論点1第501条商法
手形債務の保証の主張と連帯保証の判定。
裁判要旨本件保証が手形債務の保証であることの主張がある以上、本件保証には商行為性があり連帯保証となると判断したからといつて、当事者の主張しない事項を認定判断したことにはならない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和38年3月28日 昭和37(オ)1159
- 登載
- 集民 第65号321頁
- 参照法条
- 民訴法186条,商法501条4号,商法511条2項
論点2第501条商法
農業協同組合連合会は民法第一七三条第一号にいう生産者および卸売商人にあたるか。
裁判要旨農業協同組合連合会は、民法第一七三条第一号にいう生産者および卸売商人にあたらない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和37年7月6日 昭和34(オ)612
- 登載
- 民集 第16巻7号1469頁
- 参照法条
- 農業協同組合法5条,農業協同組合法10条,民法173条,商法4条,商法501条,商法502条
論点3第501条商法
貸金業の届出が受理された者のなす金融行為は商行為か
裁判要旨貸金号の届出が受理された者がなす場合でも金融行為自体は商行為ではない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和30年9月27日 昭和27(オ)882
- 登載
- 民集 第9巻10号1444頁
- 参照法条
- 旧貸金業等の取締に関する法律(昭和24年法律170条)3条,商法501条,商法502条
論点4第502条商法
通用期間を満了した私鉄定期乗車券の不正使用にあたるとされた事例
裁判要旨旅客が乗車の目的をもつて通用期間満了後の私鉄定期乗車券を改札口で係員に呈示したときは、右私鉄会社の営業規則に定める定期乗車券の期間満了後における不正使用にあたる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和53年2月9日 昭和52(オ)1058
- 登載
- 集民 第123号23頁
- 参照法条
- 商法502条4号,商法569条
論点5第502条商法
質屋営業者の金員貸付行為と商行為
裁判要旨質屋営業者の金員貸付行為は、商行為にあたらない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和50年6月27日 昭和50(オ)152
- 登載
- 集民 第115号167頁
- 参照法条
- 商法502条8号
論点6第502条商法
貸金業者のなした消費貸借は商法施行法第一一七条(削除前)にいう商事にあたるか。
裁判要旨貸金業の届出を受理された者のなした消費貸借であっても、商法施行法第一一七条(削除前)にいう商事にはあたらない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和39年6月19日 昭和38(オ)1404
- 登載
- 集民 第74号145頁
- 参照法条
- 貸金業等の取締に関する法律3条,商法4条,商法502条,商法施行法117条(削除前)
論点7第502条商法
宅地建物取引業者の不動産売買の媒介と報酬請求。
裁判要旨宅地建物取引業者は、不動産の買受人より依頼をうけて売買の媒介をなし、契約を成立せしめるに至つたときは、商法
第五一二条〈報酬請求権〉により右買受人に対し報酬を請求しうる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和38年2月12日 昭和35(オ)389
- 登載
- 集民 第64号405頁
- 参照法条
- 商法502条11号,商法512条,宅地建物取引業法17条
論点8第502条商法
貸金業者の金銭貸付行為は商行為か
裁判要旨自己資金のみで貸付をする貸金業者の行為は、商法
第五〇二条第八号〈営業的商行為 両替その他の銀行取引〉のいわゆる営業的商行為たる「銀行取引」にあたらない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和37年2月13日 昭和34(オ)227
- 登載
- 集民 第58号595頁
- 参照法条
- 商法502条8号
論点9第503条商法
一、裁判所が労働基準法一一四条の附加金の支払を命じるまでに予告手当の支払を完了した場合と附加金の支払を命じることの可否
二、商人である使用者が労働者に対して負う賃金債務の遅延損害金の利率
三、労働基準法一一四条による附加金の支払義務の履行遅滞による損害金の利率
裁判要旨一、使用者に労働基準法二〇条の違反があつても、裁判所が同法一一四条の附加金の支払を命じるまでに予告手当の支払を完了したときは、裁判所は附加金の支払を命じることはできない。
二、商人である使用者が労働者に対して負う賃金債務の遅延損害金の利率は商事法定利率によるべきである。
三、労働基準法一一四条による附加金の支払義務の履行遅滞による損害金の利率は民事法定利率によるべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和51年7月9日 昭和48(オ)682
- 登載
- 集民 第118号249頁
- 参照法条
- 労働基準法114条,商法4条,商法503条,商法514条,民法404条,民法419条
論点10第503条商法
宅地建物取引業者のした法律事務の取扱と弁護士法七二条
裁判要旨宅地建物取引業者のした法律事務の取扱は、商法
五〇三条〈附属的商行為〉により商行為となるとしても、それが一回かぎりであり、かつ、反復の意思をもつてされたものでないときは、弁護士法七二条に触れない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和50年4月4日 昭和47(オ)751
- 登載
- 民集 第29巻4号317頁
- 参照法条
- 弁護士法72条,商法503条,商法512条
論点11第503条商法
一、開業準備行為の商行為性
二、営業の開始を目的とする金銭の借入れに商行為性が認められる場合
裁判要旨一、開業準備行為が商行為となるためには、それが客観的にみて開業準備行為と認められうるものであるごとを要し、単に金銭を借り入れるごとき行為は、特段の事情のないかぎり、これを商行為とすることはできない。
二、営業を開始する目的をもってする単なる金銭の借入れも、取引の相手方がその事情を知悉している場合には、これを附属的商行為と認めるのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和47年2月24日 昭和46(オ)492
- 登載
- 民集 第26巻1号172頁
- 参照法条
- 商法4条1項,商法503条1項
論点12第503条商法
銀行が商法第一八九条第二項に基づいて負担する債務は商事債務か。
裁判要旨株式払込金保管証明をした銀行が商法第一八九条第二項に基づいて負担する、証明金額を支払うべき債務は、商行為によつて生じた債務と解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和39年5月26日 昭和36(オ)924
- 登載
- 民集 第18巻4号635頁
- 参照法条
- 商法189条,商法503条,商法522条
論点13第503条商法
営業の準備行為はいわゆる附属的商行為となるか
裁判要旨特定の営業を開始する目的で準備行為をしたときは、商人が営業のためにする行為をしたものと解すべきである
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和33年6月19日 昭和32(オ)1183
- 登載
- 民集 第12巻10号1575頁
- 参照法条
- 商法4条1項,商法503条1項,商法511条1項
論点14第503条商法
会社、労働組合間の退職金支給に関する協約と商行為
裁判要旨会社とその従業員をもつて組織する労働組合との間に成立した退職金に関する協約上の約定は商行為であつて、右約定に基く退職金債権はこれを商事債権と認むべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和29年9月10日 昭和27(オ)329
- 登載
- 民集 第8巻9号1581頁
- 参照法条
- 商法503条,商法514条
論点15第503条商法
1 会社の行為が商行為に該当することの主張立証責任
2 会社の貸付けが当該会社の代表者の情宜に基づいてされたものとみる余地があっても,当該貸付けに係る債権が商行為によって生じた債権に当たるとされた事例
裁判要旨1 会社の行為は商行為と推定され,これを争う者において当該行為が当該会社の事業のためにするものでないこと,すなわち当該会社の事業と無関係であることの主張立証責任を負う。
2 会社の貸付けが当該会社の代表者の情宜に基づいてされたものとみる余地があっても,それだけでは当該会社の事業と無関係であることの立証がされたということはできず,他にこれをうかがわせるような事情が存しない以上,当該貸付けに係る債権は,商行為によって生じた債権に当たる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成20年2月22日 平成19(受)528
- 登載
- 民集 第62巻2号576頁
- 参照法条
- (1,2につき)会社法5条,商法4条1項,商法503条,民訴法第2編第4章第1節 総則
論点16第504条商法
商法五〇四条〈商行為の代理〉但書に基づき相手方が債権者として本人または代理人を選択しうる場合における本人の請求と代理人の債権についての消滅時効の中断
裁判要旨代理人がした商行為による債権につき本人が提起した債権請求訴訟の係属中に、相手方が商法五〇四条但書に基づき債権者として代理人を選択したときは、本人の請求は、右訴訟が係属している間代理人の債権につき催告に準じた時効中断の効力を及ぼすものと解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和48年10月30日 昭和44(オ)1135
- 登載
- 民集 第27巻9号1258頁
- 参照法条
- 商法504条,商法522条,民法147条,民法148条,民法153条
論点17第504条商法
会社の代表者が会社のためにすることを示さないで代表行為をした場合と商法五〇四条但書の適用
裁判要旨会社の代表者が会社のためにすることを示さないで代表行為をした場合でも、それによつて、会社と相手方との間に有効な法律関係が生ずるが、相手方において代表者が会社のためにすることを知らなかつたときは、過失により知らなかつたものでないかぎり、商法
五〇四条〈商行為の代理〉但書によつて、相手方と代表者個人との間にも右と同一の法律関係が生じ、相手方が会社との法律関係を否定して代表者個人との間の法律関係を主張したときは、会社は、もはや相手方に対し、会社と相手方との間の沃律関係を主張することができない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和45年3月26日 昭和40(オ)14
- 登載
- 集民 第98号465頁
- 参照法条
- 商法504条
論点18第504条商法
会社の代表取締役が不動産を買い受けた場合においてこれが右代表取締役個人のためにした売買契約であるとした事実認定に経験則違背の違法があるとされた事例
裁判要旨会社の代表取締役が他から不動産を買い受けた場合において、売主がその買主として信用のある個人を望み、各種会社、団体の役員をつとめ社会的信用のある右代表者個人をその最適任者と考え、売買契約においても右代表者個人の名義を使用したとしても、右会社が個人会社の実態を有し、その代金およびその後の維持費が会社の経理から支出され、右不動産が専ら会社の用に供せられていた等判示の事情があるときには、右売買契約を右代表者個人のためにされたものとすることは、経験則に反して許されない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和44年9月11日 昭和43(オ)280
- 登載
- 集民 第96号497頁
- 参照法条
- 商法504条,民訴法394条
論点19第504条商法
一、法人格否認の法理
二、実質が個人企業と認められる株式会社における取引の効果の帰属
裁判要旨一、社団法人において、法人格がまつたくの形骸にすぎない場合またはそれが法律の適用を回避するために濫用される場合には、その法人格を否認することができる。
二、株式会社の実質がまつたく個人企業と認められる場合には、これと取引をした相手方は、会社名義でされた取引についても、これを背後にある実体たる個人の行為と認めて、その責任を追求することができ、また、個人名義でされた取引についても、商法
五〇四条〈商行為の代理〉によらないで、直ちにこれを会社の行為と認めることができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和44年2月27日 昭和43(オ)877
- 登載
- 民集 第23巻2号511頁
- 参照法条
- 民法33条,商法52条,商法504条
論点20第504条商法
一、商法第五〇四条〈商行為の代理〉本文の法意
二、商法第五〇四条但書にいう「履行ノ請求」に伴う法律関係
裁判要旨一、商法
第五〇四条〈商行為の代理〉本文は、本人のための商行為の代理については、代理人が本人のためにすることを示さなくても、その行為は本人に対して効力を生ずるものとして、いわゆる顕名主義に対する例外を認めたものである。
二、相手方において、代理人が本人のためにすることを知らなかつたときは、商法
第五〇四条但書によつて、相手方と代理人との間にも本人相手方間におけると同一の法律関係が生じ、相手方が、その選択に従い、本人との法律関係を否定し、代理人との法律関係を主張したときは、本人は、もはや相手方に対し、右本人粗手方間の法律関係を主張することができない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和43年4月24日 昭和41(オ)10
- 登載
- 民集 第22巻4号1043頁
- 参照法条
- 商法504条,民法99条1項,民法100条
論点21第504条商法
民法第一〇〇条但書、商法第五〇四条〈商行為の代理〉の主張責任。
裁判要旨民法第一〇〇条但書、商法
第五〇四条〈商行為の代理〉の適用を主張する当事者は、その要件事実につき主張責任がある。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和40年3月5日 昭和39(オ)274
- 登載
- 集民 第78号45頁
- 参照法条
- 民訴法186条,民法100条但書,商法504条
論点22第509条商法
営業所の借地権の放棄契約と商法第五〇九条の適用の有無
裁判要旨商人の借地権の放棄に関する契約は、たとえ右借地権がその営業所の敷地に関する場合であつても、商法
第五〇九条〈契約の申込みを受けた者の諾否通知義務〉にいわゆる「其営業ノ部類ニ属スル契約」とはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和28年10月9日 昭和27(オ)604
- 登載
- 民集 第7巻10号1072頁
- 参照法条
- 商法509条
論点23第511条商法
一、連帯債務の成立について理由不備の違法があるとされた事例
二、連帯債務者の一人が消滅時効完成後債務を承認した場合において、同人が全債務について消滅時効を援用しえないとした判断に理由不備があるとされた事例
裁判要旨一、共同買受人であるとの理由のみから直ちに買受代金債務を買受人全員の連帯債務であるとすることはできない。
二、連帯債務者の一人が消滅時効完成後債務を承認した場合において、連帯債務者間の各負担部分を確定することなく、直ちに、同人が全債務について消滅時効を援用しえないとすることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和44年11月13日 昭和42(オ)1053
- 登載
- 集民 第97号249頁
- 参照法条
- 民法432条,民法428条,民法439条,民法440条,商法511条
論点24第511条商法
売主が商人である事実のみの確定と買主側に対する商法第五一一条第一項の適用の有無
裁判要旨売主が商人であるとしても、単にそれだけで取引の相手方のためにも商行為が成立し、商法
第五一一条第一項〈多数当事者間の債務の連帯〉が買主側に適用されるとはかぎらない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和37年5月18日 昭和33(オ)743
- 登載
- 集民 第60号679頁
- 参照法条
- 商法511条1項
論点25第511条商法
一 構成員に会社を含む共同企業体の債務と各構成員の連帯債務関係
二 和議開始の申立てをした連帯債務者の一人に対し他の連帯債務者が右申立てを知って和議開始決定前の弁済により取得した求償権をもって相殺することの可否
三 和議認可決定を受けた連帯債務者の一人に対し他の連帯債務者が和議開始決定後の弁済により取得した求償権をもってする相殺の要件及び限度
裁判要旨一 構成員に会社を含む共同企業体の各構成員は、共同企業体がその事業のために第三者に対して負担した債務につき連帯債務を負う。
二 連帯債務関係が発生した後に連帯債務者の一人が和議開始の申立てをした場合において、右申立てを知って和議開始決定前の弁済により求償権を取得した他の連帯債務者は、右求償権をもって和議債務者の債権と相殺することができる。
三 連帯債務者の一人について和議認可決定が確定した場合において、和議開始決定後の弁済により求償権を取得した他の連帯債務者は、債権者が全額の弁済を受けたときに限り、右弁済によって取得する債権者の和議債権(和議条件により変更されたもの)の限度で右求償権をもって和議債務者の債権と相殺することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成10年4月14日 平成6(オ)2137
- 登載
- 民集 第52巻3号813頁
- 参照法条
- 民法442条,民法501条,民法675条,商法511条1項,和議法5条,和議法45条,和議法57条,破産法24条,破産法26条,破産法104条,破産法326条
論点26第512条商法
売主又は買主の一方からのみ仲介の委託を受けた宅地建物取引業者の委託を受けない当事者に対する報酬請求権
裁判要旨売主又は買主の一方からのみ仲介の委託を受けた宅地建物取引業者の仲介行為によつて契約が成立した場合において、当該業者が委託を受けない当事者に対し商法五一二条に基づく報酬請求権を取得するためには、客観的にみて右当事者のためにする意思をもつて仲介行為をしたものと認められることを要し、単に委託者のためにする仲介行為の反射的利益が委託をしない当事者に及ぶだけでは足りない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和50年12月26日 昭和46(オ)22
- 登載
- 民集 第29巻11号1890頁
- 参照法条
- 商法512条,宅地建物取引業法46条
論点27第512条商法
不動産買受仲介の依頼が解除されていない場合に宅地建物取引業者の報酬請求権が否定された事例
裁判要旨宅地建物取引業者甲が乙から土地買受の仲介依頼を受けて仲介に努めたが、土地所有者丙に売却の意思がないため売買契約が成立しなかつたところ、のちに丙の依頼した者の仲介で丙乙間に売買契約が成立した場合は、甲の仲介行為と右売買契約との間に因果関係がなく、乙において故意に右業者の仲介を排除したものでもなく、甲は、乙に対し報酬請求権を有しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和48年1月25日 昭和47(オ)302
- 登載
- 集民 第108号33頁
- 参照法条
- 商法512条,商法550条1項,宅地建物取引業法46条
論点28第512条商法
宅地建物取引業者の報酬請求権の成否
裁判要旨宅地建物取引業者は、売主からの委託を受けず、かつ、売主のためにする意思を有しないでした売買の媒介については、売主に対し報酬請求権を有しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和44年6月26日 昭和43(オ)17
- 登載
- 民集 第23巻7号1264頁
- 参照法条
- 商法512条,商法550条2項
論点29第512条商法
一、不動産売買の黙示の媒介契約がされたとして報酬請求権が認められた事例
二、不動産売買の媒介を依頼された者が数人あるときの報酬額の配分基準
裁判要旨一宅地建物取引業を営む商人が不動産の売買契約を成立させるため、買主を現場に案内し、契約の締結に立ち会い、売買代金額について売主、買主の両者の言い分を調整して、両者をして買主の希望価額以下に合意させ、目的物の受渡、代金の授受に関与した等判示事実関係のもとにおいては、買主との間に明示の売買の媒介契約がされなかつたとしても、黙示の媒介契約がされたものと解することができ、右商人は、商法
第五一二条〈報酬請求権〉により、買主に対し、右不動産売買の媒介の報酬を請求することができる。
二、買主から不動産売買の媒介の依頼を受けた仲介人が数人あるときは、各仲介人は、特段の事情のないかぎり、売買の媒介に尽力した度合に応じて、報酬額を按分して、買主に対し請求することができると解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和43年4月2日 昭和41(オ)1007
- 登載
- 民集 第22巻4号803頁
- 参照法条
- 商法512条,商法550条,民法648条,宅地建物取引業法(昭和39年法律第166号による改正前のもの)17条
論点30第512条商法
買主側の不動産取引業者が売主に対して仲介の報酬を請求できないとされた事例
裁判要旨買主側の不動産取引業者の行為が不動産の売買契約成立の機縁をもたらしたものとしても、判示事実関係のもとにおいては、売主からとくに依頼を受けるとかまたはこれと同視すべき事情のない以上、右取引業者は、売主に対して仲介の報酬を請求することはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和41年4月26日 昭和38(オ)1161
- 登載
- 集民 第83号375頁
- 参照法条
- 商法512条,商法550条2項,宅地建物取引業法17条
論点31第512条商法
不動産売買仲介の依頼が解除された場合における不動産取引仲介業者の報酬請求権。
裁判要旨判示事情のもとでは、不動産売買の仲介の依頼が解除された場合でも、不動産取引仲介業者は報酬請求権を有しない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和40年4月20日 昭和38(オ)1075
- 登載
- 集民 第78号665頁
- 参照法条
- 商法512条,商法550条1項,宅地建物取引業法17条
論点32第512条商法
不動産売買仲介の依頼が合意解除された場合における不動産取引仲介業者の報酬請求権。
裁判要旨不動産取引仲介業者に対する不動産売買仲介の依頼が合意解除された後、当事者間の直接取引により右不動産を目的とする売買契約が成立した場合においても、右業者の仲介と当該売買契約成立との間に因果関係がなく、右解除も故意に右業者を除外する目的でなされたものでなく、かつ、右依頼に関して報酬金の特約もなかつたときに、右業者が報酬金を請求できるという一般取引観念が存するものとは認められない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和39年7月16日 昭和36(オ)1232
- 登載
- 民集 第18巻6号1160頁
- 参照法条
- 商法512条,商法550条1項,商法546条,宅地建物取引業法17条,民法648条3項,民法641条
論点33第514条商法
一 交通事故の被害者が自動車損害賠償保障法一六条一項の規定に基づき保険会社に対して提起した損害金支払請求訴訟について支出した弁護士費用が交通事故と相当因果関係のある損害と認められた事例
二 保険会社が自動車損害賠償保障法一六条一項の規定に基づいて被害者に対して負担する損害賠償債務と商法五一四条
裁判要旨一 被保険者の運行供用者責任の成否について保険会社が争つたため、交通事故の被害者が自動車損害賠償保障法一六条一項の規定に基づき保険会社に対し損害金支払請求の訴えを提起することを余儀なくされ、訴訟追行を弁護士に委任した場合には、その弁護士費用は、事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる限度で、交通事故と相当因果関係がある損害というべきである。
二 保険会社が自動車損害賠償保障法一六条一項の規定に基づいて被害者に対して負担する債務は、商法
五一四条〈削除〉所定の「商行為ニ因リテ生シタル債務」にはあたらない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和57年1月19日 昭和54(オ)34
- 登載
- 民集 第36巻1号1頁
- 参照法条
- 自動車損害賠償保障法16条1項,商法514条
論点34第514条商法
国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約(昭和二八年条約第一七号。同四二年条約第一一号による改正前のもの)二二条二項〈支配人の登記〉所定の運送人の責任限定と遅延損害金
裁判要旨運送人が国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約(昭和二八年条約第一七号。同四二年条約第一一号による改正前のもの)
二二条二項〈支配人の登記〉所定の限定責任の範囲で損害賠償義務を負う場合、これに対する遅延損害金については右規定による限定を受けない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和52年6月28日 昭和51(オ)112
- 登載
- 民集 第31巻4号511頁
- 参照法条
- 国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約(昭和28年条約第17号。同42年条約11号による改正前のもの)22条2項,国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約(昭和28年条約第17号。同42年条約11号による改正前のもの)24条1項,商法514条,民法419条
論点35第514条商法
商行為たる契約に基づく債務の不履行を原因とする損害賠償債務と商事債務
裁判要旨契約上の債務の不履行を原因とする損害賠償債務は、当該契約が商行為たる性格を有するのであれば、商法
五一四条〈削除〉にいう「商行為二因リテ生ジタル債務」にあたる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和47年5月25日 昭和46(オ)792
- 登載
- 集民 第106号153頁
- 参照法条
- 商法514条
論点36第514条商法
否認権の行使による返還金に付すべき利息の利率。
裁判要旨破産会社の銀行に対する債権譲渡行為が否認された結果、右銀行が該債権の取立によつて得た金員相当額を返還する場合において、これに付すべき利息は、年六分の商事法定利率によるのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和40年4月22日 昭和36(オ)1095
- 登載
- 民集 第19巻3号689頁
- 参照法条
- 破産法72条,破産法77条,商法514条
論点37第514条商法
商人間の不法行為に基づく損害賠償債権の遅延損害金の法定利率。
裁判要旨商人間の不法行為に基づく損害賠償債権の遅延損害金の法定利率は、年五分の割合であつて、商法
第五一四条〈削除〉を類推適用すべきではない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和38年12月19日 昭和37(オ)708
- 登載
- 集民 第70号389頁
- 参照法条
- 民法404条,民法709条,商法514条
論点38第514条商法
一 商法第五一四条〈削除〉にいう「商行為ニ因リテ生シタル債務」の意義
二 商行為たる売買契約の合意解除に基く前渡代金返還債務と商法第五一四条の適用の有無
裁判要旨一 商法
第五一四条〈削除〉にいう「商行為ニ因リテ生シタル債務」とは、単に債務者にとり商行為たる行為によつて生じた債務に限らず、債権者にとり商行為たる行為によつて生じた債権をも含むものと解するのが相当である。
二 商行為たる売買契約の合意解除に基く前渡代金返還債務にも、商法
第五一四条の適用があるものと解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和30年9月8日 昭和29(オ)112
- 登載
- 民集 第9巻10号1222頁
- 参照法条
- 商法514条
論点39第514条商法
一 請負人の報酬債権と注文者の瑕疵修補に代わる損害賠償債権との相殺がされた後の報酬残債務について注文者が履行遅滞による責任を負う時期
二 仮執行宣言に基づく給付金に商事法定利率による金員を付加してその支払を求める民訴法一九八条二項の申立てが認容された事例
裁判要旨一 請負人の報酬債権に対し注文者がこれと同時履行の関係にある瑕疵修補に代わる損害賠償債権を自働債権とする相殺の意思表示をした場合、注文者は、相殺後の報酬残債務について、相殺の意思表示をした日の翌日から履行遅滞による責任を負う。
二 (省略)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成9年7月15日 平成5(オ)2187
- 登載
- 民集 第51巻6号2581頁
- 参照法条
- 民法412条,民法506条2項,民法533条,民法634条2項,民訴法198条2項,商法514条
論点40第514条商法
1 商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)266条1項5号に基づき取締役が会社に対して支払う損害賠償金に付すべき遅延損害金の利率
2 商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)266条1項5号に基づく取締役の会社に対する損害賠償債務が履行遅滞となる時期
裁判要旨1 商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)266条1項5号に基づき取締役が会社に対して支払う損害賠償金に付すべき遅延損害金の利率は,民法所定の年5分である。
2 商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)266条1項5号に基づく取締役の会社に対する損害賠償債務は,履行の請求を受けた時に遅滞に陥る。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成26年1月30日 平成24(受)1600
- 登載
- 集民 第246号69頁
- 参照法条
- (1,2につき)商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)266条1項5号,会社法423条1項(1につき)民法404条,商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)514条(2につき)民法412条
論点41第514条商法
1 損害の元本に対する遅延損害金を支払う旨の定めがない自動車保険契約の無保険車傷害条項に基づき支払われるべき保険金の額の算定方法
2 自動車保険契約の無保険車傷害条項に基づく保険金の支払債務に係る遅延損害金の利率
裁判要旨1 損害の元本に対する遅延損害金を支払う旨の定めがない自動車保険契約の無保険車傷害条項に基づき支払われるべき保険金の額は,損害の元本の額から,自動車損害賠償責任保険等からの支払額の全額を差し引くことにより算定すべきであり,上記支払額のうち損害の元本に対する遅延損害金に充当された額を控除した残額を差し引くことにより算定すべきではない。
2 自動車保険契約の無保険車傷害条項に基づく保険金の支払債務に係る遅延損害金の利率は,商事法定利率である年6分と解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成24年4月27日 平成21(受)1923
- 登載
- 集民 第240号223頁
- 参照法条
- (1,2につき)民法91条 (1につき)保険法第2章 損害保険 (2につき)商法514条
論点42第514条商法
1 貸主と借主との間で基本契約が締結されていない場合に第1の貸付けに係る債務の各弁済金のうち利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金が発生しその後第2の貸付けに係る債務が発生したときにおける第1の貸付けに係る過払金の同債務への充当の可否
2 商行為である貸付けに係る債務の弁済金のうち利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当することにより発生する過払金を不当利得として返還する場合において悪意の受益者が付すべき民法704条前段所定の利息の利率
裁判要旨1 貸主と借主との間で継続的に貸付けが繰り返されることを予定した基本契約が締結されていない場合において,第1の貸付けに係る債務の各弁済金のうち利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金が発生し,その後,第2の貸付けに係る債務が発生したときには,特段の事情のない限り,第1の貸付けに係る過払金は,第1の貸付けに係る債務の各弁済が第2の貸付けの前にされたものであるか否かにかかわらず,第2の貸付けに係る債務には充当されない。
2 商行為である貸付けに係る債務の弁済金のうち利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当することにより発生する過払金を不当利得として返還する場合において,悪意の受益者が付すべき民法704条前段所定の利息の利率は,民法所定の年5分である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成19年2月13日 平成18(受)1187
- 登載
- 民集 第61巻1号182頁
- 参照法条
- (1,2につき)利息制限法1条1項 (1につき)民法488条 (2につき)民法404条,民法704条,商法514条
論点43第516条商法
為替手形の支払呈示期間経過後に支払場所にした呈示の効力
裁判要旨為替手形の支払呈示期間経過後における支払のための呈示は、支払地内にある手形の主たる債務者の営業所または住所においてすることを要し、支払場所に呈示しても、手形債務者を遅滞に付する効力を有しない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和42年11月8日 昭和38(オ)1240
- 登載
- 民集 第21巻9号2300頁
- 参照法条
- 手形法1条,手形法4条,手形法38条,商法516条2項,商法517条
論点44第521条商法
不動産は,商法521条〈商人間の留置権〉が商人間の留置権の目的物として定める「物」に当たるか
裁判要旨不動産は,商法
521条〈商人間の留置権〉が商人間の留置権の目的物として定める「物」に当たる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成29年12月14日 平成29(受)675
- 登載
- 民集 第71巻10号2184頁
- 参照法条
- 商法521条,民法295条1項
論点45第521条商法
会社から取立委任を受けた約束手形につき商事留置権を有する銀行が,同会社の再生手続開始後の取立てに係る取立金を銀行取引約定に基づき同会社の債務の弁済に充当することの可否
裁判要旨会社から取立委任を受けた約束手形につき商事留置権を有する銀行は,同会社の再生手続開始後の取立てに係る取立金を,法定の手続によらず同会社の債務の弁済に充当し得る旨を定める銀行取引約定に基づき,同会社の債務の弁済に充当することができる。
(補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成23年12月15日 平成22(受)16
- 登載
- 民集 第65巻9号3511頁
- 参照法条
- 民事再生法53条1項,民事再生法53条2項,民事再生法85条1項,商法521条,手形法18条,手形法77条1項1号,民法91条
論点46第521条商法
一 手形につき商事留置権を有する者が債務者に対する破産宣告の後に破産管財人からの手形の返還請求を拒むことの可否
二 手形につき商事留置権を有する銀行が債務者に対する破産宣告の後に右手形を手形交換制度によって取り立てて被担保債権の弁済に充当する行為が破産管財人に対する不法行為とならないとされた事例
裁判要旨一 手形につき商事留置権を有する者は、債務者が破産宣告を受けた後においても、右手形を留置する権能を有し、破産管財人からの手形の返還請求を拒むことができる。
二 手形につき商事留置権を有する甲銀行が債務者乙に対する破産宣告の後に右手形を手形交換制度によって取り立てて被担保債権の弁済に充当する行為は、乙が債務を履行しないときは甲が占有している乙の手形等を取り立て又は処分して債権の弁済に充当できる旨の銀行取引約定書
四条四項〈定義〉による合意が甲乙間に存在し、被担保債権の履行期が既に到来し、債権額も手形金額を超えており、右手形について甲に優先する他の特別の先取特権者が存在することをうかがわせる事情もないなど判示の事実関係の下においては、乙の破産管財人に対する不法行為となるものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成10年7月14日 平成7(オ)264
- 登載
- 民集 第52巻5号1261頁
- 参照法条
- 破産法93条,破産法95条,破産法204条,商法521条,民事執行法136条,民事執行法192条,民法91条,民法709条