労働契約法 / テーマ別まとめ

期間の定めのある労働契約

期間の定めのある労働契約の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

期間の定めのある労働契約(有期労働契約)について、契約期間中の解雇制限、通算契約期間が5年を超えた場合の無期労働契約への転換、そして雇止めの制限という3つの場面のルールを整理しています。使用者は契約期間中はやむを得ない事由がなければ解雇できず、更新を繰り返す有期契約の雇止めにも一定の要件のもとで制限がかかり、通算5年を超えれば労働者の申込みにより無期契約に転換します。

期間の定めのある労働契約
場面条文要件効果
契約期間中の解雇17条1項やむを得ない事由期間満了まで解雇不可
短期契約の反復更新17条2項必要以上に短い期間の設定反復更新しないよう配慮
無期労働契約への転換18条通算契約期間が5年超+転換の申込み無期契約への転換をみなし承諾
雇止め(解雇と同視)19条1号過去に反復更新+解雇と同視できる客観的合理性等なければ更新とみなす
雇止め(更新期待)19条2号更新への合理的期待がある客観的合理性等なければ更新とみなす
  • 通算契約期間の計算では、契約と契約の間の空白期間が一定以上あるとそれ以前の期間を通算に含めない(18条2項)。
  • 空白期間の長さの基準(原則6か月、直前契約が1年未満の場合は別基準)は厚生労働省令で定められる。
  • 無期転換後の労働条件は、契約期間を除き従前の有期契約と同一が原則だが、別段の定めがある部分は除く(18条1項)。
  • 19条の申込みは、契約期間満了日までの更新申込み、または満了後遅滞ない締結申込みの場合が対象。
  • 17条2項の配慮義務は反復更新を避けるよう努めることを求めるもので、具体的な効果は条文上明記されていない。
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期間の定めのある労働契約

期間の定めのある労働契約について、条文は何を定めているか。

第17条契約期間中の解雇等契約期間中は原則解雇できない2項判例 1件
  • やむを得ない事由がない限り期間満了前に解雇できない
  • 必要以上に短い期間を定めて反復更新しないよう配慮する義務がある
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第18条有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換通算5年超で無期契約に転換できる2項判例 2件
  • 同一使用者との有期契約の通算契約期間が5年を超えると対象になる
  • 満了日までに申込めば使用者は承諾したものとみなされる
  • 転換後の労働条件は契約期間以外は従前と同一が原則
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第19条有期労働契約の更新等雇止めも解雇と同様に制限される場合がある1項・2号判例 1件
  • 反復更新で解雇と社会通念上同視できる場合は拒絶に理由が必要
  • 更新されると期待する合理的理由がある場合も同様に制限される
  • 満了日までの更新申込みか満了後遅滞ない申込みが対象
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第17条労働契約法

有期労働契約を締結していた労働者が労働契約上の地位の確認等を求める訴訟において,契約期間の満了により当該契約の終了の効果が発生するか否かを判断せずに請求を認容した原審の判断に違法があるとされた事例

裁判要旨有期労働契約を締結していた労働者が解雇の無効を主張して労働契約上の地位の確認及び解雇の日以降の賃金の支払を求める訴訟において,当該解雇が無効であると判断するのみで,当該契約の契約期間が満了した事実をしんしゃくせず,当該契約期間の満了により当該契約の終了の効果が発生するか否かを判断することなく,当該契約期間の満了後である原審口頭弁論終結時における労働者の労働契約上の地位の確認請求及び当該契約期間の満了後の賃金の支払請求を認容した原審の判断には,判断遺脱の違法がある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 令和元年11月7日 平成30(受)755
登載
集民 第262号151頁
参照法条
民訴法246条,労働契約法17条1項
論点2第18条労働契約法

私立大学の教員に係る期間1年の有期労働契約が3年の更新限度期間の満了後に期間の定めのないものとなったとはいえないとされた事例

裁判要旨私立大学の教員に係る期間1年の有期労働契約は,①当該労働契約において,3年の更新限度期間の満了時に労働契約を期間の定めのないものとすることができるのは,これを希望する教員の勤務成績を考慮して当該大学を運営する学校法人が必要であると認めた場合である旨が明確に定められており,当該教員もこのことを十分に認識した上で当該労働契約を締結したものとみることができること,②大学の教員の雇用については一般に流動性のあることが想定されていること,③当該学校法人が運営する三つの大学において,3年の更新限度期間の満了後に労働契約が期間の定めのないものとならなかった教員も複数に上っていたことなど判示の事情の下においては,当該労働契約に係る上記3年の更新限度期間の満了後に期間の定めのないものとなったとはいえない。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成28年12月1日 平成27(受)589
登載
集民 第254号21頁
参照法条
労働契約法6条,労働契約法18条
論点3第18条労働契約法

大学の講師の職が大学の教員等の任期に関する法律4条1項1号〈労働契約の内容の理解の促進〉所定の教育研究組織の職に当たるとされた事例

裁判要旨大学の人間生活学部人間生活学科生活福祉コースにおいて、介護福祉士等の資格及びその実務経験を有する教員により、介護実習、レクリエーション現場実習といった授業等が実施されていたなど判示の事情の下においては、上記コースの講師の職は、大学の教員等の任期に関する法律4条1項1号〈労働契約の内容の理解の促進〉所定の教育研究組織の職に当たる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 令和6年10月31日 令和5(受)906
登載
集民 第271号199頁
参照法条
大学の教員等の任期に関する法律4条1項1号、大学の教員等の任期に関する法律5条1項、大学の教員等の任期に関する法律7条1項、労働契約法18条1項
論点4第19条労働契約法

1 郵便関連業務に従事する期間雇用社員について満65歳に達した日以後は有期労働契約を更新しない旨の就業規則の定めが労働契約法7条にいう合理的な労働条件を定めるものであるとされた事例
2 郵政民営化法に基づき設立されて日本郵政公社の業務等を承継した株式会社がその設立時に定めた就業規則により同公社当時の労働条件を変更したものとはいえないとされた事例
3 期間雇用社員に係る有期労働契約が雇止めの時点において実質的に期間の定めのない労働契約と同視し得る状態にあったということはできないとされた事例

裁判要旨1 郵便関連業務に従事する期間雇用社員について満65歳に達した日以後は有期労働契約を更新しない旨の就業規則の定めは,次の⑴,⑵など判示の事情の下においては,労働契約法7条〈労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させてい…〉にいう合理的な労働条件を定めるものである。
⑴ 上記期間雇用社員の従事する業務は屋外業務,立った状態での作業,機動車の乗務,機械操作等であるところ,当該就業規則の定めは,高齢の期間雇用社員について,これらの業務に対する適性が加齢により逓減し得ることを前提に,その雇用管理の方法を定めたものである。
⑵ 当該就業規則の定めの内容は,高年齢者等の雇用の安定等に関する法律に抵触するものではない。
2 日本郵政公社の非常勤職員であった者が郵政民営化法に基づき設立されて同公社の業務等を承継した株式会社と有期労働契約を締結して期間雇用社員として勤務している場合において,当該株式会社は,当該株式会社が同公社とは法的性格を異にしていること,当該者が同公社の解散する前に同公社を退職していることなど判示の事情の下においては,期間雇用社員について満65歳に達した日以後は有期労働契約を更新しない旨をその設立時の就業規則に定めたことにより,同公社当時の労働条件を変更したものということはできない。
3 期間雇用社員に係る有期労働契約は,満65歳に達した日以後は有期労働契約を更新しない旨の就業規則の定めが当該労働契約の内容になっていること,期間雇用社員が雇止めの時点で満65歳に達していたことなど判示の事情の下においては,当該時点において,実質的に期間の定めのない労働契約と同視し得る状態にあったということはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成30年9月14日 平成29(受)347
登載
集民 第259号89頁
参照法条
(1につき)労働契約法7条,高年齢者等の雇用の安定等に関する法律8条,高年齢者等の雇用の安定等に関する法律9条1項 (2につき)労働契約法10条,郵政民営化法167条 (3につき)労働契約法19条1号
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

労働契約法 第17条(契約期間中の解雇等) 詳細ページ
(契約期間中の解雇等)
第十七条使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。
2使用者は、有期労働契約について、その有期労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その有期労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない。
労働契約法 第18条(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換) 詳細ページ
(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)
第十八条同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。
2当該使用者との間で締結された一の有期労働契約の契約期間が満了した日と当該使用者との間で締結されたその次の有期労働契約の契約期間の初日との間にこれらの契約期間のいずれにも含まれない期間(これらの契約期間が連続すると認められるものとして厚生労働省令で定める基準に該当する場合の当該いずれにも含まれない期間を除く。以下この項において「空白期間」という。)があり、当該空白期間が六月(当該空白期間の直前に満了した一の有期労働契約の契約期間(当該一の有期労働契約を含む二以上の有期労働契約の契約期間の間に空白期間がないときは、当該二以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間。以下この項において同じ。)が一年に満たない場合にあっては、当該一の有期労働契約の契約期間に二分の一を乗じて得た期間を基礎として厚生労働省令で定める期間)以上であるときは、当該空白期間前に満了した有期労働契約の契約期間は、通算契約期間に算入しない。
労働契約法 第19条(有期労働契約の更新等) 詳細ページ
(有期労働契約の更新等)
第十九条有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。
一当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。
二当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。
出

一次情報

原文ママ

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