法人税法 / テーマ別まとめ

損金の額の計算/資産の評価及び償却費

資産の評価及び償却費の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

このテーマは、法人税の所得計算で損金の額に算入できる金額のうち、棚卸資産の評価額と減価償却資産・繰延資産の償却費の計算方法を定めた条文をまとめたものです。棚卸資産は期末時点の評価方法、減価償却資産・繰延資産は損金経理した償却費のうち限度額まで損金算入できる仕組みが規定されています。実務では、自社が選んだ評価・償却方法に沿って正しく計算しているかを確認する際の拠り所になります。

資産の評価及び償却費
資産の種類決める内容損金算入額の決まり方方法を選ばなかった場合
棚卸資産期末棚卸資産の評価方法選定した評価方法による金額政令で定める方法で評価
減価償却資産減価償却資産の償却方法損金経理額のうち償却限度額まで政令で定める方法で計算
繰延資産―(選定制度なし)損金経理額のうち償却限度額まで―(該当規定なし)
  • 棚卸資産の評価方法の特例・選定手続・取得価額の基準は政令で定める(29条2項)
  • 減価償却資産の償却方法の特例・取得価額・資本的支出の扱いは政令で定める(31条6項)
  • 繰延資産の償却の細目も政令で定める(32条8項)
  • 適格分割等での資産移転時は、2月以内に届出をすれば期中損金経理額も損金算入できる(31条2〜5項、32条2〜7項)
  • 適格合併等での繰延資産の引継ぎは、直前の帳簿価額のまま行う(32条4項)
  • 第30条は削除されている
1

資産の評価及び償却費

資産の評価及び償却費について、条文は何を定めているか。

第29条棚卸資産の売上原価等の計算及びその評価の方法棚卸資産の評価額は選んだ方法で決まる2項判例なし
  • 期末棚卸資産の価額は、選んだ評価方法で計算した金額になる
  • 評価方法を選ばなかった場合は、政令で定める方法で評価した金額になる
  • 選定できる方法の特例や選定手続、取得価額の基準は政令で定められている
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第30条削除され、現在は条文なし1項判例なし
  • 第30条は削除されている(欠番)
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第31条減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法償却費は選んだ方法の限度額まで損金算入6項判例 1件
  • 損金経理した償却費のうち、選んだ償却方法による償却限度額までを損金算入する
  • 償却方法を選ばなかった場合は、政令で定める方法で計算した限度額による
  • 適格分割等で移転する資産は、2月以内の届出で期中損金経理額も損金算入できる
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第32条繰延資産の償却費の計算及びその償却の方法繰延資産の償却費も限度額まで損金算入8項・2号判例なし
  • 損金経理した償却費のうち、支出の効果が及ぶ期間をもとに計算した限度額まで損金算入する
  • 適格分割等で繰延資産を引き継ぐ場合、2月以内の届出で期中損金経理額も損金算入できる
  • 適格組織再編成では、直前の帳簿価額のまま繰延資産を引き継ぐ
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第31条法人税法

PHS事業者が事業の用に供したエントランス回線利用権につき,1回線に係る権利が,それぞれ一つの減価償却資産であり,法人税法施行令(平成16年政令第101号による改正前のもの)133条所定の少額減価償却資産に当たるとされた事例

裁判要旨PHS(簡易型携帯電話)事業者が大量に保有し事業の用に供したエントランス回線利用権につき,それが1回線に係る権利一つを1単位として取引されており,1回線に係る権利一つでもって,上記事業においてその用途に応じた本来の機能を発揮し収益の獲得に寄与することができるなど判示の事実関係の下では,上記利用権は,1回線に係る権利をもって一つの減価償却資産とみるのが相当であり,それが10万円未満の価格で取得された以上,法人税法施行令(平成16年政令第101号による改正前のもの)133条所定の少額減価償却資産に当たる。

※エントランス回線:PHS事業者の設置する基地局と電気通信事業者Aの設置するPHS接続装置とを接続するAの有線伝送路設備
※エントランス回線利用権:PHS事業者が,エントランス回線を利用して,基地局のエリア内でPHS端末を用いて行われる通話等に関し,電気通信事業者AをしてPHS利用者に対しAのネットワークによる電気通信役務を提供させる権利
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成20年9月16日 平成18(行ヒ)234
登載
民集 第62巻8号2089頁
参照法条
法人税法(平成13年法律第6号による改正前のもの)2条24号,法人税法2条23号,法人税法31条1項,法人税法施行令(平成16年政令第101号による改正前のもの)13条8号ソ,法人税法施行令(平成16年政令第101号による改正前のもの)133条

関連する会計・監査の基準

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原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

法人税法 第29条(棚卸資産の売上原価等の計算及びその評価の方法) 詳細ページ
(棚卸資産の売上原価等の計算及びその評価の方法)
第二十九条内国法人の棚卸資産につき第二十二条第三項(各事業年度の損金の額に算入する金額)の規定により各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入する金額を算定する場合におけるその算定の基礎となる当該事業年度終了の時において有する棚卸資産(以下この項において「期末棚卸資産」という。)の価額は、棚卸資産の取得価額の平均額をもつて事業年度終了の時において有する棚卸資産の評価額とする方法その他の政令で定める評価の方法のうちからその内国法人が当該期末棚卸資産について選定した評価の方法により評価した金額(評価の方法を選定しなかつた場合又は選定した評価の方法により評価しなかつた場合には、評価の方法のうち政令で定める方法により評価した金額)とする。
2前項の選定をすることができる評価の方法の特例、評価の方法の選定の手続、棚卸資産の評価額の計算の基礎となる棚卸資産の取得価額その他棚卸資産の評価に関し必要な事項は、政令で定める。
法人税法 第30条 詳細ページ
第三十条削除
法人税法 第31条(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法) 詳細ページ
(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)
第三十一条内国法人の各事業年度終了の時において有する減価償却資産につきその償却費として第二十二条第三項(各事業年度の所得の金額の計算の通則)の規定により当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入する金額は、その内国法人が当該事業年度においてその償却費として損金経理をした金額(以下この条において「損金経理額」という。)のうち、その取得をした日及びその種類の区分に応じ、償却費が毎年同一となる償却の方法、償却費が毎年一定の割合で逓減する償却の方法その他の政令で定める償却の方法の中からその内国法人が当該資産について選定した償却の方法(償却の方法を選定しなかつた場合には、償却の方法のうち政令で定める方法)に基づき政令で定めるところにより計算した金額(次項において「償却限度額」という。)に達するまでの金額とする。
2内国法人が、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(適格現物分配にあつては、残余財産の全部の分配を除く。以下第四項までにおいて「適格分割等」という。)により分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人に減価償却資産を移転する場合において、当該減価償却資産について損金経理額に相当する金額を費用の額としたときは、当該費用の額とした金額(次項及び第四項において「期中損金経理額」という。)のうち、当該減価償却資産につき当該適格分割等の日の前日を事業年度終了の日とした場合に前項の規定により計算される償却限度額に相当する金額に達するまでの金額は、当該適格分割等の日の属する事業年度(第四項において「分割等事業年度」という。)の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
3前項の規定は、同項の内国法人が適格分割等の日以後二月以内に期中損金経理額その他の財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出した場合に限り、適用する。
4損金経理額には、第一項の減価償却資産につき同項の内国法人が償却費として損金経理をした事業年度(以下この項において「償却事業年度」という。)前の各事業年度における当該減価償却資産に係る損金経理額(当該減価償却資産が適格合併又は適格現物分配(残余財産の全部の分配に限る。)により被合併法人又は現物分配法人(以下この項において「被合併法人等」という。)から移転を受けたものである場合にあつては当該被合併法人等の当該適格合併の日の前日又は当該残余財産の確定の日の属する事業年度以前の各事業年度の損金経理額のうち当該各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額を、当該減価償却資産が適格分割等により分割法人、現物出資法人又は現物分配法人(以下この項において「分割法人等」という。)から移転を受けたものである場合にあつては当該分割法人等の分割等事業年度の期中損金経理額として帳簿に記載した金額及び分割等事業年度前の各事業年度の損金経理額のうち分割等事業年度以前の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額を含む。以下この項において同じ。)のうち当該償却事業年度前の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額を含むものとし、期中損金経理額には、第二項の内国法人の分割等事業年度前の各事業年度における同項の減価償却資産に係る損金経理額のうち当該各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額を含むものとする。
5前項の場合において、内国法人の有する減価償却資産(適格合併により被合併法人から移転を受けた減価償却資産、第六十二条の九第一項(非適格株式交換等に係る株式交換完全子法人等の有する資産の時価評価損益)の規定の適用を受けた同項に規定する時価評価資産に該当する減価償却資産その他の政令で定める減価償却資産に限る。)につきその価額として帳簿に記載されていた金額として政令で定める金額が当該移転の直前に当該被合併法人の帳簿に記載されていた金額、同条第一項の規定の適用を受けた直後の帳簿価額その他の政令で定める金額に満たない場合には、当該満たない部分の金額は、政令で定める事業年度前の各事業年度の損金経理額とみなす。
6第一項の選定をすることができる償却の方法の特例、償却の方法の選定の手続、償却費の計算の基礎となる減価償却資産の取得価額、減価償却資産について支出する金額のうち使用可能期間を延長させる部分等に対応する金額を減価償却資産の取得価額とする特例その他減価償却資産の償却に関し必要な事項は、政令で定める。
法人税法 第32条(繰延資産の償却費の計算及びその償却の方法) 詳細ページ
(繰延資産の償却費の計算及びその償却の方法)
第三十二条内国法人の各事業年度終了の時の繰延資産につきその償却費として第二十二条第三項(各事業年度の所得の金額の計算の通則)の規定により当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入する金額は、その内国法人が当該事業年度においてその償却費として損金経理をした金額(以下この条において「損金経理額」という。)のうち、その繰延資産に係る支出の効果の及ぶ期間を基礎として政令で定めるところにより計算した金額(次項において「償却限度額」という。)に達するまでの金額とする。
2内国法人が、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(適格現物分配にあつては、残余財産の全部の分配を除く。以下この条において「適格分割等」という。)により分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人(以下この条において「分割承継法人等」という。)に繰延資産(当該適格分割等により当該分割承継法人等に移転する資産、負債又は契約(第四項において「資産等」という。)と関連を有するものに限る。)を引き継ぐ場合において、当該繰延資産について損金経理額に相当する金額を費用の額としたときは、当該費用の額とした金額(次項及び第六項において「期中損金経理額」という。)のうち、当該繰延資産につき当該適格分割等の日の前日を事業年度終了の日とした場合に前項の規定により計算される償却限度額に相当する金額に達するまでの金額は、当該適格分割等の日の属する事業年度(第六項において「分割等事業年度」という。)の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
3前項の規定は、同項の内国法人が適格分割等の日以後二月以内に期中損金経理額その他の財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出した場合に限り、適用する。
4内国法人が適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(以下この項において「適格組織再編成」という。)を行つた場合には、次の各号に掲げる適格組織再編成の区分に応じ当該各号に定める繰延資産は、当該適格組織再編成の直前の帳簿価額により当該適格組織再編成に係る合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人に引き継ぐものとする。
一適格合併又は適格現物分配(残余財産の全部の分配に限る。)当該適格合併の直前又は当該適格現物分配に係る残余財産の確定の時の繰延資産
二適格分割等次に掲げる繰延資産
イ当該適格分割等により分割承継法人等に移転する資産等と密接な関連を有する繰延資産として政令で定めるもの
ロ当該適格分割等により分割承継法人等に移転する資産等と関連を有する繰延資産のうち第二項の規定の適用を受けたもの(イに掲げるものを除く。)
ハ当該適格分割等により分割承継法人等に移転する資産等と関連を有する繰延資産(イ及びロに掲げるものを除く。)
5前項(第二号ハに係る部分に限る。)の規定は、同項の内国法人が適格分割等の日以後二月以内に同項の規定により分割承継法人等に引き継ぐものとされる同号ハに掲げる繰延資産の帳簿価額その他の財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出した場合に限り、適用する。
6損金経理額には、第一項の繰延資産につき同項の内国法人が償却費として損金経理をした事業年度(以下この項において「償却事業年度」という。)前の各事業年度における当該繰延資産に係る損金経理額(当該繰延資産が適格合併又は適格現物分配(残余財産の全部の分配に限る。)により被合併法人又は現物分配法人(以下この項において「被合併法人等」という。)から引継ぎを受けたものである場合にあつては当該被合併法人等の当該適格合併の日の前日又は当該残余財産の確定の日の属する事業年度以前の各事業年度の損金経理額のうち当該各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額を、当該繰延資産が適格分割等により分割法人、現物出資法人又は現物分配法人(以下この項において「分割法人等」という。)から引継ぎを受けたものである場合にあつては当該分割法人等の分割等事業年度の期中損金経理額として帳簿に記載した金額及び分割等事業年度前の各事業年度の損金経理額のうち分割等事業年度以前の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額を含む。以下この項において同じ。)のうち当該償却事業年度前の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額を含むものとし、期中損金経理額には、第二項の内国法人の分割等事業年度前の各事業年度における同項の繰延資産に係る損金経理額のうち当該各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額を含むものとする。
7前項の場合において、内国法人の繰延資産(適格合併により被合併法人から引継ぎを受けた繰延資産、第六十二条の九第一項(非適格株式交換等に係る株式交換完全子法人等の有する資産の時価評価損益)の規定の適用を受けた同項に規定する時価評価資産に該当する繰延資産その他の政令で定める繰延資産に限る。)につきその価額として帳簿に記載されていた金額として政令で定める金額が当該引継ぎの直前に当該被合併法人の帳簿に記載されていた金額、同条第一項の規定の適用を受けた直後の帳簿価額その他の政令で定める金額に満たない場合には、当該満たない部分の金額は、政令で定める事業年度前の各事業年度の損金経理額とみなす。
8前各項に定めるもののほか、繰延資産の償却に関し必要な事項は、政令で定める。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。