この条文が出てくる場面
原文整理テーマ別まとめ概要
原文解釈- 他人に代理権を与えた者は、代理権消滅後にその代理権の範囲内でその他人が第三者との間でした行為について、代理権消滅の事実を知らなかった第三者に対して責任を負う。
- 第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、本人は責任を負わない。
- 代理権消滅後に、範囲内の行為であれば前項により責任を負うべき場合において、その他人が代理権の範囲外の行為をしたときは、第2項が適用される。
- この場合、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、本人はその行為について責任を負う。
民法第112条の要件
原文解釈横スクロールできます| 区分 | 行為の範囲 | 第三者の主観要件 | 責任の有無 |
|---|---|---|---|
| 第1項 | 代理権の範囲内の行為 | 代理権消滅の事実を知らなかったこと(過失によって知らなかったときを除く) | 第三者に対してその責任を負う |
| 第2項 | 代理権の範囲外の行為(範囲内であれば第1項により責任を負うべき場合に限る) | その行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があること | その行為についての責任を負う(正当な理由があるときに限る) |
主要な判例
原文ママ裁判所が付した参照法条による機械照合で選定民法約束手形金請求
- 位置づけ
- 最高裁 / 民集登載
- 事件番号
- 昭和48(オ)142
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和49年3月22日 破棄差戻
- 登載
- 民集 第28巻2号368頁
- 参照法条
- 民法112条,商法12条
- 判示事項
- 株式会社が代表取締役の退任及び代表権の喪失を登記したときと民法一一二条
裁判要旨株式会社が代表取締役の退任及び代表権の喪失につき登記したときは、その後その者が会社の代表者として第三者とした取引については、民法一一二条の適用はない。
民法所有権移転登記抹消登記手続請求
- 位置づけ
- 最高裁 / 民集登載
- 事件番号
- 昭和42(オ)1391
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和45年12月24日 破棄差戻
- 登載
- 民集 第24巻13号2230頁
- 参照法条
- 民法110条,民法112条
- 判示事項
- 無権代理行為が追認されたのちに無権代理人が新たに無権代理行為をした場合と民法一一〇条一一二条の類推適用
裁判要旨無権代理人甲が乙の代理人と称して丙と締結した抵当権設定契約を乙が追認したのち、甲が乙の代理人と称して丁と抵当権設定契約を締結した場合において、丁が甲に乙を代理して右抵当権設定契約をする権限があると信ずべき正当の事由を有するときは、乙は、民法一一〇条および一一二条の類推適用により、甲のした抵当権設定契約につき責に任じなければならない。
民法約束手形金請求
- 位置づけ
- 最高裁 / 民集登載
- 事件番号
- 昭和30(オ)286
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和35年12月27日 棄却
- 登載
- 民集 第14巻14号3234頁
- 参照法条
- 民法110条,民法112条,手形法8条,手形法14条
- 判示事項
- 一 小切手振出の代理権消滅後の手形振出と本人の責任 二 手形の受取人に表見代理の成立する場合と所持人に対する本人の責任
裁判要旨一 当座勘定取引のため小切手を振出す代理権しかない者が、その代理権消滅後、代理人と称して約束手形を振出した場合に、受取人が右代理権の消滅につき善意無過失で、右の者に手形振出の権限があると信じるにつき正当の理由を有するときは、本人は受取人に対し振出人としての責任を免れない。
二 無権代理人の振出した約束手形につき、本人が民法第一一〇条及び第一一二条に基き振出人としての責任を負うときは、受取人からその手形の裏書譲渡を受けた者に対しても、その者の善意悪意を問わず、振出人としての責任を免れない。
二 無権代理人の振出した約束手形につき、本人が民法第一一〇条及び第一一二条に基き振出人としての責任を負うときは、受取人からその手形の裏書譲渡を受けた者に対しても、その者の善意悪意を問わず、振出人としての責任を免れない。
実務注記
原文解釈- 第1項の適用は「代理権の範囲内」の行為に限定される代理権消滅後にその他人が第三者との間でした行為が、消滅前に有していた代理権の範囲内であることが要件となる。
- 第三者の善意が要件、ただし過失があれば免責第三者が代理権消滅の事実を知らなかったことが要件だが、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、本人は責任を負わない。
- 第2項は「前項の規定によりその責任を負うべき場合」が前提第2項が適用されるのは、範囲内の行為であったとすれば第1項により責任を負うべき場合に限られる。
- 第2項は範囲外の行為について「正当な理由」を要求その他人が代理権の範囲外の行為をした場合、第三者がその行為について代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、本人は責任を負う。
条文原文
原文ママ民法 第112条(代理権消滅後の表見代理等)
(代理権消滅後の表見代理等)
第百十二条他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負う。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。
2他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後に、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。
一次情報
- 条文e-Gov法令検索 民法 第112条
- 判例裁判所ウェブサイト 裁判例検索
- 注記法令は改正されます。実務判断の際は上記リンクで最新の条文を再確認してください。