民法 明治二十九年法律第八十九号 現行施行 2026-06-24 条文取得 2026-09-05

第395条抵当建物使用者の引渡しの猶予

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概要

原文解釈
  • 抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物を使用又は収益する者のうち、条文所定の要件を満たす者を「抵当建物使用者」という。
  • 抵当建物使用者は、その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、建物を買受人に引き渡すことを要しない。
  • 抵当建物使用者に該当するのは、競売手続の開始前から使用又は収益をする者、及び強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後にした賃貸借により使用又は収益をする者である。
  • 買受人が、買受けの時より後の建物使用の対価について相当の期間を定めて一箇月分以上の支払を催告し、その相当の期間内に履行がないときは、引渡し猶予の規定は適用されない。

抵当建物使用者の引渡し猶予の要件

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区分対象者引渡し猶予期間猶予が適用されない場合
一号競売手続の開始前から使用又は収益をする者買受人の買受けの時から六箇月を経過するまで買受人が相当の期間を定めて一箇月分以上の使用の対価の支払を催告し、その相当の期間内に履行がないとき
二号強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後にした賃貸借により使用又は収益をする者買受人の買受けの時から六箇月を経過するまで買受人が相当の期間を定めて一箇月分以上の使用の対価の支払を催告し、その相当の期間内に履行がないとき

主要な判例

原文ママ裁判所が付した参照法条による機械照合で選定
民法賃貸借契約解除請求事件
位置づけ
最高裁 / 民集登載
事件番号
昭和61(オ)857
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和63年2月16日 棄却
登載
民集 第42巻2号93頁
参照法条
民法395条,農地法3条2項1号(昭和54年法律第5号による改正前のもの)
判示事項
抵当権者に対抗することができない農地の賃貸借が抵当権者に損害を及ぼすときと民法三九五条但書の準用による賃貸借の解除請求
裁判要旨抵当権者に対抗することができない農地の賃貸借であつても、所轄農業委員会等により当該賃借人以外の者に競買適格証明書を交付しない取扱いがされているため競買申出人が右賃借人に限定され、その結果、抵当権者に損害を及ぼすときに限り、抵当権者は、民法三九五条但書の準用により右賃貸借の解除を請求することができる。
民法土地建物所有権移転登記等
位置づけ
最高裁 / 民集登載
事件番号
昭和54(オ)225
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和56年7月17日 棄却
登載
民集 第35巻5号950頁
参照法条
民法395条,民法482条
判示事項
債権担保の目的でされた代物弁済予約を原因とする所有権移転請求権保全の仮登記と民法三九五条
裁判要旨債権担保の目的でされた代物弁済予約を原因とする所有権移転請求権保全の仮登記のある不動産につき設定された短期賃借権には、民法三九五条の規定は類推適用されない。
民法建物収去土地明渡
位置づけ
最高裁 / 民集登載
事件番号
昭和52(オ)1090
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和53年6月15日 その他
登載
民集 第32巻4号729頁
参照法条
民法395条,借地法4条2項
判示事項
民法三九五条の適用がある土地の短期賃貸借の期間満了と競落人に対する建物買取請求権
裁判要旨民法三九五条により抵当権者に対抗することができる土地の短期賃貸借の期間が抵当権実行による差押の効力を生じたのちに満了した場合には、賃借人は、競落人に対し借地法四条二項による地上建物等の買取請求をすることができない。

実務注記

原文解釈
  1. 対抗要件を欠く賃貸借であることが前提本条の対象は、抵当権者に対抗することができない賃貸借により建物を使用又は収益する者に限られる。
  2. 抵当建物使用者の該当要件は二通り競売手続の開始前から使用又は収益をする者(一号)か、強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後にした賃貸借により使用又は収益をする者(二号)のいずれかに該当する必要がある。
  3. 猶予期間の起算点引渡し猶予の期間は「買受人の買受けの時」を起算点として六箇月である。
  4. 対価不払による猶予の不適用買受人が、買受けの時より後の使用の対価について相当の期間を定め一箇月分以上の支払を催告し、その相当の期間内に履行がない場合には、第一項の猶予の規定は適用されない。
  5. 「抵当建物使用者」は条文上の定義語「抵当建物使用者」は第一項各号に該当する者を指す語として、条文上「次項において」定義されたものである。

条文原文

原文ママ
民法 第395条(抵当建物使用者の引渡しの猶予)
(抵当建物使用者の引渡しの猶予)
第三百九十五条抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲げるもの(次項において「抵当建物使用者」という。)は、その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。
一競売手続の開始前から使用又は収益をする者
二強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後にした賃貸借により使用又は収益をする者
2前項の規定は、買受人の買受けの時より後に同項の建物の使用をしたことの対価について、買受人が抵当建物使用者に対し相当の期間を定めてその一箇月分以上の支払の催告をし、その相当の期間内に履行がない場合には、適用しない。

一次情報