商法 / テーマ別まとめ

運送営業/旅客運送

旅客運送の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

商法589条から594条は、旅客運送契約がどのように成立し、旅客の人身損害や手荷物についてどこまで運送人が責任を負うかを定めている。人身損害についての免責・減額特約は原則として無効とされる一方、手荷物は運送人への引渡しの有無によって責任の重さが分かれる。実務では、旅客本人の負傷等と手荷物の扱いを区別して確認する必要がある。

旅客運送
区分対象運送人の責任特約による軽減
旅客本人(人身損害)旅客の生命・身体無過失を証明すれば免責軽減・免除は原則無効
引渡し済み手荷物旅客から預かった手荷物物品運送人と同一の責任規定なし
未引渡しの手荷物身の回り品を含む携行品故意・過失がある場合のみ責任規定なし
  • 591条2項:大規模な火災・震災等の災害発生時(発生のおそれがある場合を含む)の運送には特約禁止規定を適用しない
  • 591条2項:運送に伴う振動等により生命・身体に重大な危険が及ぶおそれがある者の運送にも適用しない
  • 592条3項:手荷物到着日から1週間以内に旅客が引渡しを請求しないときは供託、又は催告後の競売が可能
  • 592条4項:価格低落のおそれがある手荷物は催告なしで競売に付することができる
  • 592条6項:旅客の住所・居所が知れないときは催告・通知は不要
  • 593条2項:未引渡し手荷物の責任は物品運送に関する576条・584条・585条・587条・588条を読み替えて準用する
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旅客運送

旅客運送について、条文は何を定めているか。

第589条旅客運送契約旅客運送契約の成立要件1項判例なし
  • 運送人が旅客運送を約し、旅客側が運送賃支払を約すことで契約が成立する
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第590条運送人の責任旅客の人身損害は運送人が賠償1項判例 1件
  • 運送のために旅客が受けた損害を運送人が賠償する責任を負う
  • 運送人が注意を怠らなかったことを証明すれば免責される
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第591条特約禁止人身損害の免責・減額特約は原則無効2項・2号判例なし
  • 旅客の生命・身体侵害による責任を免除・軽減する特約は無効
  • 運送の遅延が主な原因の損害は対象外
  • 大規模災害時や重大な危険を伴う旅客の運送は適用除外
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第592条引渡しを受けた手荷物に関する運送人の責任等引渡し済み手荷物は物品運送と同じ責任6項判例なし
  • 運送賃を請求しない場合でも物品運送人と同一の責任を負う
  • 被用者も物品運送人の被用者と同一の責任を負う
  • 到着後1週間請求がなければ供託又は催告後の競売が可能
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第593条引渡しを受けていない手荷物に関する運送人の責任等未引渡しの手荷物は故意・過失時のみ責任2項判例なし
  • 身の回り品を含め、故意又は過失がある場合のみ賠償責任を負う
  • 物品運送に関する規定を一部読み替えて準用する
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第594条運送人の債権の消滅時効旅客運送の債権にも物品運送の時効規定を準用1項判例 1件
  • 586条〈運送人の債権の消滅時効〉(運送人の債権の消滅時効)の規定を旅客運送について準用する
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第590条商法

B鉄道の職員のいわゆる遵法闘争により急行列車が延着した場合とB鉄道旅客営業規則二八九条二項の適用

裁判要旨B鉄道の職員のいわゆる遵法闘争により急行列車が延着した場合にもB鉄道旅客営業規則二八九条二項の適用がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和55年7月18日 昭和54(オ)1181
登載
集民 第130号287頁
参照法条
商法590条,旅客営業規則(昭和33年日本国有鉄道公示第325号)289条2項
論点2第594条商法

宿泊客がフロントに預けなかった物品の滅失毀損等につきホテル側に故意又は重大な過失がある場合とホテルの損害賠償義務の範囲を制限する宿泊約款の定めの適用

裁判要旨ホテルの宿泊客がフロントに預けなかった物品等で事前に種類及び価額の明告のなかったものが滅失,毀損するなどしたときにホテルの損害賠償義務の範囲を15万円の限度に制限する宿泊約款の定めは,ホテル側に故意又は重大な過失がある場合には適用されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成15年2月28日 平成13(受)1061
登載
集民 第209号143頁
参照法条
民法91条,商法594条,商法595条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

商法 第589条(旅客運送契約) 詳細ページ
(旅客運送契約)
第五百八十九条旅客運送契約は、運送人が旅客を運送することを約し、相手方がその結果に対してその運送賃を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
商法 第590条(運送人の責任) 詳細ページ
(運送人の責任)
第五百九十条運送人は、旅客が運送のために受けた損害を賠償する責任を負う。ただし、運送人が運送に関し注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
商法 第591条(特約禁止) 詳細ページ
(特約禁止)
第五百九十一条旅客の生命又は身体の侵害による運送人の損害賠償の責任(運送の遅延を主たる原因とするものを除く。)を免除し、又は軽減する特約は、無効とする。
2前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一大規模な火災、震災その他の災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において運送を行うとき。
二運送に伴い通常生ずる振動その他の事情により生命又は身体に重大な危険が及ぶおそれがある者の運送を行うとき。
商法 第592条(引渡しを受けた手荷物に関する運送人の責任等) 詳細ページ
(引渡しを受けた手荷物に関する運送人の責任等)
第五百九十二条運送人は、旅客から引渡しを受けた手荷物については、運送賃を請求しないときであっても、物品運送契約における運送人と同一の責任を負う。
2運送人の被用者は、前項に規定する手荷物について、物品運送契約における運送人の被用者と同一の責任を負う。
3第一項に規定する手荷物が到達地に到着した日から一週間以内に旅客がその引渡しを請求しないときは、運送人は、その手荷物を供託し、又は相当の期間を定めて催告をした後に競売に付することができる。この場合において、運送人がその手荷物を供託し、又は競売に付したときは、遅滞なく、旅客に対してその旨の通知を発しなければならない。
4損傷その他の事由による価格の低落のおそれがある手荷物は、前項の催告をしないで競売に付することができる。
5前二項の規定により手荷物を競売に付したときは、運送人は、その代価を供託しなければならない。ただし、その代価の全部又は一部を運送賃に充当することを妨げない。
6旅客の住所又は居所が知れないときは、第三項の催告及び通知は、することを要しない。
商法 第593条(引渡しを受けていない手荷物に関する運送人の責任等) 詳細ページ
(引渡しを受けていない手荷物に関する運送人の責任等)
第五百九十三条運送人は、旅客から引渡しを受けていない手荷物(身の回り品を含む。)の滅失又は損傷については、故意又は過失がある場合を除き、損害賠償の責任を負わない。
2第五百七十六条第一項及び第三項、第五百八十四条第一項、第五百八十五条第一項及び第二項、第五百八十七条(第五百七十六条第一項及び第三項、第五百八十四条第一項並びに第五百八十五条第一項及び第二項の規定の準用に係る部分に限る。)並びに第五百八十八条の規定は、運送人が前項に規定する手荷物の滅失又は損傷に係る損害賠償の責任を負う場合について準用する。この場合において、第五百七十六条第一項中「その引渡しがされるべき」とあるのは「その運送が終了すべき」と、第五百八十四条第一項中「荷受人が異議をとどめないで運送品を受け取った」とあるのは「旅客が運送の終了の時までに異議をとどめなかった」と、「荷受人が引渡しの日」とあるのは「旅客が運送の終了の日」と、第五百八十五条第一項中「運送品の引渡しがされた日(運送品の全部滅失の場合にあっては、その引渡しがされるべき日)」とあるのは「運送の終了の日」と読み替えるものとする。
商法 第594条(運送人の債権の消滅時効) 詳細ページ
(運送人の債権の消滅時効)
第五百九十四条第五百八十六条の規定は、旅客運送について準用する。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。