この条文が出てくる場面
原文整理テーマ別まとめ概要
原文解釈- 吸収合併等をする場合において、各号に定める要件に該当する消滅株式会社等の債権者は、消滅株式会社等に対して吸収合併等について異議を述べることができる。
- 消滅株式会社等の債権者の全部又は一部が異議を述べることができるときは、消滅株式会社等は吸収合併等をする旨等を官報に公告し、かつ、知れている債権者には各別に催告しなければならず、異議を述べることができる期間は一箇月を下ることができない。
- 消滅株式会社等が官報のほか定款の定めに従い第九百三十九条第一項第二号又は第三号に掲げる公告方法によっても公告するときは、吸収分割における不法行為債務の債権者に対するものを除き、各別の催告を要しない。
- 債権者が定められた期間内に異議を述べなかったときは、当該吸収合併等について承認をしたものとみなされる。
- 債権者が期間内に異議を述べたときは、消滅株式会社等は当該債権者に弁済し、相当の担保を提供し、又は信託会社等に相当の財産を信託しなければならないが、当該吸収合併等をしても当該債権者を害するおそれがないときはこの限りでない。
第789条第1項各号―異議を述べることができる債権者
原文解釈横スクロールできます| 号 | 場合 | 異議を述べることができる債権者 |
|---|---|---|
| 一 | 吸収合併をする場合 | 吸収合併消滅株式会社の債権者 |
| 二 | 吸収分割をする場合 | 吸収分割後吸収分割株式会社に対して債務の履行(当該債務の保証人として吸収分割承継会社と連帯して負担する保証債務の履行を含む。)を請求することができない吸収分割株式会社の債権者(第七百五十八条第八号又は第七百六十条第七号に掲げる事項についての定めがある場合にあっては、吸収分割株式会社の債権者) |
| 三 | 株式交換契約新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権である場合 | 当該新株予約権付社債についての社債権者 |
主要な判例
原文ママ裁判所が付した参照法条による機械照合で選定会社法債権仮差押命令を取り消す決定に対する保全抗告審の債権仮差押命令一部認可決定に対する許可抗告事件
- 位置づけ
- 最高裁 / 民集登載
- 事件番号
- 平成29(許)10
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成29年12月19日 棄却
- 登載
- 民集 第71巻10号2592頁
- 参照法条
- 民法1条2項,会社法759条1項,会社法789条1項2号
- 判示事項
- 賃借人が契約当事者を実質的に変更したときは賃貸人は違約金を請求することができるなどの定めのある賃貸借契約において,当該賃借人が吸収分割の後は責任を負わないものとする吸収分割により契約当事者の地位を承継させた場合に,当該賃借人が上記吸収分割がされたことを理由に上記定めに基づく違約金債権に係る債務を負わないと主張することが信義則に反し許されないとされた事例
裁判要旨賃借人Yが契約当事者を実質的に変更したときは賃貸人Xは契約を解除し違約金を請求することができる旨の定めのある建物の賃貸借契約において,Yが吸収分割の後は責任を負わないものとする吸収分割により契約当事者の地位をAに承継させた場合に,次の(1)~(3)など判示の事情の下においては,Yが,上記賃貸借契約を解除したXに対し,上記吸収分割がされたことを理由に上記定めに基づく違約金債権に係る債務を負わないと主張することは,信義則に反して許されず,Xは,上記吸収分割の後も,Yに対して同債務の履行を請求することができる。
(1) Xは長期にわたってYに上記建物を賃貸しその賃料によって上記建物の建築費用を回収することを予定していたと解され,Xが上記定めを設けたのは賃借人の変更による不利益を回避することを意図していたものといえ,YもXの上記のような意図を理解した上で上記賃貸借契約を締結したものといえる。
(2) Aは,上記吸収分割の前の資本金が100万円であって,上記吸収分割によって上記違約金債権の額を大幅に下回る額の資産しかYから承継しておらず,同債権に係る債務の支払能力を欠くことが明らかである。
(3) Xは,上記違約金債権を有しているとして,Yに対し,上記吸収分割について会社法789条1項2号の規定による異議を述べることができたとは解されない。
(1) Xは長期にわたってYに上記建物を賃貸しその賃料によって上記建物の建築費用を回収することを予定していたと解され,Xが上記定めを設けたのは賃借人の変更による不利益を回避することを意図していたものといえ,YもXの上記のような意図を理解した上で上記賃貸借契約を締結したものといえる。
(2) Aは,上記吸収分割の前の資本金が100万円であって,上記吸収分割によって上記違約金債権の額を大幅に下回る額の資産しかYから承継しておらず,同債権に係る債務の支払能力を欠くことが明らかである。
(3) Xは,上記違約金債権を有しているとして,Yに対し,上記吸収分割について会社法789条1項2号の規定による異議を述べることができたとは解されない。
実務注記
原文解釈- 吸収分割における対象債権者の範囲確認吸収分割後吸収分割株式会社に対して債務の履行(保証人として吸収分割承継会社と連帯して負担する保証債務の履行を含む。)を請求できない債権者が対象だが、第七百五十八条第八号又は第七百六十条第七号に掲げる事項についての定めがある場合は吸収分割株式会社の債権者が対象となる点を確認する。
- 催告期間の下限官報公告及び各別の催告において、債権者が異議を述べることができる期間は一箇月を下ることができない。
- 各別催告を省略できる場合とその例外官報のほか、定款の定めに従い第九百三十九条第一項第二号又は第三号に掲げる公告方法によっても公告するときは各別の催告を要しないが、吸収分割をする場合における不法行為によって生じた吸収分割株式会社の債務の債権者に対する催告は省略できない。
- 異議不述べのみなし承認債権者が第二項第四号の期間内に異議を述べなかったときは、当該吸収合併等について承認をしたものとみなされる。
- 異議を述べた債権者への措置とその適用除外異議を述べた債権者に対しては弁済、相当の担保の提供、又は信託会社等への相当の財産の信託のいずれかを行う必要があるが、当該吸収合併等をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
条文原文
原文ママ会社法 第789条(債権者の異議)
(債権者の異議)
第七百八十九条次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める債権者は、消滅株式会社等に対し、吸収合併等について異議を述べることができる。
一吸収合併をする場合吸収合併消滅株式会社の債権者
二吸収分割をする場合吸収分割後吸収分割株式会社に対して債務の履行(当該債務の保証人として吸収分割承継会社と連帯して負担する保証債務の履行を含む。)を請求することができない吸収分割株式会社の債権者(第七百五十八条第八号又は第七百六十条第七号に掲げる事項についての定めがある場合にあっては、吸収分割株式会社の債権者)
三株式交換契約新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権である場合当該新株予約権付社債についての社債権者
2前項の規定により消滅株式会社等の債権者の全部又は一部が異議を述べることができる場合には、消滅株式会社等は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者(同項の規定により異議を述べることができるものに限る。)には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第四号の期間は、一箇月を下ることができない。
一吸収合併等をする旨
二存続会社等の商号及び住所
三消滅株式会社等及び存続会社等(株式会社に限る。)の計算書類に関する事項として法務省令で定めるもの
四債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
3前項の規定にかかわらず、消滅株式会社等が同項の規定による公告を、官報のほか、第九百三十九条第一項の規定による定款の定めに従い、同項第二号又は第三号に掲げる公告方法によりするときは、前項の規定による各別の催告(吸収分割をする場合における不法行為によって生じた吸収分割株式会社の債務の債権者に対するものを除く。)は、することを要しない。
4債権者が第二項第四号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該吸収合併等について承認をしたものとみなす。
5債権者が第二項第四号の期間内に異議を述べたときは、消滅株式会社等は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該吸収合併等をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
一次情報
- 条文e-Gov法令検索 会社法 第789条
- 判例裁判所ウェブサイト 裁判例検索
- 注記法令は改正されます。実務判断の際は上記リンクで最新の条文を再確認してください。