商法 / テーマ別まとめ

商行為/売買

売買の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

商人間の売買において、目的物の受渡しがうまくいかない場面での売主・買主それぞれの対応と期限を定めた規定です。買主が受け取らない場合の売主による供託・競売、履行時期が契約の要となる定期売買の解除の扱い、受領後の検査・通知義務、契約を解除した場合の目的物の保管義務までをカバーします。

売買
場面当事者対応内容期限
買主が受領を拒否・不能売主供託または競売に付す相当期間の催告後
価格低落のおそれがある物売主催告なしで競売可催告不要
定期売買で履行遅滞相手方解除したとみなす時期経過時
目的物受領時買主遅滞なく検査遅滞なく
不適合を発見買主直ちに通知、6箇月以内も可直ちに/6箇月以内
契約解除後の目的物買主売主費用で保管・供託—
滅失・損傷のおそれ買主裁判所許可で競売、代価保管—
誤納品・数量超過分買主527条の保管義務を準用—
  • 524条3項:競売の代価は供託しなければならないが、代金への充当は妨げられない
  • 525条:相手方が直ちに履行を請求した場合は、解除したものとはみなされない
  • 526条3項:目的物の不適合につき売主が悪意だった場合、買主の通知義務(526条2項)は適用されない
  • 527条4項:売主・買主の営業所(営業所がない場合は住所)が同一市町村内にある場合、527条は適用されない
  • 527条1項ただし書:滅失・損傷のおそれがある物は、裁判所の許可を得て競売し代価を保管・供託できる
  • 528条:注文と異なる物品、および注文数量を超過した部分の物品にも527条が準用される
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売買

売買について、条文は何を定めているか。

第524条売主による目的物の供託及び競売受取拒否・不能時、売主は供託か競売可3項判例 2件
  • 買主が受領を拒まない・できないときは供託、または催告後に競売できる
  • 価格低落のおそれがある物は催告せずに競売できる
  • 競売したら代価を供託し、供託・競売は遅滞なく買主に通知する
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第525条定期売買の履行遅滞による解除定期売買の履行遅滞は解除とみなす1項判例 1件
  • 特定の日時・期間内の履行が契約目的に必須な売買が対象
  • 履行時期を過ぎたら、直ちに履行請求しない限り契約解除とみなされる
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第526条買主による目的物の検査及び通知買主は受領後すぐ検査・不適合を通知3項判例 4件
  • 目的物を受領したら遅滞なく検査する
  • 不適合を発見したら直ちに通知しないと追完・減額・賠償・解除を請求できない
  • 種類・品質の不適合は6箇月以内に発見すれば、その時点の通知でよい
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第527条買主による目的物の保管及び供託解除しても買主に保管・供託の義務4項判例なし
  • 契約を解除しても、買主は売主の費用で目的物を保管・供託する
  • 滅失・損傷のおそれがあれば裁判所の許可で競売し、代価を保管・供託する
  • 競売したら遅滞なく売主に通知する
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第528条誤納品・数量超過分にも保管義務を準用1項判例なし
  • 注文と異なる物品や、注文数量を超えた部分の物品にも527条〈買主による目的物の保管及び供託〉の保管義務が及ぶ
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第524条商法

製造物供給契約の目的物が商法五二四条の供託又は自動売却に適しないとして注文者の受領拒否を理由とする受注者からの契約解除及び損害賠償請求が認められた事例

裁判要旨化粧品の製造販売を業とする被上告人はかねて化粧品の販売を業とする上告人より注文を受け同人の指示にしたがつて化粧品を製造して供給し、右化粧品は上告人の販売網を通じて他に売却されていたところ、昭和四一年二月二四日及び同年四月四日被上告人は上告人よりマニキュア、除光液及びアイライン等計四六〇〇ダースの注文を受け製造にとりかかつたところ、上告人は同年四月、正当の理由がないのに右化粧品の納入中止を申し入れ、その受領を拒否したのであり、右目的物は注文により製造され、注文者の販売網によつて売却される大量の化粧品であるから商法五二四条の供託又は自動売却に適さないものというべく、かかる場合被上告人は上告人の目的物の受領拒否を理由に右契約を解除し、損害賠償を請求することができる、と解するを相当とする。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和50年9月26日 昭和49(オ)721
登載
集民 第116号87頁
参照法条
商法524条,民法541条
論点2第524条商法

一、東京証券取引所受託契約準則一三条の九による会員の反対売買権の性質
二、会員の反対売買権行使の時期と証券の市場価格の変動による顧客の損失

裁判要旨一、東京証券取引所受託契約準則一三条の九は、顧客が所定の時限までに買付代金を会員に交付しないときには、会員は、任意に、当該売買取引を決済するために、顧客の計算において買付証券を売却して買付代金に充当する権限があることを定めたものであり、会員は、このような場合、直ちに買付証券を売却すべき義務を負うものではない。
二、会員の反対売買権行使の時期が特に信義則上顧客にとり不当と認められる特段の事情がないかぎり、会員は、証券の市場価格の変動による顧客の損失について、なんらの責任を負わない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和49年4月25日 昭和48(オ)447
登載
集民 第111号599頁
参照法条
商法556条,商法524条
論点3第525条商法

確定期売買と認められた事例

裁判要旨商人間の土地の売買において、当事者の意思表示により、一定の日時または一定の期間内に履行をなさなければ、契約をした目的を達することができないときは、その売買は確定期売買と解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和44年8月29日 昭和44(オ)330
登載
集民 第96号443頁
参照法条
商法525条
論点4第526条商法

商人間の不特定物を目的とする売買における不完全履行と代物請求権

裁判要旨商人間の不特定物を目的とする売買において、瑕疵のある物が給付された場合においても、商法五二六条一項〈買主による目的物の検査及び通知〉の適用の結果、買主において契約を解除しえず、また損害の賠償をも請求しえなくなつたのちにおいては、買主は売主に対し、もはや完全な給付を請求することはできないものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和47年1月25日 昭和46(オ)533
登載
集民 第105号19頁
参照法条
民法415条,民法570条,商法526条
論点5第526条商法

商法五二六条〈買主による目的物の検査及び通知〉の適用範囲

裁判要旨商法五二六条〈買主による目的物の検査及び通知〉は売主および買主の双方が商人である場合にかぎり適用される。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和45年2月26日 昭和44(オ)1198
登載
集民 第98号291頁
参照法条
商法526条
論点6第526条商法

不特定物の売買と商法第五二六条の適用の有無。

裁判要旨不特定物の売買にも商法第五二六条の適用がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和35年12月2日 昭和33(オ)409
登載
民集 第14巻13号2893頁
参照法条
商法526条
論点7第526条商法

商事売買における目的物の瑕疵と代金減額請求権の有無

裁判要旨商事売買においても、目的物に瑕疵あることを理由として代金減額の請求をすることはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和29年1月22日 昭和26(オ)566
登載
民集 第8巻1号198頁
参照法条
商法526条,民法570条,民法566条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

商法 第524条(売主による目的物の供託及び競売) 詳細ページ
(売主による目的物の供託及び競売)
第五百二十四条商人間の売買において、買主がその目的物の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、売主は、その物を供託し、又は相当の期間を定めて催告をした後に競売に付することができる。この場合において、売主がその物を供託し、又は競売に付したときは、遅滞なく、買主に対してその旨の通知を発しなければならない。
2損傷その他の事由による価格の低落のおそれがある物は、前項の催告をしないで競売に付することができる。
3前二項の規定により売買の目的物を競売に付したときは、売主は、その代価を供託しなければならない。ただし、その代価の全部又は一部を代金に充当することを妨げない。
商法 第525条(定期売買の履行遅滞による解除) 詳細ページ
(定期売買の履行遅滞による解除)
第五百二十五条商人間の売買において、売買の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、当事者の一方が履行をしないでその時期を経過したときは、相手方は、直ちにその履行の請求をした場合を除き、契約の解除をしたものとみなす。
商法 第526条(買主による目的物の検査及び通知) 詳細ページ
(買主による目的物の検査及び通知)
第五百二十六条商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。
2前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その不適合を理由とする履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。売買の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないことを直ちに発見することができない場合において、買主が六箇月以内にその不適合を発見したときも、同様とする。
3前項の規定は、売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことにつき売主が悪意であった場合には、適用しない。
商法 第527条(買主による目的物の保管及び供託) 詳細ページ
(買主による目的物の保管及び供託)
第五百二十七条前条第一項に規定する場合においては、買主は、契約の解除をしたときであっても、売主の費用をもって売買の目的物を保管し、又は供託しなければならない。ただし、その物について滅失又は損傷のおそれがあるときは、裁判所の許可を得てその物を競売に付し、かつ、その代価を保管し、又は供託しなければならない。
2前項ただし書の許可に係る事件は、同項の売買の目的物の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
3第一項の規定により買主が売買の目的物を競売に付したときは、遅滞なく、売主に対してその旨の通知を発しなければならない。
4前三項の規定は、売主及び買主の営業所(営業所がない場合にあっては、その住所)が同一の市町村の区域内にある場合には、適用しない。
商法 第528条 詳細ページ
第五百二十八条前条の規定は、売主から買主に引き渡した物品が注文した物品と異なる場合における当該売主から買主に引き渡した物品及び売主から買主に引き渡した物品の数量が注文した数量を超過した場合における当該超過した部分の数量の物品について準用する。
出

一次情報

原文ママ

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