不正競争防止法 / テーマ別まとめ

国際約束に基づく禁止行為

国際約束に基づく禁止行為の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

不正競争防止法は、パリ条約などの国際約束を踏まえ、外国の国旗・紋章や国際機関の標章を無断で商標として使用する行為、外国公務員等に対する不正な利益供与を禁止しています。ここでは第16条から第18条までの禁止行為について、対象・禁止される行為・例外の有無を整理します。

国際約束に基づく禁止行為
条文対象禁止される行為例外
16条1項外国国旗・紋章に類似する標章商標使用・譲渡・輸出入等外国官庁の許可があれば可
16条2項外国紋章原産地誤認させる使用外国官庁の許可があれば可
16条3項外国政府等の監督・証明記号同一・類似役務での商標使用外国官庁の許可があれば可
17条国際機関の標章関係誤認させる商標使用国際機関の許可があれば可
18条外国公務員等職務関連の利益供与・申込み・約束例外なし
  • 16条は商標としての使用のほか、譲渡・引渡し・展示・輸出入・電気通信回線提供・役務提供も対象になる
  • 16条3項は外国政府等記号が用いられている商品・役務と同一・類似の範囲に限定される
  • 17条の国際機関は政府間国際機関及びこれに準ずるものとして経済産業省令で定めるものに限る
  • 18条の外国公務員等は号ごとに範囲が定められ、法人の場合は議決権株式・出資の50%超保有や役員過半数の任命等の要件がある
  • 許可を出す主体は16条・17条で異なる(外国官庁か国際機関か)
  • 16条・17条の商標使用禁止は経済産業省令で定める標章等が対象となる
1

国際約束に基づく禁止行為

国際約束に基づく禁止行為について、条文は何を定めているか。

第16条外国の国旗等の商業上の使用禁止外国国旗・紋章等を商標に使うのを禁止3項判例なし
  • 外国国旗や紋章に似た標章を商標として使うと違法になる
  • 商品の譲渡・輸出入・役務提供なども禁止対象になる
  • 外国政府の監督・証明用記号にも同様の規制がある
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第17条国際機関の標章の商業上の使用禁止国際機関の標章を誤認させる使用の禁止1項判例なし
  • 国際機関と関係があると誤認させる標章の商標使用を禁止する
  • 該当商品の譲渡・輸出入・役務提供も同様に禁止される
  • その国際機関の許可があれば使用できる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第18条外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止外国公務員への不正な利益供与を禁止2項・5号判例 1件
  • 商取引上の不正な利益を得る目的の金銭供与などを禁止する
  • 供与だけでなく申込みや約束も禁止対象になる
  • 外国公務員等には外国政府職員や国際機関職員なども含む
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第18条不正競争防止法

外国公務員等に対して金銭を供与したという不正競争防止法違反の罪について、共謀の成立を認めた第1審判決に事実誤認があるとした原判決に、刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例

裁判要旨外国公務員等に対して金銭を供与したという不正競争防止法違反の罪について、被告人の地位及び立場、被告人が同供与に関する相談を受けるに至った経緯及びこれに対する被告人の言動並びにその相談後に同供与が実行されたという経過等を総合考慮して、被告人が同供与を了承し、これを実行する意思決定に関与したとして共謀の成立を認めた第1審判決に事実誤認があるとした原判決は、共謀を基礎付ける事実関係となる上記の諸事情に対する評価を十分示さないまま、主として同供与を積極的に容認する意思の有無という観点から検討し、第1審判決の認定が不合理であるとする説得的な論拠を示していないなど、第1審判決が論理則、経験則等に照らして不合理であることを十分に示したものとはいえず(判文参照)、刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があり、同法411条1号により破棄を免れない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 令和4年5月20日 令和2(あ)1135
登載
刑集 第76巻4号452頁
参照法条
刑法60条、不正競争防止法18条1項、不正競争防止法21条2項7号、刑訴法382条、刑訴法411条1号
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

不正競争防止法 第16条(外国の国旗等の商業上の使用禁止) 詳細ページ
(外国の国旗等の商業上の使用禁止)
第十六条何人も、外国の国旗若しくは国の紋章その他の記章であって経済産業省令で定めるもの(以下「外国国旗等」という。)と同一若しくは類似のもの(以下「外国国旗等類似記章」という。)を商標として使用し、又は外国国旗等類似記章を商標として使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくは外国国旗等類似記章を商標として使用して役務を提供してはならない。ただし、その外国国旗等の使用の許可(許可に類する行政処分を含む。以下同じ。)を行う権限を有する外国の官庁の許可を受けたときは、この限りでない。
2前項に規定するもののほか、何人も、商品の原産地を誤認させるような方法で、同項の経済産業省令で定める外国の国の紋章(以下「外国紋章」という。)を使用し、又は外国紋章を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくは外国紋章を使用して役務を提供してはならない。ただし、その外国紋章の使用の許可を行う権限を有する外国の官庁の許可を受けたときは、この限りでない。
3何人も、外国の政府若しくは地方公共団体の監督用若しくは証明用の印章若しくは記号であって経済産業省令で定めるもの(以下「外国政府等記号」という。)と同一若しくは類似のもの(以下「外国政府等類似記号」という。)をその外国政府等記号が用いられている商品若しくは役務と同一若しくは類似の商品若しくは役務の商標として使用し、又は外国政府等類似記号を当該商標として使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくは外国政府等類似記号を当該商標として使用して役務を提供してはならない。ただし、その外国政府等記号の使用の許可を行う権限を有する外国の官庁の許可を受けたときは、この限りでない。
不正競争防止法 第17条(国際機関の標章の商業上の使用禁止) 詳細ページ
(国際機関の標章の商業上の使用禁止)
第十七条何人も、その国際機関(政府間の国際機関及びこれに準ずるものとして経済産業省令で定める国際機関をいう。以下この条において同じ。)と関係があると誤認させるような方法で、国際機関を表示する標章であって経済産業省令で定めるものと同一若しくは類似のもの(以下「国際機関類似標章」という。)を商標として使用し、又は国際機関類似標章を商標として使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくは国際機関類似標章を商標として使用して役務を提供してはならない。ただし、この国際機関の許可を受けたときは、この限りでない。
不正競争防止法 第18条(外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止) 詳細ページ
(外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止)
第十八条何人も、外国公務員等に対し、国際的な商取引に関して営業上の不正の利益を得るために、その外国公務員等に、その職務に関する行為をさせ若しくはさせないこと、又はその地位を利用して他の外国公務員等にその職務に関する行為をさせ若しくはさせないようにあっせんをさせることを目的として、金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をしてはならない。
2前項において「外国公務員等」とは、次に掲げる者をいう。
一外国の政府又は地方公共団体の公務に従事する者
二公共の利益に関する特定の事務を行うために外国の特別の法令により設立されたものの事務に従事する者
三一又は二以上の外国の政府又は地方公共団体により、発行済株式のうち議決権のある株式の総数若しくは出資の金額の総額の百分の五十を超える当該株式の数若しくは出資の金額を直接に所有され、又は役員(取締役、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で事業の経営に従事しているものをいう。)の過半数を任命され若しくは指名されている事業者であって、その事業の遂行に当たり、外国の政府又は地方公共団体から特に権益を付与されているものの事務に従事する者その他これに準ずる者として政令で定める者
四国際機関(政府又は政府間の国際機関によって構成される国際機関をいう。次号において同じ。)の公務に従事する者
五外国の政府若しくは地方公共団体又は国際機関の権限に属する事務であって、これらの機関から委任されたものに従事する者
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。