相続税法 / テーマ別まとめ

更正及び決定

更正及び決定の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

相続税法35条から37条は、修正申告書が提出されない場合や、他の相続人の税額に異動が生じた場合などに、税務署長が相続税・贈与税の課税価格や税額を更正・決定できる要件を定めています。あわせて、国税通則法の原則的な期間制限(70条)とは別に、相続税・贈与税それぞれについて更正・決定ができる期限を個別に延長する特則を置いている点が実務上の注意点です。

更正及び決定
条文対象税目更正・決定の内容期限の目安
35条1項相続税修正申告未提出者を更正期限の定めなし
35条2項相続税・贈与税申告期限前でも更正・決定可死亡翌日から10月経過後
35条3項相続税更正請求に伴い他の者も更正請求日から1年経過日等の遅い方まで
35条4項相続税遺産分割後の所得税手続に連動事由発生日から1年経過日等の遅い方まで
35条5項贈与税精算課税選択者の要件外れ時事由発生日から1年経過日等の遅い方まで
36条相続税更正請求に伴う期間延長請求日から6月経過日まで
37条1項贈与税通常の更正・決定の期間申告期限から6年経過日まで
37条2項贈与税更正請求に伴う期間延長請求日から6月経過日まで
37条3項贈与税無申告加算税の賦課決定申告書提出日から3月経過日まで
37条4項贈与税不正行為があった場合申告期限から7年経過日まで
37条5項・6項贈与税徴収権の時効の進行停止申告期限から1年間停止
  • 35条3項の「他の者」には、被相続人から21条の9第3項の適用を受け贈与により財産を取得した者を含む
  • 35条3項の更正・決定は、請求日から1年経過日と国税通則法70条による期限のいずれか遅い日以後はできない
  • 35条4項の更正・決定も、事由が生じた日から1年経過日と国税通則法70条による期限のいずれか遅い日以後はできない
  • 35条5項の更正・決定は、事由が生じた日から1年経過日と相続税法37条による期限のいずれか遅い日以後はできない
  • 36条の期間延長は、他の者についても国税通則法58条1項1号イの更正決定等ができなくなる日前6月以内に請求された場合に限られる
  • 37条5項・6項の徴収権の時効は、国税通則法73条3項の適用がある場合を除き進行しない
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更正及び決定

更正及び決定について、条文は何を定めているか。

第35条更正及び決定の特則修正申告がない場合などに更正・決定できる5項・12号判例 2件
  • 修正申告書を出さないと税務署長が更正する
  • 死亡翌日から10月経過後は申告期限前でも更正・決定できる
  • 更正の請求や遺産分割後の手続に伴い他の相続人等も更正・決定される
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第36条相続税についての更正、決定等の期間制限の特則更正の請求があると期間制限が6月延びる1項判例なし
  • 期限前6月以内に更正の請求があった場合の特則
  • 他の相続人の税額に異動が生じるときも対象になる
  • 請求があった日から6月を経過する日まで更正・決定できる
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第37条贈与税についての更正、決定等の期間制限の特則贈与税の更正・決定は期限から原則6年6項・5号判例なし
  • 通常は申告期限から6年経過する日まで更正・決定できる
  • 不正行為があった場合は7年経過する日まで更正・決定できる
  • 更正の請求後6月以内や無申告加算税は3月延長される場合がある
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第35条相続税法

意思無能力者に代わって相続税を申告し納付した者の事務管理に基づく費用償還請求を棄却した原審の判断に違法があるとされた事例

裁判要旨意思無能力者に代わって相続税を申告し納付した者について,法定代理人又は相続開始後に選任される後見人のいない意思無能力者には相続税申告書の提出義務がなく,所轄税務署長による相続税法(平成4年法律第16号による改正前のもの)35条2項1号に基づく税額の決定がされることもないという誤った解釈を前提として,事務管理に基づく費用償還請求を棄却した原審の判断には,違法がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成18年7月14日 平成17(受)883
登載
集民 第220号855頁
参照法条
民法697条1項,民法702条1項,相続税法(平成4年法律第16号による改正前のもの)35条2項1号
論点2第35条相続税法

相続税法(平成18年法律第10号による改正前のもの。以下同じ。)55条〈未分割遺産に対する課税〉に基づく申告の後にされた増額更正処分のうち上記申告に係る税額を超える部分を取り消す旨の判決が確定した場合において,課税庁は,国税通則法所定の更正の除斥期間が経過した後に相続税法32条1号の規定による更正の請求に対する処分及び同法35条3項1号の規定による更正をするに際し,当該判決の拘束力によって当該判決に示された個々の財産の価額等を用いて税額等を計算すべき義務を負うか

裁判要旨相続税法(平成18年法律第10号による改正前のもの。以下同じ。)55条〈未分割遺産に対する課税〉に基づく申告の後にされた増額更正処分の取消訴訟において,個々の財産につき上記申告とは異なる価額を認定した上で,その結果算出される税額が上記申告に係る税額を下回るとの理由により当該処分のうち上記申告に係る税額を超える部分を取り消す旨の判決が確定した場合において,課税庁は,国税通則法所定の更正の除斥期間が経過した後に相続税法32条1号の規定による更正の請求に対する処分及び同法35条3項1号の規定による更正をするに際し,当該判決の拘束力によって当該判決に示された個々の財産の価額や評価方法を用いて税額等を計算すべき義務を負うことはない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 令和3年6月24日 令和2(行ヒ)103
登載
民集 第75巻7号3214頁
参照法条
相続税法(平成18年法律第10号による改正前のもの)32条1号,相続税法(平成18年法律第10号による改正前のもの)35条3項1号,相続税法(平成23年法律第114号による改正前のもの)55条,行政事件訴訟法33条1項
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

相続税法 第35条(更正及び決定の特則) 詳細ページ
(更正及び決定の特則)
第三十五条税務署長は、第三十一条第二項の規定に該当する者が同項の規定による修正申告書を提出しなかつた場合においては、その課税価格又は相続税額を更正する。
2税務署長は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、申告書の提出期限前においても、その課税価格又は相続税額若しくは贈与税額の更正又は決定をすることができる。
一第二十七条第一項又は第二項に規定する事由に該当する場合において、同条第一項に規定する者の被相続人が死亡した日の翌日から十月を経過したとき。
二第二十八条第二項第一号に掲げる場合において、同号に規定する者が死亡した日の翌日から十月を経過したとき。
三第二十八条第二項第二号に掲げる場合において、同号に規定する者が死亡した日の翌日から十月を経過したとき。
四第二十八条第二項第三号に掲げる場合において、同号に規定する申告書の提出期限を経過したとき。
五第二十九条第一項若しくは同条第二項において準用する第二十七条第二項又は第三十一条第二項に規定する事由に該当する場合において、第四条第一項又は第二項に規定する事由が生じた日の翌日から十月を経過したとき。
3税務署長は、第三十二条第一項第一号から第六号までの規定による更正の請求に基づき更正をした場合において、当該請求をした者の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した他の者(当該被相続人から第二十一条の九第三項の規定の適用を受ける財産を贈与により取得した者を含む。以下この項において同じ。)につき次に掲げる事由があるときは、当該事由に基づき、その者に係る課税価格又は相続税額の更正又は決定をする。ただし、当該請求があつた日から一年を経過した日と国税通則法第七十条(国税の更正、決定等の期間制限)の規定により更正又は決定をすることができないこととなる日とのいずれか遅い日以後においては、この限りでない。
一当該他の者が第二十七条若しくは第二十九条の規定による申告書(これらの申告書に係る期限後申告書及び修正申告書を含む。)を提出し、又は相続税について決定を受けた者である場合において、当該申告又は決定に係る課税価格又は相続税額(当該申告又は決定があつた後修正申告書の提出又は更正があつた場合には、当該修正申告又は更正に係る課税価格又は相続税額)が当該請求に基づく更正の基因となつた事実を基礎として計算した場合におけるその者に係る課税価格又は相続税額と異なることとなること。
二当該他の者が前号に規定する者以外の者である場合において、その者につき同号に規定する事実を基礎としてその課税価格及び相続税額を計算することにより、その者が新たに相続税を納付すべきこととなること。
4税務署長は、次に掲げる事由により第一号若しくは第三号の申告書を提出した者若しくは第二号の決定若しくは第四号若しくは第五号の更正を受けた者又はこれらの者の被相続人から相続若しくは遺贈により財産を取得した他の者(当該被相続人から第二十一条の九第三項の規定の適用を受ける財産を贈与により取得した者を含む。)の相続税の課税価格又は相続税額が過大又は過少となつた場合(前項の規定の適用がある場合を除く。)には、これらの者に係る相続税の課税価格又は相続税額の更正又は決定をする。ただし、次に掲げる事由が生じた日から一年を経過した日と国税通則法第七十条の規定により更正又は決定をすることができないこととなる日とのいずれか遅い日以後においては、この限りでない。
一所得税法第百五十一条の五第一項から第三項まで(遺産分割等があつた場合の期限後申告等の特例)(これらの規定を同法第百六十六条(申告、納付及び還付)において準用する場合を含む。)の規定による申告書の提出があつたこと。
二所得税法第百五十一条の五第四項の規定による決定があつたこと。
三所得税法第百五十一条の六第一項(遺産分割等があつた場合の修正申告の特例)(同法第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による修正申告書の提出があつたこと。
四所得税法第百五十一条の六第二項の規定による更正があつたこと。
五所得税法第百五十三条の五(遺産分割等があつた場合の更正の請求の特例)(同法第百六十七条(更正の請求の特例)において準用する場合を含む。)の規定による更正の請求に基づく更正があつたこと。
5税務署長は、第二十一条の二第四項の規定の適用を受けていた者が、第三十二条第一項第一号から第六号までに規定する事由が生じたことにより相続又は遺贈による財産の取得をしないこととなつたため新たに第二十八条第一項に規定する申告書を提出すべき要件に該当することとなつた場合又は既に確定した贈与税額に不足を生じた場合には、その者に係る贈与税の課税価格又は贈与税額の更正又は決定をする。ただし、これらの事由が生じた日から一年を経過した日と第三十七条の規定により更正又は決定をすることができないこととなる日とのいずれか遅い日以後においては、この限りでない。
相続税法 第36条(相続税についての更正、決定等の期間制限の特則) 詳細ページ
(相続税についての更正、決定等の期間制限の特則)
第三十六条国税通則法第七十条第一項(国税の更正、決定等の期間制限)の規定により更正をすることができないこととなる日前六月以内に相続税について同法第二十三条第一項(更正の請求)の規定による更正の請求がされた場合において、当該請求に係る更正に伴い当該請求をした者の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した他の者(当該被相続人から第二十一条の九第三項の規定の適用を受ける財産を贈与により取得した者を含む。以下この条において同じ。)に係る相続税の課税価格又は相続税額に異動を生ずるとき(当該請求が当該他の者について同法第七十条第一項の規定により同法第五十八条第一項第一号イ(還付加算金)に規定する更正決定等をすることができないこととなる日前六月以内にされた場合に限る。)は、当該相続税に係る更正若しくは決定又は当該更正若しくは決定若しくは期限後申告書若しくは修正申告書の提出に伴い当該相続税に係る同法第六十九条(加算税の税目)に規定する加算税についてする賦課決定(同法第三十二条第五項(賦課決定)に規定する賦課決定をいう。)は、同法第七十条第一項の規定にかかわらず、当該請求があつた日から六月を経過する日まで、することができる。この場合において、同法第七十一条第一項(国税の更正、決定等の期間制限の特例)及び第七十二条(国税の徴収権の消滅時効)の規定の適用については、同項中「日が前条」とあるのは「日が前条及び相続税法第三十六条(相続税についての更正、決定等の期間制限の特則)」と、「同条」とあるのは「前条及び同法第三十六条」と、同条第一項中「あつた日」とあるのは「あつた日とし、相続税法第三十六条(相続税についての更正、決定等の期間制限の特則)の規定による更正決定等又は同条の期限後申告書若しくは修正申告書の提出により納付すべき相続税については、当該更正決定等又は当該提出があつた日」とする。
相続税法 第37条(贈与税についての更正、決定等の期間制限の特則) 詳細ページ
(贈与税についての更正、決定等の期間制限の特則)
第三十七条税務署長は、贈与税について、国税通則法第七十条(国税の更正、決定等の期間制限)の規定にかかわらず、次の各号に掲げる更正若しくは決定(以下この項及び第四項において「更正決定」という。)又は賦課決定(同法第三十二条第五項(賦課決定)に規定する賦課決定をいう。以下この条において同じ。)を当該各号に定める期限又は日から六年を経過する日まで、することができる。この場合において、同法第七十一条第一項(国税の更正、決定等の期間制限の特例)の規定の適用については、同項中「日が前条」とあるのは「日が前条及び相続税法第三十七条第一項から第四項まで(贈与税についての更正、決定等の期間制限の特則)」と、「同条」とあるのは「前条及び同法第三十七条第一項から第四項まで」とする。
一贈与税についての更正決定その更正決定に係る贈与税の第二十八条第一項又は第二項の規定による申告書の提出期限
二前号に掲げる更正決定に伴い国税通則法第十九条第一項(修正申告)に規定する課税標準等又は税額等に異動を生ずべき贈与税に係る更正決定その更正決定に係る贈与税の第二十八条第一項又は第二項の規定による申告書の提出期限
三前二号に掲げる更正決定若しくは期限後申告書若しくは修正申告書の提出又はこれらの更正決定若しくは提出に伴い異動を生ずべき贈与税に係る更正決定若しくは期限後申告書若しくは修正申告書の提出に伴いこれらの贈与税に係る国税通則法第六十九条(加算税の税目)に規定する加算税(次項及び第四項において「加算税」という。)についてする賦課決定その納税義務の成立の日
2前項の規定により更正をすることができないこととなる日前六月以内にされた国税通則法第二十三条第一項(更正の請求)の規定による更正の請求に係る更正又は当該更正に伴い贈与税に係る加算税についてする賦課決定は、前項の規定にかかわらず、当該更正の請求があつた日から六月を経過する日まで、することができる。この場合において、同法第七十二条第一項(国税の徴収権の消滅時効)の規定の適用については、同項中「第七十条第三項(国税の更正、決定等の期間制限)」とあるのは「相続税法第三十七条第二項(贈与税についての更正、決定等の期間制限の特則)」と、「、第七十条第三項」とあるのは「、同法第三十七条第二項」とする。
3第一項の規定により賦課決定をすることができないこととなる日前三月以内にされた国税通則法第二条第六号(定義)に規定する納税申告書の提出に伴い贈与税に係る無申告加算税(同法第六十六条第八項(無申告加算税)の規定の適用があるものに限る。)についてする賦課決定は、第一項の規定にかかわらず、当該納税申告書の提出があつた日から三月を経過する日まで、することができる。この場合において、同法第七十二条第一項の規定の適用については、同項中「同条第四項」とあり、及び「第七十条第四項」とあるのは、「相続税法第三十七条第三項(贈与税についての更正、決定等の期間制限の特則)」とする。
4偽りその他不正の行為によりその全部若しくは一部の税額を免れ、若しくはその全部若しくは一部の税額の還付を受けた贈与税(その贈与税に係る加算税を含む。)についての更正決定若しくは賦課決定又は偽りその他不正の行為により国税通則法第二条第九号に規定する課税期間において生じた同条第六号ハに規定する純損失等の金額が過大にあるものとする同号に規定する納税申告書を提出していた場合における当該納税申告書に記載された当該純損失等の金額(当該金額に関し更正があつた場合には、当該更正後の金額)についての更正は、前三項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる更正決定又は賦課決定の区分に応じ、当該各号に定める期限又は日から七年を経過する日まで、することができる。
一贈与税に係る更正決定その更正決定に係る贈与税の第二十八条第一項又は第二項の規定による申告書の提出期限
二贈与税に係る加算税についてする賦課決定その納税義務の成立の日
5第一項の場合において、贈与税に係る国税通則法第七十二条第一項に規定する国税の徴収権の時効は、同法第七十三条第三項(時効の完成猶予及び更新)の規定の適用がある場合を除き、当該贈与税の第二十八条第一項又は第二項の規定による申告書の提出期限から一年間は、進行しない。
6前項の場合においては、国税通則法第七十三条第三項ただし書の規定を準用する。この場合において、同項ただし書中「二年」とあるのは、「一年」と読み替えるものとする。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。