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罪/騒乱の罪

騒乱の罪の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

騒乱の罪は、多数人が集まって暴行・脅迫を行った場合に、関与の仕方に応じて刑を分けて処罰する規定です。あわせて、暴行・脅迫目的で集合した多衆が公務員の解散命令に従わなかった場合の処罰も定めています。

騒乱の罪
条文行為・立場科される刑
106条首謀者1年以上10年以下の拘禁刑
106条指揮者・率先助勢者6月以上7年以下の拘禁刑
106条付和随行者10万円以下の罰金
107条解散命令に従わない首謀者3年以下の拘禁刑
107条その他の不解散者10万円以下の罰金
  • 106条は、多数人が集合して暴行または脅迫をしたことが前提。
  • 107条は、暴行・脅迫目的で集合した多衆が、権限のある公務員から3回以上解散命令を受けても解散しなかった場合が対象。
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騒乱の罪

騒乱の罪について、条文は何を定めているか。

第106条騒乱集団での暴行・脅迫を立場ごとに処罰する1項・3号判例 6件
  • 首謀者は1年以上10年以下の拘禁刑と重い扱い
  • 指揮した人・率先して勢いを助けた人は6月以上7年以下の拘禁刑
  • ただ従っただけの人(付和随行)は10万円以下の罰金
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第107条多衆不解散解散命令に3回以上従わないと処罰される1項判例なし
  • 暴行・脅迫目的で集まった多衆が対象
  • 権限のある公務員の解散命令を3回以上受けても解散しないと成立
  • 首謀者は3年以下の拘禁刑、それ以外は10万円以下の罰金
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第106条刑法

一 現場写真の証拠能力
二 複数の集団による暴行脅迫と騒擾罪における共同意思
三 騒擾罪にいわゆる「一地方」における公共の平和静謐に対する侵害の有無の判断基準

裁判要旨一 犯行の状況等を撮影したいわゆる現場写真は、非供述証拠に属し、当該写真自体又は他の証拠により事件との関連性を認めうる限り証拠能力を具備する。
二 同一地域内において、構成を異にする複数の集団により時間、場所を異にしてそれぞれ暴行脅迫が行われた場合であつても、先行の集団による暴行脅迫に触発、刺激され、右暴行脅迫の事実を認識、認容しつつこれを承継する形態において、その集団による暴行脅迫に時間的、場所的に近接して、後の集団による暴行脅迫が順次継続的に行われたときは、各集団による暴行脅迫は、全体として同一の共同意思によるものというべきである。
三 騒擾罪の成立に必要な暴行脅迫が「一地方」における公共の平和、静謐を害するに足りるものであるか否かを判断するにあたつては、単に暴行脅迫が行われた地域の広狭や居住者の多寡のみではなく、右地域が社会生活において占める重要性や同所を利用する一般市民の動き、同所を職域として勤務する者らの活動状況、当該騒動の様相等をも総合して考察すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和59年12月21日 昭和57(あ)1504
登載
刑集 第38巻12号3071頁
参照法条
刑訴法320条1項,刑訴法321条3項,刑法106条
論点2第106条刑法

一 騒擾罪の成立に必要な共同意思の要件
二 騒擾罪の成立に必要な共同意思が認められるとされた事例
三 騒擾の率先助勢の成立要件
四 騒擾の率先助勢が成立するとされた事例
五 憲法三七条一項の迅速な裁判の保障条項に反する異常な事態が生じていないものとされた事例

裁判要旨一 騒擾罪の成立に必要な共同意思が存するといいうるためには、騒擾行為に加担する意思において確定的であることを要するが、多数の合同力による暴行脅迫の事態の発生については、常に必ずしも確定的な認識をまで要するものではなく、その予見をもつて足りる。
二 デモ隊員中の多数の者が抱いていた警官隊との衝突の予想が、漠然とした抽象的なものではなく、具体的で高度の可能性をもつものであり、積極的、攻撃的に警官隊に対して暴行を加えるかも知れないという予想とみられうる本件においては(判文参照)、警官隊との衝突を予想し、これを認容してデモ行進に参加した者についても、騒擾罪の成立に必要な共同意思を認めることができる。
三 騒擾の率先助勢とは、多衆の合同力を恃んで自ら暴行又は脅迫をなし、もしくは多衆をしてなさしめる意思をもつて、多衆にぬきんでて騒擾を容易ならしめ、その勢を助長、増大する行為をいい、それが現場で行われると事前に行われるとを問わず、また、その行為のときにすでに多衆が集合して共合して暴行又は脅迫を行うべく共同意思を形成していることを必要としない。
四 騒擾開始前に、講演会終了後デモが行われデモ隊の一部が警官隊に暴行するかも知れないと予測し、講演会場に行く途中の者に対し、同人らに右デモ隊と共同して暴行させる意思をもつて、判示のような指示激励をしたうえ、プラカードの竹槍二本を二名に交付し、よつて一二名ないし一三名を騒擾に参加させた行為は、騒擾の率先助勢にあたる。
五 被告人らに対する審理が、第一審において約一六年ないし一七年三か月、控訴審において約五年四か月を要し、今日では最初の起訴から約二六年もの長期間が経過しているとしても、右審理長期化の原因が、事案の複雑困難、証拠の厖大、被告人の多数ということのほかに、被告人らにおいて執拗ないわゆる法廷闘争を展開したことにもあると認められる本件においては(判文参照)、いまだ憲法三七条一項に定める迅速な裁判の保障条項に反する異常な事態に立ち至つたものとはいえない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和53年9月4日 昭和50(あ)787
登載
刑集 第32巻6号1077頁
参照法条
刑法106条,憲法37条1項,刑訴1条
論点3第106条刑法

一 騒擾罪の成立と共同意思
二 騒擾罪における多衆の意義
三 右共同意思の意義
四 騒擾罪における暴行の意義
五 騒擾罪と他の罪名に触れる暴行脅迫
六 騒擾罪における暴行又は脅迫と認められる場合
七 右罪における共同意思の内容

裁判要旨一 騒擾罪は、多衆が集合して暴行または脅迫をなすによつて成立するが、その暴行または脅迫は、集合した多衆の共同意思に出たものであることを要する。
二 右多衆であるためには一地方における公共の平和、静謐を害するに足る暴行、脅迫をなすに適当な多人数であることを要する。
三 騒擾罪の成立に必要な共同意思は、多衆全部間における意思の連絡ないし相互認識の交換までは必ずしもこれを必要とせず、事前の謀議、計画、一定の目的があることも、また当初から存在することも必要でなく、多衆集合の結果惹起せられることのあり得べき多衆の合同力による暴行脅迫の事態の発生を予見しながら、あえて騒擾行為に加担する意思があれば足り、必ずしも確定的に具体的な個々の暴行脅迫の認識を要するものではない。
四 騒擾罪における暴行は、物に対する有契力の行使を含む。
五 騒擾罪の成立要素である暴行、脅迫は、他の罪名に触れない程度のもので足り、その暴行、脅迫が他の罪名に触れる場合には、その行為は一面騒擾罪を成立せしむると同時に他の罪名に触れるものと解すべきである。
六 騒擾罪は、群集による集団犯罪であるから、その暴行又は脅迫は集合した多衆の共同意思に出たもの、いわば集団そのものの暴行又は脅迫と認められる場合であることを要するが、その多衆すべての者が現実に暴行脅迫を行うことは必要でなく、群集の集団として暴行脅迫を加えるという認識のあることが必要なのである。
七 右の共同意思は、多衆の合同力を恃んで自ら暴行又は脅迫をなす意思ないしは多衆をしてこれをなさしめる意思と、かかる暴行又は脅迫に同意を表し、その合同力に加わる意思とに分たれ、集合した多衆が前者の意思を有する者と後者の意思を有する物で構成されているときは、その多衆の共同意思があるものとなるのである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和35年12月8日 昭和33(あ)2082
登載
刑集 第14巻13号1818頁
参照法条
刑法106条,刑法54条
論点4第106条刑法

一 騒擾罪の成立と地方の静謐との関係
二 訴訟費用の裁判に対する不服申立

裁判要旨一 騒擾罪は多衆が集合して暴行または脅迫をなすことによつて成立し、その地方の静謐を害することを要件とするものではない。
二 本案の裁判に対する上告の理由がないときは、控訴費用の裁判に対する不服の申立は不適法である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和29年7月16日 昭和28(あ)5604
登載
刑集 第8巻7号1169頁
参照法条
刑法106条,刑訴法181条,刑訴法185条
論点5第106条刑法

一 騒擾罪の成立要件
二 訴訟費用の裁判に対する不服申立

裁判要旨一 騒擾罪は多衆が集合して暴行脅迫をすることによつて成立しその地方の静謐を害することを要件とするものではないから、騒擾罪にあたる事実を判示するには、多衆が集合して暴行または脅迫の行為をしたことを明らかにすれば足り、特にその行為が地方の静謐を害しまたは公共の平和を害するおそれのあることを判示する必要はなく、従つて仮りに同判決に他方の静謐を害した旨の判示にその証拠が欠けていたとしてもそれが直ちに理由不備の違法を来すものでもない。(大正一三年(れ)一〇〇九号同年七月一〇日大審院判決及び昭和二六年(れ)九〇八号同二八年五月二一日第一小法廷判決参照)
二 本案の裁判に対する上告理由がない場合は、訴訟費用の裁判に対する不服の申立は許されない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和29年11月16日 昭和28(あ)5577
登載
集刑 第100号411頁
参照法条
刑法106条,刑訴法335条,刑訴法378条4号,刑訴法181条,刑訴法185条
論点6第106条刑法

一 騒擾罪の成立には多衆の暴行脅迫が群集の暴動に発展し社会の治安を動揺せしめる危険または社会の治安に不安動揺を生ぜしめた事実を必要とするか
二 刑法第一〇六条〈騒乱〉にいわゆる「多衆」の意義
三 騒擾罪にあたる殺傷行為が特定の一個人に対するものである場合と騒擾罪の成否
四 騒擾罪の首魁の意義
五 騒擾罪の判示方法
六 不利益変更にあたる一事例

裁判要旨一 騒擾罪の成立には多衆の暴行脅迫が群集の暴動に発展し社会の治安を動揺せしめる危険または社会の治安に不安動揺を生ぜしめた事実を必要としない。
二 刑法第一〇六条〈騒乱〉にいわゆる多衆は、互に意思連絡のない不特定多数人であることを必要としない。
三 騒擾罪にあたる殺傷行為が特定の一個人に対するものであつても騒擾罪の成立に影響をおよばさない。
四 騒擾罪の首魁とは主動者となり首唱劃策し、多衆をしてその合同力により暴行または脅迫を為すに至らしめる者を謂い、必ずしも暴行脅迫を共にし、もしくは現場に在つて総括指揮することを必要としない。
五 騒擾罪にあたる事実を判示するには、多衆が集合して暴行または脅迫の行為をしたことを明らかにすれば足り、特にその行為が地方の静謐を害し又は公共の平和を害する虞のあることを判示する必要はない。
六 第一審判決が被告人Aに対し懲役一年六月を言渡し第一審における未決勾留日数中一二〇日を右本刑に算入したこと、同被告人のみがこれに対し控訴したこと、しかるに原判決が同被告人に対し第一審判決と同一の懲役一年六月の刑を言渡しながら第一審における未決勾留日数を本刑に算入しなかつたときは、旧刑訴四〇三条に違反する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和28年5月21日 昭和26(れ)908
登載
刑集 第7巻5号1053頁
参照法条
刑法106条1項,刑法199条,刑法204条,旧刑訴法403条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

刑法 第106条(騒乱) 詳細ページ
(騒乱)
第百六条多衆で集合して暴行又は脅迫をした者は、騒乱の罪とし、次の区別に従って処断する。
一首謀者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。
二他人を指揮し、又は他人に率先して勢いを助けた者は、六月以上七年以下の拘禁刑に処する。
三付和随行した者は、十万円以下の罰金に処する。
刑法 第107条(多衆不解散) 詳細ページ
(多衆不解散)
第百七条暴行又は脅迫をするため多衆が集合した場合において、権限のある公務員から解散の命令を三回以上受けたにもかかわらず、なお解散しなかったときは、首謀者は三年以下の拘禁刑に処し、その他の者は十万円以下の罰金に処する。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。