財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準 令和5年4月7日改訂。実施基準を含む。 現行施行 条文取得 2026-09-25

第2_2条財務報告に係る内部統制の評価とその範囲

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財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準 第2_2条(財務報告に係る内部統制の評価とその範囲)
(財務報告に係る内部統制の評価とその範囲)
基準2_2財務報告に係る内部統制の評価とその範囲
2(1)財務報告に係る内部統制の有効性の評価経営者は、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性の観点から必要な範囲について、財務報告に係る内部統制の有効性の評価を行わなければならない。
3また、経営者は、評価に先立って、予め財務報告に係る内部統制の整備及び運用の方針及び手続を定め、それらの状況を記録し保存しておかなければならない。
4なお、財務報告に係る内部統制の有効性の評価は、原則として連結ベースで行うものとする(企業集団全体に関わり連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制を以下「全社的な内部統制」という。)。
5(注) 外部に委託した業務の内部統制については評価範囲に含める。
6① 連結ベースの評価範囲「財務報告に係る内部統制の有効性の評価は、原則として連結ベースで行うものとする」とは、連結財務諸表を構成する有価証券報告書提出会社及び当該会社の子会社並びに関連会社を、財務報告に係る内部統制の評価範囲の決定手続を行う際の対象とすることをいい、次の点に留意するものとする。
7イ. 連結対象となる子会社等(組合等を含む。)は、評価範囲を決定する際の対象に含まれる。なお、子会社が上場しており、当該子会社が本基準に基づき内部統制報告書を作成し監査を受けている場合、親会社は、当該子会社の財務報告に係る内部統制の有効性の評価に当たって、当該子会社の財務報告に係る内部統制報告書(内部統制報告書が作成途上である場合における当該子会社からの報告等を含む。)を利用することができる。
8ロ. 持分法適用となる関連会社は、評価範囲を決定する際の対象に含まれる。ただし、当該関連会社が本基準に基づき内部統制報告書を作成し監査を受けている場合、又は当該関連会社が他の会社の子会社であって当該関連会社の親会社が本基準に基づき内部統制報告書を作成し監査を受けている場合には、イ.のなお書きに準じて取り扱う。なお、当該関連会社における他の支配株主の存在の有無、当該関連会社への投資持分及び持分法損益の状況、役員(取締役、監査役等)の派遣や兼任の状況などによって、子会社と同様の評価が行えないことが考えられるが、そうした場合には、全社的な内部統制を中心として、当該関連会社への質問書の送付、聞き取りあるいは当該関連会社で作成している報告等の閲覧、当該関連会社に係る管理プロセスの確認等適切な方法により評価を行う必要がある。
9(注1)持分法適用となる関連会社が他の会社の子会社であって当該関連会社の親会社が本基準に基づき内部統制報告書を作成し監査を受けている場合、①当該親会社の内部統制報告書又は②当該親会社が当該関連会社の財務報告に係る内部統制の有効性に関して確認を行っている旨の書面を利用することができる。
10(注2)持分法適用となる関連会社への役員の派遣や兼任の状況などにより、子会社と同様の評価が行えないことが考えられる。そうした場合には、当該関連会社の全社的な内部統制を中心として、当該関連会社への質問書の送付、聞き取りあるいは当該関連会社で作成している報告等の閲覧等適切な方法により評価を行うことを基本とするが、当該評価が行えないなど、特段の事情がある場合には、当該関連会社に対する投資損益の把握などの管理プロセスの確認等の適切な方法により評価を行うことができることに留意する。
11ハ. 在外子会社等についても、評価範囲を決定する際の対象に含まれる。ただし、当該在外子会社等について、所在地国に適切な内部統制報告制度がある場合には、当該制度を適宜活用することが可能である。また、所在地国に内部統制報告制度がない場合であっても、歴史的、地理的な沿革等から我が国以外の第三国の適切な内部統制報告制度が利用できることが考えられ、そのような場合には、これを適宜活用することが可能である。
12② 委託業務の評価イ. 委託業務の評価の範囲委託業務には、例えば、企業が財務諸表の作成の基礎となる取引の承認、実行、計算、集計、記録又は開示事項の作成等の業務を企業集団の外部の専門会社に委託している場合や情報システムの開発・運用・保守などITに関する業務を外部の専門会社に委託する場合が挙げられる。
13委託業務に関しては、委託者が責任を有しており、委託業務に係る内部統制についても評価の範囲に含まれる。委託業務が、企業の重要な業務プロセスの一部を構成している場合には、経営者は、当該業務を提供している外部の受託会社の業務に関し、その内部統制の有効性を評価しなければならない。
14ロ. 委託業務に係る内部統制の評価経営者は、委託業務に係る内部統制について、当該受託会社が実施している内部統制の整備及び運用状況を把握し、適切に評価しなければならない。その際には、以下の手続のいずれかにより内部統制の有効性を評価することも考えられる。
15a. サンプリングによる検証委託業務結果の報告書と基礎資料との整合性を検証するとともに、委託業務の結果について、一部の項目を企業内で実施して検証する。
16例えば、給与計算業務について、受託会社に委託した給与データの対象人数を受託会社から受領した計算データの件数と、企業において比較するとともに、無作為に抽出したその一部について、企業において検算を実施する。
17b. 受託会社の評価結果の利用委託業務に係る内部統制の整備及び運用状況に関しては、経営者は、委託業務に関連する内部統制の評価結果を記載した報告書等を受託会社から入手して、自らの判断により委託業務の評価の代替手段とすることが考えられる。
18その際、経営者は、当該報告書等が十分な証拠を提供しているかどうかを検討しなければならない。
19(2)評価の範囲の決定経営者は、内部統制の有効性の評価に当たって、財務報告に対する金額的及び質的影響の重要性を考慮し、以下の事項等に関して合理的に評価の範囲を決定し、当該内部統制の評価の範囲に関する決定方法及び根拠等を適切に記録しなければならない。
20○ 財務諸表の表示及び開示
21○ 企業活動を構成する事業又は業務
22○ 財務報告の基礎となる取引又は事象
23○ 主要な業務プロセスこれらの事項については、重要な事業拠点の選定を踏まえ、財務諸表の表示及び開示について、金額的及び質的影響の重要性の観点から、評価の範囲を検討する。
24この検討結果に基づいて、企業活動を構成する事業又は業務、財務報告の基礎となる取引又は事象、及び主要な業務プロセスについて、財務報告全体に対する金額的及び質的影響の重要性を検討し、合理的な評価の範囲を決定する。
25経営者は、全社的な内部統制の評価を行い、その評価結果を踏まえて、業務プロセスの評価の範囲を決定する。この決定の際には、長期間にわたり評価範囲外としてきた特定の事業拠点や業務プロセスについても、評価範囲に含めることの必要性の有無を考慮しなければならない。
26なお、全社的な内部統制については、以下の「業務プロセスに係る評価の範囲の決定」において記述する手順により評価の範囲を決定する対象には含まれず、原則として、全ての事業拠点について全社的な観点で評価することに留意する。
27ただし、財務報告に対する影響の重要性が僅少である事業拠点に係るものについて、その重要性を勘案して、評価対象としないことを妨げるものではない。
28評価範囲外の事業拠点又は業務プロセスにおいて開示すべき重要な不備が識別された場合には、当該事業拠点又は業務プロセスについては、少なくとも当該開示すべき重要な不備が識別された時点を含む会計期間の評価範囲に含めることが適切である。
29(注1)「財務報告に対する影響の重要性が僅少である事業拠点」の判断については、例えば、売上高で全体の 95%に入らないような連結子会社は僅少なものとして、評価の対象からはずすといった取扱いが考えられるが、その判断は、経営者において、必要に応じて監査人と協議して行われるべきものであり、特定の比率を機械的に適用すべきものではないことに留意する。
30(注2)「財務報告に対する影響の重要性が僅少である事業拠点」の判断については、例えば、売上高の一定比率といった基準を全ての連結子会社に適用するのではなく、各連結子会社の事業の内容等に応じ、異なる基準を適用する方法も考えられる。
31〔業務プロセスに係る評価の範囲の決定〕主として経理部門が担当する決算・財務報告に係る業務プロセスのうち、全社的な観点で評価することが適切と考えられるものについては、全社的な内部統制に準じて、全ての事業拠点について全社的な観点で評価することに留意する。
32(注)全社的な観点で評価することが適切と考えられる決算・財務報告プロセスには、例えば、以下のような手続が含まれる。
33・総勘定元帳から財務諸表を作成する手続
34・連結修正、報告書の結合及び組替など連結財務諸表作成のための仕訳とその内容を記録する手続
35・財務諸表に関連する開示事項を記載するための手続ただし、財務報告に対する影響の重要性が僅少である事業拠点に係るものについて、その重要性を勘案して、評価対象としないことを妨げるものではない。
36評価範囲外の事業拠点又は業務プロセスにおいて開示すべき重要な不備が識別された場合には、当該事業拠点又は業務プロセスについては、少なくとも当該開示すべき重要な不備が識別された時点を含む会計期間の評価範囲に含めることが適切である。
37上記以外の業務プロセスについては、以下の手順で評価範囲を決定する。
38① 重要な事業拠点の選定企業が複数の事業拠点を有する場合には、評価対象とする事業拠点を売上高等の重要性により決定する。
39(注1)事業拠点は、必ずしも地理的な概念にとらわれるものではなく、企業の実態に応じ、本社、子会社、支社、支店のほか、事業部等として識別されることがある。
40事業拠点を選定する際には、財務報告に対する金額的及び質的影響並びにその発生可能性を考慮する。事業拠点を選定する指標として、基本的には、売上高が用いられるが、企業の置かれた環境や事業の特性によって、総資産、税引前利益等の異なる指標や追加的な指標を用いることがある。銀行等の場合には、経常収益という指標を用いることが考えられる。
41この場合、本社を含む各事業拠点におけるこれらの指標の金額の高い拠点から合算していき、連結ベースの一定の割合に達している事業拠点を評価の対象とすることが考えられる。
42(注2)一定割合をどう考えるかについては、企業により事業又は業務の特性等が異なることから、一律に示すことは困難であると考えられる。全社的な内部統制の評価が良好であれば、例えば、連結ベースの売上高等の一定割合(おおむね3分の2程度)とする考え方や、総資産、税引前利益等の一定割合とする考え方もある。全社的な内部統制のうち、良好でない項目がある場合には、それに関連する事業拠点を評価範囲に含める必要がある。また、これに以下②で記述する、重要性の大きい個別の業務プロセスの評価対象への追加を適切に行うことが考えられる。なお、連結ベースの売上高に対する一定割合ではなく、内部取引の連結消去前の売上高等に対する一定割合とする方法も考えられる。
43この一定割合については、当該事業拠点が前年度に重要な事業拠点として評価範囲に入っており、イ)前年度の当該拠点に係る内部統制の評価結果が有効であること、ロ)当該拠点の内部統制の整備状況に重要な変更がないこと、ハ)重要な事業拠点の中でも、グループ内での中核会社でないなど特に重要な事業拠点でないことを確認できた場合には、当該事業拠点を本年度の評価対象としないことができると考えられる。その場合、結果として、売上高等の一定割合(おおむね3分の2程度)を相当程度下回ることがあり得る。
44(注3)関連会社については、連結ベースの売上高に関連会社の売上高が含まれておらず、当該関連会社の売上高等をそのまま一定割合の算出に当てはめることはできないことから、別途、各関連会社が有する財務諸表に対する影響の重要性を勘案して評価対象を決定する。
45なお、下期の買収・合併、災害等、評価作業を実施することが困難な事情がある重要な事業拠点については、評価対象から除外することができるが、この場合には、内部統制報告書において評価範囲の限定の記載を行う必要があることに留意する。
46② 評価対象とする業務プロセスの識別イ.①で選定した重要な事業拠点(持分法適用となる関連会社を除く。)における、企業の事業目的に大きく関わる勘定科目に至る業務プロセスは、財務報告に及ぼす影響を勘案し、原則として、全てを評価の対象とする。
47ただし、例えば、当該重要な事業拠点が行う重要な事業又は業務との関連性が低く、財務報告に対する影響の重要性も僅少である業務プロセスについては、それらを評価対象としないことができる。その場合には、評価対象としなかった業務プロセス、評価対象としなかった理由について記録しておく必要があることに留意する。
48(注1)「企業の事業目的に大きく関わる勘定科目」については、財務報告に対する金額的及び質的影響並びにその発生可能性を考慮し、例えば、一般的な事業会社の場合、原則として、売上、売掛金及び棚卸資産の3勘定が考えられる。これはあくまで例示であり、個別の業種、企業の置かれた環境や事業の特性等に応じて適切に判断される必要がある。
49銀行等の場合、預金・貸出業務等を中心とする多くの銀行等については、預金、貸出金、有価証券の3勘定に至る業務プロセスを、原則的な評価対象とすることが考えられる。
50棚卸資産に至る業務プロセスには、販売プロセスの他、在庫管理プロセス、期末の棚卸プロセス、購入プロセス、原価計算プロセス等が関連してくると考えられるが、これらのうち、どこまでを評価対象とするかについては、企業の特性等を踏まえて、虚偽記載の発生するリスクが的確に捉えられるよう、適切に判断される必要がある。
51一般に、原価計算プロセスについては、期末の在庫評価に必要な範囲を評価対象とすれば足りると考えられるので、必ずしも原価計算プロセスの全工程にわたる評価を実施する必要はないことに留意する。
52(注2)重要な事業拠点における企業の事業目的に大きく関わる勘定科目に至る業務プロセスの評価範囲については、経営者が重要な虚偽記載の発生するリスクを勘案して、企業ごとに適切に判断すべきものであり、その判断基準について、一概に言うことは適切ではないと考えられるが、例えば、売上を「企業の事業目的に大きく関わる勘定科目」としている場合において、売上に至る業務プロセスの金額を合算しても連結売上高のおおむね5%程度以下となる業務プロセスを、重要な事業又は業務との関連性が低く、財務報告に対する影響の重要性も僅少なものとして評価の対象からはずすといった取扱いはありうるものと考えられる。なお、この「おおむね5%程度」については機械的に適用すべきでないことに留意する。
53ロ.①で選定された事業拠点及びそれ以外の事業拠点について、財務報告への影響を勘案して、重要性の大きい業務プロセスについては、個別に評価対象に追加する。
54業務プロセスの選定の際の留意点は以下のとおりである。
55a.リスクが大きい取引を行っている事業又は業務に係る業務プロセス例えば、財務報告の重要な事項の虚偽記載に結びつきやすい事業上のリスクを有する事業又は業務(例えば、金融取引やデリバティブ取引を行っている事業又は業務や価格変動の激しい棚卸資産を抱えている事業又は業務など)や、複雑な会計処理が必要な取引を行っている事業又は業務、複雑又は不安定な権限や職責及び指揮・命令の系統(例えば、海外に所在する事業拠点、企業結合直後の事業拠点、中核的事業でない事業を手掛ける独立性の高い事業拠点)の下での事業又は業務を行っている場合には、当該事業又は業務に係る業務プロセスは、追加的に評価対象に含めることを検討する。
56b.見積りや経営者による予測を伴う重要な勘定科目に係る業務プロセス例えば、引当金や固定資産の減損損失、繰延税金資産(負債)など見積りや経営者による予測を伴う重要な勘定科目に係る業務プロセスで、財務報告に及ぼす影響が最終的に大きくなる可能性があるものは、追加的に評価対象に含めることを検討する。
57c.非定型・不規則な取引など虚偽記載が発生するリスクが高いものとして、特に留意すべき業務プロセス例えば、通常の契約条件や決済方法と異なる取引、期末に集中しての取引や過年度の趨勢から見て突出した取引等非定型・不規則な取引を行っていることなどから虚偽記載の発生するリスクが高いものとして、特に留意すべき業務プロセスについては、追加的に評価対象に含めることを検討する。
58d.上記その他の理由により追加的に評価対象に含める場合において、財務報告への影響の重要性を勘案して、事業又は業務の全体ではなく、特定の取引又は事象
59(あるいは、その中の特定の主要な業務プロセス)のみを評価対象に含めれば足りる場合には、その部分だけを評価対象に含めることで足りる。
60リスクについては、例えば、以下のような状況において、発生又は変化する可能性がある。
61・規制環境や経営環境の変化による競争力の変化
62・新規雇用者
63・情報システムの重要な変更
64・事業の大幅で急速な拡大
65・生産プロセス及び情報システムへの新技術の導入
66・新たなビジネスモデルや新規事業の採用又は新製品の販売開始
67・リストラクチャリング
68・海外事業の拡大又は買収
69・新しい会計基準の適用や会計基準の改訂
70(3)監査人との協議経営者は、評価範囲の決定前後に、当該範囲を決定した方法及びその根拠等について、必要に応じて、監査人と協議を行っておくことが適切である。なお、評価範囲の決定は経営者が行うものであり、当該協議は、あくまで監査人による指摘を含む指導的機能の一環であることに留意が必要である。
71監査人による評価範囲の妥当性の検討の結果、後日、経営者の決定した評価範囲が適切でないと判断されることが考えられ、この場合、経営者は新たな評価範囲について評価し直す必要が生じるが、その手続の実施には、時間的な制約等の困難が伴う場合も想定される。したがって、必要に応じて、以下の監査人との協議を行うことが適切である。
72① 評価の計画段階における協議通常、経営者は、評価計画の作成過程で内部統制の評価範囲を決定する。監査人との協議は、経営者が評価範囲を決定するまでに実施することが適切である。
73② 状況の変化等があった場合の協議監査人との協議は、経営者による評価の計画段階に限定されない。経営者は、評価の計画段階で把握した事象や状況が変化した場合、あるいは評価の過程で新たな事実を発見した場合には、評価範囲を検討し、監査人と協議することが適切である。

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