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条文原文
原文ママ財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準 第2_3条(財務報告に係る内部統制の評価の方法)
(財務報告に係る内部統制の評価の方法)
基準2_3財務報告に係る内部統制の評価の方法
2(1)経営者による内部統制評価経営者は、有効な内部統制の整備及び運用の責任を負う者として、財務報告に係る内部統制を評価する。経営者は、内部統制の評価に当たって、連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制の評価を行った上で、その結果を踏まえて、業務プロセスに組み込まれ一体となって遂行される内部統制(以下「業務プロセスに係る内部統制」という。)を評価しなければならない。
3なお、経営者による内部統制評価は、期末日を評価時点として行うものとする。
4① 内部統制の評価体制経営者による評価とは、一義的には、経営者自らが企業の内部統制の評価を行い、評価の結果を表明することを意味する。内部統制の評価の最終的な責任は経営者にあり、評価の計画、実施、評価結果の責任は経営者が負うことになる。
5ただし、経営者が全ての評価作業を全て実施することは困難であり、経営者の指揮下で経営者を補助して評価を行う責任者を指定するほか、通常、経営者の指揮下で評価を行う部署や機関を設置することが考えられるが、例えば、自らの業務を評価することとならない範囲において、経理部、内部監査部など既設の部署を活用することも考えられる。
6経営者を補助して評価を実施する部署及び機関並びにその要員は、評価の対象となる業務から独立し、客観性を保つことが求められる。また、評価に必要な能力を有していること、すなわち、内部統制の整備及びその評価業務に精通していること、評価の方法及び手続を十分に理解し適切な判断力を有することが必要である。
7日常の業務を遂行する者又は業務を執行する部署自身による内部統制の自己点検は、それのみでは独立的評価とは認められないが、内部統制の整備及び運用状況の改善には有効であり、独立的評価を有効に機能させることにもつながるものである。自己点検による実施結果に対して独立したモニタリングを適切に実施することにより、内部統制の評価における判断の基礎として自己点検を利用することが考えられる。
8② 専門家の業務の利用経営者は、財務報告に係る内部統制の評価作業の一部を、社外の専門家を利用して実施することができる。
9専門家による作業結果を評価の証拠として利用するかどうかについては、あくまで経営者が自らの責任において判断する必要があり、評価結果の最終的な責任は経営者が負う。そのためには、例えば、以下の事項に留意する。
10イ. 専門家が、単に業務の専門的知識のみならず、内部統制の評価について経営者の依頼内容を達成するのに必要な知識と経験を有していることロ. 専門家に業務を依頼するにあたり、評価手続の具体的内容、評価対象期間、評価範囲、サンプル件数等の基本的要件を明確にすることハ. 評価手続や業務の内容を明確にするため、専門家から経営者に提出される報告に盛り込まれるべき事項を明確にすることニ. 専門家が実施する業務の進捗状況を定期的に検証することホ. 専門家が実施した業務結果が、依頼した基本的内容を満たしているか確認すること
11(2)全社的な内部統制の評価経営者は、全社的な内部統制の整備及び運用状況、並びに、その状況が業務プロセスに係る内部統制に及ぼす影響の程度を評価する。その際、経営者は、組織の内外で発生するリスク等を十分に評価するとともに、財務報告全体に重要な影響を及ぼす事項を十分に検討する。例えば、全社的な会計方針及び財務方針、組織の構築及び運用等に関する経営判断、経営レベルにおける意思決定のプロセス等がこれに該当する。
12① 全社的な内部統制全社的な内部統制は企業全体に広く影響を及ぼし、企業全体を対象とする内部統制であり、基本的には企業集団全体を対象とする内部統制を意味する。ただし、企業集団内の子会社や事業部等に独特の歴史、慣習、組織構造等が認められ、当該子会社や事業部等を対象とする内部統制を別途評価対象とすることが適切と判断される場合には、個々の子会社や事業部等のみを対象とする全社的な内部統制を評価することもある。その場合、どの子会社や事業部等の単位で内部統制を識別し、評価を実施するかは経営者が財務報告への影響の重要性を勘案して適切に判断する。
13〔全社的な内部統制の評価項目〕全社的な内部統制の形態は、企業の置かれた環境や事業の特性等によって様々であり、企業ごとに適した内部統制を整備及び運用することが求められるが、各基本的要素ごとに、例えば、参考1(財務報告に係る全社的な内部統制に関する評価項目の例)のような評価項目が考えられる。ただし、必ずしも参考 1 の例によらない場合があること及び参考 1 の例による場合でも、適宜、加除修正がありうることに留意する。
14(注)全社的な内部統制の評価項目(財務報告の信頼性に特に重要な影響を及ぼす項目を除く。)のうち、前年度の評価結果が有効であり、かつ、前年度の整備状況と重要な変更がない項目については、その旨を記録することで、前年度の運用状況の評価結果を継続して利用することができる。これにより、全社的な内部統制の評価項目の運用状況の評価について、一定の複数会計期間内に一度の頻度で実施されることがあることに留意する。なお、全社的な内部統制の評価を個々の子会社や事業部等の単位で実施している場合には、財務報告の信頼性に与える影響の重要性を勘案し、当該評価単位ごとに前年度の運用状況の評価結果を継続して利用するか否かを判断することができることに留意する。
15② 全社的な内部統制の評価方法全社的な内部統制を評価するときは、評価対象となる内部統制全体を適切に理解及び分析した上で、必要に応じて関係者への質問や記録の検証などの手続を実施する。
16③ 全社的な内部統制と業務プロセスに係る内部統制経営者は、全社的な内部統制の評価結果を踏まえ、業務プロセスに係る内部統制を評価するが、全社的な内部統制と業務プロセスに係る内部統制は相互に影響し合い、補完する関係にある。経営者は両者のバランスを適切に考慮した上で内部統制の評価を行うことが求められる。
17〔企業の業務の性質等によるバランスの相違〕企業の行う業務の性質等により、全社的な内部統制と業務プロセスに係る内部統制のどちらに重点を置くかが異なることもある。例えば、組織構造が相対的に簡易な場合には、全社的な内部統制の重要性が高くなることがある。
18一方、社内の規程や方針、手続に準拠して行う業務の割合が高い企業においては、業務プロセスに係る内部統制が相対的に重要となることが考えられる。例えば、多店舗に展開する小売販売業務においては、業務の手続を定型化する必要があり、販売規程、現金取扱規程、従業員教育規程、例外事項対応規程などの多くの業務プロセスに係る内部統制の手引きが作成されることになる。
19経営者は、全社的な内部統制の評価結果を踏まえて、業務プロセスに係る内部統制の評価の範囲、方法等を決定する。例えば、全社的な内部統制の評価結果が有効でない場合には、当該内部統制の影響を受ける業務プロセスに係る内部統制の評価について、評価範囲の拡大や評価手続を追加するなどの措置が必要となる。一方、全社的な内部統制の評価結果が有効である場合については、業務プロセスに係る内部統制の評価に際して、サンプリングの範囲を縮小するなど簡易な評価手続を取り、又は重要性等を勘案し、評価範囲の一部について、一定の複数会計期間ごとに評価の対象とすることが考えられる。
20(注)一定の複数会計期間については、当該業務プロセスの重要性等を勘案し、適切に判断することが必要である。
21なお、例えば、上記①に記載のとおり、企業集団内の子会社や事業部等の特性等にかんがみ、その重要性を勘案して、個々の子会社や事業部等のみを対象とする全社的な内部統制の評価が行われた場合には、その評価結果を踏まえて、当該子会社や事業部等に係る業務プロセスにつき、評価の範囲、方法等を調整することがありうることに留意する。
22(3)業務プロセスに係る内部統制の評価経営者は、全社的な内部統制の評価結果を踏まえ、評価対象となる内部統制の範囲内にある業務プロセスを分析した上で、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす統制上の要点
23(以下「統制上の要点」という。)を選定し、当該統制上の要点について内部統制の基本的要素が機能しているかを評価する。
24経営者は、全社的な内部統制の評価結果を踏まえ、評価対象となる業務プロセスを分析した上で、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす内部統制を統制上の要点として識別する。次に、統制上の要点となる内部統制が虚偽記載の発生するリスクを十分に低減しているかどうかを評価する。経営者は、各々の統制上の要点の整備及び運用の状況を評価することによって、当該業務プロセスに係る内部統制の有効性に関する評価の基礎とする。
25① 評価対象となる業務プロセスの把握・整理経営者は、評価対象となる業務プロセスにおける取引の開始、承認、記録、処理、報告を含め、取引の流れを把握し、取引の発生から集計、記帳といった会計処理の過程を理解する。把握された業務プロセスの概要については、必要に応じ図や表を活用して整理・記録することが有用である。
26(注)図や表の例としては、参考2(業務の流れ図(例)、業務記述書(例))が挙げられる。ただし、これは、必要に応じて作成するとした場合の参考例として掲載したものであり、また、企業において別途、作成しているものがあれば、それを利用し、必要に応じそれに補足を行っていくことで足り、必ずしもこの様式による必要はないことに留意する。
27② 業務プロセスにおける虚偽記載の発生するリスクとこれを低減する統制の識別イ.経営者は、評価対象となる業務プロセスにおいて、不正又は誤謬により、虚偽記載が発生するリスクを識別する。
28このリスクを識別するに当たっては、当該不正又は誤謬が発生した場合に、実在性、網羅性、権利と義務の帰属、評価の妥当性、期間配分の適切性、表示の妥当性といった適切な財務情報を作成するための要件のうち、どの要件に影響を及ぼすかについて理解しておくことが重要となる。
29a.実在性-資産及び負債が実際に存在し、取引や会計事象が実際に発生していることb.網羅性-計上すべき資産、負債、取引や会計事象を全て記録していることc.権利と義務の帰属-計上されている資産に対する権利及び負債に対する義務が企業に帰属していることd.評価の妥当性-資産及び負債を適切な価額で計上していることe.期間配分の適切性-取引や会計事象を適切な金額で記録し、収益及び費用を適切な期間に配分していることf.表示の妥当性-取引や会計事象を適切に表示していることロ.虚偽記載が発生するリスクを低減するための統制上の要点を識別する。
30経営者は、虚偽記載が発生するリスクを低減するための内部統制を識別する。その際、特に取引の開始、承認、記録、処理、報告に関する内部統制を対象に、実在性、網羅性、権利と義務の帰属、評価の妥当性、期間配分の適切性、表示の妥当性といった適切な財務情報を作成するための要件を確保するために、どのような内部統制が必要かという観点から識別する。
31経営者は、個々の重要な勘定科目に関係する個々の統制上の要点について、内部統制が適切に機能し、実在性、網羅性、権利と義務の帰属、評価の妥当性、期間配分の適切性、表示の妥当性といった要件を確保する合理的な保証を提供しているかを判断することを通じて、財務報告に係る内部統制についての基本的要素が有効に機能しているかを判断する。
32なお、業務プロセスに係る内部統制の整備及び運用状況の評価については、必要に応じ、図や表を活用して整理・記録することが有用である。
33(注)図や表の例としては、参考3(リスクと統制の対応(例))が挙げられる。ただし、これは、必要に応じて作成するとした場合の参考例として掲載したものであり、また、企業において別途、作成しているものがあれば、それを利用し、必要に応じそれに補足を行っていくことで足り、必ずしもこの様式による必要はないことに留意する。
34③ 業務プロセスに係る内部統制の整備状況の有効性の評価経営者は、上記②によって識別した個々の重要な勘定科目に関係する個々の統制上の要点が適切に整備され、実在性、網羅性、権利と義務の帰属、評価の妥当性、期間配分の適切性、表示の妥当性といった適切な財務情報を作成するための要件を確保する合理的な保証を提供できているかについて、関連文書の閲覧、従業員等への質問、観察等を通じて判断する。この際、内部統制が規程や方針に従って運用された場合に、財務報告の重要な事項に虚偽記載が発生するリスクを十分に低減できるものとなっているかにより、当該内部統制の整備状況の有効性を評価する。
35その際には、例えば、以下のような事項に留意する。
36内部統制は、不正又は誤謬を防止又は適時に発見できるよう適切に実施されているか。
37適切な職務の分掌が導入されているか。
38担当者は、内部統制の実施に必要な知識及び経験を有しているか。
39内部統制に関する情報が、適切に伝達され、分析・利用されているか。
40内部統制によって発見された不正又は誤謬に適時に対処する手続が設定されているか。
41(注)統制上の要点として識別された内部統制の整備状況の評価は、原則として、毎期実施する必要がある。ただし、全社的な内部統制の評価結果が有効である場合には、統制上の要点として識別された内部統制(財務報告の信頼性に特に重要な影響を及ぼすものを除く。)のうち、前年度の評価結果が有効であり、かつ、前年度の整備状況と重要な変更がないものについては、その旨を記録することで、前年度の整備状況の評価結果を継続して利用することができる。これにより、業務プロセスに係る内部統制の整備状況の評価について、一定の複数会計期間内に一度の頻度で実施されることがあることに留意する。
42④ 業務プロセスに係る内部統制の運用状況の有効性の評価イ. 運用状況の評価の内容経営者は、業務プロセスに係る内部統制が適切に運用されているかを判断するため、業務プロセスに係る内部統制の運用状況の評価を実施する。
43経営者は、関連文書の閲覧、当該内部統制に関係する適切な担当者への質問、業務の観察、内部統制の実施記録の検証、各現場における内部統制の運用状況に関する自己点検の状況の検討等により、業務プロセスに係る内部統制の運用状況を確認する。
44ロ.運用状況の評価の実施方法運用状況の評価の実施に際して、経営者は、原則としてサンプリングにより十分かつ適切な証拠を入手する。全社的な内部統制の評価結果が良好である場合や、業務プロセスに係る内部統制に関して、同一の方針に基づく標準的な手続が企業内部の複数の事業拠点で広範に導入されていると判断される場合には、サンプリングの範囲を縮小することができる。
45例えば、複数の営業拠点や店舗を展開している場合において、統一的な規程により業務が実施されている、業務の意思決定に必要な情報と伝達が良好である、内部統制の同一性をモニタリングする内部監査が実施されている等、全社的な内部統制が良好に運用されていると評価される場合には、全ての営業拠点について運用状況の評価を実施するのではなく、個々の事業拠点の特性に応じていくつかのグループに分け、各グループの一部の営業拠点に運用状況の評価を実施して、その結果により全体の内部統制の運用状況を推定し、評価することができる。
46評価対象とする営業拠点等については、計画策定の際に、一定期間で全ての営業拠点を一巡する点に留意しつつ、無作為抽出の方法を導入するなどその効果的な選定方法について検討する。
47(注1)統制上の要点として識別された内部統制の運用状況の評価は、原則として、毎期実施する必要がある。ただし、全社的な内部統制の評価結果が有効である場合には、統制上の要点として識別された内部統制(財務報告の信頼性に特に重要な影響を及ぼすものを除く。)のうち、前年度の評価結果が有効であり、かつ、前年度の整備状況と重要な変更がないものについては、その旨を記録することで、前年度の運用状況の評価結果を継続して利用することができる。これにより、業務プロセスに係る内部統制の運用状況の評価について、一定の複数会計期間内に一度の頻度で実施されることがあることに留意する。
48(注2)事業規模が小規模で、比較的簡素な構造を有している組織等の運用状況の評価においては、特に、それぞれの組織の状況等に応じ、評価方法を工夫して効率的に実施することができる。例えば、適切な全社的な内部統制が整備及び運用されていることを前提に、一律に、通期において業務プロセスに係る内部統制については運用状況の評価が求められるものではないこと、また、組織内における各階層(例えば、部長レベル、担当者レベル等)において必ず評価が求められるものではないことに留意する。
49ハ.運用状況の評価の実施時期評価時点(期末日)における内部統制の有効性を判断するには、適切な時期に運用状況の評価を実施することが必要となる。
50運用状況の評価を期中に実施した場合、期末日までに内部統制に関する重要な変更があったときには、例えば、以下の追加手続の実施を検討する。なお、変更されて期末日に存在しない内部統制については、評価する必要はないことに留意する。
51a. 重要な変更の内容の把握・整理b. 変更に伴う業務プロセスにおける虚偽記載の発生するリスクとこれを低減する統制の識別を含む変更後の内部統制の整備状況の有効性の評価c. 変更後の内部統制の運用状況の有効性の評価なお、決算・財務報告プロセスに係る内部統制の運用状況の評価については、当該期において適切な決算・財務報告プロセスが確保されるよう、仮に不備があるとすれば早期に是正が図られるべきであり、また、財務諸表監査における内部統制の評価プロセスとも重なりあう部分が多いと考えられることから、期末日までに内部統制に関する重要な変更があった場合には適切な追加手続が実施されることを前提に、前年度の運用状況をベースに、早期に実施されることが効率的・効果的である。
52ニ.評価の実施方法の決定に関する留意事項運用状況の評価の実施方法(サンプル件数、サンプルの対象期間等)を決定する際に考慮すべき事項は、以下のとおりである。
53a. 内部統制の形態・特徴等経営者は、内部統制の重要性、複雑さ、担当者が行う判断の性質、内部統制の実施者の能力、前年度の評価結果やその後の変更の状況等を考慮して運用状況の評価の実施方法(サンプル件数、サンプルの対象期間等)を決定する必要がある。
54また、ITを利用した内部統制は一貫した処理を反復継続するため、その整備状況が有効であると評価された場合には、ITに係る全般統制の有効性を前提に、人手による内部統制よりも、例えばサンプル件数を減らし、サンプルの対象期間を短くするなど、一般に運用状況の評価作業を減らすことができる。
55b. 決算・財務報告プロセス上記2.(2)で記載したとおり、決算・財務報告に係る業務プロセスのうち、全社的な観点で評価することが適切と考えられるものについては、全社的な内部統制に準じて、全社的な観点で評価が行われることとなるが、それ以外の決算・財務報告プロセスについては、それ自体を固有の業務プロセスとして評価することとなる。
56その際には、決算・財務報告プロセスに係る内部統制は、財務報告の信頼性に関して非常に重要な業務プロセスであることに加え、その実施頻度が日常的な取引に関連する業務プロセスなどに比して低いことから評価できる実例の数は少ないものとなる。したがって、決算・財務報告プロセスに係る内部統制に対しては、一般に、他の内部統制よりも慎重に運用状況の評価を行う必要がある。
57⑤ ITを利用した内部統制の評価イ. ITを利用した内部統制の評価情報システムにITが利用されている場合は、通常、情報は種々の業務システムで処理、作成され、その情報が会計システムに反映される。したがって、経営者は、こうした業務システムや会計システムによって作成される財務情報の信頼性を確保するための内部統制を評価する必要がある。この内部統制には、コンピュータ・プログラムに組み込まれて自動化されている内部統制、人手とコンピュータ処理が一体となって機能している内部統制がある。
58また、ITの統制は、全般統制と業務処理統制に分けられるが、経営者はこの両者を評価する必要がある。なお、ITに係る全般統制は、業務処理統制が有効に機能する環境を確保するものであるが、ITに係る全般統制が有効に機能していると評価されたとしても、それだけでITに係る業務処理統制も有効に機能しているという結論に至らない点について留意することが必要である。
59ロ. 評価範囲の決定a. 業務プロセスとシステムの範囲財務報告に係るITの評価では、まず、財務報告に係る内部統制に関連するシステムの対象範囲を明確にする必要がある。業務プロセスにおける取引の発生から集計、記帳といった会計処理の過程を確認する際に、財務諸表の重要な勘定科目がどのような業務プロセス及びシステムと関連しているか、システムの機能の概要、どの部署で利用されているか等について整理する。
60その際には、各業務プロセスにおいて用いる業務プロセスにおける取引の発生から集計、記帳といった会計処理の過程の整理に加えて、システム間のデータの流れ等を、必要に応じ図や表を活用して把握・整理し、また各業務プロセスで使用されているシステムの一覧を作成することが有用である。
61(注)前述の参考2(業務の流れ図(例))においては、右列にシステムに関する流れの欄を設け、この点につき記載できるようになっている。
62b. IT基盤の把握各業務プロセスにおけるシステムの把握に加えて、それを支援するIT基盤の概要を把握する。例えば、以下のような項目について把握する。
63▪ ITに関与する組織の構成▪ ITに関する規程、手順書等▪ ハードウェアの構成▪ 基本ソフトウェアの構成▪ ネットワークの構成▪ 外部委託の状況ハ. 評価単位の識別ITに係る全般統制は、IT基盤の概要をもとに評価単位を識別し、評価を行う。
64例えば、自社開発の販売、購買、物流のシステムについては、システム部が管理し、会計システムについては、経理部が市販のパッケージ・ソフトウェアを導入・管理している場合、評価単位を「システム部」と「経理部」の2つとして識別する。
65一方、ITに係る業務処理統制の評価は、基本的には個々のシステム毎に行う必要があり、経営者は、必要に応じ流れ図等を利用して、各システムにおける業務処理統制を識別する。
66(注)前述の参考2(業務の流れ図(例))においては、右列にシステムに関する流れの欄を設けており、例えば、これに対する注記の中で、あるいは業務記述書
67(例)を別途、作成する場合にはその中で、業務処理統制の内容について記述することが考えられる。
68下図は、販売取引における売上と入金の業務プロセス及び会計データとの関連を、一つの例として図式化したものである。企業の各業務プロセスは機能ごとに細分化され、その機能に基づいてシステム化される場合が多い。例えば、売上プロセスは、受注や出荷等の機能に分類され、必要に応じてシステム化される。
69経営者は、財務諸表の勘定科目と取引、業務プロセス及びシステムとの関係を理解し、主要な取引等について、どの会計データがどのシステムに依存しているのかを把握する必要がある。
70ニ. ITを利用した内部統制の整備状況及び運用状況の有効性の評価a.ITに係る全般統制の評価経営者は、ITに係る全般統制が、例えば、次のような点において有効に整備及び運用されているか評価する。
71・システムの開発、保守
72・システムの運用・管理
73・内外からのアクセス管理などのシステムの安全性の確保
74・外部委託に関する契約の管理内部統制の有効性の評価のうち、内部統制の運用状況の有効性の評価に当たっては、経営者は、業務処理統制の運用状況の評価とあわせて、関連する全般統制の運用状況の評価を実施するが、業務処理統制の運用状況の評価の実施範囲を拡財務報告会計システム機能業務プロセスシステム連携するシステム 物流・在庫システム販売管理システム 売掛金管理システム現金売上評価対象会計 データ売掛金売掛金出荷 請求 回収 受注受注単位売上単位売掛金請求単位売掛金回収単位売上プロセス 入金プロセス大することにより、全般統制の運用状況の評価を実施せずに、内部統制の運用状況の有効性に関して十分な心証が得られる場合もある。
75(注)IT全般統制の項目(財務報告の信頼性に特に重要な影響を及ぼす項目を除く。)のうち、前年度の評価結果が有効であり、かつ、前年度の整備状況と重要な変更がない項目については、その旨を記録することで、前年度の運用状況の評価結果を継続して利用することができる。これにより、ITに係る全般統制の運用状況の評価について、一定の複数会計期間内に一度の頻度で実施されることがある。この取扱いについては、経営者において、IT環境の変化を踏まえて慎重に判断され、必要に応じて監査人と協議して行われるべきものであり、特定の年数を機械的に適用すべきものではないことに留意する。
76b.ITに係る業務処理統制の評価経営者は、識別したITに係る業務処理統制が、適切に業務プロセスに組み込まれ、運用されているかを評価する。具体的には、例えば、次のような点について、業務処理統制が有効に整備及び運用されているかを評価する。
77・入力情報の完全性、正確性、正当性等が確保されているか。
78・エラーデータの修正と再処理の機能が確保されているか。
79・マスタ・データの正確性が確保されているか。
80・システムの利用に関する認証・操作範囲の限定など適切なアクセス管理がなされているか。
81ITに係る業務処理統制は、多くは自動化されたITに係る業務処理統制であるが、一部、ITシステムに組み込まれていない手作業によるITに係る業務処理統制が存在している場合がある。一般的に、自動化されたITに係る業務処理統制は手作業によるITに係る業務処理統制よりも無効化が難しくなる。しかし、自動化されたITに係る業務処理統制であっても過信せずに、内部統制の無効化のリスクを完全に防ぐことは困難であるという視点を持つことが重要である。また、電子記録について変更の痕跡が残り難い場合には、内部統制の無効化が生じてもその発見が遅れることがある点についても留意することが重要である。
82c.過年度の評価結果を利用できる場合ITを利用した内部統制の評価は、ITを利用していない内部統制と同様に原則として毎期実施する必要がある。しかし、ITを利用して自動化された内部統制に関しては、一度内部統制が設定されると、変更やエラーが発生しない限り一貫して機能するという性質がある。したがって、経営者は、自動化された内部統制が過年度に内部統制の不備が発見されずに有効に運用されていると評価された場合、評価された時点から内部統制が変更されていないこと、障害・エラー等の不具合が発生していないこと、及び関連する全般統制の整備及び運用の状況を確認及び評価した結果、全般統制が有効に機能していると判断できる場合には、その結果を記録することで、当該評価結果を継続して利用することができる。
83(注)ITに係る業務処理統制の評価のうち、ITを利用して自動化された内部統制については、上記に従い、過年度の評価結果を継続して利用できる場合、一定の複数会計期間に一度の頻度で運用状況のテストを実施する方法も含まれる。この方法は、経営者において、IT環境の変化を踏まえて慎重に判断され、必要に応じて監査人と協議して行われるべきものであり、特定の年数を機械的に適用すべきものではないことに留意する。
84(4)内部統制の有効性の判断経営者は、財務報告に係る内部統制の有効性の評価を行った結果、統制上の要点等に係る不備が財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高い場合は、当該内部統制に開示すべき重要な不備があると判断しなければならない。
85① 全社的な内部統制の有効性の判断イ.不備の評価全社的な内部統制の不備は、業務プロセスに係る内部統制にも直接又は間接に広範な影響を及ぼし、最終的な財務報告の内容に広範な影響を及ぼすことになる。
86したがって、全社的な内部統制に不備がある場合には、業務プロセスに係る内部統制にどのような影響を及ぼすかも含め、財務報告に重要な虚偽記載をもたらす可能性について慎重に検討する必要がある。
87ロ.有効性の判断全社的な内部統制が有効であると判断するには、全社的な内部統制が財務報告に係る虚偽の記載及び開示が発生するリスクを低減するため、以下の条件を満たしていることが重要となる。
88▪ 全社的な内部統制が、一般に公正妥当と認められる内部統制の枠組みに準拠して整備及び運用されていること。
89▪ 全社的な内部統制が、業務プロセスに係る内部統制の有効な整備及び運用を支援し、企業における内部統制全般を適切に構成している状態にあること。
90ハ.全社的な内部統制に不備がある場合全社的な内部統制に不備がある場合、内部統制の有効性に重要な影響を及ぼす可能性が高い。内部統制の開示すべき重要な不備となる全社的な内部統制の不備として、例えば、以下のものが挙げられる。
91a.経営者が財務報告の信頼性に関するリスクの評価と対応を実施していない。
92b.取締役会又は監査役等が財務報告の信頼性を確保するための内部統制の整備及び運用を監督、監視、検証していない。
93c.財務報告に係る内部統制の有効性を評価する責任部署が明確でない。
94d.財務報告に係るITに関する内部統制に不備があり、それが改善されずに放置されている。
95e.業務プロセスに関する記述、虚偽記載のリスクの識別、リスクに対する内部統制に関する記録など、内部統制の整備状況に関する記録を欠いており、取締役会又は監査役等が、財務報告に係る内部統制の有効性を監督、監視、検証することができない。
96f.経営者や取締役会、監査役等に報告された全社的な内部統制の不備が合理的な期間内に改善されない。
97全社的な内部統制に不備がある場合でも、業務プロセスに係る内部統制が単独で有効に機能することもあり得る。ただし、全社的な内部統制に不備があるという状況は、基本的な内部統制の整備に不備があることを意味しており、全体としての内部統制が有効に機能する可能性は限定されると考えられる。
98② 業務プロセスに係る内部統制の有効性の判断イ.内部統制の整備状況の有効性の評価内部統制が有効に整備されているか評価する場合には、内部統制が財務諸表の勘定科目、注記及び開示項目に虚偽記載が発生するリスクを合理的なレベルまで低減するものとなっているか確認する。
99ロ.内部統制の運用状況の有効性の評価経営者は、内部統制が所期の通り実際に有効に運用されているかを評価する。その場合、それぞれの虚偽記載のリスクに対して内部統制が意図した通りに運用されていることを確認しなければならない。
100ハ.虚偽記載が発生する場合の影響度と発生可能性の評価内部統制の不備が開示すべき重要な不備に該当するか否かを評価するために、内部統制の不備により勘定科目等に虚偽記載が発生する場合、その影響が及ぶ範囲を推定する。さらに、内部統制の不備による影響額を推定するときには、虚偽記載の発生可能性も併せて検討する必要がある。
101内部統制の不備が複数存在する場合には、それらの内部統制の不備が単独で、又は複数合わさって、開示すべき重要な不備に該当していないかを評価する。すなわち、開示すべき重要な不備に該当するか否かは、同じ勘定科目に関係する不備を全て合わせて、当該不備のもたらす影響が財務報告の重要な事項の虚偽記載に該当する可能性があるか否かによって判断する。例えば、売掛金勘定の残高は、販売業務プロセスでの信用販売と入金業務プロセスの代金回収の影響を受けるが、この両方の業務プロセスに係る内部統制に不備がある場合は、それぞれの不備がもたらす影響を合わせて、売掛金勘定の残高に及ぼす影響を評価しなければならない。
102また、集計した不備の影響が勘定科目ごとに見れば財務諸表レベルの重要な虚偽記載に該当しない場合でも、複数の勘定科目に係る影響を合わせると重要な虚偽記載に該当する場合がある。この場合にも開示すべき重要な不備となる。
103さらに、勘定科目等に虚偽記載が発生する可能性と影響度を検討するときには、個々の内部統制を切り離して検討するのではなく、個々の内部統制がいかに相互に連係して虚偽記載が発生するリスクを低減しているかを検討する必要がある。そのために、ある内部統制の不備を補う内部統制(補完統制)の有無と、仮に補完統制がある場合には、それが勘定科目等に虚偽記載が発生する可能性と金額的影響をどの程度低減しているかを検討する。
104内部統制の不備による影響金額の算定方法については、「Ⅲ 財務報告に係る内部統制の監査」4.(2)④ 業務プロセスに係る内部統制の不備の検討に詳細を記載しており、これは評価に当たっても参考になると考えられる。
105③ ITに係る内部統制の有効性の判断イ.ITに係る全般統制に不備がある場合ITに係る全般統制に不備がある場合には、代替的又は補完的な他の内部統制により、財務報告の信頼性という目的が達成されているかを検討する。
106ITに係る全般統制の不備は、財務報告の重要な事項に虚偽記載が発生するリスクに直接に繋がるものではないため、直ちに開示すべき重要な不備と評価されるものではない。しかし、ITに係る全般統制に不備があった場合には、たとえITに係る業務処理統制が有効に機能するように整備されていたとしても、その有効な運用を継続的に維持することができない可能性があり、虚偽記載が発生するリスクが高まることとなる。
107ロ.ITに係る業務処理統制に不備がある場合ITに係る業務処理統制に不備がある場合には、業務プロセスに係る内部統制に不備がある場合と同様に、その影響度と発生可能性の評価を行う。
108ITに係る業務処理統制のうち、人とITが一体となって機能する統制活動に不備がある場合に、経営者は、その不備の内容が、人に関する部分から生じているものなのか、それともITに関する部分から生じているものなのかを識別する必要がある。ITに関する部分から生じている場合には、同じ種類の誤りが繰り返されている可能性があることに留意する。
109④ 不備等の報告財務報告に係る内部統制の評価の過程で識別した内部統制の不備(開示すべき重要な不備を含む。)は、その内容及び財務報告全体に及ぼす影響金額、その対応策、その他有用と思われる情報とともに、識別した者の上位の管理者等適切な者にすみやかに報告し是正を求めるとともに、開示すべき重要な不備(及び、必要に応じて内部統制の不備)は、経営者、取締役会、監査役等及び会計監査人に報告する必要がある。なお、開示すべき重要な不備が期末日に存在する場合には、内部統制報告書に、開示すべき重要な不備の内容及びそれが是正されない理由を記載しなければならない。
110(5)内部統制の開示すべき重要な不備の是正経営者による評価の過程で発見された財務報告に係る内部統制の不備(開示すべき重要な不備を含む。)は、適時に認識し、適切に対応される必要がある。
111開示すべき重要な不備が発見された場合であっても、それが報告書における評価時点
112(期末日)までに是正されていれば、財務報告に係る内部統制は有効であると認めることができる。
113(注)期末日後に実施した是正措置については、報告書に付記事項として記載できる。
114① 開示すべき重要な不備等の是正手続内部統制の評価及び報告の計画を作成するときには、内部統制の不備(開示すべき重要な不備を含む。)を発見した場合に、これを是正することを想定して、最終的な評価の時点(期末日)まで一定の期間を確保しておくことが適切である。
115② 期末日後に実施した是正措置に関する評価手続内部統制の評価時点は期末日であり、期末日後に実施した是正措置は、期末日における財務報告に係る内部統制の評価には影響しない。
116ただし、経営者は、内部統制報告書の提出日までに実施した是正措置がある場合は、その内容を内部統制報告書に付記事項として記載できる。
117なお、提出日までに有効な内部統制を整備し、その運用の有効性を確認している場合には、是正措置を完了した旨を、実施した是正措置の内容とともに記載できる。
118(6)評価範囲の制約経営者は、財務報告に係る内部統制の有効性を評価するに当たって、やむを得ない事情により、内部統制の一部について十分な評価手続を実施できない場合がある。その場合には、当該事実が財務報告に及ぼす影響を十分に把握した上で、評価手続を実施できなかった範囲を除外して財務報告に係る内部統制の有効性を評価することができる。
119(注) やむを得ない事情により十分な評価手続が実施できなかった場合としては、例えば、下期における他企業の買収等により、当該企業に係る内部統制の有効性について十分な評価手続を実施できなかった場合等が考えられる。
120〔評価範囲の制約が認められる場合〕「やむを得ない事情」とは、例えば、下期に他企業を買収又は合併したこと、災害が発生したこと等の事由が生じたことにより、財務諸表を作成して取締役会の承認を受けるまでに通常要する期間内に本基準に準拠した評価手続を実施することが困難と認められる事情をいう。
121(注)なお、「下期」はあくまでも例示であり、該当する事象が発生したが内部統制報告書作成日までに、やむを得ず評価を完了することができない場合でその合理性が認められるときには、「下期」に限られないことに留意する。
122評価範囲の除外に関しては、その範囲及びその理由を内部統制報告書に記載することが必要であり、また、評価を実施できないことが財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす場合には、内部統制の評価結果は表明できないこととなることに留意する。
123(7)評価手続等の記録及び保存経営者は、財務報告に係る内部統制の有効性の評価手続及びその評価結果、並びに発見した不備及びその是正措置に関して、記録し保存しなければならない。
124① 内部統制の記録内部統制に係る記録の範囲、形式及び方法は一律に規定できないが、例えば、以下のような事項を記録し保存することが考えられる。
125イ.財務報告に係る内部統制の整備及び運用の方針及び手続ロ.全社的な内部統制の評価にあたって、経営者が採用する評価項目ごとの整備及び運用の状況ハ.重要な勘定科目や開示項目に関連する業務プロセスの概要(各業務プロセスにおけるシステムに関する流れやITに関する業務処理統制の概要、使用されているシステムの一覧などを含む。)ニ.各業務プロセスにおいて重要な虚偽記載が発生するリスクとそれを低減する内部統制の内容(実在性、網羅性、権利と義務の帰属、評価の妥当性、期間配分の適切性、表示の妥当性との関係を含む。また、ITを利用した内部統制の内容を含む。)ホ.上記二.に係る内部統制の整備及び運用の状況ヘ.財務報告に係る内部統制の有効性の評価手続及びその評価結果並びに発見した不備及びその是正措置▪ 評価計画に関する記録▪ 評価範囲の決定に関する記録(評価の範囲に関する決定方法及び根拠等を含む。)▪ 実施した内部統制の評価の手順及び評価結果、是正措置等に係る記録なお、記録の形式、方法等については、一律に規定されるものではなく、企業の作成・使用している記録等を適宜、利用し、必要に応じそれに補足を行っていくことで足りることに留意する。
126特に、事業規模が小規模で、比較的簡素な構造を有している組織等においては、様々な記録の形式・方法をとりうる。例えば、当該会社の経営者からの社内への通達等、当該会社の作成している経営者から組織の内外の者に対する質問書、各業務の業務内容を前任者から後任者に伝達するための文書等、販売担当者が受注の際に作成した文書等、ソフトウェアのマニュアル、伝票や領収書などの原資料、受注入力後販売管理システムから出力される出荷指図書などの業務指示書等を適宜、利用し、必要に応じてそれに補足を行っていくことで足りることに留意する。
127② 記録の保存財務報告に係る内部統制について作成した記録の保存の範囲・方法・期間は、諸法令との関係を考慮して、企業において適切に判断されることとなるが、金融商品取引法上は、有価証券報告書及びその添付書類の縦覧期間(5年)を勘案して、それと同程度の期間、適切な範囲及び方法(磁気媒体、紙又はフィルム等のほか必要に応じて適時に可視化することができる方法)により保存することが考えられる。
128記録・保存に当たっては、後日、第三者による検証が可能となるよう、関連する証拠書類を適切に保存する必要がある。
129財務報告に係る全社的な内部統制に関する評価項目の例(注)統制環境
130・ 経営者は、信頼性のある財務報告を重視し、財務報告に係る内部統制の役割を含め、財務報告の基本方針を明確に示しているか。
131・適切な経営理念や倫理規程に基づき、社内の制度が設計・運用され、原則を逸脱した行動が発見された場合には、適切に是正が行われるようになっているか。
132・経営者は、適切な会計処理の原則を選択し、会計上の見積り等を決定する際の客観的な実施過程を保持しているか。
133・取締役会及び監査役等は、財務報告とその内部統制に関し経営者を適切に監督・監視する責任を理解し、実行しているか。
134・監査役等は内部監査人及び監査人と適切な連携を図っているか。
135・経営者は、問題があっても指摘しにくい等の組織構造や慣行があると認められる事実が存在する場合に、適切な改善を図っているか。
136・経営者は、企業内の個々の職能(生産、販売、情報、会計等)及び活動単位に対して、適切な役割分担を定めているか。
137・経営者は、信頼性のある財務報告の作成を支えるのに必要な能力を識別し、所要の能力を有する人材を確保・配置しているか。
138・信頼性のある財務報告の作成に必要とされる能力の内容は、定期的に見直され、常に適切なものとなっているか。
139・責任の割当てと権限の委任が全ての従業員に対して明確になされているか。
140・従業員等に対する権限と責任の委任は、無制限ではなく、適切な範囲に限定されているか。
141・経営者は、従業員等に職務の遂行に必要となる手段や訓練等を提供し、従業員等の能力を引き出すことを支援しているか。
142・従業員等の勤務評価は、公平で適切なものとなっているか。
143リスクの評価と対応
144・信頼性のある財務報告の作成のため、適切な階層の経営者、管理者を関与させる有効なリスク評価の仕組みが存在しているか。
145・リスクを識別する作業において、企業の内外の諸要因及び当該要因が信頼性のある財務報告の作成に及ぼす影響が適切に考慮されているか。
146(注) 全社的な内部統制に係る評価項目の例を示したものであり、全社的な内部統制の形態は、企業の置かれた環境や特性等によって異なると考えられることから、必ずしもこの例によらない場合があること及びこの例による場合でも、適宜、加除修正がありうることに留意する。
147・経営者は、組織の変更やITの開発など、信頼性のある財務報告の作成に重要な影響を及ぼす可能性のある変化が発生する都度、リスクを再評価する仕組みを設定し、適切な対応を図っているか。
148・経営者は、不正に関するリスクを検討する際に、単に不正に関する表面的な事実だけでなく、不正を犯させるに至る動機、原因、背景等を踏まえ、適切にリスクを評価し、対応しているか。
149統制活動
150・信頼性のある財務報告の作成に対するリスクに対処して、これを十分に軽減する統制活動を確保するための方針と手続を定めているか。
151・経営者は、信頼性のある財務報告の作成に関し、職務の分掌を明確化し、権限や職責を担当者に適切に分担させているか。
152・統制活動に係る責任と説明義務を、リスクが存在する業務単位又は業務プロセスの管理者に適切に帰属させているか。
153・全社的な職務規程や、個々の業務手順を適切に作成しているか。
154・統制活動は業務全体にわたって誠実に実施されているか。
155・統制活動を実施することにより検出された誤謬等は適切に調査され、必要な対応が取られているか。
156・統制活動は、その実行状況を踏まえて、その妥当性が定期的に検証され、必要な改善が行われているか。
157情報と伝達
158・信頼性のある財務報告の作成に関する経営者の方針や指示が、企業内の全ての者、特に財務報告の作成に関連する者に適切に伝達される体制が整備されているか。
159・会計及び財務に関する情報が、関連する業務プロセスから適切に情報システムに伝達され、適切に利用可能となるような体制が整備されているか。
160・内部統制に関する重要な情報が円滑に経営者及び組織内の適切な管理者に伝達される体制が整備されているか。
161・経営者、取締役会、監査役等及びその他の関係者の間で、情報が適切に伝達・共有されているか。
162・内部通報の仕組みなど、通常の報告経路から独立した伝達経路が利用できるように設定されているか。
163・内部統制に関する企業外部からの情報を適切に利用し、経営者、取締役会、監査役等に適切に伝達する仕組みとなっているか。
164モニタリング
165・日常的モニタリングが、企業の業務活動に適切に組み込まれているか。
166・経営者は、独立的評価の範囲と頻度を、リスクの重要性、内部統制の重要性及び日常的モニタリングの有効性に応じて適切に調整しているか。
167・モニタリングの実施責任者には、業務遂行を行うに足る十分な知識や能力を有する者が指名されているか。
168・経営者は、モニタリングの結果を適時に受領し、適切な検討を行っているか。
169・企業の内外から伝達された内部統制に関する重要な情報は適切に検討され、必要な是正措置が取られているか。
170・モニタリングによって得られた内部統制の不備に関する情報は、当該実施過程に係る上位の管理者並びに当該実施過程及び関連する内部統制を管理し是正措置を実施すべき地位にある者に適切に報告されているか。
171・内部統制に係る開示すべき重要な不備等に関する情報は、経営者、取締役会、監査役等に適切に伝達されているか。
172ITへの対応
173・経営者は、ITに関する適切な戦略、計画等を定めているか。
174・経営者は、内部統制を整備する際に、IT環境を適切に理解し、これを踏まえた方針を明確に示しているか。
175・経営者は、信頼性のある財務報告の作成という目的の達成に対するリスクを低減するため、手作業及びITを用いた統制の利用領域について、適切に判断しているか。
176・ITを用いて統制活動を整備する際には、ITを利用することにより生じる新たなリスクが考慮されているか。
177・経営者は、ITに係る全般統制及びITに係る業務処理統制についての方針及び手続を適切に定めているか。
178事業Aに係る卸売販売プロセス得意先 販売部門 出荷部門 経理部門 システム業務の流れ図(例)
179(注)より詳細な記述を要する場合には、表中に注記を行ったり、次頁の業務記述書(例)を別途、作成することも考えられる。
180請求受注出荷売上計上電話FAXメール得意先マスタ受注メモ注文書 受注入力 受注ファイル出荷指図ファイル出荷指図書注文請書出荷指図書出荷 出荷入力 出荷ファイル受領書売上ファイル出荷報告書出荷報告書会計システム売上伝票請求ファイル売上伝票請求書承認承認照合照合照合照合事業Aに係る卸売販売プロセス1 受注受注⑴ 電話による注文の場合は、販売担当者が受注メモを作成する。
181⑵ 販売管理システムの受注入力は、得意先マスタに登録されている得意先の注文のみ入力することができる。
182⑶ 受注入力後、販売管理システムから出荷指図書及び注文請書が出力され、受注メモ又は注文書と照合された後、販売責任者の承認が行われる。
183⑷ 出荷指図書は受注メモ又は注文書を添付して出荷部門へ回付する。
1842 出荷出荷⑴ 出荷担当者は、出荷責任者の承認を受けた後、出荷指図書に基づき商品の出荷をする。
185・
186・
187・売上計上⑴ 出荷入力された出荷データは、売上データへ変換される。売上データは、会計システムへ転送され、売上伝票が出力される。
188・
189・
190・
一次情報
- 条文e-Gov法令検索 財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準 第2_3条
- 判例裁判所ウェブサイト 裁判例検索
- 注記法令は改正されます。実務判断の際は上記リンクで最新の条文を再確認してください。