商法 / テーマ別まとめ

商行為/運送取扱営業

運送取扱営業の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

運送取扱営業は、自己の名で物品運送の取次ぎを行う「運送取扱人」の権利義務を定めています。運送品の滅失・損傷・延着に対する損害賠償責任、報酬の請求時期、留置権、自ら運送を行う介入権などを規定し、別段の定めがない限り問屋に関する規定も準用されます。

運送取扱営業
項目内容
運送取扱人の定義自己の名で物品運送の取次ぎをする者
責任の範囲受取から引渡しまでの滅失・損傷・延着
免責注意を怠らなかった証明で免責
報酬請求のタイミング運送人に引き渡した直後に請求可
留置権の対象報酬・立替費用・運送賃のみ
介入権自ら運送人になれる
  • 運送取扱人には、この章に別段の定めがない限り問屋に関する規定が準用される
  • 運送賃の額を契約で定めた場合、特約がなければ報酬を別途請求できない
  • 委託者の請求で船荷証券・複合運送証券を作成したときは、自ら運送したものとみなす
  • 物品運送に関する複数の条文が、一部の文言を読み替えたうえで運送取扱営業に準用される
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運送取扱営業

運送取扱営業について、条文は何を定めているか。

第559条定義等運送取扱人の定義と問屋規定の準用2項判例なし
  • 自己の名で物品運送の取次ぎをする者を運送取扱人という
  • この章に別段の定めがない限り、問屋に関する規定が準用される
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第560条運送取扱人の責任運送品の滅失・損傷・延着への賠償責任1項判例 3件
  • 受取から引渡しまでに生じた滅失・損傷・延着は賠償責任を負う
  • 受取・保管・引渡しや運送人選択で注意を怠らなければ免責される
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第561条運送取扱人の報酬運送人への引渡し後、直ちに報酬請求できる2項判例なし
  • 運送品を運送人に引き渡した時点で報酬を請求できる
  • 運送賃込みの特約がなければ、報酬を別途請求できない
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第562条運送取扱人の留置権報酬・立替金の弁済まで運送品を留置できる1項判例なし
  • 留置できるのは報酬・付随費用・運送賃等の立替金のみ
  • これらの弁済を受けるまで運送品を留置できる
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第563条介入権運送取扱人は自ら運送人になれる(介入権)2項判例なし
  • 自ら運送を行う場合、運送人と同一の権利義務を持つ
  • 委託者の請求で船荷証券等を作成すると、自ら運送したとみなす
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第564条物品運送に関する規定の準用物品運送に関する規定を一部読み替えて準用1項判例なし
  • 物品運送に関する複数の条文が運送取扱営業にも準用される
  • 「前の運送人」は「前の運送取扱人又は運送人」と読み替える
  • 「運送品の引渡し」は「荷受人に対する運送品の引渡し」と読み替える
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第560条商法

運送取扱契約の本旨に従つた運送品引渡がなされなかつたと判定された事例。

裁判要旨運送取扱人から運送品の引渡を受けた者が売買の履行としてこれを真荷受人に引渡した事実があつても、運送取扱契約の本旨に従つた荷受人に対する運送品引渡の履行があつたとはいわれない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和38年2月22日 昭和35(オ)627
登載
集民 第64号537頁
参照法条
商法560条
論点2第560条商法

一 運送品滅失毀損の場合の運送取扱人ないし運送人に対する債務不履行に基づく損害賠償請求権と不法行為に基づく損害賠償請求権の競合
二 前項の不法行為に基づく損害賠償請求権の成立が認められるためには運送取扱人ないし運送人の故意または重過失を必要とするか

裁判要旨一 運送品の取扱上通常予想される事態ではなく、契約本来の目的範囲を著しく逸脱する態様において、運送品の滅失、毀損が生じた場合には、運送取扱人ないし運送人に対する債務不履行に基づく損害賠償請求権と不法行為に基づく損害賠償請求権との競合が認められる。
二 前項の不法行為に基づく損害賠償請求権の成立が認められるためには、運送取扱人ないし運送人に、必ずしも故意または重過失があることを要しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年11月5日 昭和35(オ)1456
登載
民集 第17巻11号1510頁
参照法条
商法560条,商法577条,商法566条,民法709条,民法715条
論点3第560条商法

運送取扱人ないし運送人の行為が無過失といえない一事例

裁判要旨運送取扱人ないし運送人が、予め発送人に対し通知もせず、その指図も受けないで、運送品を、荷受人でない第三者に引渡した場合は、単に原審認定のような事情(原判決参照)があるだけでは、未だこれを無過失ということはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和30年4月12日 昭和28(オ)528
登載
民集 第9巻4号474頁
参照法条
商法560条,商法577条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

商法 第559条(定義等) 詳細ページ
(定義等)
第五百五十九条この章において「運送取扱人」とは、自己の名をもって物品運送の取次ぎをすることを業とする者をいう。
2運送取扱人については、この章に別段の定めがある場合を除き、第五百五十一条に規定する問屋に関する規定を準用する。
商法 第560条(運送取扱人の責任) 詳細ページ
(運送取扱人の責任)
第五百六十条運送取扱人は、運送品の受取から荷受人への引渡しまでの間にその運送品が滅失し若しくは損傷し、若しくはその滅失若しくは損傷の原因が生じ、又は運送品が延着したときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。ただし、運送取扱人がその運送品の受取、保管及び引渡し、運送人の選択その他の運送の取次ぎについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
商法 第561条(運送取扱人の報酬) 詳細ページ
(運送取扱人の報酬)
第五百六十一条運送取扱人は、運送品を運送人に引き渡したときは、直ちにその報酬を請求することができる。
2運送取扱契約で運送賃の額を定めたときは、運送取扱人は、特約がなければ、別に報酬を請求することができない。
商法 第562条(運送取扱人の留置権) 詳細ページ
(運送取扱人の留置権)
第五百六十二条運送取扱人は、運送品に関して受け取るべき報酬、付随の費用及び運送賃その他の立替金についてのみ、その弁済を受けるまで、その運送品を留置することができる。
商法 第563条(介入権) 詳細ページ
(介入権)
第五百六十三条運送取扱人は、自ら運送をすることができる。この場合において、運送取扱人は、運送人と同一の権利義務を有する。
2運送取扱人が委託者の請求によって船荷証券又は複合運送証券を作成したときは、自ら運送をするものとみなす。
商法 第564条(物品運送に関する規定の準用) 詳細ページ
(物品運送に関する規定の準用)
第五百六十四条第五百七十二条、第五百七十七条、第五百七十九条(第三項を除く。)、第五百八十一条、第五百八十五条、第五百八十六条、第五百八十七条(第五百七十七条及び第五百八十五条の規定の準用に係る部分に限る。)及び第五百八十八条の規定は、運送取扱営業について準用する。この場合において、第五百七十九条第二項中「前の運送人」とあるのは「前の運送取扱人又は運送人」と、第五百八十五条第一項中「運送品の引渡し」とあるのは「荷受人に対する運送品の引渡し」と読み替えるものとする。
出

一次情報

原文ママ

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