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罪/逃走の罪

逃走の罪の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

逃走の罪は、拘禁された者自身が逃げる行為や、それを外部から助ける行為、看守・護送する立場の者が逃がす行為などを処罰する規定です。行為の主体や手段によって法定刑の重さが分かれています。この章の罪はすべて未遂も処罰されます。

逃走の罪
罪名主体行為法定刑
逃走(97条)拘禁された者本人ただ逃げる3年以下の拘禁刑
加重逃走(98条)拘禁された者本人損壊・暴行脅迫・共謀して逃走3月以上5年以下の拘禁刑
被拘禁者奪取(99条)第三者拘禁された者を奪取3月以上5年以下の拘禁刑
逃走援助・器具提供等(100条1項)第三者器具提供など逃走を容易にする行為3年以下の拘禁刑
逃走援助・暴行脅迫(100条2項)第三者逃走させる目的で暴行・脅迫3月以上5年以下の拘禁刑
看守者等逃走援助(101条)看守・護送する者拘禁された者を逃走させる1年以上10年以下の拘禁刑
  • 100条の罪はいずれも「逃走させる目的」が必要な目的犯です。
  • 98条の加重事由は、損壊・暴行脅迫・2人以上の通謀のいずれかに該当する場合です。
  • 102条により、この章(97条〜101条)のすべての罪について未遂も処罰されます。
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逃走の罪

逃走の罪について、条文は何を定めているか。

第97条逃走拘禁された者自身の逃走を処罰1項判例なし
  • 法令により拘禁された者が逃走すると成立する
  • 法定刑は3年以下の拘禁刑
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第98条加重逃走手段が悪質な逃走は刑が重くなる1項判例 2件
  • 拘禁場や拘束器具を壊して逃走すると加重される
  • 暴行・脅迫、または2人以上の通謀による逃走も加重事由
  • 法定刑は3月以上5年以下の拘禁刑
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第99条被拘禁者奪取拘禁されている人を外から奪う罪1項判例なし
  • 法令により拘禁された者を奪取すると成立する
  • 法定刑は3月以上5年以下の拘禁刑
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第100条逃走援助逃走を手助けする行為を処罰2項判例なし
  • 逃走させる目的で器具提供等をすると3年以下の拘禁刑
  • 逃走させる目的で暴行・脅迫をすると3月以上5年以下の拘禁刑
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第101条看守者等による逃走援助看守・護送者が逃がすと重く処罰1項判例なし
  • 拘禁された者を看守・護送する者が逃走させた場合に成立
  • 法定刑は1年以上10年以下の拘禁刑
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第102条未遂罪この章の罪は未遂も処罰される1項判例 1件
  • 97条〈逃走〉から101条〈看守者等による逃走援助〉までの罪はいずれも未遂を罰する
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第98条刑法

一 拘禁場又は械具の損壊による加重逃走罪における実行の着手
二 拘禁場又は械具の損壊による加重逃走罪につき実行の着手があつたとされた事例

裁判要旨一 拘禁場又は械具の損壊による加重逃走罪については、逃走の手段としての損壊が開始されたときには、逃走行為自体に着手した事実がなくとも、実行の着手がある。
二 未決の囚人が、逃走の目的をもつて、拘禁場である木造舎房の房壁に設置された換気孔の周辺のモルタル部分を削り取り損壊したが、脱出可能な穴を開けることができず、逃走の目的を遂げなかつた場合(判文参照)には、加重逃走罪の実行の着手があつたといえる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和54年12月25日 昭和54(あ)965
登載
刑集 第33巻7号1105頁
参照法条
刑法43条,刑法98条
論点2第98条刑法

一 刑法第九八条〈加重逃走〉、同法第一〇二条〈未遂罪〉の合憲性
二 違憲審査権の限界(違憲の主張のない法令の違憲審査はできるか)

裁判要旨一 しかし憲法は理由があれば被疑者が拘禁され抑留されうることを認め且犯罪による処罰の場合には犯人に肉体的拘束が加えられることを是認している(憲法第三四条、三一条)。従つて所論未決若しくは既決の囚人が拘禁の苦痛を免れようとする衝動から逃走するのは、憲法が保障する自由を回復する行為ではない。なぜならば未決、既決の囚人がその身体の自由を制限されている場合には法律の定める手続によらなければ右自由を回復しえないものだからである。そしてかかる囚人の自己逃走を処罰するために設けられた前記刑法第九八条〈加重逃走〉及び同法第一〇二条の規定は公共の福祉を保持するために自由の制限を認めたものであつて、所論のごとき違憲のかどは認められないから論旨は採用できない。
二 (少数意見要旨)裁判官栗山茂
憲法上立法権の専断的行使を抑制(チエック)する一方法として裁判所は訴訟の形式においてだけ違憲法律の審判ができることになつているのである。これを通俗に司法の優位と呼んだからといつて憲法上の機関として司法権が立法権に優位するのではないから、裁判所は争訟がないのに(争訟がないということは当事者から違憲性の主張がないということと同じである。)法律が憲法に適合するかしないかについて調査をしてその意見を表示する権限までも含むものではない。されば裁判所は当事者から法律の違憲について主張がないにもかかわらず、性質上適憲性が推定されている法条を解釈適用するに当つて、一々該法条が適憲であるかどうかを判断した上で事案を処理しなければならないものではない。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和26年7月11日 昭和25(あ)1545
登載
刑集 第5巻8号1419頁
参照法条
刑法98条,刑法102条,憲法11条,憲法13条,憲法81条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

刑法 第97条(逃走) 詳細ページ
(逃走)
第九十七条法令により拘禁された者が逃走したときは、三年以下の拘禁刑に処する。
刑法 第98条(加重逃走) 詳細ページ
(加重逃走)
第九十八条前条に規定する者が拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は二人以上通謀して、逃走したときは、三月以上五年以下の拘禁刑に処する。
刑法 第99条(被拘禁者奪取) 詳細ページ
(被拘禁者奪取)
第九十九条法令により拘禁された者を奪取した者は、三月以上五年以下の拘禁刑に処する。
刑法 第100条(逃走援助) 詳細ページ
(逃走援助)
第百条法令により拘禁された者を逃走させる目的で、器具を提供し、その他逃走を容易にすべき行為をした者は、三年以下の拘禁刑に処する。
2前項の目的で、暴行又は脅迫をした者は、三月以上五年以下の拘禁刑に処する。
刑法 第101条(看守者等による逃走援助) 詳細ページ
(看守者等による逃走援助)
第百一条法令により拘禁された者を看守し又は護送する者がその拘禁された者を逃走させたときは、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。
刑法 第102条(未遂罪) 詳細ページ
(未遂罪)
第百二条この章の罪の未遂は、罰する。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。