一 被告人と甲とが某所を通行中乙に出合い、乙が被告人に対し暴行を加えたので、甲が棍棒で乙の頭部を数回殴打した後、被告人がその棍棒を取つて乙の頭部を数回殴打し、よつて同人に二ケ月間の安静加療を要する頭蓋不全骨折脳出血の傷害を負わせたとの趣旨の公訴事実を記載し、罪名及罰条として傷害罪刑法第二〇四条と記載した起訴状をもつてする起訴に対し、前と同一の経過順序で被告人と甲とが乙に対しそれぞれ暴行を加え、乙に対し前同様の傷害を負わせたが、右は、被告人及び甲のうち何人の暴行に基因するものであるかを知ることができないとの趣旨の事実を認定し、刑法
第二〇四条〈傷害〉、第二〇七条を適用するについては、訴因罰条変更の手続を経ることを要しない。
二 刑法
第二〇七条〈同時傷害の特例〉のごとき規定は、刑訴第二五六条第四項にいわゆる罰条には含まれないものと解するを相当とする。