四条の二第一項の規定により管轄権を有する他の裁判所に移送することができる。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 第88条 詳細ページ
第八十八条排除措置命令等に係る行政事件訴訟法第三条第一項に規定する抗告訴訟については、国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律(昭和二十二年法律第百九十四号)第六条の規定は、適用しない。
出

一次情報

原文ママ

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