商法 / テーマ別まとめ

商行為/仲立営業

仲立営業の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

商法の仲立営業に関する規定は、他人間の商行為の媒介を業とする仲立人について、給付の受領・見本の保管・結約書の作成交付・帳簿記載といった手続上の義務を定めています。あわせて、当事者の氏名等を相手方に示さなかった場合の責任や、報酬を請求できる時期・負担割合も規定しています。

仲立営業
場面仲立人の義務・権利根拠条文
給付の受領原則不可、別段の合意なら可544条
見本の保管行為完了まで保管545条
結約書の作成遅滞なく作成し署名等546条1項
結約書の署名・交付各当事者に署名させ交付546条2項
結約書不受領時遅滞なく相手方へ通知546条3項
帳簿への記載結約書と同じ事項を記帳547条1項
謄本の交付請求当事者はいつでも請求可547条2項
氏名等の不記載結約書・謄本に記載不可548条
氏名不表示の効果相手方へ自ら履行する責任549条
報酬請求の時期546条手続終了後のみ550条1項
報酬の負担割合双方が等しい割合で負担550条2項
  • 544条:当事者の別段の意思表示又は別段の慣習があるときは給付を受領できる
  • 546条2項:当事者が直ちに履行をすべきときは署名・交付の手続を要しない
  • 548条は、当事者が氏名等を示さないよう仲立人に命じた場合に適用される
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仲立営業

仲立営業について、条文は何を定めているか。

第543条定義仲立人とは何かを定義する1項判例 1件
  • 他人間の商行為の媒介をすることを業とする者を仲立人という
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第544条当事者のために給付を受けることの制限媒介した取引の代金等は原則受け取れない1項判例なし
  • 当事者のために支払その他の給付を受けることができないのが原則
  • 当事者の別段の意思表示又は別段の慣習があれば受領できる
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第545条見本保管義務受け取った見本は行為完了まで保管する1項判例なし
  • 媒介に係る行為について見本を受け取ったら保管義務が生じる
  • 保管はその行為が完了するまで続ける
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第546条結約書の交付義務等結約書を作成し当事者へ交付する3項・2号判例 1件
  • 行為成立後、遅滞なく結約書を作成し署名又は記名押印する
  • 直ちに履行すべき場合を除き署名等させた結約書を相手方へ交付
  • 受領や署名等を拒む当事者があれば相手方へ遅滞なく通知
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第547条帳簿記載義務等結約書の記載事項を帳簿につける2項判例なし
  • 結約書に記載する氏名・名称、年月日、要領を帳簿にも記載する
  • 当事者はいつでも帳簿の謄本交付を請求できる
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第548条当事者の氏名等を相手方に示さない場合氏名を示すなと命じられたら書面に書けない1項判例なし
  • 当事者が氏名又は名称を相手方に示すなと命じた場合が対象
  • 結約書及び帳簿謄本にその氏名又は名称を記載できない
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第549条氏名を示さなかった仲立人は自ら履行する責任1項判例なし
  • 当事者の一方の氏名又は名称を相手方に示さなかった場合
  • 仲立人自身がその相手方に対し履行する責任を負う
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第550条仲立人の報酬報酬は結約書の手続後に双方均等負担で請求2項判例 7件
  • 546条〈結約書の交付義務等〉の手続を終了した後でなければ報酬を請求できない
  • 報酬は当事者双方が等しい割合で負担する
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第543条商法

宅地建物取引業者は依頼者の代理人となれるか

裁判要旨宅地建物取引業者は依頼者の代理人となれる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和42年10月5日 昭和42(オ)266
登載
集民 第88号639頁
参照法条
商法543条,宅地建物取引業法13条
論点2第546条商法

不動産売買仲介の依頼が合意解除された場合における不動産取引仲介業者の報酬請求権。

裁判要旨不動産取引仲介業者に対する不動産売買仲介の依頼が合意解除された後、当事者間の直接取引により右不動産を目的とする売買契約が成立した場合においても、右業者の仲介と当該売買契約成立との間に因果関係がなく、右解除も故意に右業者を除外する目的でなされたものでなく、かつ、右依頼に関して報酬金の特約もなかつたときに、右業者が報酬金を請求できるという一般取引観念が存するものとは認められない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和39年7月16日 昭和36(オ)1232
登載
民集 第18巻6号1160頁
参照法条
商法512条,商法550条1項,商法546条,宅地建物取引業法17条,民法648条3項,民法641条
論点3第550条商法

不動産買受仲介の依頼が解除されていない場合に宅地建物取引業者の報酬請求権が否定された事例

裁判要旨宅地建物取引業者甲が乙から土地買受の仲介依頼を受けて仲介に努めたが、土地所有者丙に売却の意思がないため売買契約が成立しなかつたところ、のちに丙の依頼した者の仲介で丙乙間に売買契約が成立した場合は、甲の仲介行為と右売買契約との間に因果関係がなく、乙において故意に右業者の仲介を排除したものでもなく、甲は、乙に対し報酬請求権を有しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和48年1月25日 昭和47(オ)302
登載
集民 第108号33頁
参照法条
商法512条,商法550条1項,宅地建物取引業法46条
論点4第550条商法

宅地建物取引業者の報酬請求権の成否

裁判要旨宅地建物取引業者は、売主からの委託を受けず、かつ、売主のためにする意思を有しないでした売買の媒介については、売主に対し報酬請求権を有しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和44年6月26日 昭和43(オ)17
登載
民集 第23巻7号1264頁
参照法条
商法512条,商法550条2項
論点5第550条商法

一、不動産売買の黙示の媒介契約がされたとして報酬請求権が認められた事例
二、不動産売買の媒介を依頼された者が数人あるときの報酬額の配分基準

裁判要旨一宅地建物取引業を営む商人が不動産の売買契約を成立させるため、買主を現場に案内し、契約の締結に立ち会い、売買代金額について売主、買主の両者の言い分を調整して、両者をして買主の希望価額以下に合意させ、目的物の受渡、代金の授受に関与した等判示事実関係のもとにおいては、買主との間に明示の売買の媒介契約がされなかつたとしても、黙示の媒介契約がされたものと解することができ、右商人は、商法第五一二条〈報酬請求権〉により、買主に対し、右不動産売買の媒介の報酬を請求することができる。
二、買主から不動産売買の媒介の依頼を受けた仲介人が数人あるときは、各仲介人は、特段の事情のないかぎり、売買の媒介に尽力した度合に応じて、報酬額を按分して、買主に対し請求することができると解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和43年4月2日 昭和41(オ)1007
登載
民集 第22巻4号803頁
参照法条
商法512条,商法550条,民法648条,宅地建物取引業法(昭和39年法律第166号による改正前のもの)17条
論点6第550条商法

宅地建物取引業者の報酬について法定の最高額をもつて相当額と認めた原審の判断に審理不尽・理由不備の違法があるとされた事例

裁判要旨(省略)
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和43年12月24日 昭和40(オ)173
登載
集民 第93号863頁
参照法条
宅地建物取引業法(昭和39年法律第166号による改正前のもの)17条,民法648条,商法550条
論点7第550条商法

買主側の不動産取引業者が売主に対して仲介の報酬を請求できないとされた事例

裁判要旨買主側の不動産取引業者の行為が不動産の売買契約成立の機縁をもたらしたものとしても、判示事実関係のもとにおいては、売主からとくに依頼を受けるとかまたはこれと同視すべき事情のない以上、右取引業者は、売主に対して仲介の報酬を請求することはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和41年4月26日 昭和38(オ)1161
登載
集民 第83号375頁
参照法条
商法512条,商法550条2項,宅地建物取引業法17条
論点8第550条商法

不動産売買仲介の依頼が解除された場合における不動産取引仲介業者の報酬請求権。

裁判要旨判示事情のもとでは、不動産売買の仲介の依頼が解除された場合でも、不動産取引仲介業者は報酬請求権を有しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和40年4月20日 昭和38(オ)1075
登載
集民 第78号665頁
参照法条
商法512条,商法550条1項,宅地建物取引業法17条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

商法 第543条(定義) 詳細ページ
(定義)
第五百四十三条この章において「仲立人」とは、他人間の商行為の媒介をすることを業とする者をいう。
商法 第544条(当事者のために給付を受けることの制限) 詳細ページ
(当事者のために給付を受けることの制限)
第五百四十四条仲立人は、その媒介により成立させた行為について、当事者のために支払その他の給付を受けることができない。ただし、当事者の別段の意思表示又は別段の慣習があるときは、この限りでない。
商法 第545条(見本保管義務) 詳細ページ
(見本保管義務)
第五百四十五条仲立人がその媒介に係る行為について見本を受け取ったときは、その行為が完了するまで、これを保管しなければならない。
商法 第546条(結約書の交付義務等) 詳細ページ
(結約書の交付義務等)
第五百四十六条当事者間において媒介に係る行為が成立したときは、仲立人は、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面(以下この章において「結約書」という。)を作成し、かつ、署名し、又は記名押印した後、これを各当事者に交付しなければならない。
一各当事者の氏名又は名称
二当該行為の年月日及びその要領
2前項の場合においては、当事者が直ちに履行をすべきときを除き、仲立人は、各当事者に結約書に署名させ、又は記名押印させた後、これをその相手方に交付しなければならない。
3前二項の場合において、当事者の一方が結約書を受領せず、又はこれに署名若しくは記名押印をしないときは、仲立人は、遅滞なく、相手方に対してその旨の通知を発しなければならない。
商法 第547条(帳簿記載義務等) 詳細ページ
(帳簿記載義務等)
第五百四十七条仲立人は、その帳簿に前条第一項各号に掲げる事項を記載しなければならない。
2当事者は、いつでも、仲立人がその媒介により当該当事者のために成立させた行為について、前項の帳簿の謄本の交付を請求することができる。
商法 第548条(当事者の氏名等を相手方に示さない場合) 詳細ページ
(当事者の氏名等を相手方に示さない場合)
第五百四十八条当事者がその氏名又は名称を相手方に示してはならない旨を仲立人に命じたときは、仲立人は、結約書及び前条第二項の謄本にその氏名又は名称を記載することができない。
商法 第549条 詳細ページ
第五百四十九条仲立人は、当事者の一方の氏名又は名称をその相手方に示さなかったときは、当該相手方に対して自ら履行をする責任を負う。
商法 第550条(仲立人の報酬) 詳細ページ
(仲立人の報酬)
第五百五十条仲立人は、第五百四十六条の手続を終了した後でなければ、報酬を請求することができない。
2仲立人の報酬は、当事者双方が等しい割合で負担する。
出

一次情報

原文ママ

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