所得税法 / テーマ別まとめ

確定申告並びにこれに伴う納付及び還付/還付

還付の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

確定申告に伴う還付には、源泉徴収税額等の還付(138条)、予納税額の還付(139条)、純損失の繰戻しによる還付(140条・141条)という異なる仕組みがあり、それぞれ還付の対象金額・請求方法・還付加算金の計算期間が条文ごとに定められています。142条は、このうち繰戻しによる還付を受けるための手続(還付請求書の提出、税務署長による調査・通知)を共通して定めています。実務では、どの還付に当たるかによって適用条文と手続が変わるため、区別して確認する必要があります。

還付
還付の種類根拠条文還付の対象金額還付加算金の起算
源泉徴収税額等の還付第138条申告書記載の還付金額確定申告期限翌日等
予納税額の還付第139条予納税額相当額納付日の翌日等
純損失繰戻し還付(本人)第140条前年税額との差額142条3項で計算
純損失繰戻し還付(相続人等)第141条前年税額との差額142条3項で計算
繰戻し還付の請求手続第142条請求額を限度に還付提出日翌日以後3月経過後
  • 138条:源泉徴収税額に未納分があるときは、その納付があるまで還付しない
  • 138条・139条:還付金を未納の所得税に充当する場合、充当分には還付加算金を付さず、延滞税を免除する
  • 139条:確定申告書が確定申告期限後に提出された場合、期限翌日から提出日までの日数は還付加算金の計算期間に算入しない
  • 139条2項の延滞税相当額の還付には、還付加算金は付さない
  • 140条・141条:前年分(相続人等の場合は前年分・前前年分)につき青色申告書を提出期限までに提出した場合に限り適用(税務署長がやむを得ない事情を認めた場合は期限後提出でも可)
  • 141条:140条2項・3項の規定を準用する
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還付

還付について、条文は何を定めているか。

第138条源泉徴収税額等の還付確定申告書の記載額に応じて所得税を還付する5項・2号判例 1件
  • 申告書に記載された還付等の金額に相当する所得税を還付する
  • 源泉徴収税額に未納分があれば、その納付があるまで還付しない
  • 未納の所得税に充当する場合、充当分は還付加算金なし・延滞税免除
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第139条予納税額の還付予納税額の還付を定める6項判例なし
  • 申告書に記載された予納税額に相当する金額を還付する
  • 予納税額に係る延滞税も、政令で定める計算方法により併せて還付する
  • 未納の所得税に充当する場合、充当分は還付加算金なし・延滞税免除
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第140条純損失の繰戻しによる還付の請求青色申告者が純損失を前年に繰戻して還付請求できる5項・2号判例なし
  • 前年税額から純損失控除後の税額を引いた差額を還付請求できる
  • 還付請求できる額は前年分の所得税額(附帯税を除く)が上限
  • 前年分・その年分とも青色申告書を期限内提出した場合に限り適用
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第141条相続人等の純損失の繰戻しによる還付の請求相続人が死亡した本人の純損失繰戻しを請求できる4項・2号判例なし
  • 死亡した居住者の前年税額との差額に相当する所得税の還付を請求できる
  • 140条2項〈純損失の繰戻しによる還付の請求〉・3項(還付請求額の上限等)の規定を準用する
  • 前年分・前前年分とも青色申告書が提出されている場合に限り適用
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第142条純損失の繰戻しによる還付の手続等繰戻し還付は還付請求書の提出で行う3項判例なし
  • 還付を受ける税額・その計算根拠等を記載した還付請求書を税務署長に提出する
  • 税務署長は調査のうえ、請求額を限度に還付するか、理由がない旨を書面で通知する
  • 還付加算金の計算期間は、請求書提出日の翌日以後3月を経過した日から開始する
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第138条所得税法

一 給与等の受給者が支払者により誤って源泉徴収をされた金額を税額から控除して確定申告をすることの可否

二 課税処分の取消訴訟における実体上の審判の対象

裁判要旨一 給与等の受給者が、支払者により誤って所得税の源泉徴収をされた場合において、当該年分の所得税の額から右誤徴収額を控除して確定申告をすることはできない。

二 課税処分の取消訴訟における実体上の審判の対象は、当該課税処分によって確定された税額が租税法規によって客観的に定まる税額を総額において上回るか否かである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成4年2月18日 平成2(行ツ)155
登載
民集 第46巻2号77頁
参照法条
国税通則法56条,所得税法120条1項,所得税法128条,所得税法138条,行政事件訴訟法7条,民訴法第2編第1章
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

所得税法 第138条(源泉徴収税額等の還付) 詳細ページ
(源泉徴収税額等の還付)
第百三十八条確定申告書の提出があつた場合において、当該申告書に第百二十二条第一項第一号若しくは第二号(還付等を受けるための申告)又は第百二十三条第二項第六号若しくは第七号(確定損失申告)に掲げる金額の記載があるときは、税務署長は、当該申告書を提出した者に対し、当該金額に相当する所得税を還付する。
2前項の場合において、同項の確定申告書に記載された第百二十二条第一項第二号又は第百二十三条第二項第七号に規定する源泉徴収税額のうちにまだ納付されていないものがあるときは、前項の規定による還付金の額のうちその納付されていない部分の金額に相当する金額については、その納付があるまでは、還付しない。
3第一項の規定による還付金について還付加算金を計算する場合には、その計算の基礎となる国税通則法第五十八条第一項(還付加算金)の期間は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる日(同日後に納付された前項に規定する源泉徴収税額に係る還付金については、その納付の日)の翌日からその還付のための支払決定をする日又はその還付金につき充当をする日(同日前に充当をするのに適することとなつた日がある場合には、その適することとなつた日)までの期間とする。
一第一項の確定申告書がその確定申告期限までに提出された場合その確定申告期限
二第一項の確定申告書がその確定申告期限後に提出された場合その提出の日
4第一項の規定による還付金を同項の確定申告書に係る年分の所得税で未納のものに充当する場合には、その還付金の額のうちその充当する金額については、還付加算金を付さないものとし、その充当される部分の所得税については、延滞税を免除するものとする。
5前三項に定めるもののほか、第一項の還付の手続、同項の規定による還付金(これに係る還付加算金を含む。)につき充当をする場合の方法その他同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
所得税法 第139条(予納税額の還付) 詳細ページ
(予納税額の還付)
第百三十九条確定申告書の提出があつた場合において、当該申告書に第百二十二条第一項第三号(還付等を受けるための申告)又は第百二十三条第二項第八号(確定損失申告)に掲げる金額の記載があるときは、税務署長は、当該申告書を提出した者に対し、当該金額に相当するこれらの規定に規定する予納税額(以下この条において「予納税額」という。)を還付する。
2税務署長は、前項の規定による還付金の還付をする場合において、同項の確定申告書に係る年分の予納税額について納付された延滞税があるときは、その額のうち、同項の規定により還付される予納税額に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額を併せて還付する。
3第一項の規定により還付金について還付加算金を計算する場合には、その計算の基礎となる国税通則法第五十八条第一項(還付加算金)の期間は、第一項の規定により還付をすべき予納税額の納付の日(その予納税額がその納期限前に納付された場合には、その納期限)の翌日からその還付のための支払決定をする日又はその還付金につき充当をする日(同日前に充当をするのに適することとなつた日がある場合には、その適することとなつた日)までの期間とする。ただし、同項の確定申告書がその確定申告期限後に提出された場合には、その確定申告期限の翌日からその提出された日までの日数は、当該期間に算入しない。
4第一項の規定による還付金をその額の計算の基礎とされた予納税額に係る年分の所得税で未納のものに充当する場合には、その還付金の額のうちその充当する金額については、還付加算金を付さないものとし、その充当される部分の所得税については、延滞税を免除するものとする。
5第二項の規定による還付金については、還付加算金は、付さない。
6前三項に定めるもののほか、第一項又は第二項の還付の手続、第一項の規定による還付金(これに係る還付加算金を含む。)につき充当をする場合の方法その他同項又は第二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
所得税法 第140条(純損失の繰戻しによる還付の請求) 詳細ページ
(純損失の繰戻しによる還付の請求)
第百四十条青色申告書を提出する居住者は、その年において生じた純損失の金額がある場合には、当該申告書の提出と同時に、納税地の所轄税務署長に対し、第一号に掲げる金額から第二号に掲げる金額を控除した金額に相当する所得税の還付を請求することができる。
一その年の前年分の課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額につき第三章第一節(税率)の規定を適用して計算した所得税の額
二その年の前年分の課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額から当該純損失の金額の全部又は一部を控除した金額につき第三章第一節の規定に準じて計算した所得税の額
2前項の場合において、同項に規定する控除した金額に相当する所得税の額がその年の前年分の課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額に係る所得税の額(附帯税の額を除く。)をこえるときは、同項の還付の請求をすることができる金額は、当該所得税の額に相当する金額を限度とする。
3第一項第二号に掲げる金額を計算する場合において、同号の課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額のうちいずれから先に純損失の金額を控除するか、及び前年において第九十条(変動所得及び臨時所得の平均課税)の規定の適用があつた場合において同条第三項に規定する平均課税対象金額と課税総所得金額から当該平均課税対象金額を控除した金額とのうちいずれから先に純損失の金額を控除するかについては、政令で定める。
4第一項の規定は、同項の居住者がその年の前年分の所得税につき青色申告書を提出している場合であつて、その年分の青色申告書をその提出期限までに提出した場合(税務署長においてやむを得ない事情があると認める場合には、当該申告書をその提出期限後に提出した場合を含む。)に限り、適用する。
5居住者につき事業の全部の譲渡又は廃止その他これらに準ずる事実で政令で定めるものが生じた場合において、当該事実が生じた日の属する年の前年において生じた純損失の金額(第七十条第一項(純損失の繰越控除)の規定により同日の属する年において控除されたもの及び第百四十二条第二項(純損失の繰戻しによる還付)の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。)があるときは、その者は、同日の属する年の前年分及び前前年分の所得税につき青色申告書を提出している場合に限り、同日の属する年分の所得税に係る確定申告期限までに、納税地の所轄税務署長に対し、当該純損失の金額につき第一項から第三項までの規定に準じて政令で定めるところにより計算した金額に相当する所得税の還付を請求することができる。
所得税法 第141条(相続人等の純損失の繰戻しによる還付の請求) 詳細ページ
(相続人等の純損失の繰戻しによる還付の請求)
第百四十一条第百二十五条第一項、第三項又は第五項(年の中途で死亡した場合の確定申告)の規定に該当してこれらの規定に規定する申告書(青色申告書に限る。)を提出する者は、当該申告書に記載すべきその年において生じた純損失の金額がある場合には、政令で定めるところにより、当該申告書の提出と同時に、当該申告書に係る所得税の納税地の所轄税務署長に対し、第一号に掲げる金額から第二号に掲げる金額を控除した金額に相当する所得税の還付を請求することができる。
一第百二十五条第一項又は第三項に規定する死亡をした居住者のその年の前年分の課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額につき第三章第一節(税率)の規定を適用して計算した所得税の額
二前号に規定する死亡をした居住者のその年の前年分の課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額から当該純損失の金額の全部又は一部を控除した金額につき第三章第一節の規定に準じて計算した所得税の額
2前条第二項及び第三項の規定は、前項の場合について準用する。
3第一項の規定は、同項第一号に規定する死亡をした居住者がその年の前年分の所得税につき青色申告書を提出している場合であつて、同項に規定する申告書を提出する者が当該申告書をその提出期限までに提出した場合(税務署長においてやむを得ない事情があると認める場合には、当該申告書をその提出期限後に提出した場合を含む。)に限り、適用する。
4居住者が死亡した場合において、その死亡の日の属する年の前年において生じたその者に係る純損失の金額(第七十条第一項(純損失の繰越控除)の規定により同日の属する年において控除されたもの及び次条第二項の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。)があるときは、その相続人は、その居住者の同日の属する年の前年分及び前前年分の所得税につき青色申告書が提出されている場合に限り、政令で定めるところにより、その居住者の同日の属する年分の所得税に係る確定申告期限までに、当該所得税の納税地の所轄税務署長に対し、当該純損失の金額につき第一項及び第二項の規定に準じて計算した金額に相当する所得税の還付を請求することができる。
所得税法 第142条(純損失の繰戻しによる還付の手続等) 詳細ページ
(純損失の繰戻しによる還付の手続等)
第百四十二条前二条の規定による還付の請求をしようとする者は、その還付を受けようとする所得税の額、その計算の基礎その他財務省令で定める事項を記載した還付請求書をこれらの規定に規定する税務署長に提出しなければならない。
2税務署長は、前項の還付請求書の提出があつた場合には、その請求の基礎となつた純損失の金額その他必要な事項について調査し、その調査したところにより、その請求をした者に対し、その請求に係る金額を限度として所得税を還付し、又は請求の理由がない旨を書面により通知する。
3前項の規定による還付金について還付加算金を計算する場合には、その計算の基礎となる国税通則法第五十八条第一項(還付加算金)の期間は、前二条の規定による還付の請求がされた日(第百四十条第一項(純損失の繰戻しによる還付の請求)又は前条第一項の規定による還付の請求がされた日がこれらの規定に規定する申告書の提出期限前である場合には、その提出期限)の翌日以後三月を経過した日からその還付のための支払決定をする日又はその還付金につき充当をする日(同日前に充当をするのに適することとなつた日がある場合には、その適することとなつた日)までの期間とする。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。