労働関係調整法 / テーマ別まとめ

争議行為の制限禁止等

争議行為の制限禁止等の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

労働関係調整法は、安全保持施設の正常な維持・運行を止める行為を争議行為としても禁止し、公益事業における争議行為には事前通知や緊急調整後の禁止期間などの制限を課しています。あわせて、これらの制限に違反した場合の罰金の定めや、調停・仲裁の公正な進行を妨げる者への対応も規定しています。

争議行為の制限禁止等
条文制限の内容期限・期間違反時の罰金
36条安全保持施設の停廃・妨害は禁止常時規定なし
37条公益事業の争議は事前通知が必要10日前までに通知10万円以下(39条)
38条緊急調整の公表後は争議行為禁止公表から50日間20万円以下(40条)
  • 37条の通知先は労働委員会及び厚生労働大臣又は都道府県知事
  • 緊急調整の決定があった事件では、38条の期間経過後でなければ37条の通知はできない
  • 罰金は違反行為に責任のある者に科され、法人は役員、法人でない団体は代表者に適用される
  • 一個の争議行為に科す罰金の総額は、39条は10万円、40条は20万円が上限
  • 解散した団体も、罰金の適用についてはなお存続するものとみなす
  • 39条の罪は、労働委員会の請求を待って論じる
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争議行為の制限禁止等

争議行為の制限禁止等について、条文は何を定めているか。

第36条安全保持施設を止める行為は禁止1項判例 1件
  • 工場・事業場の安全保持施設の正常な維持・運行を止める行為は不可
  • 争議行為としてであっても認められない
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第37条公益事業の争議は10日前までに通知2項判例なし
  • 争議行為をする日の少なくとも10日前までに労働委員会と厚生労働大臣又は都道府県知事へ通知
  • 緊急調整の決定が公表された事件は、38条〈緊急調整の決定をなした旨の公表があつたときは、関係当事者は、公表の日から五十日間は、争議行為をなすことができない。〉の期間経過後でないと通知できない
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第38条緊急調整の公表後50日間は争議行為禁止1項判例なし
  • 緊急調整の決定をした旨が公表された日から50日間、争議行為は一切できない
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第39条37条〈公益事業に関する事件につき関係当事者が争議行為をするには、その争議行為をしようとする日の少なくとも十日前までに、労働委員…〉違反は10万円以下の罰金4項判例なし
  • 違反行為に責任のある使用者・団体、労働者の団体等に10万円以下の罰金
  • 法人は役員、法人でない団体は代表者その他業務執行役員に適用
  • 一個の争議行為の罰金総額は10万円が上限(解散団体もなお存続する扱い)
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第40条38条〈緊急調整の決定をなした旨の公表があつたときは、関係当事者は、公表の日から五十日間は、争議行為をなすことができない。〉違反は20万円以下の罰金2項判例 1件
  • 違反行為に責任のある使用者・団体、労働者の団体等に20万円以下の罰金
  • 39条2項〈第三十七条の規定の違反があつた場合においては、その違反行為について責任のある使用者若しくはその団体、労働者の団体又はその…〉から4項を準用し、罰金額は20万円に読み替え
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第41条削除(現在は内容なし)1項判例なし
  • 条文は削除されており、現在は規定内容がない
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第42条39条〈第三十七条の規定の違反があつた場合においては、その違反行為について責任のある使用者若しくはその団体、労働者の団体又はその…〉の罪は労働委員会の請求が必要1項判例なし
  • 39条〈第三十七条の規定の違反があつた場合においては、その違反行為について責任のある使用者若しくはその団体、労働者の団体又はその…〉の罪は、労働委員会の請求を待って論じる
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第43条調停・仲裁の進行を妨げる者に退場命令1項判例なし
  • 調停委員会又は仲裁委員会の委員長は、公正な進行を妨げる者に退場を命じられる
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第36条労働関係調整法

一 精神病院の薬剤師、看護人らが争議行為として投配薬、看護等の業務を放棄することは、労働関係調整法第三六条〈工場事業場における安全保持の施設の正常な維持又は運行を停廃し、又はこれを妨げる行為は、争議行為としてでもこれをなすことは…〉に違反するか。
二 精神病院従業員の争議行為の正当性の限界。

裁判要旨一 精神病院の薬剤師、看護人、看護婦が争議行為として投配薬、診療の補助、看護等の業務を放棄することは、労働関係調整法第三六条〈工場事業場における安全保持の施設の正常な維持又は運行を停廃し、又はこれを妨げる行為は、争議行為としてでもこれをなすことは…〉に違反しない。
二 精神病院の従業員が争議行為を行うにあたつては、予め患者の生命・身体の保全に遺憾なきを期するとともに、患者の身体・精神の回復をはかるべき病院の使命に対する管理者側の真摯な努力にもかかわらず、緊急事態発生の客観的危険性が現われた場合には、その善後措置に協力すべき義務があり、右保全の措置を怠りまたは右協力義務に違反すれば、争議行為は、正当性の範囲を逸脱するものと解すべきであるが、単に争議行為により患者の治療に支障を来たす事態が発生したというだけの理由で、直ちにその争議行為が不当になるものとはいえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年8月4日 昭和36(オ)1379
登載
民集 第18巻7号1263頁
参照法条
労働関係調整法36条,労働組合法7条1号
論点2第40条労働関係調整法

一 旧労働関係調整法(昭和二一年法律第二五号)第四〇条の「調整」の意義
二 旧労働関係調整法(昭和二一年法律第二五号)第四〇条により労働者を解雇するについて労働委員会の同意を要する場合
三 単一労働組合の解散とその一構成分子である支部、使用者間の団体協約の効力
四 労働組合解散後の団体協約中解雇承認条項のいわゆる予後効の問題

五 違法な争議行為の一事例。

六 労働基準法第一〇六条違反と就業規則の効力。

七 違法な争議行為を理由に就業規則により労働者を解雇することの当否。

裁判要旨一 旧労働関係調整法(昭和二一年法律第二五号)第四〇条の「調整」とは、同法所定の斡旋員または労働委員会によつてなされる正規の斡旋、調停、仲裁による調整を指すものと解すべきである。
二 旧労働関係調整法(昭和二一年法律第二五号)第四〇条により労働者の解雇または不利益取扱いについて労働委員会の同意を要するのは、正規の調整の行われている場合にかぎると解すべきである。
三 単一労働組合が解散消滅した以上、その単一組合の一構成分子にすぎない支部と使用者間の団体協約も、特段の事情のないかぎり、効力を失うものと認めるのを相当とする。
四 労働組合消滅後は、団体協約中の解雇承認条項も効力を失うものと解すべきである。

五 「会社は正当な争議行為中の支部員の部署を他の如何なる者を以てしても代置することが出来ない。」と定めてある団体協約失効後、組合員外の者の作業を妨害することは、違法な争議行為である。

六 労働基準法第一〇六条第一項所定の就業規則の周知方法を欠いても、右就業規則の効力を否定することはできない。

七 就業規則違反の行為が平和時でなく、争議行為時に生じたものであつても、違法な争議行為を理由に就業規則を適用し解雇する妨げとなるものではない。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和27年10月22日 昭和24(オ)105
登載
民集 第6巻9号857頁
参照法条
旧労働関係調整法(昭和21年法律25号)40条,旧労働組合法(昭和20年法律51号)21条,旧労働組合法(昭和20年法律51号)11条,労働基準法106条,労働基準法89条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

労働関係調整法 第36条 詳細ページ
第三十六条工場事業場における安全保持の施設の正常な維持又は運行を停廃し、又はこれを妨げる行為は、争議行為としてでもこれをなすことはできない。
労働関係調整法 第37条 詳細ページ
第三十七条公益事業に関する事件につき関係当事者が争議行為をするには、その争議行為をしようとする日の少なくとも十日前までに、労働委員会及び厚生労働大臣又は都道府県知事にその旨を通知しなければならない。
2緊急調整の決定があつた公益事業に関する事件については、前項の規定による通知は、第三十八条に規定する期間を経過した後でなければこれをすることができない。
労働関係調整法 第38条 詳細ページ
第三十八条緊急調整の決定をなした旨の公表があつたときは、関係当事者は、公表の日から五十日間は、争議行為をなすことができない。
労働関係調整法 第39条 詳細ページ
第三十九条第三十七条の規定の違反があつた場合においては、その違反行為について責任のある使用者若しくはその団体、労働者の団体又はその他の者若しくはその団体は、これを十万円以下の罰金に処する。
2前項の規定は、そのものが、法人であるときは、理事、取締役、執行役その他法人の業務を執行する役員に、法人でない団体であるときは、代表者その他業務を執行する役員にこれを適用する。
3一個の争議行為に関し科する罰金の総額は、十万円を超えることはできない。
4法人、法人でない使用者又は労働者の組合、争議団等の団体であつて解散したものに、第一項の規定を適用するについては、その団体は、なほ存続するものとみなす。
労働関係調整法 第40条 詳細ページ
第四十条第三十八条の規定の違反があつた場合においては、その違反行為について責任のある使用者若しくはその団体、労働者の団体又はその他の者若しくはその団体は、これを二十万円以下の罰金に処する。
2前条第二項から第四項までの規定は、前項の場合に準用する。この場合において同条第三項中「十万円」とあるのは、「二十万円」と読み替へるものとする。
労働関係調整法 第41条 詳細ページ
第四十一条削除
労働関係調整法 第42条 詳細ページ
第四十二条第三十九条の罪は、労働委員会の請求を待つてこれを論ずる。
労働関係調整法 第43条 詳細ページ
第四十三条調停又は仲裁をなす場合において、その公正な進行を妨げる者に対しては、調停委員会の委員長又は仲裁委員会の委員長は、これに退場を命ずることができる。
出

一次情報

原文ママ

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