所得税法施行令 / テーマ別まとめ

その他の収入金額及び必要経費の計算の特例等/事業を廃止した場合等の所得計算の特例

事業を廃止した場合等の所得計算の特例の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

事業をやめた後に発生した必要経費や、回収できなくなった収入・返還すべきことになった収入について、通常の年分ごとの所得計算だけでは処理しきれない部分を、年をまたいで調整するための特例です。施行令179条は、事業廃止後に生じた必要経費を廃止年分とその前年分にどう按分して算入するかを定め、施行令180条は、回収不能・返還となった収入を各種所得の計算上なかったものとみなす範囲を定めています。実務ではまず対象となる金額を確認し、算入・除外できる上限額(総所得金額等の合計額など)と比べて処理することになります。

事業を廃止した場合等の所得計算の特例
区分対象扱い限度額の考え方
事業廃止(179条)廃止後生じた必要経費廃止年分の必要経費に算入総所得等合計額と所得金額のうち低い方
事業廃止(179条)前年分への繰り戻し超過額は前年分にも算入可前年の総所得等合計額と前年所得金額の低い方
回収不能等(180条)回収不能・返還収入所得計算上なかったものとみなす二つの基準額のうち低い方まで
  • 179条の「必要経費に算入されるべき金額」は法63条(事業を廃止した場合の必要経費の特例)に規定するもの
  • 179条の基準額は、その金額が生じた時の直前に確定している総所得金額・山林所得金額・退職所得金額の合計額と、その計算の基礎となった不動産所得等の金額のいずれか低い方
  • 前年分への算入は、廃止年分の基準額を超える部分に限り、かつ前年分の同様の基準額を限度とする
  • 180条2項の「回収不能額等」には、法64条2項の規定により回収不能とみなされるものを含む
  • 180条1項の政令で定める事由は、国家公務員退職手当法上の一般の退職手当の返納処分及びこれに類する事由に限られる
  • 180条2項の限度額は、回収不能額等が生じた時の直前に確定している総所得金額・退職所得金額・山林所得金額の合計額と、その計算の基礎となった各種所得金額から収入がなかったとした場合の所得金額を控除した残額のいずれか低い方
1

事業を廃止した場合等の所得計算の特例

事業を廃止した場合等の所得計算の特例について、条文は何を定めているか。

第179条事業を廃止した場合の必要経費の特例廃止年分優先、超過分は前年にも算入1項・2号判例なし
  • 必要経費に算入すべき金額は、まず廃止した日の属する年分の所得計算で必要経費にする
  • 額が総所得金額等とその所得金額のいずれか低い方以下ならその年分だけで処理
  • 超過分は前年分の総所得金額等と前年の所得金額のいずれか低い方を限度に前年分にも算入
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第180条資産の譲渡代金が回収不能となつた場合等の所得計算の特例回収不能・返還の収入はなかったものとみなす2項・2号判例なし
  • 対象事由は退職手当の返納処分など政令で定める限定的な場合
  • 回収不能・返還額のうち一定額に達するまで各種所得の計算上なかったものとみなす
  • 上限は総所得金額等の合計額と、その年の所得金額から計算される残額のいずれか低い方
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

所得税法施行令 第179条(事業を廃止した場合の必要経費の特例) 詳細ページ
(事業を廃止した場合の必要経費の特例)
第百七十九条法第六十三条(事業を廃止した場合の必要経費の特例)の規定により同条に規定する必要経費に算入されるべき金額を同条に規定する廃止した日の属する年分又はその前年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入する場合における当該不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算については、次に定めるところによる。
一当該必要経費に算入されるべき金額が次に掲げる金額のうちいずれか低い金額以下である場合には、当該必要経費に算入されるべき金額の全部を当該廃止した日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入する。
イ当該必要経費に算入されるべき金額が生じた時の直前において確定している当該廃止した日の属する年分の総所得金額、山林所得金額及び退職所得金額の合計額
ロイに掲げる金額の計算の基礎とされる不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額
二当該必要経費に算入されるべき金額が前号に掲げる金額のうちいずれか低い金額をこえる場合には、当該必要経費に算入されるべき金額のうち、当該いずれか低い金額に相当する部分の金額については、当該廃止した日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入し、そのこえる部分の金額に相当する金額については、次に掲げる金額のうちいずれか低い金額を限度としてその年の前年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入する。
イ当該必要経費に算入されるべき金額が生じた時の直前において確定している当該前年分の総所得金額、山林所得金額及び退職所得金額の合計額
ロイに掲げる金額の計算の基礎とされる不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額
所得税法施行令 第180条(資産の譲渡代金が回収不能となつた場合等の所得計算の特例) 詳細ページ
(資産の譲渡代金が回収不能となつた場合等の所得計算の特例)
第百八十条法第六十四条第一項(資産の譲渡代金が回収不能となつた場合等の所得計算の特例)に規定する政令で定める事由は、国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)第二条の三第二項(退職手当の支払)に規定する一般の退職手当の支払を受けた者が同法第十五条第一項(退職をした者の退職手当の返納)の規定による処分を受けたことその他これに類する事由とする。
2法第六十四条第一項に規定する収入金額又は総収入金額で、回収することができないこととなつたもの(同条第二項の規定により回収することができないこととなつたものとみなされるものを含む。)又は返還すべきこととなつたもの(以下この項において「回収不能額等」という。)のうち、次に掲げる金額のうちいずれか低い金額に達するまでの金額は、同条第一項に規定する各種所得の金額の計算上、なかつたものとみなす。
一回収不能額等が生じた時の直前において確定している法第六十四条第一項に規定する年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額
二前号に掲げる金額の計算の基礎とされる各種所得の金額のうち当該回収不能額等に係るものから、当該回収不能額等に相当する収入金額又は総収入金額がなかつたものとした場合に計算される当該各種所得の金額を控除した残額
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。