著作権法 / テーマ別まとめ

複製権

公的資料に現れる論点です。条文と判例から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

複製権は、著作物・レコード・放送・有線放送それぞれについて、複製する行為を著作者・レコード製作者・放送事業者・有線放送事業者に専有させる権利である。対象(著作物か、レコードか、放送・有線放送の音や影像か)によって権利者と条文が分かれている点を区別して整理する必要がある。加えて、著作権が制限される場合に作られた複製物を譲渡できるかどうかは、複製権とは別の規定(47条の7)で定められている。

複製権
権利者対象専有する行為条文
著作者著作物複製21条
レコード製作者レコード複製96条
放送事業者放送に係る音・影像録音・録画・写真複製98条
有線放送事業者有線放送に係る音・影像録音・録画・写真複製100条の2
  • 98条の複製権は、自局の放送だけでなく、その放送を受信して行う有線放送を受信して複製する場合も対象
  • 47条の7は複製権そのものの定義ではなく、著作権が制限される規定により作られた複製物を譲渡できる場合を定める別条文
  • 47条の7では、対象となる制限規定の一部について映画の著作物の複製物が譲渡の対象から除かれる場合がある
  • 47条の7では、一定の制限規定で作った複製物を本来の目的以外の目的で公衆に譲渡することはできない
  • 47条の7では、30条の4の適用を受けて作った複製物を、著作物に表現された思想・感情を自ら享受・他人に享受させる目的で譲渡することはできない
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複製権

複製権について、条文は何を定めているか。

第21条複製権著作物を複製できるのは著作者だけ1項判例 3件
  • 著作物を複製する権利は著作者に専属する
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第96条複製権レコードを複製できるのはレコード製作者だけ1項判例なし
  • レコードを複製する権利はレコード製作者に専属する
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第98条複製権放送番組の録音・録画権は放送事業者にある1項判例 1件
  • 自社の放送を受信して録音・録画・写真複製する権利
  • その放送を再送信した有線放送の受信複製も対象
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第100_2条複製権有線放送番組の録音・録画権は有線放送事業者にある1項判例なし
  • 自社の有線放送を受信して録音・録画・写真複製する権利
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第47_7条複製権の制限により作成された複製物の譲渡制限規定で作った複製物を譲渡できる場合の規定1項判例なし
  • 私的複製など列挙された制限規定で作った複製物は譲渡が可能
  • 規定によっては映画の著作物の複製物は譲渡の対象外
  • 本来の目的外の譲渡や思想・感情の享受目的の譲渡は不可
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第21条著作権法

一 漫画の登場人物のいわゆるキャラクターの著作物性
二 二次的著作物の著作権が生ずる部分
三 連載漫画において登場人物が最初に掲載された漫画の著作権の保護期間が満了した後に当該登場人物について著作権を主張することの可否
四 著作権法二一条〈複製権〉の複製権を時効取得する要件としての権利行使の態様とその立証責任
五 上告審における被上告人の新たな主張が民訴法四二〇条一項八号に照らし許されるものとされた事例

裁判要旨一 漫画において一定の名称、容貌、役割等の特徴を有するものとして反復して描かれている登場人物のいわゆるキャラクターは、著作物に当たらない。
二 二次的著作物の著作権は、二次的著作物において新たに付与された創作物部分のみについて生じ、原著作物と共通し、その実質を同じくする部分には生じない。
三 連載漫画において、登場人物が最初に掲載された漫画の著作権の保護期間が満了した場合には、後続の漫画の著作権の保護期間がいまだ満了していないとしても、当該登場人物について著作権を主張することはできない。
四 著作権法二一条〈複製権〉の複製権を時効取得する要件としての継続的な行使があるというためには、著作物の全部又は一部につき外形的に著作権者と同様に複製権を独占的、排他的に行使する状態が継続されていることを要し、そのことについては取得時効の成立を主張する者が立証責任を負う。
五 被上告人の平成五年法律第四七号による改正前の不正競争防止法(昭和九年法律第一四号)一条一項一号に基づく差止請求に対して、上告人が商標権の行使を理由として同法六条の抗弁を主張している場合において、事実審の口頭弁論終結後に当該商標権につき商標登録を無効とする審決が確定したときは、民訴法四二〇条一項八号に照らし、被上告人は上告審でこれを主張することができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成9年7月17日 平成4(オ)1443
登載
民集 第51巻6号2714頁
参照法条
著作権法2条1項1号,著作権法2条1項11号,著作権法21条,著作権法53条1項,著作権法56条1項,民法163条,民訴法第2編第3章第1節総則,民訴法394条,民訴法420条1項8号,旧不正競争防止法(昭和9年法律第14号)1条1項1号,旧不正競争防止法(昭和9年法律第14号)6条,商標法46条1項1号
論点2第21条著作権法

放送番組等の複製物を取得することを可能にするサービスの提供者が複製の主体と解される場合

裁判要旨放送番組等の複製物を取得することを可能にするサービスにおいて,サービスを提供する者が,その管理,支配下において,テレビアンテナで受信した放送を複製の機能を有する機器に入力していて,当該機器に録画の指示がされると放送番組等の複製が自動的に行われる場合,その録画の指示を当該サービスの利用者がするものであっても,当該サービスを提供する者はその複製の主体と解すべきである。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成23年1月20日 平成21(受)788
登載
民集 第65巻1号399頁
参照法条
著作権法21条,著作権法98条
論点3第21条著作権法

1 著作権法19条1項〈氏名表示権〉の「著作物の公衆への提供若しくは提示」は,同法21条〈複製権〉から27条〈翻訳権、翻案権等〉までに規定する権利に係る著作物の利用によることを要するか
2 インターネット上の情報ネットワークにおいてされた他人の著作物である写真の画像の掲載を含む投稿により,上記画像が,著作者名の表示の付された部分が切除された形で上記投稿に係るウェブページの閲覧者の端末に表示された場合に,上記閲覧者が当該表示された画像をクリックすれば,上記著作者名の表示がある元の画像を見ることができるとしても,上記投稿をした者が著作者名を表示したことにはならないとされた事例
3 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項〈著作物の公表〉に基づく発信者情報の開示請求をする者が,インターネット上の情報ネットワークにおいてされた同人の著作物である写真の画像の掲載を含む投稿により,上記写真に係る氏名表示権を侵害された場合に,上記投稿をした者が,同項の「侵害情報の発信者」に該当し,かつ,同項1号の「侵害情報の流通によって」上記開示請求をする者の権利を侵害したものといえるとされた事例

裁判要旨1 著作権法19条1項〈氏名表示権〉の「著作物の公衆への提供若しくは提示」は,同法21条〈複製権〉から27条〈翻訳権、翻案権等〉までに規定する権利に係る著作物の利用によることを要しない。
2 インターネット上の情報ネットワークにおいてされた他人の著作物である写真の画像の掲載を含む投稿により,上記画像が,著作者名の表示の付された部分が切除された形で上記投稿に係るウェブページの閲覧者の端末に表示された場合において,上記閲覧者が当該表示された画像をクリックすれば,上記著作者名の表示がある元の画像を見ることができるとしても,次の(1),(2)など判示の事情の下では,上記投稿をした者が著作者名を表示したことにはならない。
(1) 上記著作者名の表示がある元の画像は,上記ウェブページとは別個のウェブページで見ることができるにとどまる。
(2) 上記閲覧者が当該表示された画像を通常クリックするといえるような事情はうかがわれない。
3 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項〈著作物の公表〉に基づく発信者情報の開示請求をする者が,インターネット上の情報ネットワークにおいてされた同人の著作物である写真の画像の掲載を含む投稿により,上記写真に係る氏名表示権を侵害された場合において,上記投稿により,上記画像ファイルへのリンク及びその画像表示の仕方の指定に係るHTML(ウェブページの構造等を記述する言語)等のデータが特定電気通信設備の記録媒体に記録されて上記投稿に係るウェブページの閲覧者の端末に送信され,これにより,リンク先のサーバーから上記端末に上記画像のデータが送信された上,上記端末において上記指定に従って上記画像が一部切除された形で表示された結果,上記画像に付された著作者名が表示されなくなり,上記氏名表示権の侵害がもたらされたという事情の下では,上記投稿をした者は,同項の「侵害情報の発信者」に該当し,かつ,同項1号の「侵害情報の流通によって」上記開示請求をする者の権利を侵害したものといえる。
(2につき補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第三小法廷 令和2年7月21日 平成30(受)1412
登載
民集 第74巻4号1407頁
参照法条
(1~3につき)著作権法19条1項 (1につき)著作権法21条,著作権法22条,著作権法23条,著作権法24条,著作権法25条,著作権法26条,著作権法26条の2(第2項を除く。),著作権法26条の3,著作権法27条 (2につき)著作権法19条2項 (3につき)特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律2条4号,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

著作権法 第21条(複製権) 詳細ページ
(複製権)
第二十一条著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。
著作権法 第96条(複製権) 詳細ページ
(複製権)
第九十六条レコード製作者は、そのレコードを複製する権利を専有する。
著作権法 第98条(複製権) 詳細ページ
(複製権)
第九十八条放送事業者は、その放送又はこれを受信して行なう有線放送を受信して、その放送に係る音又は影像を録音し、録画し、又は写真その他これに類似する方法により複製する権利を専有する。
著作権法 第100_2条(複製権) 詳細ページ
(複製権)
第百条の二有線放送事業者は、その有線放送を受信して、その有線放送に係る音又は影像を録音し、録画し、又は写真その他これに類似する方法により複製する権利を専有する。
著作権法 第47_7条(複製権の制限により作成された複製物の譲渡) 詳細ページ
(複製権の制限により作成された複製物の譲渡)
第四十七条の七第三十条の二第二項、第三十条の三、第三十条の四、第三十一条第一項(第一号に係る部分に限る。以下この条において同じ。)若しくは第七項(第一号に係る部分に限る。以下この条において同じ。)、第三十二条、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十三条の二第一項、第三十三条の三第一項若しくは第四項、第三十四条第一項、第三十五条第一項、第三十六条第一項、第三十七条、第三十七条の二(第二号を除く。以下この条において同じ。)、第三十九条第一項、第四十条第一項若しくは第二項、第四十一条、第四十一条の二第一項、第四十二条、第四十二条の二第一項、第四十二条の三、第四十二条の四第二項、第四十六条、第四十七条第一項若しくは第三項、第四十七条の二、第四十七条の四又は第四十七条の五の規定により複製することができる著作物は、これらの規定の適用を受けて作成された複製物(第三十一条第一項若しくは第七項、第三十六条第一項、第四十一条の二第一項、第四十二条又は第四十二条の二第一項の規定に係る場合にあつては、映画の著作物の複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を含む。以下この条において同じ。)を除く。)の譲渡により公衆に提供することができる。ただし、第三十条の三、第三十一条第一項若しくは第七項、第三十三条の二第一項、第三十三条の三第一項若しくは第四項、第三十五条第一項、第三十七条第三項、第三十七条の二、第四十一条、第四十一条の二第一項、第四十二条、第四十二条の二第一項、第四十二条の三、第四十二条の四第二項、第四十七条第一項若しくは第三項、第四十七条の二、第四十七条の四若しくは第四十七条の五の規定の適用を受けて作成された著作物の複製物(第三十一条第一項若しくは第七項、第四十一条の二第一項、第四十二条又は第四十二条の二第一項の規定に係る場合にあつては、映画の著作物の複製物を除く。)を第三十条の三、第三十一条第一項若しくは第七項、第三十三条の二第一項、第三十三条の三第一項若しくは第四項、第三十五条第一項、第三十七条第三項、第三十七条の二、第四十一条、第四十一条の二第一項、第四十二条、第四十二条の二第一項、第四十二条の三、第四十二条の四第二項、第四十七条第一項若しくは第三項、第四十七条の二、第四十七条の四若しくは第四十七条の五に定める目的以外の目的のために公衆に譲渡する場合又は第三十条の四の規定の適用を受けて作成された著作物の複製物を当該著作物に表現された思想若しくは感情を自ら享受し若しくは他人に享受させる目的のために公衆に譲渡する場合は、この限りでない。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。