刑法 / テーマ別まとめ

総則/刑の時効及び刑の消滅

刑の時効及び刑の消滅の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

刑法第31条から第34条の2は、確定した刑の執行を受けないまま一定期間が過ぎたときの時効と、執行後や免除後に一定期間再犯がなければ刑の言渡し自体の効力が失われる「刑の消滅」を定めています。時効は刑の種類ごとに完成までの期間が異なり、執行猶予・停止の期間中や国外にいる期間は進行が止まり、本人の拘束や執行行為があれば振り出しに戻ります。刑の消滅は、時効とは別に、刑を受け終えた後の一定期間の経過そのものによって言渡しの効力を消す仕組みです。

刑の時効及び刑の消滅
区分対象期間
時効無期拘禁刑30年
時効10年以上の有期拘禁刑20年
時効3年以上10年未満の拘禁刑10年
時効3年未満の拘禁刑5年
時効罰金3年
時効拘留・科料・没収1年
消滅拘禁刑以上の執行終了・免除後10年
消滅罰金以下の執行終了・免除後5年
消滅刑の免除の言渡し確定後2年
  • 死刑の言渡しは時効の対象にならない
  • 時効は刑の言渡し確定後、その期間執行を受けないことで完成する
  • 法令により執行を猶予・停止した期間は時効が進行しない
  • 拘禁刑・罰金・拘留・科料の時効は国外にいる期間は進行しない
  • 消滅の各期間中に罰金以上の刑に処せられると効力は失われない
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刑の時効及び刑の消滅

刑の時効及び刑の消滅について、条文は何を定めているか。

第31条刑の時効死刑以外は時効で執行を免れる1項判例なし
  • 死刑を除く刑の言渡しを受けた者が対象
  • 時効が完成すると刑の執行を免除される
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第32条時効の期間刑の種類ごとに時効の完成期間が決まる1項・6号判例 3件
  • 無期拘禁刑は30年、10年以上の有期拘禁刑は20年
  • 3年以上10年未満の拘禁刑は10年、3年未満は5年
  • 罰金は3年、拘留・科料・没収は1年
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第33条時効の停止執行猶予・国外滞在中は時効が止まる2項判例 2件
  • 法令による執行猶予・停止の期間中は時効が進行しない
  • 拘禁刑・罰金・拘留・科料は国外にいる期間も進行しない
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第34条時効の中断本人拘束や執行行為で時効が中断する2項判例 6件
  • 拘禁刑・拘留の時効は本人を拘束すると中断する
  • 罰金・科料・没収の時効は執行行為をすると中断する
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第34_2条刑の消滅一定期間再犯がなければ言渡しが失効する2項判例なし
  • 拘禁刑以上の執行終了・免除後、罰金以上の刑を受けず10年経過で失効
  • 罰金以下の執行終了・免除後は同様に5年経過で失効
  • 刑の免除の言渡し確定後、罰金以上の刑を受けず2年経過で失効
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第32条刑法

一 死刑の確定裁判を受けた者が刑法一一条二項に基づき拘置されている場合における死刑の時効の進行の有無
二 死刑の確定裁判を受けた者につき長期間にわたる拘置を継続したのちに死刑を執行することと憲法三六条にいう「残虐な刑罰」

裁判要旨一 死刑の確定裁判を受けた者が刑法一一条二項に基づき拘置されている場合には、死刑の時効は進行しない。
二 死刑の確定裁判を受けた者につき長期間にわたる拘置を継続したのちに死刑を執行することは、憲法三六条にいう「残虐な刑罰」に当たらない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和60年7月19日 昭和60(ク)256
登載
集民 第145号271頁
参照法条
刑法11条,刑法32条1号,刑法33条,刑法34条1項,刑訴法475条,刑訴法479条,憲法36条
論点2第32条刑法

公判途中二六年余の逃亡と刑法三二条、刑訴法三三七条の類推適用の有無

裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和59年12月12日 昭和59(あ)591
登載
集刑 第238号325頁
参照法条
刑法32条,刑訴法337条
論点3第32条刑法

一 死刑の確定裁判を受けた者が刑法一一条二項に基づき拘置されている場合における死刑の時効の進行の有無
二 死刑の確定裁判を受けた者につき長期間にわたる拘置を継続した後に死刑を執行することと憲法三六条にいう「残虐な刑罰」

裁判要旨一 死刑の確定裁判を受けた者が刑法一一条二項に基づき拘置されている場合には、死刑の時効は進行しない。
二 死刑の確定裁判を受けた者につき長期間にわたる拘置を継続した後に死刑を執行することは、憲法三六条にいう「残虐な刑罰」に当たらない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成4年7月14日 昭和62(オ)311
登載
集民 第165号233頁
参照法条
刑法11条2項,刑法32条,刑法33条,刑法34条,憲法36条
論点4第34条刑法

刑の言渡の効力を失なつた前科であつても量刑上参酌することは憲法でないとして、憲法一四条一項違反の主張が欠前提とされた事例

裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和57年5月4日 昭和56(あ)1977
登載
集刑 第227号293頁
参照法条
憲法14条1項,刑法27条,刑法34条の2第1項
論点5第34条刑法

懲役刑の執行終了後に処せられた罰金刑の言渡が失効した場合と懲役刑の消滅

裁判要旨懲役刑の執行終了後一〇年を経過しない間に、罰金刑に処せられ、かつ、その言渡が失効した場合には、懲役刑の言渡は、その執行終了後一〇年を経過した時に効力を失う。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和52年3月25日 昭和51(あ)2041
登載
刑集 第31巻2号120頁
参照法条
刑法34条ノ2第1項
論点6第34条刑法

確定裁判を経ない数個の犯罪が併合罪の関係にある併合審判の要否。

裁判要旨確定裁判を経ない数個の犯罪が併合罪の関係にある場合でも、必ずしもこれを併合審判しなければならないものではないのであつて、原番がその措置に出なかつたことをもつて違法ということはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和35年3月1日 昭和34(あ)2139
登載
集刑 第132号307頁
参照法条
刑法34条,刑法47条,刑法50条
論点7第34条刑法

刑法第三四条の二第一項〈刑の消滅〉の法意

裁判要旨刑法第三四条の二第一項〈刑の消滅〉に「刑ノ言渡ハ其効力ヲ失フ」とあるのは、刑の言渡に基く法的効果が将来に向つて消滅するという趣旨であつて、その刑の言渡を受けたという既往の事実そのものを、量刑判断にあたつて参酌することは、同条項に違反しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和29年3月11日 昭和27(あ)3419
登載
刑集 第8巻3号270頁
参照法条
刑法34条の2第1項
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

刑法 第31条(刑の時効) 詳細ページ
(刑の時効)
第三十一条刑(死刑を除く。)の言渡しを受けた者は、時効によりその執行の免除を得る。
刑法 第32条(時効の期間) 詳細ページ
(時効の期間)
第三十二条時効は、刑の言渡しが確定した後、次の期間その執行を受けないことによって完成する。
一無期拘禁刑については三十年
二十年以上の有期拘禁刑については二十年
三三年以上十年未満の拘禁刑については十年
四三年未満の拘禁刑については五年
五罰金については三年
六拘留、科料及び没収については一年
刑法 第33条(時効の停止) 詳細ページ
(時効の停止)
第三十三条時効は、法令により執行を猶予し、又は停止した期間内は、進行しない。
2拘禁刑、罰金、拘留及び科料の時効は、刑の言渡しを受けた者が国外にいる場合には、その国外にいる期間は、進行しない。
刑法 第34条(時効の中断) 詳細ページ
(時効の中断)
第三十四条拘禁刑及び拘留の時効は、刑の言渡しを受けた者をその執行のために拘束することによって中断する。
2罰金、科料及び没収の時効は、執行行為をすることによって中断する。
刑法 第34_2条(刑の消滅) 詳細ページ
(刑の消滅)
第三十四条の二拘禁刑以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで十年を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで五年を経過したときも、同様とする。
2刑の免除の言渡しを受けた者が、その言渡しが確定した後、罰金以上の刑に処せられないで二年を経過したときは、刑の免除の言渡しは、効力を失う。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。