商法 / テーマ別まとめ

海商/共同海損

共同海損の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

共同海損は、船舶や積荷等に共同の危険が生じたときに、その危険を避けるための処分によって生じた損害・費用を、船舶や積荷などの関係者全員で公平に分担する制度です。商法は、共同海損となる損害・費用の算定方法、各利害関係人の分担額の算定方法、分担義務を負う限度、および分担請求権の時効期間を定めています。

共同海損
区分対象算定・扱いの基準
成立要件船舶・積荷等共同危険回避処分による損害・費用
損害額船舶到達地・到達時の価格
損害額積荷陸揚地・陸揚時の価格
損害額積荷以外の船内の物到達地・到達時の価格
損害額運送賃陸揚地・陸揚時の請求可能額
分担額船舶の利害関係人到達地・時の船舶価格
分担額積荷の利害関係人陸揚地・時の価格から控除後の額
分担額積荷以外の物の利害関係人到達地・時の物の価格(武器除く)
分担額運送人運送賃債権から必要費用控除後の額
責任の限度船舶等の利害関係人到達時現存価額の限度
責任の限度積荷等の利害関係人陸揚時現存価額の限度
時効分担請求権計算終了時から1年
  • 価格評定書類に実価より低い額を記載した場合は、その記載額で損害額を算定する
  • 価格評定書類に実価を超える額を記載した場合は、その記載額に応じて分担する
  • 無断積み・虚偽申告の積荷等一定の物に生じた損害は分担不要(高価品・甲板積みは例外あり)
  • 属具目録に記載のない属具に生じた損害は分担不要
  • 特別補償料は利害関係人が分担する必要がない
  • 危険が過失で生じた場合でも、利害関係人は過失者への求償権を行使できる
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共同海損

共同海損について、条文は何を定めているか。

第808条共同海損の成立危険回避の処分による損害費用が対象2項判例なし
  • 船舶・積荷等への共同の危険を避けるための処分による損害・費用が共同海損となる
  • 危険が過失で生じても、利害関係人は過失のある者への求償権を行使できる
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第809条共同海損となる損害又は費用損害額の算定基準と分担不要な損害費用3項・6号判例なし
  • 船舶・積荷・積荷以外の物・運送賃ごとに、到達/陸揚げの地及び時の価格等で算定する
  • 積荷・運送賃の損害額は、支払い不要となった費用の額を控除して算定する
  • 無断積み・虚偽申告の積荷等の損害や特別補償料は利害関係人が分担しなくてよい
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第810条共同海損の分担額各利害関係人の分担額の算定方法4項・4号判例なし
  • 船舶・積荷・積荷以外の物・運送人ごとに、到達/陸揚げ時の価格等で分担額を算定する
  • 危険回避処分の後に必要費・有益費を支出した場合はその費用の額を控除する
  • 処分によって自分の財産に損害を受けた者は、その損害額を分担額に加算する
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第811条共同海損を分担すべき者の責任分担義務は現存価額の限度にとどまる1項判例なし
  • 分担義務者は船舶到達時(積荷等は陸揚げ時)に現存する価額の限度でのみ責任を負う
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第812条共同海損の分担に基づく債権の消滅時効分担請求権は計算終了から1年で時効消滅1項判例なし
  • 共同海損の分担に基づく債権は、計算が終了した時から1年間行使しないと時効消滅する
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原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

商法 第808条(共同海損の成立) 詳細ページ
(共同海損の成立)
第八百八条船舶及び積荷等に対する共同の危険を避けるために船舶又は積荷等について処分がされたときは、当該処分(以下この章において「共同危険回避処分」という。)によって生じた損害及び費用は、共同海損とする。
2前項の規定は、同項の危険が過失によって生じた場合における利害関係人から当該過失のある者に対する求償権の行使を妨げない。
商法 第809条(共同海損となる損害又は費用) 詳細ページ
(共同海損となる損害又は費用)
第八百九条共同海損となる損害の額は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める額によって算定する。ただし、第二号及び第四号に定める額については、積荷の滅失又は損傷のために支払うことを要しなくなった一切の費用の額を控除するものとする。
一船舶到達の地及び時における当該船舶の価格
二積荷陸揚げの地及び時における当該積荷の価格
三積荷以外の船舶内にある物到達の地及び時における当該物の価格
四運送賃陸揚げの地及び時において請求することができる運送賃の額
2船荷証券その他積荷の価格を評定するに足りる書類(以下この章において「価格評定書類」という。)に積荷の実価より低い価額を記載したときは、その積荷に加えた損害の額は、当該価格評定書類に記載された価額によって定める。積荷の価格に影響を及ぼす事項につき価格評定書類に虚偽の記載をした場合において、当該記載によることとすれば積荷の実価より低い価格が評定されることとなるときも、同様とする。
3次に掲げる損害又は費用は、利害関係人が分担することを要しない。
一次に掲げる物に加えた損害。ただし、次のハに掲げる物にあっては第五百七十七条第二項第一号に掲げる場合を、次のニに掲げる物にあっては甲板積みをする商慣習がある場合を除く。
イ船舶所有者に無断で船積みがされた積荷
ロ船積みに際して故意に虚偽の申告がされた積荷
ハ高価品である積荷であって、荷送人又は傭船者が運送を委託するに当たりその種類及び価額を通知していないもの
ニ甲板上の積荷
ホ属具目録に記載がない属具
二特別補償料
商法 第810条(共同海損の分担額) 詳細ページ
(共同海損の分担額)
第八百十条共同海損は、次の各号に掲げる者(船員及び旅客を除く。)が当該各号に定める額の割合に応じて分担する。
一船舶の利害関係人到達の地及び時における当該船舶の価格
二積荷の利害関係人次のイに掲げる額から次のロに掲げる額を控除した額
イ陸揚げの地及び時における当該積荷の価格
ロ共同危険回避処分の時においてイに規定する積荷の全部が滅失したとした場合に当該積荷の利害関係人が支払うことを要しないこととなる運送賃その他の費用の額
三積荷以外の船舶内にある物(船舶に備え付けた武器を除く。)の利害関係人到達の地及び時における当該物の価格
四運送人次のイに掲げる額から次のロに掲げる額を控除した額
イ第二号ロに規定する運送賃のうち、陸揚げの地及び時において現に存する債権の額
ロ船員の給料その他の航海に必要な費用(共同海損となる費用を除く。)のうち、共同危険回避処分の時に船舶及び第二号イに規定する積荷の全部が滅失したとした場合に運送人が支払うことを要しないこととなる額
2共同危険回避処分の後、到達又は陸揚げ前に船舶又は積荷等について必要費又は有益費を支出したときは、当該船舶又は積荷等については、前項第一号から第三号までに定める額は、その費用(共同海損となる費用を除く。)の額を控除した額とする。
3第一項に規定する者が共同危険回避処分によりその財産につき損害を受けたときは、その者については、同項各号に定める額は、その損害の額(当該財産について前項に規定する必要費又は有益費を支出した場合にあっては、その費用(共同海損となる費用に限る。)の額を超える部分の額に限る。)を加算した額とする。
4価格評定書類に積荷の実価を超える価額を記載したときは、その積荷の利害関係人は、当該価格評定書類に記載された価額に応じて共同海損を分担する。積荷の価格に影響を及ぼす事項につき価格評定書類に虚偽の記載をした場合において、当該記載によることとすれば積荷の実価を超える価格が評定されることとなるときも、同様とする。
商法 第811条(共同海損を分担すべき者の責任) 詳細ページ
(共同海損を分担すべき者の責任)
第八百十一条前条の規定により共同海損を分担すべき者は、船舶の到達(同条第一項第二号又は第四号に掲げる者にあっては、積荷の陸揚げ)の時に現存する価額の限度においてのみ、その責任を負う。
商法 第812条(共同海損の分担に基づく債権の消滅時効) 詳細ページ
(共同海損の分担に基づく債権の消滅時効)
第八百十二条共同海損の分担に基づく債権は、その計算が終了した時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。