会社法 / テーマ別まとめ

組織変更、合併、会社分割、株式交換、株式移転及び株式交付の手続/株式交付の手続

株式交付の手続の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

株式交付は、株式交付親会社が株式交付子会社を子会社化するために株式等を譲り受け、対価として自社の株式等を交付する組織再編行為です。会社法816条の2から816条の10は、計画書面の備置・閲覧、株主総会による計画承認とその省略要件、株主の差止請求・株式買取請求、債権者異議、効力発生日の変更、事後の開示に至る一連の手続を定めています。実務では、対価の内容や会社が公開会社かどうかによって必要な手続が変わる点に注意が必要です。

株式交付の手続
手続時期・要件対象者内容
事前備置閲覧備置開始日~効力発生日後6か月株主(債権者)計画内容等を本店備置
株主総会承認効力発生日の前日まで株主総会決議で計画承認
承認省略(対価が少額)対価が純資産の5分の1以下公開会社限定反対株主多数なら要承認
差止請求効力発生前株主法令定款違反時に請求
株式買取請求20日前~前日反対株主公正価格で買取請求
価格決定30日以内協議、不調なら30日以内申立株主・親会社裁判所が決定
債権者異議官報公告+催告(1か月以上)債権者対価が株式のみなら不要
効力発生日変更当初日から3か月以内親会社前日までに公告要
事後備置閲覧効力発生日から6か月間株主(債権者)譲受株式数等を備置
  • 承認省略は株式交付親会社が公開会社でない場合には適用されない(816条の4)
  • 定款で5分の1を下回る割合を定めた場合はその割合が基準になる(816条の4)
  • 種類株式発行会社では対価の種類により種類株主総会決議が必要な場合がある(816条の3第3項)
  • 事前・事後の備置閲覧や債権者異議の対象は、対価が株式に準ずるもののみの場合は株主だけになる(816条の2・816条の8・816条の10)
  • 株式交付を中止したときは株式買取請求は効力を失う(816条の6第8項)
  • 効力発生日の変更に合わせて816条の9第5項の期日も同時に変更できる(816条の9)
1

株式交付の手続

株式交付の手続について、条文は何を定めているか。

第816_2条株式交付計画に関する書面等の備置き及び閲覧等計画内容等を本店に備え置き閲覧させる3項・7号判例なし
  • 備置開始日から効力発生日後6か月経過日まで備置する
  • 対価が株式に準ずる金銭等のみなら株主だけが対象
  • 謄本・抄本の交付請求には費用支払いが必要な場合がある
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第816_3条株式交付計画の承認等株主総会の決議で計画を承認する3項・2号判例なし
  • 効力発生日の前日までに株主総会決議が必要
  • 対価の帳簿価額が一定額を超えるときは取締役が説明
  • 対価が株式のときは種類株主総会決議が必要な場合がある
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第816_4条株式交付計画の承認を要しない場合等対価が少額なら株主総会承認を省略できる2項・2号判例なし
  • 対価合計額が純資産額の5分の1以下なら承認不要
  • 定款で5分の1を下回る割合を定めればその割合が基準
  • 一定数の株主が2週間以内に反対通知なら承認が必要に
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第816_5条株式交付をやめることの請求違法な株式交付の差止めを請求できる1項判例なし
  • 法令・定款違反かつ株主に不利益のおそれがあるとき可能
  • 承認を省略できる場合は原則として請求できない
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第816_6条反対株主の株式買取請求反対株主が株式の買取りを請求できる9項・4号判例なし
  • 効力発生日の20日前までに株式交付の実施等を通知
  • 公開会社等は通知に代えて公告できる
  • 買取請求は20日前の日から前日までに数を明示して行う
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第816_7条株式の価格の決定等買取価格は協議、不調なら裁判所が決定7項判例なし
  • 協議成立時は効力発生日から60日以内に支払う
  • 30日以内に協議不調なら30日以内に裁判所へ申立て可能
  • 60日以内に申立てがなければ買取請求を撤回できる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第816_8条債権者の異議債権者が異議を述べられる場合がある5項・4号判例なし
  • 対価が株式に準ずるもののみの場合は異議手続不要
  • 官報公告と個別催告(1か月以上)が必要
  • 期間内に異議を述べないと承認したものとみなす
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第816_9条株式交付の効力発生日の変更効力発生日はあとから変更できる6項判例なし
  • 変更後の日は当初の効力発生日から3か月以内
  • 変更前日までに変更後の効力発生日を公告する
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第816_10条株式交付に関する書面等の備置き及び閲覧等効力発生後に譲受株式数等を備置・開示する3項・4号判例なし
  • 効力発生日後遅滞なく書面等を作成する
  • 効力発生日から6か月間、本店に備え置く
  • 株主(債権者)は閲覧・謄本交付等を請求できる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ

関連する会計・監査の基準

原文整理本文は各団体のサイトで確認してください

これらの基準は著作権者が転載に許諾を求めているため、当サイトは基準名・番号・公表日とリンクのみを掲載しています(原文・要約は置いていません)。

原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

会社法 第816_2条(株式交付計画に関する書面等の備置き及び閲覧等) 詳細ページ
(株式交付計画に関する書面等の備置き及び閲覧等)
第八百十六条の二株式交付親会社は、株式交付計画備置開始日から株式交付がその効力を生ずる日(以下この節において「効力発生日」という。)後六箇月を経過する日までの間、株式交付計画の内容その他法務省令で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
2前項に規定する「株式交付計画備置開始日」とは、次に掲げる日のいずれか早い日をいう。
一株式交付計画について株主総会(種類株主総会を含む。)の決議によってその承認を受けなければならないときは、当該株主総会の日の二週間前の日(第三百十九条第一項の場合にあっては、同項の提案があった日)
二第八百十六条の六第三項の規定による通知の日又は同条第四項の公告の日のいずれか早い日
三第八百十六条の八の規定による手続をしなければならないときは、同条第二項の規定による公告の日又は同項の規定による催告の日のいずれか早い日
3株式交付親会社の株主(株式交付に際して株式交付子会社の株式及び新株予約権等の譲渡人に対して交付する金銭等(株式交付親会社の株式を除く。)が株式交付親会社の株式に準ずるものとして法務省令で定めるもののみである場合以外の場合にあっては、株主及び債権者)は、株式交付親会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式交付親会社の定めた費用を支払わなければならない。
一第一項の書面の閲覧の請求
二第一項の書面の謄本又は抄本の交付の請求
三第一項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
四第一項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって株式交付親会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
会社法 第816_3条(株式交付計画の承認等) 詳細ページ
(株式交付計画の承認等)
第八百十六条の三株式交付親会社は、効力発生日の前日までに、株主総会の決議によって、株式交付計画の承認を受けなければならない。
2株式交付親会社が株式交付子会社の株式及び新株予約権等の譲渡人に対して交付する金銭等(株式交付親会社の株式等を除く。)の帳簿価額が株式交付親会社が譲り受ける株式交付子会社の株式及び新株予約権等の額として法務省令で定める額を超える場合には、取締役は、前項の株主総会において、その旨を説明しなければならない。
3株式交付親会社が種類株式発行会社である場合において、次の各号に掲げるときは、株式交付は、当該各号に定める種類の株式(譲渡制限株式であって、第百九十九条第四項の定款の定めがないものに限る。)の種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が二以上ある場合にあっては、当該二以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会)の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる株主が存しない場合は、この限りでない。
一株式交付子会社の株式の譲渡人に対して交付する金銭等が株式交付親会社の株式であるとき第七百七十四条の三第一項第三号の種類の株式
二株式交付子会社の新株予約権等の譲渡人に対して交付する金銭等が株式交付親会社の株式であるとき第七百七十四条の三第一項第八号イの種類の株式
会社法 第816_4条(株式交付計画の承認を要しない場合等) 詳細ページ
(株式交付計画の承認を要しない場合等)
第八百十六条の四前条第一項及び第二項の規定は、第一号に掲げる額の第二号に掲げる額に対する割合が五分の一(これを下回る割合を株式交付親会社の定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えない場合には、適用しない。ただし、同項に規定する場合又は株式交付親会社が公開会社でない場合は、この限りでない。
一次に掲げる額の合計額
イ株式交付子会社の株式及び新株予約権等の譲渡人に対して交付する株式交付親会社の株式の数に一株当たり純資産額を乗じて得た額
ロ株式交付子会社の株式及び新株予約権等の譲渡人に対して交付する株式交付親会社の社債、新株予約権又は新株予約権付社債の帳簿価額の合計額
ハ株式交付子会社の株式及び新株予約権等の譲渡人に対して交付する株式交付親会社の株式等以外の財産の帳簿価額の合計額
二株式交付親会社の純資産額として法務省令で定める方法により算定される額
2前項本文に規定する場合において、法務省令で定める数の株式(前条第一項の株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)を有する株主が第八百十六条の六第三項の規定による通知又は同条第四項の公告の日から二週間以内に株式交付に反対する旨を株式交付親会社に対し通知したときは、当該株式交付親会社は、効力発生日の前日までに、株主総会の決議によって、株式交付計画の承認を受けなければならない。
会社法 第816_5条(株式交付をやめることの請求) 詳細ページ
(株式交付をやめることの請求)
第八百十六条の五株式交付が法令又は定款に違反する場合において、株式交付親会社の株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株式交付親会社の株主は、株式交付親会社に対し、株式交付をやめることを請求することができる。ただし、前条第一項本文に規定する場合(同項ただし書又は同条第二項に規定する場合を除く。)は、この限りでない。
会社法 第816_6条(反対株主の株式買取請求) 詳細ページ
(反対株主の株式買取請求)
第八百十六条の六株式交付をする場合には、反対株主は、株式交付親会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。ただし、第八百十六条の四第一項本文に規定する場合(同項ただし書又は同条第二項に規定する場合を除く。)は、この限りでない。
2前項に規定する「反対株主」とは、次の各号に掲げる場合における当該各号に定める株主をいう。
一株式交付をするために株主総会(種類株主総会を含む。)の決議を要する場合次に掲げる株主
イ当該株主総会に先立って当該株式交付に反対する旨を当該株式交付親会社に対し通知し、かつ、当該株主総会において当該株式交付に反対した株主(当該株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)
ロ当該株主総会において議決権を行使することができない株主
二前号に掲げる場合以外の場合全ての株主
3株式交付親会社は、効力発生日の二十日前までに、その株主に対し、株式交付をする旨並びに株式交付子会社の商号及び住所を通知しなければならない。
4次に掲げる場合には、前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
一株式交付親会社が公開会社である場合
二株式交付親会社が第八百十六条の三第一項の株主総会の決議によって株式交付計画の承認を受けた場合
5第一項の規定による請求(以下この節において「株式買取請求」という。)は、効力発生日の二十日前の日から効力発生日の前日までの間に、その株式買取請求に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。
6株券が発行されている株式について株式買取請求をしようとするときは、当該株式の株主は、株式交付親会社に対し、当該株式に係る株券を提出しなければならない。ただし、当該株券について第二百二十三条の規定による請求をした者については、この限りでない。
7株式買取請求をした株主は、株式交付親会社の承諾を得た場合に限り、その株式買取請求を撤回することができる。
8株式交付を中止したときは、株式買取請求は、その効力を失う。
9第百三十三条の規定は、株式買取請求に係る株式については、適用しない。
会社法 第816_7条(株式の価格の決定等) 詳細ページ
(株式の価格の決定等)
第八百十六条の七株式買取請求があった場合において、株式の価格の決定について、株主と株式交付親会社との間に協議が調ったときは、株式交付親会社は、効力発生日から六十日以内にその支払をしなければならない。
2株式の価格の決定について、効力発生日から三十日以内に協議が調わないときは、株主又は株式交付親会社は、その期間の満了の日後三十日以内に、裁判所に対し、価格の決定の申立てをすることができる。
3前条第七項の規定にかかわらず、前項に規定する場合において、効力発生日から六十日以内に同項の申立てがないときは、その期間の満了後は、株主は、いつでも、株式買取請求を撤回することができる。
4株式交付親会社は、裁判所の決定した価格に対する第一項の期間の満了の日後の法定利率による利息をも支払わなければならない。
5株式交付親会社は、株式の価格の決定があるまでは、株主に対し、当該株式交付親会社が公正な価格と認める額を支払うことができる。
6株式買取請求に係る株式の買取りは、効力発生日に、その効力を生ずる。
7株券発行会社は、株券が発行されている株式について株式買取請求があったときは、株券と引換えに、その株式買取請求に係る株式の代金を支払わなければならない。
会社法 第816_8条(債権者の異議) 詳細ページ
(債権者の異議)
第八百十六条の八株式交付に際して株式交付子会社の株式及び新株予約権等の譲渡人に対して交付する金銭等(株式交付親会社の株式を除く。)が株式交付親会社の株式に準ずるものとして法務省令で定めるもののみである場合以外の場合には、株式交付親会社の債権者は、株式交付親会社に対し、株式交付について異議を述べることができる。
2前項の規定により株式交付親会社の債権者が異議を述べることができる場合には、株式交付親会社は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第四号の期間は、一箇月を下ることができない。
一株式交付をする旨
二株式交付子会社の商号及び住所
三株式交付親会社及び株式交付子会社の計算書類に関する事項として法務省令で定めるもの
四債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
3前項の規定にかかわらず、株式交付親会社が同項の規定による公告を、官報のほか、第九百三十九条第一項の規定による定款の定めに従い、同項第二号又は第三号に掲げる公告方法によりするときは、前項の規定による各別の催告は、することを要しない。
4債権者が第二項第四号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該株式交付について承認をしたものとみなす。
5債権者が第二項第四号の期間内に異議を述べたときは、株式交付親会社は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該株式交付をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
会社法 第816_9条(株式交付の効力発生日の変更) 詳細ページ
(株式交付の効力発生日の変更)
第八百十六条の九株式交付親会社は、効力発生日を変更することができる。
2前項の規定による変更後の効力発生日は、株式交付計画において定めた当初の効力発生日から三箇月以内の日でなければならない。
3第一項の場合には、株式交付親会社は、変更前の効力発生日(変更後の効力発生日が変更前の効力発生日前の日である場合にあっては、当該変更後の効力発生日)の前日までに、変更後の効力発生日を公告しなければならない。
4第一項の規定により効力発生日を変更したときは、変更後の効力発生日を効力発生日とみなして、この節(第二項を除く。)及び前章(第七百七十四条の三第一項第十一号を除く。)の規定を適用する。
5株式交付親会社は、第一項の規定による効力発生日の変更をする場合には、当該変更と同時に第七百七十四条の三第一項第十号の期日を変更することができる。
6第三項及び第四項の規定は、前項の規定による第七百七十四条の三第一項第十号の期日の変更について準用する。この場合において、第四項中「この節(第二項を除く。)及び前章(第七百七十四条の三第一項第十一号を除く。)」とあるのは、「第七百七十四条の四、第七百七十四条の十及び前項」と読み替えるものとする。
会社法 第816_10条(株式交付に関する書面等の備置き及び閲覧等) 詳細ページ
(株式交付に関する書面等の備置き及び閲覧等)
第八百十六条の十株式交付親会社は、効力発生日後遅滞なく、株式交付に際して株式交付親会社が譲り受けた株式交付子会社の株式の数その他の株式交付に関する事項として法務省令で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を作成しなければならない。
2株式交付親会社は、効力発生日から六箇月間、前項の書面又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
3株式交付親会社の株主(株式交付に際して株式交付子会社の株式及び新株予約権等の譲渡人に対して交付する金銭等(株式交付親会社の株式を除く。)が株式交付親会社の株式に準ずるものとして法務省令で定めるもののみである場合以外の場合にあっては、株主及び債権者)は、株式交付親会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式交付親会社の定めた費用を支払わなければならない。
一前項の書面の閲覧の請求
二前項の書面の謄本又は抄本の交付の請求
三前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
四前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって株式交付親会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。