商法 / テーマ別まとめ

商行為/問屋営業

問屋営業の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

問屋営業は、自己の名で他人のために物品の販売・買入れを行う商行為で、商法551条から558条に規定されています。問屋が取引の相手方に対して自ら権利義務を負う点や、担保責任・介入権など委託者との関係を定めており、販売・買入れ以外の行為を業とする準問屋にも同じ規定が準用されます。

問屋営業
項目問屋の扱い委託者との関係
権利義務の帰属自ら権利取得・義務負担委任・代理の規定も準用
履行担保責任相手方不履行時は問屋が履行別段の意思表示・慣習で排除可
差額負担時の効力差額は問屋が負担委託者に効力が生ずる
介入権取引所相場物品で問屋が自ら当事者に代価は通知時相場、報酬請求可
受領拒否時の対応供託・競売で処理委託者保護のための手続
準問屋への準用販売買入以外の業者にも規定準用同様の規律が及ぶ
  • 委任・代理に関する規定は、この章に定めるもの以外について準用される(552条2項)。
  • 担保責任は、当事者の別段の意思表示又は別段の慣習があるときは負わない(553条ただし書)。
  • 買入れの委託で委託者が受領を拒み又は受領できないときは、商法524条の規定を準用する(556条)。
  • 代理商に関する第27条及び第31条の規定が問屋に準用される(557条)。
  • 準問屋(販売・買入れ以外の行為を業とする者)にもこの章の規定が準用される(558条)。
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問屋営業

問屋営業について、条文は何を定めているか。

第551条定義問屋の定義を定める1項判例 3件
  • 自己の名で他人のために物品の販売又は買入れをすることを業とする者を問屋という
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第552条問屋の権利義務問屋は取引の権利義務を自ら負う2項判例 7件
  • 問屋は他人のためにした販売・買入れで自ら権利を取得し義務を負う
  • 委託者との関係には委任及び代理に関する規定も準用される
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第553条問屋の担保責任相手方不履行時は問屋が履行を担保1項判例なし
  • 相手方が債務を履行しないとき問屋が自ら履行する責任を負う
  • 当事者の別段の意思表示又は別段の慣習があれば適用されない
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第554条問屋が委託者の指定した金額との差額を負担する場合の販売又は買入れの効力指定価格との差額を問屋が負担すれば有効1項判例なし
  • 指定額より低く売る又は高く買った場合に問屋が差額を負担すると
  • その販売又は買入れは委託者に対して効力を生ずる
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第555条介入権取引所相場がある物品は問屋が自ら介入可2項判例なし
  • 取引所の相場がある物品なら問屋自身が買主又は売主になれる
  • 代価は問屋が買主又は売主になった通知を発した時の相場による
  • この場合でも問屋は委託者に報酬を請求できる
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第556条問屋が買い入れた物品の供託及び競売買入物品を委託者が受け取らない場合の処理1項判例 1件
  • 委託者が買い入れた物品の受領を拒み又は受領できないとき
  • 第524条〈売主による目的物の供託及び競売〉の規定を準用する
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第557条代理商に関する規定の準用代理商の規定を問屋にも準用1項判例なし
  • 第27条〈通知義務〉及び第31条〈代理商の留置権〉の規定が問屋について準用される
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第558条準問屋販売・買入れ以外を業とする準問屋にも準用1項判例なし
  • 自己の名で他人のために販売又は買入れ以外の行為をする者にも
  • この章の規定が準用される
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第551条商法

商品取引所の取引員が委託者の指図に基づかないで建玉の反対売買をした場合と委託者の損害

裁判要旨商品取引所の取引員が委託者の指図に基づかないで建玉の反対売買をしたときは、委託者としては指図による反対売買により得べかりし利益を喪失し、これと同額の損害を被ることがありうる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和49年10月15日 昭和47(オ)1312
登載
集民 第113号5頁
参照法条
商法551条,商法552条2項
論点2第551条商法

商法第五五一条〈定義〉の「物品」と有価証券

裁判要旨商法第五五一条〈定義〉の「物品」中には、有価証券を包含する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和32年5月30日 昭和31(オ)104
登載
民集 第11巻5号854頁
参照法条
商法551条
論点3第551条商法

特定の種類の商品先物取引について差玉向かいを行っている商品取引員が,専門的な知識を有しない委託者との間で締結した商品先物取引委託契約上,委託者に対して負う説明義務及び通知義務

裁判要旨特定の種類の商品先物取引について差玉向かいを行っている商品取引員が専門的な知識を有しない委託者との間で商品先物取引委託契約を締結した場合,商品取引員は,上記委託契約上,商品取引員が差玉向かいを行っている特定の種類の商品先物取引を受託する前に,委託者に対し,その取引について差玉向かいを行っていること及び差玉向かいは商品取引員と委託者との間に利益相反関係が生ずる可能性の高いものであることを十分に説明すべき義務を負い,委託者が上記の説明を受けた上で上記取引を委託したときにも,自己玉を建てる都度,その自己玉に対当する委託玉を建てた委託者に対し,その委託玉が商品取引員の自己玉と対当する結果となったことを通知する義務を負う。

※差玉向かい:板寄せ(商品取引所の立会において,同一限月の各商品につき,売付けと買付けの数量が合致したときに,そのときの値段を単一の約定値段とし,同数量の売付けと買付けについて売買約定を締結させる競争売買の方法)による取引について,商品の種類及び限月ごとに,委託に基づく売付けと買付けを集計し,売付けと買付けの数量に差がある場合に,この差の全部又は一定割合に対当する自己玉を建てることを繰り返す商品取引員の取引方法
※自己玉:商品取引員が自己の計算をもってする取引※委託玉:商品取引員が委託に基づいてする取引
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成21年7月16日 平成20(受)802
登載
民集 第63巻6号1280頁
参照法条
商法551条,商法552条2項,民法644条,民法645条,商品取引所法213条,商品取引所法214条9号,商品取引所法217条1項4号,商品取引所法施行規則103条2号,商品取引所法施行規則104条1項8号
論点4第552条商法

商品の先物取引において仲買人が委託者の指図に従う義務

裁判要旨商品の先物取引において、仲買人は、商品の売付け又は買付けの委託を受けた場合に、取引が終了するまでは、反対売買等につき新たな合意を要することなく、委託者の指図に従う義務がある。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和50年7月15日 昭和47(オ)334
登載
集民 第115号419頁
参照法条
商法552条2項,民法644条
論点5第552条商法

問屋の破産と取戻権

裁判要旨問屋が委託の実行としてした売買により権利を取得した後これを委託者に移転しない間に破産した場合には、委託者は、右権利につき取戻権を行使することができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年7月11日 昭和40(オ)25
登載
民集 第22巻7号1313頁
参照法条
商法552条,破産法87条
論点6第552条商法

証券取引法第四九条に違反して委託証拠金なしに信用取引がなされた場合における証券業者と委託者との間の契約の効力。

裁判要旨証券取引法第四九条に違反して委託証拠金なしに信用取引により株式が売買されても、右違反は、証券業者と委託者との間の契約の効力に影響を及ぼすものではない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和40年4月22日 昭和39(オ)816
登載
民集 第19巻3号703頁
参照法条
民法91条,民法642条,商法552条,証券取引法49条
論点7第552条商法

問屋が受託事務を再委託した場合と民法第一〇七条第二項の準用の有無

裁判要旨物品販売の委託を受けた問屋が他の問屋にこれを再委託した場合、再委託を受けた問屋と委託者本人との間に民法第一〇七条第二項を準用すべきでない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和31年10月12日 昭和27(オ)915
登載
民集 第10巻10号1260頁
参照法条
商法552条2項,民法107条2項
論点8第552条商法

証券会社の従業員の無断売買によつて生じた差損などを顧客の信用取引口座から曳き落とす処理がされた場合と顧客の損害発生の有無

裁判要旨証券会社の従業員が顧客の信用取引口座を利用して無断売買をし、その結果生じた差損などに相当する金員をその顧客の信用取引口座から引き落とす処理がされたとしても、顧客に右金員相当の損害が生じたものということはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成4年2月28日 昭和63(オ)386
登載
集民 第164号113頁
参照法条
民法415条,民法644条,商法552条,証券取引法49条
論点9第556条商法

一、東京証券取引所受託契約準則一三条の九による会員の反対売買権の性質
二、会員の反対売買権行使の時期と証券の市場価格の変動による顧客の損失

裁判要旨一、東京証券取引所受託契約準則一三条の九は、顧客が所定の時限までに買付代金を会員に交付しないときには、会員は、任意に、当該売買取引を決済するために、顧客の計算において買付証券を売却して買付代金に充当する権限があることを定めたものであり、会員は、このような場合、直ちに買付証券を売却すべき義務を負うものではない。
二、会員の反対売買権行使の時期が特に信義則上顧客にとり不当と認められる特段の事情がないかぎり、会員は、証券の市場価格の変動による顧客の損失について、なんらの責任を負わない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和49年4月25日 昭和48(オ)447
登載
集民 第111号599頁
参照法条
商法556条,商法524条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

商法 第551条(定義) 詳細ページ
(定義)
第五百五十一条この章において「問屋」とは、自己の名をもって他人のために物品の販売又は買入れをすることを業とする者をいう。
商法 第552条(問屋の権利義務) 詳細ページ
(問屋の権利義務)
第五百五十二条問屋は、他人のためにした販売又は買入れにより、相手方に対して、自ら権利を取得し、義務を負う。
2問屋と委託者との間の関係については、この章に定めるもののほか、委任及び代理に関する規定を準用する。
商法 第553条(問屋の担保責任) 詳細ページ
(問屋の担保責任)
第五百五十三条問屋は、委託者のためにした販売又は買入れにつき相手方がその債務を履行しないときに、自らその履行をする責任を負う。ただし、当事者の別段の意思表示又は別段の慣習があるときは、この限りでない。
商法 第554条(問屋が委託者の指定した金額との差額を負担する場合の販売又は買入れの効力) 詳細ページ
(問屋が委託者の指定した金額との差額を負担する場合の販売又は買入れの効力)
第五百五十四条問屋が委託者の指定した金額より低い価格で販売をし、又は高い価格で買入れをした場合において、自らその差額を負担するときは、その販売又は買入れは、委託者に対してその効力を生ずる。
商法 第555条(介入権) 詳細ページ
(介入権)
第五百五十五条問屋は、取引所の相場がある物品の販売又は買入れの委託を受けたときは、自ら買主又は売主となることができる。この場合において、売買の代価は、問屋が買主又は売主となったことの通知を発した時における取引所の相場によって定める。
2前項の場合においても、問屋は、委託者に対して報酬を請求することができる。
商法 第556条(問屋が買い入れた物品の供託及び競売) 詳細ページ
(問屋が買い入れた物品の供託及び競売)
第五百五十六条問屋が買入れの委託を受けた場合において、委託者が買い入れた物品の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、第五百二十四条の規定を準用する。
商法 第557条(代理商に関する規定の準用) 詳細ページ
(代理商に関する規定の準用)
第五百五十七条第二十七条及び第三十一条の規定は、問屋について準用する。
商法 第558条(準問屋) 詳細ページ
(準問屋)
第五百五十八条この章の規定は、自己の名をもって他人のために販売又は買入れ以外の行為をすることを業とする者について準用する。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。