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海上物品運送に関する特則/個品運送

個品運送の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

個品運送(個々の運送品を目的とする運送契約)について、船積み・必要書類の交付、船舶の堪航能力に関する運送人の注意義務、違法な船積み品の扱いを定めています。あわせて荷受人の運送賃等支払義務や運送品の留置・競売、荷送人による契約解除のルールも規定し、これらは非航海船による物品運送にも準用されます。

個品運送
場面要件効果
船積み・発航(737条)荷送人が運送品の引渡しを怠った船長は直ちに発航、運送賃全額請求
堪航能力担保(739条)発航当時の船舶等に欠陥があった運送人が賠償責任、無過失なら免責
違法な船積み(740条)法令違反や契約外の船積みがあったいつでも陸揚げ可、危険時は放棄可
運送賃等の支払(741条)荷受人が運送品を受け取った支払義務を負い、未払時は留置可
運送品の競売(742条)引渡し後も運送賃等が未払い競売可(第三者が占有取得時は不可)
発航前の解除(743条)荷送人が発航前に解除する運送賃全額支払えば解除可
発航後の解除(745条)荷送人が発航後に解除する全員同意+運送賃等相当額必要
  • 739条の運送人の責任は特約で免除・軽減できない(特約は無効)
  • 743条:解除による運送人の損害額が運送賃全額を下回るときはその損害賠償で足りる
  • 743条2項:一部船積み後の解除は他の荷送人・傭船者全員の同意が必要で、船積み・陸揚げ費用は荷送人負担
  • 744条:743条により解除しても付随費用・立替金の支払義務は免れない
  • 746条:船長が積荷を航海の用に供した場合でも運送人は運送賃全額を請求できる
  • 747条:この節の規定は非航海船による物品運送にも準用される
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個品運送

個品運送について、条文は何を定めているか。

第737条運送品の船積み等荷送人の引渡し遅延時は船長が発航できる2項判例 1件
  • 運送人は受け取った運送品を船積み・積付けする
  • 荷送人が引渡しを怠れば船長は直ちに発航できる
  • 荷送人は運送賃全額を支払う(他で得た運送賃は控除)
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第738条船長に対する必要書類の交付船積期間内に必要書類を船長へ渡す1項判例 1件
  • 荷送人は船積期間内に運送に必要な書類を船長に交付する
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第739条航海に堪える能力に関する注意義務堪航能力を欠くと運送人が賠償責任を負う2項・3号判例 1件
  • 発航当時、船舶を航海に堪える状態にしていないと賠償責任を負う
  • 船員配乗・艤装・需品補給や船倉等の整備を怠った場合も同様
  • 運送人が無過失を証明すれば免責、ただし免責特約自体は無効
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第740条違法な船積品の陸揚げ等違法な船積み品は陸揚げ・放棄できる3項判例なし
  • 法令違反や契約外の船積み品はいつでも陸揚げでき、危険時は放棄も可
  • 運送した場合は船積み地・時点の同種品の最高運送賃を請求できる
  • 荷送人への損害賠償請求は妨げられない
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第741条荷受人の運送賃支払義務等荷受人は受取時に運送賃等を支払う2項・2号判例なし
  • 荷受人は運送賃・付随費用・立替金の合計を支払う義務を負う
  • 運送品価格に応じた救助料・共同海損分担額も含まれる
  • 運送人は運送賃等の支払を受けるまで運送品を留置できる
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第742条運送品の競売引渡し後でも未払いなら競売できる1項判例なし
  • 荷受人に引き渡した後も運送賃等の支払を受けるため競売できる
  • ただし第三者が運送品の占有を取得した後は競売できない
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第743条荷送人による発航前の解除発航前なら運送賃全額で解除できる2項判例なし
  • 荷送人は発航前に運送賃全額を払えば契約を解除できる
  • 損害額が運送賃全額を下回るときはその損害の賠償で足りる
  • 船積み後の解除は他の荷送人・傭船者全員の同意が必要で、船積み・陸揚げ費用も負担
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第744条解除しても付随費用等の支払義務は残る1項判例なし
  • 743条〈荷送人による発航前の解除〉により解除しても付随費用・立替金の支払義務は免れない
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第745条荷送人による発航後の解除発航後の解除には全員同意と支払等が必要1項判例なし
  • 荷送人は発航後、他の荷送人・傭船者全員の同意が必要
  • 運送賃等と陸揚げで生じる損害額の合計を支払うか、相当の担保を供する必要
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第746条積荷を航海の用に供した場合の運送賃積荷を航海に使っても運送賃は全額請求可1項判例なし
  • 船長が積荷を航海の用に供した場合でも運送人は運送賃全額を請求できる
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第747条非航海船による物品運送への準用非航海船による物品運送にも準用される1項判例なし
  • 湖川・港湾など海以外の水域を専ら航行する船舶にも準用される
  • 端舟その他ろかいのみで運転する舟は対象外
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第737条商法

要式行為の解釈事例。

裁判要旨オフアーノートの署名が傭船契約成立の要件をなす場合でも、裁判所は、オファーノートの文字に即してのみ運賃の単価を確定しなければならないものではなく、オファーノートの記載とあわせて、契約成立時における四囲の事情を勘案し、右単価を確定することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年7月29日 昭和36(オ)1407
登載
集民 第74号777頁
参照法条
民法第1編第4章,商法737条
論点2第738条商法

一、海上物品運送契約において積荷保険の被保険者である荷主が保険金の支払を受ける限度で運送人に対する損害賠償請求権をあらかじめ放棄した場合と保険代位
二、商法七三八条〈船長に対する必要書類の交付〉の堪航能力担保義務の範囲
三、商法七三八条の堪航能力担保義務の性質

裁判要旨一、海上物品運送契約において、積荷保険の被保険者である荷主が保険金の支払を受ける限度で運送人に対する損害賠償請求権をあらかじめ放棄した場合でも、商法七三九条〈航海に堪える能力に関する注意義務〉により運送人の免責が許されない損害に関するかぎり、保険者は、保険代位により、荷主の運送人に対する損害賠償請求権を取得する。
二、商法七三八条〈船長に対する必要書類の交付〉により担保される堪航能力は、単に船舶自体が安全に航海できることのほか、船舶による運送委託を受けた貨物を通常の海上危険に耐えて安全に目的地にまで運送できる能力を含むものであり、船舶の構造に欠陥があつて通常の海上危険により海水が船舶内に浸入し、そのために貨物が損傷を受けたような場合には、その船舶は堪航能力を欠如していたものというべきである。
三、船舶所有者は、船舶が堪航能力を有しないことによつて生じた損害については、過失の有無にかかわらず、商法七三八条に基づく賠償責任を負担すべきものである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和49年3月15日 昭和45(オ)470
登載
民集 第28巻2号222頁
参照法条
商法629条,商法662条,商法738条,商法739条,商法815条,商法816条,民法519条,国際海上物品運送法附則2項
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

商法 第737条(運送品の船積み等) 詳細ページ
(運送品の船積み等)
第七百三十七条運送人は、個品運送契約(個々の運送品を目的とする運送契約をいう。以下この節において同じ。)に基づいて荷送人から運送品を受け取ったときは、その船積み及び積付けをしなければならない。
2荷送人が運送品の引渡しを怠ったときは、船長は、直ちに発航することができる。この場合において、荷送人は、運送賃の全額(運送人がその運送品に代わる他の運送品について運送賃を得た場合にあっては、当該運送賃の額を控除した額)を支払わなければならない。
商法 第738条(船長に対する必要書類の交付) 詳細ページ
(船長に対する必要書類の交付)
第七百三十八条荷送人は、船積期間内に、運送に必要な書類を船長に交付しなければならない。
商法 第739条(航海に堪える能力に関する注意義務) 詳細ページ
(航海に堪える能力に関する注意義務)
第七百三十九条運送人は、発航の当時次に掲げる事項を欠いたことにより生じた運送品の滅失、損傷又は延着について、損害賠償の責任を負う。ただし、運送人がその当時当該事項について注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
一船舶を航海に堪える状態に置くこと。
二船員の乗組み、船舶の艤装及び需品の補給を適切に行うこと。
三船倉、冷蔵室その他運送品を積み込む場所を運送品の受入れ、運送及び保存に適する状態に置くこと。
2前項の規定による運送人の損害賠償の責任を免除し、又は軽減する特約は、無効とする。
商法 第740条(違法な船積品の陸揚げ等) 詳細ページ
(違法な船積品の陸揚げ等)
第七百四十条法令に違反して又は個品運送契約によらないで船積みがされた運送品については、運送人は、いつでも、これを陸揚げすることができ、船舶又は積荷に危害を及ぼすおそれがあるときは、これを放棄することができる。
2運送人は、前項に規定する運送品を運送したときは、船積みがされた地及び時における同種の運送品に係る運送賃の最高額を請求することができる。
3前二項の規定は、運送人その他の利害関係人の荷送人に対する損害賠償の請求を妨げない。
商法 第741条(荷受人の運送賃支払義務等) 詳細ページ
(荷受人の運送賃支払義務等)
第七百四十一条荷受人は、運送品を受け取ったときは、個品運送契約又は船荷証券の趣旨に従い、運送人に対し、次に掲げる金額の合計額(以下この節において「運送賃等」という。)を支払う義務を負う。
一運送賃、付随の費用及び立替金の額
二運送品の価格に応じて支払うべき救助料の額及び共同海損の分担額
2運送人は、運送賃等の支払を受けるまで、運送品を留置することができる。
商法 第742条(運送品の競売) 詳細ページ
(運送品の競売)
第七百四十二条運送人は、荷受人に運送品を引き渡した後においても、運送賃等の支払を受けるため、その運送品を競売に付することができる。ただし、第三者がその占有を取得したときは、この限りでない。
商法 第743条(荷送人による発航前の解除) 詳細ページ
(荷送人による発航前の解除)
第七百四十三条発航前においては、荷送人は、運送賃の全額を支払って個品運送契約の解除をすることができる。ただし、個品運送契約の解除によって運送人に生ずる損害の額が運送賃の全額を下回るときは、その損害を賠償すれば足りる。
2前項の規定は、運送品の全部又は一部の船積みがされた場合には、他の荷送人及び傭船者の全員の同意を得たときに限り、適用する。この場合において、荷送人は、運送品の船積み及び陸揚げに要する費用を負担しなければならない。
商法 第744条 詳細ページ
第七百四十四条荷送人は、前条の規定により個品運送契約の解除をしたときであっても、運送人に対する付随の費用及び立替金の支払義務を免れることができない。
商法 第745条(荷送人による発航後の解除) 詳細ページ
(荷送人による発航後の解除)
第七百四十五条発航後においては、荷送人は、他の荷送人及び傭船者の全員の同意を得、かつ、運送賃等及び運送品の陸揚げによって生ずべき損害の額の合計額を支払い、又は相当の担保を供しなければ、個品運送契約の解除をすることができない。
商法 第746条(積荷を航海の用に供した場合の運送賃) 詳細ページ
(積荷を航海の用に供した場合の運送賃)
第七百四十六条運送人は、船長が第七百十二条第一項の規定により積荷を航海の用に供したときにおいても、運送賃の全額を請求することができる。
商法 第747条(非航海船による物品運送への準用) 詳細ページ
(非航海船による物品運送への準用)
第七百四十七条この節の規定は、商行為をする目的で専ら湖川、港湾その他の海以外の水域において航行の用に供する船舶(端舟その他ろかいのみをもって運転し、又は主としてろかいをもって運転する舟を除く。以下この編において「非航海船」という。)によって物品を運送する場合について準用する。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。