商法 / テーマ別まとめ

海上物品運送に関する特則/航海傭船

航海傭船の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

航海傭船契約は、船舶の全部又は一部を運送に使う契約で、商法748条から756条が船積み・発航・陸揚げの通知や期間、滞船料、契約解除の要件を定めています。船積み・陸揚げが期間を超えた場合の滞船料請求や、全部航海傭船・一部航海傭船それぞれの解除条件を実務担当者向けに整理しています。個品運送契約に関する規定の多くも、読み替えのうえ航海傭船契約に準用されます。

航海傭船
場面内容数値・条件
船積み準備完了の通知船長が傭船者へ通知遅滞なく
船積期間の起算点通知があった時から起算不可抗力の期間は除く
船積期間超過後の船積み滞船料を請求できる特約がなくても可
第三者が船積みしない場合船長が傭船者へ通知直ちに
通知後の傭船者の船積み傭船者が船積みできる船積期間内に限る
傭船者の発航請求未船積みでも発航請求可全額+費用負担+担保
船長の発航権期間経過後は直ちに発航可発航請求と同様の負担
陸揚げ準備完了の通知船長が荷受人へ通知遅滞なく
陸揚期間超過後の陸揚げ滞船料を請求できる特約がなくても可
全部傭船・発航前の解除傭船者が解除できる全額+滞船料(下回れば実損額)
全部傭船・発航後の解除傭船者が解除できる合計額+滞船料/担保が必要
一部傭船契約の解除743・745・753③を準用読み替えあり(注記参照)
  • 748条3項:船積期間超過後の滞船料請求は特約がなくても可能
  • 753条1項ただし書:解除による損害額が運送賃全額+滞船料を下回るときはその損害賠償で足りる
  • 753条3項:船積期間内に船積みしなかったときは運送人が解除したものとみなせる(755条で一部傭船にも準用)
  • 755条の読み替え:743条1項「全額」→「全額及び滞船料」、745条「合計額」→「合計額並びに滞船料」
  • 756条1項により738~742条(739条2項除く)・744条・746条・747条を準用し、741条1項「金額」→「金額及び滞船料」等に読み替え
  • 756条2項:運送人の損害賠償責任を免除・軽減する特約は船荷証券の所持人に対抗できない
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航海傭船

航海傭船について、条文は何を定めているか。

第748条運送品の船積み船積み準備完了を傭船者に通知する3項判例なし
  • 準備が整ったら船長は遅滞なく傭船者に通知する
  • 始期未定なら通知時から船積期間を起算(不可抗力の期間は除く)
  • 期間超過後の船積みには特約なしでも滞船料を請求できる
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第749条第三者による船積み船長は不明・未船積み時に傭船者へ通知2項判例なし
  • 第三者が誰か分からない、または船積みしないときは船長が傭船者に直ちに通知
  • 通知を受けた傭船者は船積期間内に限り船積みできる
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第750条傭船者による発航の請求傭船者は未船積みでも発航を求められる2項判例なし
  • 運送品を全部積んでいなくても傭船者は発航請求ができる
  • 請求時は運送賃全額と未船積み分の費用を負担し、担保も必要
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第751条船長の発航権船長は期間経過後すぐに発航できる1項判例なし
  • 船積期間が過ぎれば全部未船積みでも船長は直ちに発航可能
  • この場合も傭船者は運送賃全額・費用負担・担保提供の義務を負う
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第752条運送品の陸揚げ陸揚げ準備完了を荷受人に通知する3項判例なし
  • 準備が整ったら船長は遅滞なく荷受人に通知する
  • 始期未定なら通知時から陸揚期間を起算(不可抗力の期間は除く)
  • 期間超過後の陸揚げには特約なしでも滞船料を請求できる
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第753条全部航海傭船契約の傭船者による発航前の解除全部傭船は発航前なら解除しやすい3項判例なし
  • 発航前は運送賃全額+滞船料を払えば傭船者は解除できる
  • 実損害額がそれより少なければ実損害の賠償で足りる
  • 船積期間内に船積みしなければ運送人は解除とみなせる
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第754条全部航海傭船契約の傭船者による発航後の解除発航後の解除は支払か担保提供が必要1項判例なし
  • 発航後は745条〈荷送人による発航後の解除〉の合計額+滞船料の支払または相当の担保がないと解除できない
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第755条一部航海傭船契約の解除への準用一部航海傭船の解除にも同様の規定を準用1項判例なし
  • 743条〈荷送人による発航前の解除〉・745条〈荷送人による発航後の解除〉・753条3項〈全部航海傭船契約の傭船者による発航前の解除〉を一部航海傭船契約の解除に準用
  • 準用時は「全額」を「全額及び滞船料」、「合計額」を「合計額並びに滞船料」と読み替え
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第756条個品運送契約に関する規定の準用等個品運送の規定の多くを航海傭船に準用2項判例なし
  • 738~742条〈運送品の競売〉(739条2項〈航海に堪える能力に関する注意義務〉除く)・744条〈荷送人は、前条の規定により個品運送契約の解除をしたときであっても、運送人に対する付随の費用及び立替金の支払義務を免れるこ…〉・746条〈積荷を航海の用に供した場合の運送賃〉・747条〈非航海船による物品運送への準用〉を準用
  • 741条1項〈荷受人の運送賃支払義務等〉の「金額」は「金額及び滞船料」と読み替え
  • 運送人の責任を免除・軽減する特約は船荷証券所持人に対抗できない
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原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

商法 第748条(運送品の船積み) 詳細ページ
(運送品の船積み)
第七百四十八条航海傭船契約(船舶の全部又は一部を目的とする運送契約をいう。以下この節において同じ。)に基づいて運送品の船積みのために必要な準備を完了したときは、船長は、遅滞なく、傭船者に対してその旨の通知を発しなければならない。
2船積期間の定めがある航海傭船契約において始期を定めなかったときは、その期間は、前項の通知があった時から起算する。この場合において、不可抗力によって船積みをすることができない期間は、船積期間に算入しない。
3傭船者が船積期間の経過後に運送品の船積みをした場合には、運送人は、特約がないときであっても、相当な滞船料を請求することができる。
商法 第749条(第三者による船積み) 詳細ページ
(第三者による船積み)
第七百四十九条船長は、第三者から運送品を受け取るべき場合において、その第三者を確知することができないとき、又はその第三者が運送品の船積みをしないときは、直ちに傭船者に対してその旨の通知を発しなければならない。
2前項の場合において、傭船者は、船積期間内に限り、運送品の船積みをすることができる。
商法 第750条(傭船者による発航の請求) 詳細ページ
(傭船者による発航の請求)
第七百五十条傭船者は、運送品の全部の船積みをしていないときであっても、船長に対し、発航の請求をすることができる。
2傭船者は、前項の請求をしたときは、運送人に対し、運送賃の全額のほか、運送品の全部の船積みをしないことによって生じた費用を支払う義務を負い、かつ、その請求により、当該費用の支払について相当の担保を供しなければならない。
商法 第751条(船長の発航権) 詳細ページ
(船長の発航権)
第七百五十一条船長は、船積期間が経過した後は、傭船者が運送品の全部の船積みをしていないときであっても、直ちに発航することができる。この場合においては、前条第二項の規定を準用する。
商法 第752条(運送品の陸揚げ) 詳細ページ
(運送品の陸揚げ)
第七百五十二条運送品の陸揚げのために必要な準備を完了したときは、船長は、遅滞なく、荷受人に対してその旨の通知を発しなければならない。
2陸揚期間の定めがある航海傭船契約において始期を定めなかったときは、その期間は、前項の通知があった時から起算する。この場合において、不可抗力によって陸揚げをすることができない期間は、陸揚期間に算入しない。
3荷受人が陸揚期間の経過後に運送品の陸揚げをした場合には、運送人は、特約がないときであっても、相当な滞船料を請求することができる。
商法 第753条(全部航海傭船契約の傭船者による発航前の解除) 詳細ページ
(全部航海傭船契約の傭船者による発航前の解除)
第七百五十三条発航前においては、全部航海傭船契約(船舶の全部を目的とする航海傭船契約をいう。以下この節において同じ。)の傭船者は、運送賃の全額及び滞船料を支払って全部航海傭船契約の解除をすることができる。ただし、全部航海傭船契約の解除によって運送人に生ずる損害の額が運送賃の全額及び滞船料を下回るときは、その損害を賠償すれば足りる。
2傭船者は、運送品の全部又は一部の船積みをした後に前項の規定により全部航海傭船契約の解除をしたときは、その船積み及び陸揚げに要する費用を負担しなければならない。
3全部航海傭船契約の傭船者が船積期間内に運送品の船積みをしなかったときは、運送人は、その傭船者が全部航海傭船契約の解除をしたものとみなすことができる。
商法 第754条(全部航海傭船契約の傭船者による発航後の解除) 詳細ページ
(全部航海傭船契約の傭船者による発航後の解除)
第七百五十四条発航後においては、全部航海傭船契約の傭船者は、第七百四十五条に規定する合計額及び滞船料を支払い、又は相当の担保を供しなければ、全部航海傭船契約の解除をすることができない。
商法 第755条(一部航海傭船契約の解除への準用) 詳細ページ
(一部航海傭船契約の解除への準用)
第七百五十五条第七百四十三条、第七百四十五条及び第七百五十三条第三項の規定は、船舶の一部を目的とする航海傭船契約の解除について準用する。この場合において、第七百四十三条第一項中「全額」とあるのは「全額及び滞船料」と、第七百四十五条中「合計額」とあるのは「合計額並びに滞船料」と読み替えるものとする。
商法 第756条(個品運送契約に関する規定の準用等) 詳細ページ
(個品運送契約に関する規定の準用等)
第七百五十六条第七百三十八条から第七百四十二条まで(第七百三十九条第二項を除く。)、第七百四十四条、第七百四十六条及び第七百四十七条の規定は、航海傭船契約について準用する。この場合において、第七百四十一条第一項中「金額」とあるのは「金額及び滞船料」と、第七百四十四条中「前条」とあるのは「第七百五十三条第一項又は第七百五十五条において準用する前条」と、第七百四十七条中「この節」とあるのは「次節」と読み替えるものとする。
2運送人は、前項において準用する第七百三十九条第一項の規定による運送人の損害賠償の責任を免除し、又は軽減する特約をもって船荷証券の所持人に対抗することができない。
出

一次情報

原文ママ

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