主要な判例
原文ママ裁判所が付した参照法条による機械照合で選定労働契約法未払賃金等支払請求上告,同附帯上告事件
- 位置づけ
- 最高裁 / 民集登載
- 事件番号
- 平成28(受)2099
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成30年6月1日 その他
- 登載
- 民集 第72巻2号88頁
- 参照法条
- 労働契約法20条
- 判示事項
- 1 有期契約労働者と無期契約労働者との労働条件の相違が労働契約法20条に違反する場合における当該有期契約労働者の労働条件の帰すう 2 労働契約法20条にいう「期間の定めがあることにより」の意義 3 労働契約法20条にいう「不合理と認められるもの」の意義 4 無期契約労働者に対して皆勤手当を支給する一方で有期契約労働者に対してこれを支給しないという労働条件の相違が,労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たるとされた事例
裁判要旨1 有期契約労働者と無期契約労働者との労働条件の相違が労働契約法20条に違反する場合であっても,同条の効力により当該有期契約労働者の労働条件が比較の対象である無期契約労働者の労働条件と同一のものとなるものではない。
2 労働契約法20条にいう「期間の定めがあることにより」とは,有期契約労働者と無期契約労働者との労働条件の相違が期間の定めの有無に関連して生じたものであることをいう。
3 労働契約法20条にいう「不合理と認められるもの」とは,有期契約労働者と無期契約労働者との労働条件の相違が不合理であると評価することができるものであることをいう。
4 乗務員のうち無期契約労働者に対して皆勤手当を支給する一方で,有期契約労働者に対してこれを支給しないという労働条件の相違は,次の(1)~(3)など判示の事情の下においては,労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たる。
(1) 上記皆勤手当は,出勤する乗務員を確保する必要があることから,皆勤を奨励する趣旨で支給されるものである。
(2) 乗務員については,有期契約労働者と無期契約労働者の職務の内容が異ならない。
(3) 就業規則等において,有期契約労働者は会社の業績と本人の勤務成績を考慮して昇給することがあるが,昇給しないことが原則であるとされている上,皆勤の事実を考慮して昇給が行われたとの事情もうかがわれない。
2 労働契約法20条にいう「期間の定めがあることにより」とは,有期契約労働者と無期契約労働者との労働条件の相違が期間の定めの有無に関連して生じたものであることをいう。
3 労働契約法20条にいう「不合理と認められるもの」とは,有期契約労働者と無期契約労働者との労働条件の相違が不合理であると評価することができるものであることをいう。
4 乗務員のうち無期契約労働者に対して皆勤手当を支給する一方で,有期契約労働者に対してこれを支給しないという労働条件の相違は,次の(1)~(3)など判示の事情の下においては,労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たる。
(1) 上記皆勤手当は,出勤する乗務員を確保する必要があることから,皆勤を奨励する趣旨で支給されるものである。
(2) 乗務員については,有期契約労働者と無期契約労働者の職務の内容が異ならない。
(3) 就業規則等において,有期契約労働者は会社の業績と本人の勤務成績を考慮して昇給することがあるが,昇給しないことが原則であるとされている上,皆勤の事実を考慮して昇給が行われたとの事情もうかがわれない。
労働契約法地位確認等請求事件
- 位置づけ
- 最高裁 / 民集登載
- 事件番号
- 平成29(受)442
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成30年6月1日 その他
- 登載
- 民集 第72巻2号202頁
- 参照法条
- 労働契約法20条
- 判示事項
- 1 有期契約労働者が定年退職後に再雇用された者であることと労働契約法20条にいう「その他の事情」 2 有期契約労働者と無期契約労働者との個々の賃金項目に係る労働条件の相違が労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たるか否かについての判断の方法 3 無期契約労働者に対して能率給及び職務給を支給する一方で定年退職後に再雇用された有期契約労働者に対して能率給及び職務給を支給せずに歩合給を支給するという労働条件の相違が,労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たらないとされた事例
裁判要旨1 有期契約労働者が定年退職後に再雇用された者であることは,当該有期契約労働者と無期契約労働者との労働条件の相違が不合理と認められるものであるか否かの判断において,労働契約法20条にいう「その他の事情」として考慮されることとなる事情に当たる。
2 有期契約労働者と無期契約労働者との個々の賃金項目に係る労働条件の相違が労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たるか否かを判断するに当たっては,両者の賃金の総額を比較することのみによるのではなく,当該賃金項目の趣旨を個別に考慮すべきである。
3 乗務員である無期契約労働者に対して能率給及び職務給を支給する一方で,定年退職後に再雇用された乗務員である有期契約労働者に対して能率給及び職務給を支給せずに歩合給を支給するという労働条件の相違は,両者の職務の内容並びに当該職務の内容及び配置の変更の範囲が同一である場合であっても,次の⑴~⑹など判示の事情の下においては,労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たらない。
⑴ 有期契約労働者に支給される基本賃金の額は,当該有期契約労働者の定年退職時における基本給の額を上回っている。
⑵ 有期契約労働者に支給される歩合給及び無期契約労働者に支給される能率給の額は,いずれもその乗務するバラセメントタンク車の種類に応じた係数を月稼働額に乗ずる方法によって計算するものとされ,歩合給に係る係数は,能率給に係る係数の約2倍から約3倍に設定されている。
⑶ 団体交渉を経て,有期契約労働者の基本賃金が増額され,歩合給に係る係数の一部が有期契約労働者に有利に変更されている。
⑷ 有期契約労働者の賃金体系は,乗務するバラセメントタンク車の種類に応じて額が定められる職務給を支給しない代わりに,前記⑴により収入の安定に配慮するとともに,前記⑵により労務の成果が賃金に反映されやすくなるように工夫されたものである。
⑸ 有期契約労働者に支給された基本賃金及び歩合給を合計した金額並びに当該有期契約労働者の賃金に関する労働条件が無期契約労働者と同じであるとした場合に支払われることとなる基本給,能率給及び職務給を合計した金額を計算すると,前者の金額は後者の金額より少ないが,その差は約2%から約12%にとどまる。
⑹ 有期契約労働者は,一定の要件を満たせば老齢厚生年金の支給を受けることができる上,その報酬比例部分の支給が開始されるまでの間,調整給の支給を受けることができる。
2 有期契約労働者と無期契約労働者との個々の賃金項目に係る労働条件の相違が労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たるか否かを判断するに当たっては,両者の賃金の総額を比較することのみによるのではなく,当該賃金項目の趣旨を個別に考慮すべきである。
3 乗務員である無期契約労働者に対して能率給及び職務給を支給する一方で,定年退職後に再雇用された乗務員である有期契約労働者に対して能率給及び職務給を支給せずに歩合給を支給するという労働条件の相違は,両者の職務の内容並びに当該職務の内容及び配置の変更の範囲が同一である場合であっても,次の⑴~⑹など判示の事情の下においては,労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たらない。
⑴ 有期契約労働者に支給される基本賃金の額は,当該有期契約労働者の定年退職時における基本給の額を上回っている。
⑵ 有期契約労働者に支給される歩合給及び無期契約労働者に支給される能率給の額は,いずれもその乗務するバラセメントタンク車の種類に応じた係数を月稼働額に乗ずる方法によって計算するものとされ,歩合給に係る係数は,能率給に係る係数の約2倍から約3倍に設定されている。
⑶ 団体交渉を経て,有期契約労働者の基本賃金が増額され,歩合給に係る係数の一部が有期契約労働者に有利に変更されている。
⑷ 有期契約労働者の賃金体系は,乗務するバラセメントタンク車の種類に応じて額が定められる職務給を支給しない代わりに,前記⑴により収入の安定に配慮するとともに,前記⑵により労務の成果が賃金に反映されやすくなるように工夫されたものである。
⑸ 有期契約労働者に支給された基本賃金及び歩合給を合計した金額並びに当該有期契約労働者の賃金に関する労働条件が無期契約労働者と同じであるとした場合に支払われることとなる基本給,能率給及び職務給を合計した金額を計算すると,前者の金額は後者の金額より少ないが,その差は約2%から約12%にとどまる。
⑹ 有期契約労働者は,一定の要件を満たせば老齢厚生年金の支給を受けることができる上,その報酬比例部分の支給が開始されるまでの間,調整給の支給を受けることができる。
条文原文
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