財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準 令和5年4月7日改訂。実施基準を含む。 現行施行 条文取得 2026-09-25

第1_1条内部統制の定義(目的

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条文原文

原文ママ
財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準 第1_1条(内部統制の定義(目的))
(内部統制の定義(目的))
基準1_1内部統制の定義(目的)内部統制とは、基本的に、業務の有効性及び効率性、報告の信頼性、事業活動に関わる法令等の遵守並びに資産の保全の4つの目的が達成されているとの合理的な保証を得るために、業務に組み込まれ、組織内の全ての者によって遂行されるプロセスをいい、統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング(監視活動)及びIT
2(情報技術)への対応の6つの基本的要素から構成される。
3内部統制は、組織の事業活動を支援する4つの目的を達成するために組織内に構築される。内部統制は、4つの目的の達成を絶対的に保証するものではなく、組織、とりわけ内部統制の構築に責任を有する経営者が、4つの目的が達成されないリスクを一定の水準以下に抑えるという意味での合理的な保証を得ることを目的としている。
4内部統制は、組織から独立して日常業務と別に構築されるものではなく、組織の業務に組み込まれて構築され、組織内の全ての者により業務の過程で遂行される。したがって、正規の従業員のほか、組織において一定の役割を担って業務を遂行する短期、臨時雇用の従業員も内部統制を遂行する者となる。
5内部統制は、組織内の全ての者が業務の中で遂行する一連の動的なプロセスであり、単に何らかの事象又は状況、あるいは規定又は機構を意味するものではない。したがって、内部統制は一旦構築されればそれで完成するというものではなく、変化する組織それ自体及び組織を取り巻く環境に対応して運用されていく中で、常に変動し、見直される。
6なお、具体的に内部統制をどのように整備し、運用するかについては、個々の組織が置かれた環境や事業の特性等によって異なるものであり、一律に示すことはできないが、経営者をはじめとする組織内の全ての者が、ここに示した内部統制の機能と役割を効果的に達成し得るよう工夫していくべきものである。内部統制の構築の手法等は、個々の組織が置かれた環境や事業の特性等によって異なるものであり、全ての組織に適合するものを一律に示すことはできない。
7経営者は、組織を取り巻く環境や事業の特性、規模等に応じて、自らの組織に適した内部統制を整備し、運用することが求められる。内部統制の整備及び運用に当たって配慮すべき事項として、例えば、製品市場の状況、製品及び顧客の特性、地理的な活動範囲、組織間の競争の度合い、技術革新の速度、事業規模、労働市場の状況、IT環境、自然環境への配慮等が挙げられる。
8一方で、内部統制については、個々の組織の規模や形態等を問わず、共通の基本的枠組みが考えられる。本基準における「Ⅰ.内部統制の基本的枠組み」は、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制の評価及び報告並びに監査の実施に当たって、前提となる内部統制の基本的な枠組みを示したものである。
9(1)業務の有効性及び効率性業務の有効性及び効率性とは、事業活動の目的の達成のため、業務の有効性及び効率性を高めることをいう。
10業務とは、組織の事業活動の目的を達成するため、全ての組織内の者が日々継続して取り組む活動をいう。業務の有効性とは事業活動や業務の目的が達成される程度をいい、業務の効率性とは、組織が目的を達成しようとする際に、時間、人員、コスト等の組織内外の資源が合理的に使用される程度をいう。
11業務の有効性及び効率性は、組織全体として把握することもできるが、必要に応じて事業活動を個々の業務に細分化し、細分化した業務ごとに合理的な目的を設定することが適切である。内部統制は、そうした個々の目的の達成を通じて最終的には組織全体としての業務の有効性及び効率性の達成を支援するべく、組織内の各業務において整備及び運用される。
12業務の有効性及び効率性に関する内部統制は、業務の達成度及び資源の合理的な利用度を測定・評価し、適切な対応を図る体制を設けることにより、組織が設定した業務の有効性及び効率性に係る目標の達成を支援する。
13報告の信頼性とは、組織内及び組織の外部への報告(非財務情報を含む。)の信頼性を確保することをいう。
14(注)報告の信頼性には、財務報告の信頼性が含まれる。財務報告の信頼性は、財務諸表及び財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性のある情報の信頼性を確保することをいう。
15(2)報告の信頼性財務報告は、組織の内外の者が当該組織の活動を確認する上で、極めて重要な情報であり、財務報告の信頼性を確保することは組織に対する社会的な信用の維持・向上に資することになる。逆に、誤った財務報告は、多くの利害関係者に対して不測の損害を与えるだけでなく、組織に対する信頼を著しく失墜させることとなる。
16財務報告には、金融商品取引法や会社法などの法令等により義務付けられるもの、銀行や取引先との契約等により求められるもの、利害関係者等への自主的な開示などがあるが、本基準において、財務報告とは、金融商品取引法上の開示書類(有価証券報告書及び有価証券届出書)に記載される財務諸表及び財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性のある情報をいう(詳細は、「Ⅱ.財務報告に係る内部統制の評価及び報告」1.①財務報告の範囲 参照)。
17財務報告の信頼性に係る内部統制は、財務報告の重要な事項に虚偽記載が生じることのないよう、必要な体制を整備し、運用することにより、組織の財務報告に係る信頼性を支援する。
18(3)事業活動に関わる法令等の遵守事業活動に関わる法令等の遵守とは、事業活動に関わる法令その他の規範の遵守を促進することをいう。
19組織や組織内の者が法令の遵守を怠り、又は社会規範を無視した行動をとれば、それに応じた罰則、批判を受け、組織の存続すら危うくしかねない。反対に、商品の安全基準の遵守や操業の安全性の確保など、法令等の遵守への真摯な取組みが認知された場合には、組織の評判や社会的信用の向上を通じて、業績や株価等の向上にも資することとなる。このように、組織が存続し発展していくためには、事業活動に関し、法令等の遵守体制を適切に整備することが不可欠である。
20事業活動に関わる法令等は、以下のものから構成される。
21① 法令組織が事業活動を行っていく上で、遵守することが求められる国内外の法律、命令、条令、規則等。
22② 基準等法令以外であって、組織の外部からの強制力をもって遵守が求められる規範。例えば、取引所の規則、会計基準等。
23③ 自社内外の行動規範上記以外の規範で組織が遵守することを求められ、又は自主的に遵守することを決定したもの。例えば、組織の定款、その他の内部規程、業界等の行動規範等。
24法令等の遵守に係る内部統制は、法令等を遵守して事業活動を営むための体制を整備し、運用することであり、これらを通じ、組織の存続及び発展が図られる。
25(4)資産の保全資産の保全とは、資産の取得、使用及び処分が正当な手続及び承認の下に行われるよう、資産の保全を図ることをいう。
26資産が不正に又は誤って取得、使用及び処分された場合、組織の財産や社会的信用に大きな損害や影響を与える可能性がある。また、組織が出資者等から財産の拠出等を受けて活動している場合、経営者は、これを適切に保全する責任を負っている。さらに、監査役等は、会社法の規定上、業務及び財産の状況の調査をすることができるとされており、組織の資産の保全に対して重要な役割・責任を担っている。
27資産には、有形の資産のほか、知的財産、顧客に関する情報など無形の資産も含まれる。
28組織においては、資産の取得、使用及び処分に係る不正又は誤謬を防止するため、資産が正当な手続及び承認の下に取得、使用及び処分される体制を整備することが求められる。
29仮に正当な手続及び承認の下に取得、使用及び処分が行われていない場合には、すみやかに発見して対応を図る体制を整備し、運用することが求められる。
30(5)4つの目的の関係内部統制の4つの目的である業務の有効性及び効率性、報告の信頼性、事業活動に関わる法令等の遵守及び資産の保全は、それぞれ固有の目的ではあるが、互いに独立して存在するものではなく、相互に密接に関連している。
31内部統制は業務に組み込まれ、組織内の全ての者によって遂行されるプロセスであって、いずれか1つの目的を達成するために構築された内部統制であっても、他の目的のために構築された内部統制と共通の体制となったり、互いに補完し合う場合もある。
32金融商品取引法で導入された内部統制報告制度は、経営者による評価及び報告と監査人による監査を通じて財務報告に係る内部統制についての有効性を確保しようとするものであり、財務報告の信頼性以外の他の目的を達成するための内部統制の整備及び運用を直接的に求めるものではない。しかしながら、財務報告は、組織の業務全体に係る財務情報を集約したものであり、組織の業務全体と密接不可分の関係にある。したがって、経営者が財務報告に係る内部統制を有効かつ効率的に構築しようとする場合には、目的相互間の関連性を理解した上で、内部統制を整備し、運用することが望まれる。

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