論点1第295条民法
清算金の支払のないまま仮登記担保権者から目的不動産の所有権を取得した第三者の債務者に対する右不動産の明渡請求と債務者の留置権の抗弁
裁判要旨清算金の支払のないまま仮登記担保権者から第三者が目的不動産の所有権を取得した場合には、債務者は、右第三者からの右不動産の明渡請求に対し、仮登記担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権の抗弁権を主張することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和58年3月31日 昭和55(オ)211
- 登載
- 民集 第37巻2号152頁
- 参照法条
- 民法295条,民法482条,仮登記担保契約に関する法律3条1項
論点2第295条民法
土地賃借権の喪失と損害賠償請求権に基づく留置権の成否
裁判要旨従前の土地の賃借人が、換地処分の結果借地権を喪失し、従前の土地の所有者(賃貸人)に対して借地権喪失に基づく損害賠償請求権を有することになつたとしても、右損害賠償請求権と従前の土地との間には、留置権発生の要件である牽連が認められない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和52年12月2日 昭和52(オ)617
- 登載
- 集民 第122号281頁
- 参照法条
- 民法295条,民法601条
論点3第295条民法
農地買収・売渡処分が買収計画取消判決の確定により失効した場合と被売渡人から右土地を買い受けた者の有益費償還請求権に基づく土地留置権の行使
裁判要旨農地買収・売渡処分が買収計画取消判決の確定により当初にさかのぼつて効力を失つた場合において、被売渡人から右土地を買い受けた者が土地につき有益費を支出していても、その支出をした当時、買主が被買収者から買収・売渡処分の無効を理由として所有権に基づく土地返還請求訴訟を提起されており、買主において買収・売渡処分が効力を失うかもしれないことを疑わなかつたことにつき過失があるときには、買主は、右有益費償還請求権に基づく土地の留置権を行使することができない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和51年6月17日 昭和50(オ)1148
- 登載
- 民集 第30巻6号616頁
- 参照法条
- 民法295条
論点4第295条民法
弁済の提供を受けその受領を拒絶した債権者と留置権の行使
裁判要旨適法な弁済の提供を受けながらその受領を拒絶した債権者は、留置権を行使することができない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和49年9月20日 昭和47(オ)862
- 登載
- 集民 第112号557頁
- 参照法条
- 民法295条
論点5第295条民法
建物の買主の占有が抵当権実行による建物の競落人に対抗できない場合と民法二九五条二項
裁判要旨抵当権の設定されている建物の買主は、抵当権の実行により建物が他に競落されたのち不法占有中右建物につき支出した費用に関し留置権を主張することはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和48年10月5日 昭和48(オ)494
- 登載
- 集民 第110号211頁
- 参照法条
- 民法295条2項
論点6第295条民法
一、甲所有の物を買受けた乙が売買代金を支払わないままこれを丙に譲渡した場合における丙の甲に対する物の引渡請求と甲の留置権の抗弁
二、物の引渡請求に対する留置権の抗弁を認容する場合においてその被担保債権の支払義務者が第三者であるときの判決主文
裁判要旨一、甲所有の物を買受けた乙が、売買代金を支払わないままこれを丙に譲渡した場合には、甲は、丙からの物の引渡請求に対して、未払代金債権を被担保債権とする留置権の抗弁権を主張することができる。
二、物の引渡請求に対する留置権の抗弁を認容する場合において、その物に関して生じた債務の支払義務を負う者が、原告ではなく第三者であるときは、被告に対し、その第三者から右債務の支払を受けるのと引換えに物の引渡をすることを命ずるべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和47年11月16日 昭和45(オ)1055
- 登載
- 民集 第26巻9号1619頁
- 参照法条
- 民法295条,民訴法186条
論点7第295条民法
建物賃貸借契約解除後の不法占有と民法二九五条二項の類推適用
裁判要旨建物の賃借人が、債務不履行により賃貸借契約を解除されたのち、権原のないことを知りながら右建物を不法に占有する間に有益費を支出しても、その者は、民法
二九五条二項〈留置権の内容〉の類推適用により、右費用の償還請求権に基づいて右建物に留置権を行使することはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和46年7月16日 昭和42(オ)1341
- 登載
- 民集 第25巻5号749頁
- 参照法条
- 民法295条
論点8第295条民法
借地上の家屋に関する費用償還請求権とその敷地の留置権
裁判要旨借地上の家屋に関する費用償還請求権は、その家屋の敷地自体に関して生じた債権でもなければ、その敷地の所有者に対して取得した債権でもないから、右請求権を有する者であつても、その家屋の敷地を留置する権利は有しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和44年11月6日 昭和44(オ)413
- 登載
- 集民 第97号179頁
- 参照法条
- 民法295条,民法608条
論点9第295条民法
不動産の二重売買の場合の履行不能を理由とする損害賠償債権をもつてする留置権の主張の許否
裁判要旨不動産の二重売買において、第二の買主のため所有権移転登記がされた場合、第一の買主は、第二の買主の右不動産の所有権に基づく明渡請求に対し、売買契約不履行に基づく損害賠償債権をもつて、留置権を主張することは許されない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和43年11月21日 昭和43(オ)586
- 登載
- 民集 第22巻12号2765頁
- 参照法条
- 民法295条
論点10第295条民法
建物賃貸借契約解除後の建物修繕による費用償還請求権と建物留置権
裁判要旨建物賃借人は、建物賃貸借契約解除後占有中の右建物を修繕しても、その修繕費償還請求権をもつて右建物につき留置権を行使することはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和42年1月20日 昭和39(オ)626
- 登載
- 集民 第86号97頁
- 参照法条
- 民法295条2項
論点11第295条民法
建物の売買契約解除後の不法占有と民法第二九五条第二項
裁判要旨建物の売買契約によりその引渡を受けた買主が、右売買契約の合意解除後売主所有の右建物を権原のないことを知りながら不法に占有中、右建物につき必要費、有益費を支出したとしても、買主は、民法
第二九五条第二項〈留置権の内容〉の類推適用により、当該費用の償還請求権に基づく右建物の留置権を主張できない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和41年3月3日 昭和39(オ)654
- 登載
- 民集 第20巻3号386頁
- 参照法条
- 民法295条2項
論点12第295条民法
民法第二九五条第一項〈留置権の内容〉の「他人ノ物」の意義。
裁判要旨民法
第二九五条第一項〈留置権の内容〉の「他人ノ物」とは、債権者以外の者の所有する物でなければならないが、債務者以外の者の所有に属する物であつてもよい。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和38年2月19日 昭和34(オ)1227
- 登載
- 集民 第64号473頁
- 参照法条
- 民法295条1項
論点13第295条民法
売渡担保に供した不動産の返還義務不履行による損害賠償債権をもつてその不動産を留置し得るか。
裁判要旨不動産を売渡担保に供した者は、担保権者が約に反して担保不動産を他に譲渡したことにより担保権者に対して取得した担保物返還義務不履行による損害賠償債権をもつて、右譲受人からの転々譲渡により右不動産の所有権を取得した者の明渡請求に対し、留置権を主張することは許されない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和34年9月3日 昭和32(オ)532
- 登載
- 民集 第13巻11号1357頁
- 参照法条
- 民法295条
論点14第295条民法
一 家屋収去土地明渡の請求は家屋買取請求権の行使があつた場合に家屋の引渡を求める申立を含むか
二 物の引渡請求に対する留置権の抗弁を認容する場合と判決主文
裁判要旨一 家屋収去土地明渡請求に対し家屋買取請求権の行使があつた場合、右明渡請求は家屋の引渡を求める申立を包含する趣旨と解すべきである
二 物の引渡請求に対する留置権の抗弁を認容するときは、引渡請求を棄却することなく、その物に関して生じた債権の弁済と引換に物の引渡を命ずべきである
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和33年6月6日 昭和30(オ)993
- 登載
- 民集 第12巻9号1384頁
- 参照法条
- 民訴法186条,民法295条
論点15第295条民法
一 債務不履行その他背信行為による賃貸借の解除と借家法第五条の適用の有無
二 物の引渡を求める訴訟において留置権の抗弁を認容する場合と判決主文
裁判要旨一 借家法第五条は、賃貸借が賃借人の債務不履行ないしその背信行為のため解除された場合には、その適用がないものと解すべきである。
二 物の引渡を求める訴訟において、被告の留置権の抗弁を認容する場合には、原告の請求を全面的に棄却することなく、その物に関して生じた債権の弁済と引換に物の引渡を命ずべきものと解するを相当とする。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和33年3月13日 昭和31(オ)966
- 登載
- 民集 第12巻3号524頁
- 参照法条
- 借家法5条,民法295条
論点16第295条民法
留置物の使用が物の保存に必要な範囲を超えた場合の必要費、有益費の支出とその償還請求権に基く留置権発生の有無
裁判要旨留置権者が留置物について必要費、有益費を支出しその償還請求権を有するときは、物の保存に必要な範囲を超えた使用に基く場合であつたとしても、その償還請求権につき留置権の発生を妨げない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和33年1月17日 昭和30(オ)452
- 登載
- 民集 第12巻1号55頁
- 参照法条
- 民法295条,民法298条,民法299条
論点17第295条民法
造作買取請求権行使の場合における造作代金支払義務と家屋明渡義務との関係――留置権または同時履行抗弁権の成否
裁判要旨借家法第五条により造作の買収を請求した家屋の賃借人は、その代金の不払を理由として右家屋を留置し、または右代金の提供がないことを理由として同時履行の抗弁により右家屋の明渡を拒むことはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和29年7月22日 昭和27(オ)1069
- 登載
- 民集 第8巻7号1425頁
- 参照法条
- 借家法5条,民法295条,民法533条
論点18第295条民法
譲渡担保権の実行として譲渡された不動産を取得した者の譲渡担保権設定者に対する明渡請求と譲渡担保権設定者の留置権の主張の可否
裁判要旨譲渡担保権設定者は、譲渡担保権の実行として譲渡された不動産を取得した者からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成9年4月11日 平成5(オ)358
- 登載
- 集民 第183号241頁
- 参照法条
- 民法295条,民法369条(譲渡担保)
論点19第295条民法
不動産は,商法521条が商人間の留置権の目的物として定める「物」に当たるか
裁判要旨不動産は,商法521条が商人間の留置権の目的物として定める「物」に当たる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成29年12月14日 平成29(受)675
- 登載
- 民集 第71巻10号2184頁
- 参照法条
- 商法521条,民法295条1項
論点20第295条民法
登録自動車を目的とする民法上の留置権による競売において民事執行法181条1項1号所定の「担保権の存在を証する確定判決」に該当するための要件
裁判要旨登録自動車を目的とする民法上の留置権による競売においては,その被担保債権が当該自動車に関して生じたことが主要事実として認定されている確定判決であれば,債権者による当該自動車の占有の事実が認定されていなくとも,民事執行法181条1項1号所定の「担保権の存在を証する確定判決」に当たる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成18年10月27日 平成18(許)21
- 登載
- 民集 第60巻8号3234頁
- 参照法条
- 民事執行法181条1項1号,民事執行法195条,民事執行規則176条2項,民法295条1項
論点21第296条民法
留置権者が留置物の一部を債務者に引き渡した場合における被担保債権の範囲
裁判要旨留置権者は、留置物の一部を債務者に引き渡した場合においても、特段の事情のない限り、債権の全部の弁済を受けるまで、留置物の残部につき留置権を行使することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成3年7月16日 昭和63(オ)1572
- 登載
- 民集 第45巻6号1101頁
- 参照法条
- 民法296条
論点22第298条民法
一 自動車の修理料債権が民法第一七三条第二号所定の居職人の仕事に関する債権にあたらないとされた事例。
二 留置物の第三取得者は民法第二九八条第三項により留置権の消滅を請求できるか。
裁判要旨一 修理工場を設けて自動車の修理業を営む会社が自動車の修理によつて得た修理料債権は、民法第一七三条第二号所定の居職人の仕事に関する債権にあたらない。
二 留置物の第三取得者も、民法
第二九八条第三項〈留置権者による留置物の保管等〉により留置権の消滅を請求できる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和40年7月15日 昭和39(オ)748
- 登載
- 民集 第19巻5号1275頁
- 参照法条
- 民法173条,民法298条
論点23第298条民法
民法第二九八条第三項〈留置権者による留置物の保管等〉の法意。
裁判要旨留置権者が民法第二九八条第一項および第二項の規定に違反したときは、当該留置場の所有者は、当該違反行為が終了したかどうか、またこれによつて損害を受けたかどうかを問わず、当該留置権の消滅を請求することができるものと解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和38年5月31日 昭和33(オ)527
- 登載
- 民集 第17巻4号570頁
- 参照法条
- 民法298条
論点24第298条民法
留置権者が留置物の使用等の承諾を受けた後に留置物の所有権を取得した者による留置物の使用等を理由とする留置権の消滅請求の可否
裁判要旨留置物の所有権が譲渡等により第三者に移転した場合において、右につき対抗要件を具備するよりも前に留置権者が留置物の使用又は賃貸についての承諾を受けていたときは、新所有者は、留置権者に対し、右使用等を理由に留置権の消滅請求をすることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成9年7月3日 平成6(オ)1279
- 登載
- 民集 第51巻6号2500頁
- 参照法条
- 民法177条,民法298条
論点25第300条民法
訴訟上の留置権の抗弁と被担保債権の消滅時効の中断。
裁判要旨留置権の抗弁は、被担保債権の債務者が原告である訴訟において提出された場合には、当該債権について消滅時効中断の効力があり、かつ、その効力は、右抗弁の撤回されてないかぎり、その訴訟係属中存続するものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和38年10月30日 昭和35(オ)362
- 登載
- 民集 第17巻9号1252頁
- 参照法条
- 民法147条1号,民法153条,民法300条