商法 / テーマ別まとめ

総則/代理商

代理商の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

代理商とは、商人のために平常の営業の範囲内で取引の代理や媒介を行う者で、その商人の使用人ではない者をいいます。商法は、代理商が商人に対して負う通知義務や競業避止義務、契約解除の予告期間、留置権など、商人と代理商の関係を定める規定を置いています。実務担当者は、代理商契約を結ぶ際や解除する際の手続・権利義務の整理にこれらの規定を確認する必要があります。

代理商
項目内容
通知義務取引の代理・媒介後、遅滞なく通知
競業の禁止許可なく同業取引・取締役等就任禁止
利益額の推定無許可の同業取引の利益は損害額と推定
通知受領権限物品販売等の代理商は通知受領可
契約解除(原則)2か月前に予告して解除可
契約解除(例外)やむを得ない事由でいつでも解除可
留置権弁済期到来の債権で物・有価証券留置
  • 留置権は当事者が別段の意思表示をしたときは認められない
  • 通知受領権限は物品の販売又はその媒介の委託を受けた代理商に限られる
  • 利益額の推定規定は、許可なく自己・第三者のために同業取引をした場合に適用される(取締役等就任の場合は対象外)
  • 2か月前予告による解除は、契約の期間を定めなかった場合に適用される
1

代理商

代理商について、条文は何を定めているか。

第27条通知義務取引後は遅滞なく商人へ通知1項判例なし
  • 代理商は取引の代理・媒介をしたら遅滞なく商人に通知しなければならない
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第28条代理商の競業の禁止商人の許可なく競業・兼任は禁止2項・2号判例 3件
  • 許可なく自己や第三者のために商人と同種の取引をしてはならない
  • 許可なく同業他社の取締役・執行役・業務執行社員になれない
  • 無許可でこの取引をした場合、得た利益額は商人の損害額と推定される
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第29条通知を受ける権限物品販売等では通知受領権限あり1項判例なし
  • 物品の販売又はその媒介の委託を受けた代理商は通知を受け取る権限を持つ
  • 第五百二十六条第二項〈買主による目的物の検査及び通知〉の通知など売買に関する通知が対象
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第30条契約の解除期間の定めがなければ2か月前予告で解除2項判例 1件
  • 契約に期間の定めがない場合、2か月前までに予告すれば解除できる
  • やむを得ない事由があれば商人・代理商のどちらもいつでも解除できる
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第31条代理商の留置権代理商は物・有価証券を留置できる1項判例なし
  • 取引の代理・媒介で生じた債権の弁済期が到来していれば留置できる
  • 弁済を受けるまで商人のために占有する物・有価証券を留置できる
  • 当事者が別段の意思表示をしたときはこの限りでない
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第28条商法

商法第二八条〈代理商の競業の禁止〉の広告にあたらないとされた事例

裁判要旨営業の譲受人が配付した挨拶状に譲渡人の「業務全般を引き継いだ」旨の記載があるからといつて、これをもつて直ちに譲渡人の営業上の債務を引き受けた旨広告をしたものということはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年8月10日 昭和35(オ)159
登載
集民 第62号81頁
参照法条
商法28条
論点2第28条商法

商法第二八条〈代理商の競業の禁止〉の広告にあたらない事例。

裁判要旨甲、乙、丙の三会社が営業を廃止し、新たに丁会社が設立されて旧三会社と同一の中央卸売市場における水産物等の卸売業務を開始するという趣旨の書面を丁会社が旧三会社の取引先に送付しても、商法第二八条〈代理商の競業の禁止〉にいう債務引受の広告をしたことにあたらない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和36年10月13日 昭和34(オ)697
登載
民集 第15巻9号2320頁
参照法条
商法28条
論点3第28条商法

商法第二八条〈代理商の競業の禁止〉の広告にあたる一事例

裁判要旨「今般弊社はD線、E線の地方鉄道軌道業並に沿線バス事業を甲会社より譲受け、乙会社として新発足することになりました」との広告は、甲会社の右事業の営業によつて生じた債務を、乙会社において引受ける旨の広告にあたると解するを相当とする。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和29年10月7日 昭和26(オ)648
登載
民集 第8巻10号1795頁
参照法条
商法28条
論点4第30条商法

商号不使用につき正当事由なしとした判断が是認された事例

裁判要旨原判決引用の第一審判決の認定事実関係のもとで、当該会社が二年以上商号を使用しなかつたことに正当事由がないとして、その商号権の消滅を判断したことは是認できる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年1月16日 昭和33(オ)495
登載
集民 第58号59頁
参照法条
商法30条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

商法 第27条(通知義務) 詳細ページ
(通知義務)
第二十七条代理商(商人のためにその平常の営業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者で、その商人の使用人でないものをいう。以下この章において同じ。)は、取引の代理又は媒介をしたときは、遅滞なく、商人に対して、その旨の通知を発しなければならない。
商法 第28条(代理商の競業の禁止) 詳細ページ
(代理商の競業の禁止)
第二十八条代理商は、商人の許可を受けなければ、次に掲げる行為をしてはならない。
一自己又は第三者のためにその商人の営業の部類に属する取引をすること。
二その商人の営業と同種の事業を行う会社の取締役、執行役又は業務を執行する社員となること。
2代理商が前項の規定に違反して同項第一号に掲げる行為をしたときは、当該行為によって代理商又は第三者が得た利益の額は、商人に生じた損害の額と推定する。
商法 第29条(通知を受ける権限) 詳細ページ
(通知を受ける権限)
第二十九条物品の販売又はその媒介の委託を受けた代理商は、第五百二十六条第二項の通知その他売買に関する通知を受ける権限を有する。
商法 第30条(契約の解除) 詳細ページ
(契約の解除)
第三十条商人及び代理商は、契約の期間を定めなかったときは、二箇月前までに予告し、その契約を解除することができる。
2前項の規定にかかわらず、やむを得ない事由があるときは、商人及び代理商は、いつでもその契約を解除することができる。
商法 第31条(代理商の留置権) 詳細ページ
(代理商の留置権)
第三十一条代理商は、取引の代理又は媒介をしたことによって生じた債権の弁済期が到来しているときは、その弁済を受けるまでは、商人のために当該代理商が占有する物又は有価証券を留置することができる。ただし、当事者が別段の意思表示をしたときは、この限りでない。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。