商法 / テーマ別まとめ

総則/商人

商人の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

商法は、自己の名で商行為を業とする者や、店舗などの設備で物品を販売する業・鉱業を営む者を「商人」と定めています。未成年者や後見人が商人として営業を行う場合は登記が必要ですが、営業用財産の価額が法務省令で定める金額を超えない小商人については、登記等の一部規定の適用が除外されます。

商人
区分該当要件商人としての扱い
商行為を業とする者自己の名で商行為を行うそのまま商人にあたる
店舗販売業・鉱業を営む者商行為を業としなくてもよい商人とみなす
小商人営業用財産が法務省令の金額以下一部の規定を適用除外
  • 小商人の基準となる財産価額は法務省令で定められ、条文自体には具体的金額の記載はない。
  • 小商人には5条・6条・商業登記等に関する次章の規定・11条2項・15条2項前段・17条2項前段・第5章・22条は適用されない。
  • 未成年者・後見人が4条の営業を行う場合の登記義務は、小商人には適用されない。
  • 後見人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗できない(6条2項)。
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商人

商人について、条文は何を定めているか。

第4条定義商行為をする者と店舗販売業者を商人とする2項判例 10件
  • 自己の名で商行為を行うことを業とする人が商人にあたる
  • 店舗などの設備で物品を販売する人や鉱業を営む人は、商行為でなくても商人とみなす
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第5条未成年者登記未成年者が商人として営業するなら登記が必要1項判例なし
  • 未成年者が商行為を業として行うときは登記をしなければならない
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第6条後見人登記後見人が被後見人の営業を行うなら登記が必要2項判例なし
  • 後見人が被後見人に代わって商人としての営業をするときは登記義務がある
  • 後見人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗できない
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第7条小商人小商人には登記等の一部規定を適用しない1項判例なし
  • 営業用財産の価額が法務省令で定める金額を超えない商人が小商人にあたる
  • 小商人には5条〈未成年者登記〉・6条〈後見人登記〉・商業登記等の規定の一部は適用されない
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第4条商法

一 信用金庫の商人性
二 信用金庫取引約定書四条四項〈定義〉の趣旨
三 破産債権者が支払停止又は破産申立前にされた取立委任に基づき支払停止又は破産申立のあつたことを知つてした手形の取立と破産法一〇四条二号但書

裁判要旨一 信用金庫法に基づいて設立された信用金庫は、商法上の商人には当たらない。
二 信用金庫取引約定書四条四項〈定義〉は、取引先において信用金庫に対し、取引先がその債務を履行しない場合に、信用金庫の占有する取引先の手形等の取立又は処分をする権限及び取立又は処分によつて取得した金員を取引先の債務の弁済に充当する権限を授与する趣旨であり、右手形等につき、取引先の債務不履行を停止条件として譲渡担保権、質権等の担保権を設定する趣旨の規定ではない。
三 破産債権者が、破産者が債務の履行をしなかつたときには破産債権者の占有する破産者の手形の取立又は処分をしてその取得金を債務の弁済に充当することができる旨の条項を含む取引約定を締結した上、支払の停止又は破産の申立のあつたことを知る前に破産者から手形の取立を委任されて裏書交付を受け、支払の停止等の事実を知つた後破産宣告前に右手形を取り立てたことにより負担した破産者に対する取立金引渡債務は、破産法一〇四条二号但書にいう「支払ノ停止若ハ破産ノ申立アリタルコトヲ知りタル時ヨリ前ニ生ジタル原因ニ基」づき負担したものに当たる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和63年10月18日 昭和59(オ)557
登載
民集 第42巻8号575頁
参照法条
商法4条1項,信用金庫法1条,信用金庫法2条,信用金庫法(昭和56年法律第60号による改正前のもの)53条,民法1編4章1節,破産法104条2号
論点2第4条商法

一、裁判所が労働基準法一一四条の附加金の支払を命じるまでに予告手当の支払を完了した場合と附加金の支払を命じることの可否

二、商人である使用者が労働者に対して負う賃金債務の遅延損害金の利率

三、労働基準法一一四条による附加金の支払義務の履行遅滞による損害金の利率

裁判要旨一、使用者に労働基準法二〇条の違反があつても、裁判所が同法一一四条の附加金の支払を命じるまでに予告手当の支払を完了したときは、裁判所は附加金の支払を命じることはできない。

二、商人である使用者が労働者に対して負う賃金債務の遅延損害金の利率は商事法定利率によるべきである。

三、労働基準法一一四条による附加金の支払義務の履行遅滞による損害金の利率は民事法定利率によるべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和51年7月9日 昭和48(オ)682
登載
集民 第118号249頁
参照法条
労働基準法114条,商法4条,商法503条,商法514条,民法404条,民法419条
論点3第4条商法

一、信用協同組合の商人性
二、信用協同組合の商人たる組合員に対する貸金債権と商事消滅時効

裁判要旨一、中小企業等協同組合法に基づいて設立された信用協同組合は、商法上の商人にあたらない。
二、中小企業等協同組合法に基づいて設立された信用協同組合の商人たる組合員に対する貸金債権には、商法五〇三条〈附属的商行為〉、三条一項〈一方的商行為〉により、同法五二二条が適用される。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和48年10月5日 昭和46(オ)781
登載
集民 第110号165頁
参照法条
中小企業等協同組合法1条,中小企業等協同組合法9条の8,商法4条,商法522条
論点4第4条商法

一、開業準備行為の商行為性
二、営業の開始を目的とする金銭の借入れに商行為性が認められる場合

裁判要旨一、開業準備行為が商行為となるためには、それが客観的にみて開業準備行為と認められうるものであるごとを要し、単に金銭を借り入れるごとき行為は、特段の事情のないかぎり、これを商行為とすることはできない。
二、営業を開始する目的をもってする単なる金銭の借入れも、取引の相手方がその事情を知悉している場合には、これを附属的商行為と認めるのが相当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年2月24日 昭和46(オ)492
登載
民集 第26巻1号172頁
参照法条
商法4条1項,商法503条1項
論点5第4条商法

貸金業者のなした消費貸借は商法施行法第一一七条(削除前)にいう商事にあたるか。

裁判要旨貸金業の届出を受理された者のなした消費貸借であっても、商法施行法第一一七条(削除前)にいう商事にはあたらない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年6月19日 昭和38(オ)1404
登載
集民 第74号145頁
参照法条
貸金業等の取締に関する法律3条,商法4条,商法502条,商法施行法117条(削除前)
論点6第4条商法

農業協同組合連合会は民法第一七三条第一号にいう生産者および卸売商人にあたるか。

裁判要旨農業協同組合連合会は、民法第一七三条第一号にいう生産者および卸売商人にあたらない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年7月6日 昭和34(オ)612
登載
民集 第16巻7号1469頁
参照法条
農業協同組合法5条,農業協同組合法10条,民法173条,商法4条,商法501条,商法502条
論点7第4条商法

営業の主体の判定基準を示した事例

裁判要旨旅館業経営において、旅館の建物の所有名義は夫となつているが、その妻をもつて旅館営業の行政許可を受け、この営業に関する公租公課はすべて妻に対し賦課徴収されているほか同旅館の電話の加入名義も妻名義で、妻自身もその経営の衝に当り少くとも対外的には一般に妻名義を使用している場合は、たとえ夫が同旅館の業務に自ら携わり、旅館組合の会合には常に出席し、その他経営について夫の意見が尊重され、あるいは夫の意のままに運営されるところがあつたとしても、それは特段の事情がない限り右夫婦の内部関係における援助指導の関係に止るとみられ、右営業に関し生じた債権債務は名実ともに妻に帰属すると認めるのが相当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和37年3月15日 昭和34(オ)1231
登載
集民 第59号273頁
参照法条
商法4条1項
論点8第4条商法

営業の準備行為はいわゆる附属的商行為となるか

裁判要旨特定の営業を開始する目的で準備行為をしたときは、商人が営業のためにする行為をしたものと解すべきである
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和33年6月19日 昭和32(オ)1183
登載
民集 第12巻10号1575頁
参照法条
商法4条1項,商法503条1項,商法511条1項
論点9第4条商法

1 会社の行為が商行為に該当することの主張立証責任
2 会社の貸付けが当該会社の代表者の情宜に基づいてされたものとみる余地があっても,当該貸付けに係る債権が商行為によって生じた債権に当たるとされた事例

裁判要旨1 会社の行為は商行為と推定され,これを争う者において当該行為が当該会社の事業のためにするものでないこと,すなわち当該会社の事業と無関係であることの主張立証責任を負う。
2 会社の貸付けが当該会社の代表者の情宜に基づいてされたものとみる余地があっても,それだけでは当該会社の事業と無関係であることの立証がされたということはできず,他にこれをうかがわせるような事情が存しない以上,当該貸付けに係る債権は,商行為によって生じた債権に当たる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成20年2月22日 平成19(受)528
登載
民集 第62巻2号576頁
参照法条
(1,2につき)会社法5条,商法4条1項,商法503条,民訴法第2編第4章第1節 総則
論点10第4条商法

信用協同組合の商人性

裁判要旨中小企業等協同組合法に基づいて設立された信用協同組合は,商法上の商人には当たらない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成18年6月23日 平成17(受)1192
登載
集民 第220号565頁
参照法条
中小企業等協同組合法1条,中小企業等協同組合法3条,中小企業等協同組合法9条の8,商法4条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

商法 第4条(定義) 詳細ページ
(定義)
第四条この法律において「商人」とは、自己の名をもって商行為をすることを業とする者をいう。
2店舗その他これに類似する設備によって物品を販売することを業とする者又は鉱業を営む者は、商行為を行うことを業としない者であっても、これを商人とみなす。
商法 第5条(未成年者登記) 詳細ページ
(未成年者登記)
第五条未成年者が前条の営業を行うときは、その登記をしなければならない。
商法 第6条(後見人登記) 詳細ページ
(後見人登記)
第六条後見人が被後見人のために第四条の営業を行うときは、その登記をしなければならない。
2後見人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
商法 第7条(小商人) 詳細ページ
(小商人)
第七条第五条、前条、次章、第十一条第二項、第十五条第二項、第十七条第二項前段、第五章及び第二十二条の規定は、小商人(商人のうち、法務省令で定めるその営業のために使用する財産の価額が法務省令で定める金額を超えないものをいう。)については、適用しない。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。