再生債務者Xが,その支払の停止の前に,投資信託委託会社と信託会社との信託契約に基づき設定された投資信託の受益権をその募集販売委託を受けた再生債権者Yから購入し,上記信託契約等に基づき,上記受益権に係る信託契約の解約実行請求がされたときにはYが上記信託会社から解約金の交付を受けることを条件としてXに対してその支払債務を負担することとされている場合において,次の(1)~(3)など判示の事情の下では,Yがした債権者代位権に基づく解約実行請求により,Yが,Xの支払の停止を知った後に上記解約金の交付を受け,これにより上記支払債務を負担したことは,民事再生法
93条2項2号〈相殺の禁止 支払不能であったこと又は支払の停止若しくは再生手続開始の申立て等があったことを再生債権者が知った時より前に生じた原因〉にいう「支払の停止があったことを再生債権者が知った時より前に生じた原因」に基づく場合に当たるとはいえず,Yが有する再生債権を自働債権とし上記支払債務に係る債権を受働債権とする相殺は許されない。
(1) 上記解約実行請求は,YがXの支払の停止を知った後にされた。
(2) Xは,Yの振替口座簿に開設された口座で振替投資信託受益権として管理されていた上記受益権につき,原則として自由に他の振替先口座への振替をすることができた。
(3) Yが上記相殺をするためには,他の債権者と同様に,債権者代位権に基づき, Xに代位して上記解約実行請求を行うほかなかったことがうかがわれる。