地方税法 / テーマ別まとめ

総則/納税義務の承継

納税義務の承継の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

相続、法人の合併、信託の受託者交替などによって納税義務者に変動が生じた場合に、誰が元の義務者の地方税(地方団体の徴収金)の納付・納入義務を引き継ぐかを定めた規定です。相続については、複数相続人間の按分方法や代表者指定の手続も定められています。信託については、新受託者や後任の受託者・法人が承継する範囲と、固有財産か信託財産のみで履行するかという責任の範囲が定められています。

納税義務の承継
根拠条文事由承継する者承継する義務
9条相続相続人・包括受遺者等被相続人の徴収金
9条の3合併存続・新設法人被合併法人の徴収金
9条の4①新受託者の就任新受託者旧受託者の徴収金(信託財産債務)
9条の4②他の受託者が引継ぎ引継ぎを受けた受託者任務終了受託者の徴収金
9条の4③受託者法人の清算信託法74条1項の法人受託者の徴収金
9条の4④受託者法人の分割権利義務承継法人分割前受託者の徴収金
  • 限定承認をした相続人は、相続で得た財産の範囲内でのみ義務を負う(9条1項ただし書)
  • 相続人が2人以上のときは、民法900条~902条の相続分により按分して納付する(9条2項)
  • 取得財産が按分額を超える相続人は、超過額を限度に他の相続人の分も納付する責任を負う(9条3項)
  • 相続・合併により承継する義務には、申告・報告の義務も含まれる(9条4項、9条の3第2項)
  • 承継後も旧受託者(任務終了受託者)は原則として固有財産でも履行の責任を負う。ただし信託法21条2項により信託財産のみで責任を負う場合を除く(9条の4第5項)
  • 新受託者は、承継した徴収金を信託財産に属する財産のみで履行する責任を負う(9条の4第6項)
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納税義務の承継

納税義務の承継について、条文は何を定めているか。

第9条相続による納税義務の承継相続人が被相続人の地方税を引き継ぐ4項判例 1件
  • 相続人や包括受遺者が、被相続人の地方税を納付・納入する
  • 限定承認をした相続人は、相続で得た財産の範囲内で負担する
  • 相続人が複数なら相続分で按分し、超過取得分がある人は他の相続人の分も負担する
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第9_2条相続人からの徴収の手続相続人が複数のとき代表者を指定できる4項判例 1件
  • 相続人が2人以上のときは、書類受領の代表者を指定し地方団体の長に届け出られる
  • 相続人や相続分が不明で届出がないときは、地方団体の長が代表者を指定できる
  • 被相続人宛ての書類は、相続人の一人に送達されれば全員に送達したものとみなす
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第9_3条法人の合併による納税義務の承継合併後の存続・新設法人が税金を引き継ぐ2項判例なし
  • 合併で消滅した法人(被合併法人)の地方税を、存続法人・新設法人が納付する
  • 承継する義務には、その税金に関する申告・報告の義務も含まれる
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第9_4条信託に係る納税義務の承継受託者の交替・清算・分割で税金を引き継ぐ6項判例なし
  • 受託者の任務終了で新受託者が就任した場合、新受託者が旧受託者分の徴収金を承継する
  • 他の受託者が引き継ぐ場合や、受託者法人の清算・分割の場合も、後任者が承継する
  • 新受託者は承継した分を信託財産に属する財産の範囲内で履行する責任を負う
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第9条地方税法

被相続人に対して既に納付又は納入の告知がされた地方団体の徴収金につき納期限等を定めてその納付等を求める旨の相続人に対する通知と消滅時効の中断

裁判要旨被相続人に対して既に納付又は納入の告知がされた地方団体の徴収金につき,納期限等を定めてその納付等を求める旨の相続人に対する通知は,これに係る地方税の徴収権について,地方税法(平成29年法律第45号による改正前のもの)18条の2第1項1号〈時効の完成猶予及び更新 納付又は納入に関する告知その告知に指定された納付又は納入に関する期限までの期間〉に基づく消滅時効の中断の効力を有しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 令和2年6月26日 令和1(行ヒ)252
登載
民集 第74巻4号759頁
参照法条
地方税法9条,地方税法13条1項,地方税法(平成29年法律第45号による改正前のもの)18条の2第1項1号
論点2第9_2条地方税法

昭和二三年法律第一一〇号による改正後の旧地方税法一三六条二項および昭和二八年法律第二〇二号による改正前の地方税法九二条一項の各不納入罪の成立と納入意思の有無

裁判要旨昭和二三年法律第一一〇号による改正後の旧地方税法一三六条二項および昭和二八年法律第二〇二号による改正前の地方税法九二条一項の各不納入罪は、いずれも、特別徴収義務者が納入すべき金額を納入しないで法定の期限を経過することによつて当然に成立するものであつて、特別徴収義務者の納入意思の有無如何は犯罪の成否になんら影響を及ぼさないとした原判決の判断は、相当である(昭和二六年(あ)九九〇号同二九年一一月一〇日大法廷判決・刑集八巻一一号一七四九頁参照)。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和46年7月30日 昭和46(あ)105
登載
集刑 第181号433頁
参照法条
旧地方税法136条2項(昭和23年法律110号による改正後のもの),地方税法92条1項(昭和28年法律202号による改正前のもの)
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

地方税法 第9条(相続による納税義務の承継) 詳細ページ
(相続による納税義務の承継)
第九条相続(包括遺贈を含む。以下本章において同じ。)があつた場合には、その相続人(包括受遺者を含む。以下本章において同じ。)又は民法(明治二十九年法律第八十九号)第九百五十一条の法人は、被相続人(包括遺贈者を含む。以下本章において同じ。)に課されるべき、又は被相続人が納付し、若しくは納入すべき地方団体の徴収金(以下本章において「被相続人の地方団体の徴収金」という。)を納付し、又は納入しなければならない。ただし、限定承認をした相続人は、相続によつて得た財産を限度とする。
2前項の場合において、相続人が二人以上あるときは、各相続人は、被相続人の地方団体の徴収金を民法第九百条から第九百二条までの規定によるその相続分によりあん分して計算した額を納付し、又は納入しなければならない。
3前項の場合において、相続人のうちに相続によつて得た財産の価額が同項の規定により納付し、又は納入すべき地方団体の徴収金の額をこえている者があるときは、その相続人は、そのこえる価額を限度として、他の相続人が同項の規定により納付し、又は納入すべき地方団体の徴収金を納付し、又は納入する責に任ずる。
4前三項の規定によつて承継する義務は、当該義務に係る申告又は報告の義務を含むものとする。
地方税法 第9_2条(相続人からの徴収の手続) 詳細ページ
(相続人からの徴収の手続)
第九条の二納税者又は特別徴収義務者(以下本章(第十三条を除く。)においては、第十一条第一項に規定する第二次納税義務者及び第十六条第一項第六号に規定する保証人を含むものとする。)につき相続があつた場合において、その相続人が二人以上あるときは、これらの相続人は、そのうちから被相続人の地方団体の徴収金の賦課徴収(滞納処分を除く。)及び還付に関する書類を受領する代表者を指定することができる。この場合において、その指定をした相続人は、その旨を地方団体の長に届け出なければならない。
2地方団体の長は、前項前段の場合において、すべての相続人又はその相続分のうちに明らかでないものがあり、かつ、相当の期間内に同項後段の届出がないときは、相続人の一人を指定し、その者を同項に規定する代表者とすることができる。この場合において、その指定をした地方団体の長は、その旨を相続人に通知しなければならない。
3前二項に定めるもののほか、第一項に規定する代表者の指定に関し必要な事項は、政令で定める。
4被相続人の地方団体の徴収金につき、被相続人の死亡後その死亡を知らないでその者の名義でした賦課徴収又は還付に関する処分で書類の送達を要するものは、その相続人の一人にその書類が送達された場合に限り、当該被相続人の地方団体の徴収金につきすべての相続人に対してされたものとみなす。
地方税法 第9_3条(法人の合併による納税義務の承継) 詳細ページ
(法人の合併による納税義務の承継)
第九条の三法人が合併した場合には、合併後存続する法人又は合併により設立した法人は、合併により消滅した法人(以下本章において「被合併法人」という。)に課されるべき、又は被合併法人が納付し、若しくは納入すべき地方団体の徴収金を納付し、又は納入しなければならない。
2前項の規定によつて承継する義務は、当該義務に係る申告又は報告の義務を含むものとする。
地方税法 第9_4条(信託に係る納税義務の承継) 詳細ページ
(信託に係る納税義務の承継)
第九条の四信託法(平成十八年法律第百八号)第五十六条第一項各号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合において、新たな受託者(以下この項及び第六項において「新受託者」という。)が就任したときは、当該新受託者は当該受託者に課されるべき、又は当該受託者が納付し、若しくは納入すべき地方団体の徴収金(その納付し、又は納入する義務が信託財産責任負担債務(同法第二条第九項に規定する信託財産責任負担債務をいう。以下この章において同じ。)となるものに限る。以下この条において同じ。)を納付し、又は納入する義務を承継する。
2受託者が二人以上ある信託において、その一人の任務が信託法第五十六条第一項各号に掲げる事由により終了した場合には、前項の規定にかかわらず、他の受託者のうち、当該任務が終了した受託者(以下この項及び第五項において「任務終了受託者」という。)から信託事務の引継ぎを受けた受託者は、当該任務終了受託者に課されるべき、又は当該任務終了受託者が納付し、若しくは納入すべき地方団体の徴収金を納付し、又は納入する義務を承継する。
3信託法第五十六条第一項第一号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合には、同法第七十四条第一項に規定する法人は、当該受託者に課されるべき、又は当該受託者が納付し、若しくは納入すべき地方団体の徴収金を納付し、又は納入する義務を承継する。
4受託者である法人が分割をした場合における分割により受託者としての権利義務を承継した法人は、当該分割をした受託者である法人に課されるべき、又は当該分割をした受託者である法人が納付し、若しくは納入すべき地方団体の徴収金を納付し、又は納入する義務を承継する。
5第一項又は第二項の規定により地方団体の徴収金を納付し、又は納入する義務が承継された場合にも、第一項の受託者又は任務終了受託者は、自己の固有財産をもつて、その承継された地方団体の徴収金を納付し、又は納入する義務を履行する責任を負う。ただし、当該地方団体の徴収金を納付し、又は納入する義務について、信託法第二十一条第二項の規定により、信託財産に属する財産のみをもつてその履行の責任を負うときは、この限りでない。
6新受託者は、第一項の規定により地方団体の徴収金を納付し、又は納入する義務を承継した場合には、信託財産に属する財産のみをもつて、その承継された地方団体の徴収金を納付し、又は納入する義務を履行する責任を負う。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。