地方税法 / テーマ別まとめ

総則/還付

還付の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

このページは、地方団体の徴収金を納めすぎた場合(過誤納金)の扱いを定めた条文をまとめたものです。還付するか未納分に充当するかの振り分け、予納した額の還付制限、還付・充当にあわせて付ける還付加算金の計算ルールを扱います。

還付
区分内容期限・割合
還付(17条)過誤納金は遅滞なく還付遅滞なく
充当(17条の2)未納の徴収金へ優先充当延滞金分から先に充当
予納の特例(17条の3)予納は還付請求不可不要時に過誤納金扱い
還付加算金(17条の4)還付・充当に加算金付与年7.3%
  • 17条の2第2項:道府県と市町村が併せて徴収した個人住民税の過誤納金は、相互に充当できる特例がある
  • 17条の2第3項:充当対象の徴収金に延滞金があるときは、まず延滞金の基礎となる地方税に充当する
  • 17条の4第1項:起算日は過納金の区分(更正等・更正の請求・所得税更正起因・その他)ごとに異なる
  • 17条の4第2項:通知後30日超の未請求期間、差押え・仮差押えの期間は加算金の計算期間から控除する
  • 17条の3:予納として扱えるのは、納期未到来で額が確定している分、または近く確定が確実な分に限る
  • 17条の4第6項:個人住民税(一定のもの)と森林環境税に係る還付加算金は合算額で計算する
1

還付

還付について、条文は何を定めているか。

第17条過誤納金の還付過誤納金は遅滞なく還付する1項判例 3件
  • 地方団体の徴収金に納めすぎ(過誤納)があれば還付が必要
  • 還付の具体的な方法は政令で定める
  • 遅滞なく行う必要がある
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第17_2条過誤納金の充当未納の徴収金には還付でなく充当5項判例なし
  • 還付を受けるべき者に未納の徴収金があれば還付せず充当する
  • 延滞金があるときはまず延滞金の基礎となる地方税に充当
  • 充当したら納税者・特別徴収義務者へ通知が必要
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第17_2条過誤納金の充当未納の徴収金には還付でなく充当5項判例なし
  • 還付を受けるべき者に未納の徴収金があれば還付せず充当する
  • 延滞金があるときはまず延滞金の基礎となる地方税に充当
  • 充当したら納税者・特別徴収義務者へ通知が必要
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第17_3条地方税の予納額の還付の特例予納した額は原則還付請求できない2項・2号判例なし
  • 納期未到来で額確定済み、または近く確定確実な分の予納は還付請求不可
  • 納付不要になった場合はその時点で過誤納金とみなして扱う
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第17_4条還付加算金還付・充当には年7.3%の加算金を付す6項・7号判例なし
  • 還付加算金は年7.3%の割合で日数に応じて計算
  • 起算日は更正等の区分(4区分)によって異なる
  • 通知後30日超の未請求期間などは計算期間から控除
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第17条地方税法

法人でない社団の要件を具備すると認定してされた法人税等の更正が当然無効であるとはいえないとされた事例

裁判要旨無限連鎖講を主宰していた個人が,その事業主体が法人でない社団で代表者の定めがあるものになったとして,同社団名義で法人税,法人事業税,法人県民税及び法人市民税の申告をした場合につき,外形的事実に着目する限りにおいては,その社団というものが,意思決定機関,業務執行機関,代表機関等の団体としての組織を備え,その意思決定を多数決の原則で行い,定款の規定上は構成員の変更にかかわらず団体として存続するとされ,代表の方法,財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているようにみえるという事情の下においては,課税庁が法人でない社団の要件を具備すると認定してしたこれらの税の増額更正は,仮にその認定に誤りがあるとしても,誤認であることが上記各更正の成立の当初から外形上,客観的に明白であるとはいえず,また,上記個人が,税務対策等の観点から上記のとおり社団化を図り,その社団の名において事業活動を展開し,上記申告に係る税の納付により高額の所得税の負担を免れたなど判示の事情の下においては,上記個人に上記各更正による不利益を甘受させることが著しく不当と認められるような例外的な事情がある場合に該当せず,上記各更正は当然無効であるとはいえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成16年7月13日 平成12(行ヒ)32
登載
集民 第214号751頁
参照法条
行政事件訴訟法3条4項,国税通則法24条,国税通則法56条1項,法人税法(平成12年法律第14号による改正前のもの)4条1項,法人税法2条8号,法人税法3条,地方税法(昭和62年法律94号による改正前のもの)55条1項,地方税法(昭和62年法律94号による改正前のもの)321条の11第1項,地方税法(平成12年法律97号による改正前のもの)72条の39第1項,地方税法(平成15年法律第9号による改正前のもの)72条2項,地方税法17条,地方税法24条6項,地方税法294条8項
論点2第17条地方税法

課税処分の違法を理由とする国家賠償請求訴訟の提起及び追行に係る弁護士費用が当該処分と相当因果関係のある損害とされた事例

裁判要旨地方税の賦課決定を受けた者が,その税額等を納付した上で同決定について審査請求をし,裁決がされないまま約1年2か月が経過した後に当該賦課決定の違法を理由として国家賠償請求訴訟を提起したところ,ほどなく課税庁が当該賦課決定を取り消し,過誤納金の還付等が行われたなど判示の事実関係の下においては,当該訴訟の提起及び追行に係る弁護士費用のうち相当と認められる額の範囲内のものは,当該賦課決定と相当因果関係のある損害に当たる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成16年12月17日 平成16(受)633
登載
集民 第215号975頁
参照法条
国家賠償法1条1項,民法416条,地方税法2条,地方税法17条,地方税法17条の4
論点3第17条地方税法

複数年度分の普通徴収に係る個人の住民税を差押えに係る地方税とする滞納処分において当該差押えに係る地方税に配当された金銭であってその後に減額賦課決定がされた結果配当時に存在しなかったこととなる年度分の住民税に充当されていたものの帰すう

裁判要旨複数年度分の普通徴収に係る個人の住民税(市町村民税及び道府県民税)を差押えに係る地方税とする滞納処分において,当該差押えに係る地方税に配当された金銭であって,その後に減額賦課決定がされた結果配当時に存在しなかったこととなる年度分の住民税に充当されていたものは,その配当時において当該差押えに係る地方税のうち他の年度分の住民税が存在する場合には,民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)489条の規定に従って当該住民税に充当される。
裁判
最高裁判所第三小法廷 令和3年6月22日 令和2(行ヒ)337
登載
民集 第75巻7号3124頁
参照法条
地方税法17条,地方税法331条6項,国税徴収法(平成26年法律第10号による改正前のもの)129条1項1号,国税徴収法(平成30年法律第7号による改正前のもの)129条1項1号,民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)489条,民法488条4項
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

地方税法 第17条(過誤納金の還付) 詳細ページ
(過誤納金の還付)
第十七条地方団体の長は、過誤納に係る地方団体の徴収金(以下本章において「過誤納金」という。)があるときは、政令で定めるところにより、遅滞なく還付しなければならない。
地方税法 第17_2条(過誤納金の充当) 詳細ページ
(過誤納金の充当)
第十七条の二地方団体の長は、前条の規定により還付すべき場合において、その還付を受けるべき者につき納付し、又は納入すべきこととなつた地方団体の徴収金(その納付し、又は納入する義務が信託財産責任負担債務である地方団体の徴収金に係る過誤納金である場合にはその納付し、又は納入する義務が当該信託財産責任負担債務である地方団体の徴収金に限るものとし、その納付し、又は納入する義務が信託財産責任負担債務である地方団体の徴収金に係る過誤納金でない場合にはその納付し、又は納入する義務が信託財産限定責任負担債務である地方団体の徴収金以外の地方団体の徴収金に限る。以下この条において同じ。)があるときは、前条の規定にかかわらず、過誤納金をその地方団体の徴収金に充当しなければならない。
2道府県が第七百三十九条の五第一項若しくは第二項(これらの規定を同条第八項において準用する場合を含む。次条第一項第一号及び第三号において同じ。)の規定により当該道府県の個人の道府県民税(第二十四条第一項第二号に掲げる者に対して課する均等割及び第五十条の二の規定により課する所得割に限る。以下この項において同じ。)に係る地方団体の徴収金と併せて徴収した個人の市町村民税(第二百九十四条第一項第二号に掲げる者に対して課する均等割及び第三百二十八条の規定により課する所得割に限る。以下この項において同じ。)に係る地方団体の徴収金又は市町村が第四十一条第一項の規定により当該市町村の個人の市町村民税に係る地方団体の徴収金と併せて徴収した個人の道府県民税に係る地方団体の徴収金に係る納税者又は特別徴収義務者の過誤納金があるときは、道府県知事又は市町村長は、当該過誤納金をそれぞれ当該道府県又は市町村の地方団体の徴収金に係る過誤納金とみなして、それぞれ当該納税者又は特別徴収義務者の納付し、又は納入すべきこととなつた道府県又は市町村の地方団体の徴収金に充当しなければならない。
3前二項の場合において、その地方団体の徴収金のうちに延滞金があるときは、その過誤納金は、まず延滞金の額の計算の基礎となる地方税に充当しなければならない。
4前三項の規定による充当は、政令で定める充当をするに適することとなつた時にさかのぼつてその効力を生ずる。
5地方団体の長は、第一項から第三項までの規定による充当をしたときは、その旨を納税者又は特別徴収義務者に通知しなければならない。
地方税法 第17_3条(地方税の予納額の還付の特例) 詳細ページ
(地方税の予納額の還付の特例)
第十七条の三納税者又は特別徴収義務者は、その申出により次に掲げる地方団体の徴収金として納付し、又は納入した金額があるときは、その還付を請求することができない。
一納付し、又は納入すべき額が確定しているが、その納期が到来していない地方団体の徴収金
二最近において納付し、又は納入すべき額の確定が確実であると認められる地方団体の徴収金
2前項各号に掲げる地方団体の徴収金として納付し、又は納入された地方団体の徴収金の全部又は一部につき、法律又は条例の改正その他の理由によりその納付又は納入の必要がないこととなつたときは、その時において過誤納金が納付され、又は納入されたものとみなして、前三条の規定を適用する。
地方税法 第17_4条(還付加算金) 詳細ページ
(還付加算金)
第十七条の四地方団体の長は、過誤納金を第十七条又は第十七条の二第一項から第三項までの規定により還付し、又は充当する場合には、次の各号に掲げる過誤納金の区分に従い当該各号に定める日の翌日から地方団体の長が還付のための支出を決定した日又は充当をした日(同日前に充当をするのに適することとなつた日がある場合には、当該適することとなつた日)までの期間の日数に応じ、その金額に年七・三パーセントの割合を乗じて計算した金額(以下「還付加算金」という。)をその還付又は充当をすべき金額に加算しなければならない。
一更正、決定若しくは賦課決定(普通徴収の方法によつて徴収する地方税の税額を確定する処分をいい、特別徴収の方法によつて徴収する個人の道府県民税及び市町村民税並びに国民健康保険税に係る特別徴収税額を確定する処分を含む。以下この章において同じ。)、第五十三条第三十三項若しくは第三十五項若しくは第三百二十一条の八第三十三項若しくは第三十五項の規定による申告書(法人税に係る更正又は決定により納付すべき法人税額を課税標準として算定した道府県民税又は市町村民税の法人税割額に係るものに限る。)、第七十二条の三十一第一項若しくは第二項の規定による申告書(収入割のみを申告納付すべき法人以外の法人が当該申告に係る事業税の計算の基礎となつた事業年度に係る法人税の課税標準について税務官署の更正又は決定を受けた場合において、当該更正又は決定に係る法人税の課税標準を基礎として計算した事業税に係るものに限る。)、同条第三項の規定による修正申告書若しくは第七十二条の八十九第一項若しくは第三項の規定による申告書(消費税に係る更正又は決定により納付すべき消費税額を課税標準として算定した地方消費税の譲渡割額に係るものに限る。)の提出又は過少申告加算金、不申告加算金若しくは重加算金(以下この章において「加算金」という。)の決定により、納付し、又は納入すべき額が確定した地方団体の徴収金(当該地方団体の徴収金に係る地方税に係る延滞金を含む。)に係る過納金(次号及び第三号に掲げるものを除く。)当該過納金に係る地方団体の徴収金の納付又は納入があつた日
二更正の請求に基づく更正(当該請求に対する処分に係る審査請求又は訴えについての裁決又は判決を含む。)により、納付し、又は納入すべき額が減少した地方税(当該地方税に係る延滞金を含む。次号において同じ。)に係る過納金その更正の請求があつた日の翌日から起算して三月を経過する日と当該更正があつた日の翌日から起算して一月を経過する日とのいずれか早い日
三所得税の更正(更正又は決定により納付すべき税額が確定した所得税額につき行われた更正にあつては、更正の請求に基づくものに限る。以下この号及び第五項において同じ。)又は所得税の申告書(所得税法第二条第一項第三十七号に規定する確定申告書及び同項第三十九号に規定する修正申告書をいう。以下この号及び第五項において同じ。)の提出に基因してされた賦課決定により、納付し、又は納入すべき額が減少した地方税に係る過納金当該賦課決定の基因となつた所得税の更正の通知が発せられた日の翌日から起算して一月を経過する日又は所得税の申告書の提出がされた日の翌日から起算して一月を経過する日
四前三号に掲げる過納金以外の地方団体の徴収金に係る過誤納金その過誤納となつた日として政令で定める日の翌日から起算して一月を経過する日
2前項の場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、当該各号に定める期間を同項に規定する期間から控除しなければならない。
一地方団体の長が過誤納金があることを納税者又は特別徴収義務者に通知した場合において、その通知を発した日から三十日を経過する日までにその過誤納金の還付を請求しないとき その経過する日の翌日から還付の請求があつた日までの期間
二過誤納金の返還請求権につき民事執行法の規定による差押命令又は差押処分が発せられたとき その差押命令又は差押処分の送達を受けた日の翌日から一週間を経過した日までの期間
三過誤納金の返還請求権につき仮差押えがされたとき その仮差押えがされている期間
3二以上の納期又は二回以上の分割納付若しくは分割納入に係る地方団体の徴収金につき過誤納を生じた場合には、その過誤納金については、その過誤納金の額に相当する地方団体の徴収金に達するまで、納付又は納入の日の順序に従い最後に納付又は納入された金額から順次遡つて求めた金額からなるものとみなして、第一項の規定を適用する。
4適法に納付され、又は納入された地方団体の徴収金が、その適法な納付又は納入に影響を及ぼすことなくその納付し、又は納入すべき額を変更する法律又は条例の規定に基づき過納となつたときは、その過納金については、これを第一項第四号に掲げる過誤納金と、その過納となつた日を同号に定める日とそれぞれみなして、同項の規定を適用する。
5地方団体の徴収金の納付又は納入があつた場合において、その課税標準の計算の基礎となつた事実のうちに含まれていた無効な行為により生じた経済的成果がその行為の無効であることに基因して失われたこと、当該事実のうちに含まれていた取り消しうべき行為が取り消されたことその他これらに準ずる政令で定める理由に基づき、その地方税について更正(更正の請求に基づく更正を除く。)又は賦課決定(所得税の更正又は所得税の申告書の提出に基因してされた賦課決定を除く。)が行われたときは、その更正又は賦課決定により過納となつた金額に相当する地方団体の徴収金については、その更正又は賦課決定の日の翌日から起算して一月を経過する日(普通徴収の方法によつて徴収する地方税について、当該賦課決定前にこれらの理由に基づき納付すべき税額が過納となる旨の申出があつた場合には、当該一月を経過する日と当該申出のあつた日の翌日から起算して三月を経過する日とのいずれか早い日)を第一項各号に定める日とみなして、同項の規定を適用する。
6第一項の規定により、個人の市町村民税(第二百九十四条第一項第二号に掲げる者に対して課する均等割及び第三百二十八条の規定により課する所得割を除く。以下この項において同じ。)、第四十一条第一項の規定によりこれと併せて賦課徴収を行う個人の道府県民税(第二十四条第一項第二号に掲げる者に対して課する均等割及び第五十条の二の規定により課する所得割を除く。以下この項において同じ。)及び森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律第七条第一項の規定によりこれらと併せて賦課徴収を行う森林環境税に係る還付加算金の計算をする場合には、個人の市町村民税、個人の道府県民税及び森林環境税に係る過誤納金の合算額により行うものとする。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。