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留置権

公的資料に現れる論点です。条文と判例から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

留置権は、他人の物を占有している人が、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまで、その物を留置できる権利です。債権の全部の弁済を受けるまで留置物の全部について権利を行使でき、留置物から生じる果実を収取して自己の債権に優先的に充当することも認められています。これらの規定の一部は抵当権にも準用されます。

留置権
項目内容
成立要件他人の物+その物に関する債権+弁済期到来
占有の経緯による制限不法行為による占有には成立しない
効力の及ぶ範囲債権全部の弁済まで物の全部に及ぶ
果実の扱い収取して自己の債権に優先充当できる
充当順序利息に充当後、残余を元本に充当
抵当権への準用296条・304条・351条を準用
  • 債権が弁済期にないときは留置できない(295条ただし書)
  • 占有が不法行為によって始まった場合は295条1項の適用がない(295条2項)
  • 372条は留置権そのものではなく、抵当権への準用を定める規定
1

留置権

留置権について、条文は何を定めているか。

第295条留置権の内容他人の物を占有し債権があれば留置できる2項判例 20件
  • 弁済期が来ていない債権では物を留置できない
  • 占有が不法行為によって始まった場合は留置権が成立しない
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第296条留置権の不可分性全部の弁済を受けるまで物全部を留置できる1項判例 1件
  • 債権の一部の弁済だけでは留置物の一部を返す必要はない
  • 全額の弁済を受けるまで物全体への権利行使が続く
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第372条留置権等の規定の準用抵当権にも留置権等の規定を準用する1項判例 21件
  • 不可分性を定める296条〈留置権の不可分性〉が抵当権に準用される
  • 304条〈物上代位〉・351条〈物上保証人の求償権〉も抵当権に準用される
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第297条留置権者による果実の収取留置権者は留置物の果実を優先的に充当できる2項判例なし
  • 果実を収取し、他の債権者より先に自己の債権へ充当できる
  • 果実はまず利息に充当し、残りがあれば元本に充当する
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第295条民法

清算金の支払のないまま仮登記担保権者から目的不動産の所有権を取得した第三者の債務者に対する右不動産の明渡請求と債務者の留置権の抗弁

裁判要旨清算金の支払のないまま仮登記担保権者から第三者が目的不動産の所有権を取得した場合には、債務者は、右第三者からの右不動産の明渡請求に対し、仮登記担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権の抗弁権を主張することができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和58年3月31日 昭和55(オ)211
登載
民集 第37巻2号152頁
参照法条
民法295条,民法482条,仮登記担保契約に関する法律3条1項
論点2第295条民法

土地賃借権の喪失と損害賠償請求権に基づく留置権の成否

裁判要旨従前の土地の賃借人が、換地処分の結果借地権を喪失し、従前の土地の所有者(賃貸人)に対して借地権喪失に基づく損害賠償請求権を有することになつたとしても、右損害賠償請求権と従前の土地との間には、留置権発生の要件である牽連が認められない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和52年12月2日 昭和52(オ)617
登載
集民 第122号281頁
参照法条
民法295条,民法601条
論点3第295条民法

農地買収・売渡処分が買収計画取消判決の確定により失効した場合と被売渡人から右土地を買い受けた者の有益費償還請求権に基づく土地留置権の行使

裁判要旨農地買収・売渡処分が買収計画取消判決の確定により当初にさかのぼつて効力を失つた場合において、被売渡人から右土地を買い受けた者が土地につき有益費を支出していても、その支出をした当時、買主が被買収者から買収・売渡処分の無効を理由として所有権に基づく土地返還請求訴訟を提起されており、買主において買収・売渡処分が効力を失うかもしれないことを疑わなかつたことにつき過失があるときには、買主は、右有益費償還請求権に基づく土地の留置権を行使することができない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和51年6月17日 昭和50(オ)1148
登載
民集 第30巻6号616頁
参照法条
民法295条
論点4第295条民法

弁済の提供を受けその受領を拒絶した債権者と留置権の行使

裁判要旨適法な弁済の提供を受けながらその受領を拒絶した債権者は、留置権を行使することができない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和49年9月20日 昭和47(オ)862
登載
集民 第112号557頁
参照法条
民法295条
論点5第295条民法

建物の買主の占有が抵当権実行による建物の競落人に対抗できない場合と民法二九五条二項

裁判要旨抵当権の設定されている建物の買主は、抵当権の実行により建物が他に競落されたのち不法占有中右建物につき支出した費用に関し留置権を主張することはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和48年10月5日 昭和48(オ)494
登載
集民 第110号211頁
参照法条
民法295条2項
論点6第295条民法

一、甲所有の物を買受けた乙が売買代金を支払わないままこれを丙に譲渡した場合における丙の甲に対する物の引渡請求と甲の留置権の抗弁
二、物の引渡請求に対する留置権の抗弁を認容する場合においてその被担保債権の支払義務者が第三者であるときの判決主文

裁判要旨一、甲所有の物を買受けた乙が、売買代金を支払わないままこれを丙に譲渡した場合には、甲は、丙からの物の引渡請求に対して、未払代金債権を被担保債権とする留置権の抗弁権を主張することができる。
二、物の引渡請求に対する留置権の抗弁を認容する場合において、その物に関して生じた債務の支払義務を負う者が、原告ではなく第三者であるときは、被告に対し、その第三者から右債務の支払を受けるのと引換えに物の引渡をすることを命ずるべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年11月16日 昭和45(オ)1055
登載
民集 第26巻9号1619頁
参照法条
民法295条,民訴法186条
論点7第295条民法

建物賃貸借契約解除後の不法占有と民法二九五条二項の類推適用

裁判要旨建物の賃借人が、債務不履行により賃貸借契約を解除されたのち、権原のないことを知りながら右建物を不法に占有する間に有益費を支出しても、その者は、民法二九五条二項〈留置権の内容〉の類推適用により、右費用の償還請求権に基づいて右建物に留置権を行使することはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和46年7月16日 昭和42(オ)1341
登載
民集 第25巻5号749頁
参照法条
民法295条
論点8第295条民法

借地上の家屋に関する費用償還請求権とその敷地の留置権

裁判要旨借地上の家屋に関する費用償還請求権は、その家屋の敷地自体に関して生じた債権でもなければ、その敷地の所有者に対して取得した債権でもないから、右請求権を有する者であつても、その家屋の敷地を留置する権利は有しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和44年11月6日 昭和44(オ)413
登載
集民 第97号179頁
参照法条
民法295条,民法608条
論点9第295条民法

不動産の二重売買の場合の履行不能を理由とする損害賠償債権をもつてする留置権の主張の許否

裁判要旨不動産の二重売買において、第二の買主のため所有権移転登記がされた場合、第一の買主は、第二の買主の右不動産の所有権に基づく明渡請求に対し、売買契約不履行に基づく損害賠償債権をもつて、留置権を主張することは許されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年11月21日 昭和43(オ)586
登載
民集 第22巻12号2765頁
参照法条
民法295条
論点10第295条民法

建物賃貸借契約解除後の建物修繕による費用償還請求権と建物留置権

裁判要旨建物賃借人は、建物賃貸借契約解除後占有中の右建物を修繕しても、その修繕費償還請求権をもつて右建物につき留置権を行使することはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年1月20日 昭和39(オ)626
登載
集民 第86号97頁
参照法条
民法295条2項
論点11第295条民法

建物の売買契約解除後の不法占有と民法第二九五条第二項

裁判要旨建物の売買契約によりその引渡を受けた買主が、右売買契約の合意解除後売主所有の右建物を権原のないことを知りながら不法に占有中、右建物につき必要費、有益費を支出したとしても、買主は、民法第二九五条第二項〈留置権の内容〉の類推適用により、当該費用の償還請求権に基づく右建物の留置権を主張できない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和41年3月3日 昭和39(オ)654
登載
民集 第20巻3号386頁
参照法条
民法295条2項
論点12第295条民法

民法第二九五条第一項〈留置権の内容〉の「他人ノ物」の意義。

裁判要旨民法第二九五条第一項〈留置権の内容〉の「他人ノ物」とは、債権者以外の者の所有する物でなければならないが、債務者以外の者の所有に属する物であつてもよい。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年2月19日 昭和34(オ)1227
登載
集民 第64号473頁
参照法条
民法295条1項
論点13第295条民法

売渡担保に供した不動産の返還義務不履行による損害賠償債権をもつてその不動産を留置し得るか。

裁判要旨不動産を売渡担保に供した者は、担保権者が約に反して担保不動産を他に譲渡したことにより担保権者に対して取得した担保物返還義務不履行による損害賠償債権をもつて、右譲受人からの転々譲渡により右不動産の所有権を取得した者の明渡請求に対し、留置権を主張することは許されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和34年9月3日 昭和32(オ)532
登載
民集 第13巻11号1357頁
参照法条
民法295条
論点14第295条民法

一 家屋収去土地明渡の請求は家屋買取請求権の行使があつた場合に家屋の引渡を求める申立を含むか
二 物の引渡請求に対する留置権の抗弁を認容する場合と判決主文

裁判要旨一 家屋収去土地明渡請求に対し家屋買取請求権の行使があつた場合、右明渡請求は家屋の引渡を求める申立を包含する趣旨と解すべきである
二 物の引渡請求に対する留置権の抗弁を認容するときは、引渡請求を棄却することなく、その物に関して生じた債権の弁済と引換に物の引渡を命ずべきである
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和33年6月6日 昭和30(オ)993
登載
民集 第12巻9号1384頁
参照法条
民訴法186条,民法295条
論点15第295条民法

一 債務不履行その他背信行為による賃貸借の解除と借家法第五条の適用の有無
二 物の引渡を求める訴訟において留置権の抗弁を認容する場合と判決主文

裁判要旨一 借家法第五条は、賃貸借が賃借人の債務不履行ないしその背信行為のため解除された場合には、その適用がないものと解すべきである。
二 物の引渡を求める訴訟において、被告の留置権の抗弁を認容する場合には、原告の請求を全面的に棄却することなく、その物に関して生じた債権の弁済と引換に物の引渡を命ずべきものと解するを相当とする。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和33年3月13日 昭和31(オ)966
登載
民集 第12巻3号524頁
参照法条
借家法5条,民法295条
論点16第295条民法

留置物の使用が物の保存に必要な範囲を超えた場合の必要費、有益費の支出とその償還請求権に基く留置権発生の有無

裁判要旨留置権者が留置物について必要費、有益費を支出しその償還請求権を有するときは、物の保存に必要な範囲を超えた使用に基く場合であつたとしても、その償還請求権につき留置権の発生を妨げない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和33年1月17日 昭和30(オ)452
登載
民集 第12巻1号55頁
参照法条
民法295条,民法298条,民法299条
論点17第295条民法

造作買取請求権行使の場合における造作代金支払義務と家屋明渡義務との関係――留置権または同時履行抗弁権の成否

裁判要旨借家法第五条により造作の買収を請求した家屋の賃借人は、その代金の不払を理由として右家屋を留置し、または右代金の提供がないことを理由として同時履行の抗弁により右家屋の明渡を拒むことはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和29年7月22日 昭和27(オ)1069
登載
民集 第8巻7号1425頁
参照法条
借家法5条,民法295条,民法533条
論点18第295条民法

譲渡担保権の実行として譲渡された不動産を取得した者の譲渡担保権設定者に対する明渡請求と譲渡担保権設定者の留置権の主張の可否

裁判要旨譲渡担保権設定者は、譲渡担保権の実行として譲渡された不動産を取得した者からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成9年4月11日 平成5(オ)358
登載
集民 第183号241頁
参照法条
民法295条,民法369条(譲渡担保)
論点19第295条民法

不動産は,商法521条が商人間の留置権の目的物として定める「物」に当たるか

裁判要旨不動産は,商法521条が商人間の留置権の目的物として定める「物」に当たる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成29年12月14日 平成29(受)675
登載
民集 第71巻10号2184頁
参照法条
商法521条,民法295条1項
論点20第295条民法

登録自動車を目的とする民法上の留置権による競売において民事執行法181条1項1号所定の「担保権の存在を証する確定判決」に該当するための要件

裁判要旨登録自動車を目的とする民法上の留置権による競売においては,その被担保債権が当該自動車に関して生じたことが主要事実として認定されている確定判決であれば,債権者による当該自動車の占有の事実が認定されていなくとも,民事執行法181条1項1号所定の「担保権の存在を証する確定判決」に当たる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成18年10月27日 平成18(許)21
登載
民集 第60巻8号3234頁
参照法条
民事執行法181条1項1号,民事執行法195条,民事執行規則176条2項,民法295条1項
論点21第296条民法

留置権者が留置物の一部を債務者に引き渡した場合における被担保債権の範囲

裁判要旨留置権者は、留置物の一部を債務者に引き渡した場合においても、特段の事情のない限り、債権の全部の弁済を受けるまで、留置物の残部につき留置権を行使することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成3年7月16日 昭和63(オ)1572
登載
民集 第45巻6号1101頁
参照法条
民法296条
論点22第372条民法

物上代位権の行使としての債権差押えと被差押債権の消滅時効中断の有無

裁判要旨抵当権者が物上代位権の行使として債務者の有する債権を差し押さえても、被差押債権の消滅時効は中断されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和63年7月15日 昭和60(オ)977
登載
集民 第154号333頁
参照法条
民法147条2号,民法304条,民法372条,民事執行法145条,民事執行法193条
論点23第372条民法

一 共同抵当の目的である債務者所有の甲不動産及び物上保証人所有の乙不動産に債権者を異にする後順位抵当権が設定され乙不動産が先に競売された場合に甲不動産から弁済を受けるときにおける甲不動産の後順位抵当権者と乙不動産の後順位抵当権者の優劣
二 物上保証人がその所有の不動産及び債務者所有の不動産につき共同抵当権を有する債権者との間で代位権不行使の特約をした場合と物上保証人所有の不動産の後順位抵当権者の優先弁済を受ける権利
三 債権の一部につき代位弁済がされた場合の競落代金の配当についての債権者と代位弁済者との優劣

裁判要旨一 共同抵当の目的である債務者所有の甲不動産及び物上保証人所有の乙不動産にそれぞれ債権者を異にする後順位抵当権が設定されている場合において、乙不動産が先に競売されて一番抵当権者が弁済を受けたときは、乙不動産の後順位抵当権者は、物上保証人に移転した甲不動産に対する一番抵当権から甲不動産の後順位抵当権者に優先して弁済を受けることができる。
二 物上保証人が、その所有の不動産及び債務者所有の不動産につき共同抵当権を有する債権者との間で、債権者の同意がない限り弁済等により取得する権利を行使しない旨の特約をしても、物上保証人所有の不動産の後順位抵当権者は、物上保証人が弁済等により代位取得する抵当権から優先弁済を受ける権利を失わない。
三 債権の一部につき代位弁済がされた場合、右債権を被担保債権とする抵当権の実行による競落代金の配当については、代位弁済者は債権者に劣後する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和60年5月23日 昭和56(オ)1175
登載
民集 第39巻4号940頁
参照法条
民法304条,民法351条,民法372条,民法392条2項,民法500条,民法501条,民法502条1項
論点24第372条民法

一 債務者所有の不動産と物上保証人所有の不動産とを共同抵当の目的として数個の抵当権が設定され物上保証人所有の不動産について先に競売がされた場合における物上保証人と後順位低当権者との優劣
二 債務者所有の不動産と物上保証人所有の不動産とを共同抵当の目的として数個の抵当権が設定され物上保証人所有の不動産について先に競売がされた場合における後順位抵当権者の優先弁済権と登記又は差押の要否

裁判要旨一 債務者所有の不動産と物上保証人所有の不動産とを共同抵当の目的として順位を異にする数個の抵当権が設定されている場合において、物上保証人所有の不動産について先に競売がされ、その競落代金の交付により一番抵当権者が弁済を受けたときは、後順位抵当権者は、物上保証人に移転した債務者所有の不動産に対する一番抵当権から優先して弁済を受けることができる。
二 債務者所有の不動産と物上保証人所有の不動産とを共同抵当の目的として順位を異にする数個の抵当権が設定されている場合において、物上保証人所有の不動産について先に競売がされ、その競落代金の交付により一番抵当権者が弁済を受けたときは、後順位抵当権者は、物上保証人に移転した債務者所有の不動産に対する一番抵当権からの優先弁済権を主張するについて登記又は差押を必要としない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和53年7月4日 昭和50(オ)196
登載
民集 第32巻5号785頁
参照法条
民法177条,民法304条1項,民法351条,民法372条,民法392条2項
論点25第372条民法

抵当権の物上代位と抵当不動産に代わる仮差押解放金の取戻請求権

裁判要旨抵当権者が被担保債権を被保全債権として抵当不動産の仮差押をした場合において、仮差押債務者が仮差押解放金を供託して仮差押執行の取消を得たときには、抵当権の効力は、物上代位の規定の趣旨により、右仮差押解放金の取戻請求権に及ぶ。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和45年7月16日 昭和42(オ)342
登載
民集 第24巻7号965頁
参照法条
民法372条,民法304条,民訴法743条,民訴法754条
論点26第372条民法

一、物上保証人は被担保債権の消滅時効を援用することができるか
二、債権者はその債務者に代位して他の債権者に対する債務の消滅時効を援用することができるか

裁判要旨一、他人の債務のために自己の所有物件に抵当権を設定した者は、右債務の消滅時効を援用することができる。
二、債権者は、自己の債権を保全するに必要な限度で、債務者に代位して、他の債権者に対する債務の消滅時効を援用することができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年9月26日 昭和41(オ)77
登載
民集 第22巻9号2002頁
参照法条
民法145条,民法372条,民法351条,民法423条
論点27第372条民法

物上保証の目的物件の第三取得者が弁済によつて取得する求償権の範囲

裁判要旨物上保証の目的物件の第三取得者が自己の出捐をもつて債権者に対し弁済した場合において、右第三取得者が有する求償権の範囲については、物上保証人に対する債務者の委任の有無によつて、民法第四五九条〈委託を受けた保証人の求償権〉ないし第四六二条〈委託を受けない保証人の求償権〉の規定が準用される。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年9月29日 昭和41(オ)1088
登載
民集 第21巻7号2034頁
参照法条
民法372条,民法351条,民法459条,民法462条
論点28第372条民法

物上保証人甲所有の不動産と物上保証人乙所有の不動産を共同抵当の目的として抵当権が設定され甲所有の不動産が先に競売された場合における甲所有不動産の後順位抵当権者の地位

裁判要旨物上保証人甲所有の不動産と物上保証人乙所有の不動産を共同抵当の目的として抵当権が設定された場合において、甲所有の不動産が先に競売されて先順位抵当権者が弁済を受けたときは、甲所有不動産の後順位抵当権者は、甲が乙に対する求償権の範囲内において代位取得する乙所有不動産の先順位抵当権から優先して弁済を受けることができ、右優先弁済権を主張するについては登記を要しない。
(反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成元年11月24日 昭和63(オ)1539
登載
集民 第158号225頁
参照法条
民法177条,民法304条1項,民法372条,民法392条2項,民法501条3号,民法501条4号
論点29第372条民法

抵当権の物上代位と抵当不動産について供託された賃料の還付請求権

裁判要旨抵当不動産が賃貸された場合においては、抵当権者は、民法三七二条〈留置権等の規定の準用〉、三〇四条〈物上代位〉の規定の趣旨に従い、賃借人が供託した賃料の還付請求権についても抵当権を行使することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成元年10月27日 昭和60(オ)1270
登載
民集 第43巻9号1070頁
参照法条
民法304条,民法372条,民法494条
論点30第372条民法

物上保証人と求償権の事前行使の可否

裁判要旨物上保証人は、被担保債権の弁済期が到来しても、あらかじめ求償権を行使することはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成2年12月18日 平成2(オ)801
登載
民集 第44巻9号1686頁
参照法条
民法351条,民法372条,民法460条
論点31第372条民法

債務者に対する破産宣告後に物上保証人から届出債権の一部の弁済を受けた破産債権者が権利を行使し得る範囲

裁判要旨債権の全額を破産債権として届け出た債権者は,債務者に対する破産宣告後に物上保証人から届出債権の弁済を受けても,その全部の満足を得ない限り,届出債権の全額について破産債権者としての権利を行使することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成14年9月24日 平成12(受)1584
登載
民集 第56巻7号1524頁
参照法条
破産法24条,破産法26条,民法351条,民法372条,民法502条1項
論点32第372条民法

抵当権に基づく物上代位権の行使としてされた債権差押命令に対する執行抗告において被差押債権の不存在又は消滅を理由とすることの可否

裁判要旨抵当権に基づく物上代位権の行使としてされた債権差押命令に対する執行抗告においては,被差押債権の不存在又は消滅を理由とすることはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成14年6月13日 平成13(許)30
登載
民集 第56巻5号1014頁
参照法条
民事執行法145条5項,民事執行法193条,民法304条1項,民法372条
論点33第372条民法

賃料債権に対する抵当権者の物上代位による差押えと当該債権への敷金の充当

裁判要旨敷金が授受された賃貸借契約に係る賃料債権につき抵当権者が物上代位権を行使してこれを差し押さえた場合において,当該賃貸借契約が終了し,目的物が明け渡されたときは,賃料債権は,敷金の充当によりその限度で消滅する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成14年3月28日 平成12(受)836
登載
民集 第56巻3号689頁
参照法条
民法304条1項,民法372条,民法511条,民法619条2項,民事執行法193条
論点34第372条民法

抵当権の物上代位の目的となる債権に対する転付命令の効力

裁判要旨抵当権の物上代位の目的となる債権に対する転付命令は,これが第三債務者に送達される時までに抵当権者により当該債権の差押えがなされなかったときは,その効力を妨げられない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成14年3月12日 平成12(受)890
登載
民集 第56巻3号555頁
参照法条
民法304条1項,民法372条,民事執行法159条,民事執行法160条,民事執行法193条
論点35第372条民法

抵当不動産の賃借人が抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって賃料債権に物上代位権の行使としての差押えをした抵当権者に対抗することの可否

裁判要旨抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした後は,抵当不動産の賃借人は,抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって,抵当権者に対抗することはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成13年3月13日 平成11(受)1345
登載
民集 第55巻2号363頁
参照法条
民法304条1項,民法372条,民法505条,民事執行法193条
論点36第372条民法

抵当権に基づき物上代位権を行使する者が債権差押事件に配当要求することにより優先弁済を受けることの可否

裁判要旨抵当権に基づき物上代位権を行使する債権者は,他の債権者による債権差押事件に配当要求をすることによって優先弁済を受けることはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成13年10月25日 平成13(受)91
登載
民集 第55巻6号975頁
参照法条
民法304条,民法372条,民事執行法154条,民事執行法193条1項
論点37第372条民法

抵当不動産の賃借人が取得する転貸賃料債権について抵当権者が物上代位権を行使することの可否

裁判要旨抵当権者は、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き、右賃借人が取得する転貸賃料債権について物上代位権を行使することができない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成12年4月14日 平成11(許)23
登載
民集 第54巻4号1552頁
参照法条
民法304条1項・民法372条・民法613条
論点38第372条民法

買戻特約付売買の目的不動産に設定された抵当権に基づく買戻代金債権に対する物上代位権行使の可否

裁判要旨買戻特約付売買の買主から目的不動産につき抵当権の設定を受けた者は、抵当権に基づく物上代位権の行使として、買戻権の行使により買主が取得した買戻代金債権を差し押さえることができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成11年11月30日 平成10(受)407
登載
民集 第53巻8号1965頁
参照法条
民法304条,民法372条,民法579条
論点39第372条民法

債権について一般債権者の差押えと抵当権者の物上代位権に基づく差押えが競合した場合における両者の優劣の判断基準

裁判要旨債権について一般債権者の差押えと抵当権者の物上代位権に基づく差押えが競合した場合には、両者の優劣は、一般債権者の申立てによる差押命令の第三債務者への送達と抵当権設定登記の先後によって決すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成10年3月26日 平成6(オ)1408
登載
民集 第52巻2号483頁
参照法条
民法177条,民法304条,民法372条,民事執行法145条
論点40第372条民法

抵当権者による物上代位権の行使と目的債権の譲渡

裁判要旨抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成10年2月10日 平成8(オ)673
登載
集民 第187号47頁
参照法条
民法304条,民法372条,民法467条
論点41第372条民法

抵当権者による物上代位権の行使と目的債権の譲渡

裁判要旨抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成10年1月30日 平成9(オ)419
登載
民集 第52巻1号1頁
参照法条
民法304条,民法372条,民法467条
論点42第372条民法

抵当不動産の賃借人は、抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権を差し押さえる前に賃貸人との間でした、抵当権設定登記の後に取得した賃貸人に対する債権と上記の差押えがされた後の期間に対応する賃料債権とを直ちに対当額で相殺する旨の合意の効力を抵当権者に対抗することができるか

裁判要旨抵当不動産の賃借人は、抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権を差し押さえる前に、賃貸人との間で、抵当権設定登記の後に取得した賃貸人に対する債権と上記の差押えがされた後の期間に対応する賃料債権とを直ちに対当額で相殺する旨の合意をしたとしても、当該合意の効力を抵当権者に対抗することはできない。
(意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 令和5年11月27日 令和3(受)1620
登載
民集 第77巻8号2188頁
参照法条
民法304条1項、民法372条、民法505条1項、民事執行法193条1項
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民法 第295条(留置権の内容) 詳細ページ
(留置権の内容)
第二百九十五条他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。
2前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない。
民法 第296条(留置権の不可分性) 詳細ページ
(留置権の不可分性)
第二百九十六条留置権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、留置物の全部についてその権利を行使することができる。
民法 第372条(留置権等の規定の準用) 詳細ページ
(留置権等の規定の準用)
第三百七十二条第二百九十六条、第三百四条及び第三百五十一条の規定は、抵当権について準用する。
民法 第297条(留置権者による果実の収取) 詳細ページ
(留置権者による果実の収取)
第二百九十七条留置権者は、留置物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、これを自己の債権の弁済に充当することができる。
2前項の果実は、まず債権の利息に充当し、なお残余があるときは元本に充当しなければならない。
出

一次情報

原文ママ

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