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物権/永小作権

永小作権の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

永小作権は、小作料を支払って他人の土地で耕作・牧畜をする権利です。ここでは存続期間、譲渡・賃貸の可否、小作料の減免、放棄・消滅請求といった権利義務の骨格を、民法270条から279条までの条文に基づいて整理しています。

永小作権
項目内容
権利の内容小作料を払い耕作・牧畜をする権利
存続期間20年以上50年以下
期間の定めがない場合30年(別段の慣習あれば別)
更新後の存続期間更新時から50年以内
土地の変更回復不能な変更は禁止
譲渡・賃貸譲渡・賃貸可(設定行為で禁止も可)
小作料の減免不可抗力でも減免請求不可
放棄3年収益ゼロ/5年少収で放棄可
消滅請求2年滞納で所有者が消滅請求可
  • 271条から276条までの規定と異なる慣習があるときは、その慣習が優先されます。
  • 永小作人の義務について永小作権の規定にない部分は、性質に反しない限り賃貸借の規定が準用されます。
  • 工作物等の収去等については、地上権に関する269条の規定が準用されます。
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永小作権

永小作権について、条文は何を定めているか。

第270条永小作権の内容小作料を払い耕作・牧畜をする権利1項判例なし
  • 他人の土地で耕作または牧畜ができる権利
  • 権利行使には小作料の支払いが前提となる
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第271条永小作人による土地の変更の制限回復不能な土地変更は禁止1項判例なし
  • 土地に元へ戻せない変更を加えることはできない
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第272条永小作権の譲渡又は土地の賃貸権利の譲渡・土地の賃貸ができる1項判例なし
  • 永小作権そのものを他人に譲渡できる
  • 存続期間内なら耕作・牧畜目的で土地を賃貸できる
  • 設定行為で禁止されている場合はできない
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第273条賃貸借に関する規定の準用定めのない事項は賃貸借の規定を準用1項判例なし
  • 永小作権の規定と設定行為にない部分が対象
  • 性質に反しない範囲で賃貸借の規定に従う
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第274条小作料の減免不可抗力でも小作料の減免は請求不可1項判例なし
  • 天災等で収益が減っても減額・免除は求められない
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第275条永小作権の放棄一定の不作・減収があれば放棄できる1項判例なし
  • 不可抗力で3年以上全く収益がなければ放棄可
  • 不可抗力で5年以上小作料未満の収益でも放棄可
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第276条永小作権の消滅請求2年滞納で所有者が消滅を請求できる1項判例 2件
  • 小作料の支払いを2年以上怠った場合が対象
  • 土地所有者が永小作権の消滅を請求できる
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第277条永小作権に関する慣習271条〈永小作人による土地の変更の制限〉〜276条〈永小作権の消滅請求〉は異なる慣習が優先1項判例なし
  • 271条〈永小作人による土地の変更の制限〉から276条〈永小作権の消滅請求〉までの規定と異なる慣習があればそちらに従う
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第278条永小作権の存続期間存続期間は20年以上50年以下3項判例なし
  • 50年を超える定めをしても50年に短縮される
  • 更新できるが、更新後も50年を超えられない
  • 期間の定めがなければ原則30年(別段の慣習は例外)
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第279条工作物等の収去等工作物等の収去は269条〈工作物等の収去等〉を準用1項判例なし
  • 地上権の工作物等の収去等の規定が永小作権にも適用される
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第276条民法

地上権者が地上権設定契約の合意解除をもつて地上権者からの当該土地の賃借人に対抗しうる場合

裁判要旨地上権者が地上権の目的土地を第三者に賃貸したのちに地上権設定者と地上権者とが合意で地上権設定契約を解除した場合、地上権設定者は、原則として、右第三者(賃借人)に対し、右合意解除により地上権者と賃借人との間の賃貸借契約が終了したと主張することはできないが、地上権設定者が、地上権者の債務不履行を理由として民法二六六条一項、二七六条所定の地上権の消滅請求又は法定の解除権を行使する旨の意思表示をし、これによつて地上権設定契約及びこれを基礎とする右賃貸借契約が既に終了しているといえる事実関係のあるときには、合意解除されても、地上権設定者が、これに応ずるに当たつて、右の賃貸借契約の終了によつて受けうべき利益を放棄したといえる事情のあるときは格別、そうでない限り、地上権設定者は、合意解除により地上権者と賃借人との間の賃貸借契約も終了した旨主張することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和59年10月8日 昭和58(オ)513
登載
集民 第143号29頁
参照法条
民法266条1項,民法276条,民法398条,民法545条1項
論点2第276条民法

一 当事者双方不出頭の口頭弁論期日における弁論終結の際の判決言渡期日指定の告知

二 土地所有者が地代の受領を拒絶し又はこれを受領しない意思が明確であるため地上権者において提供をするまでもなく債務不履行の責を免れる事情にある場合と民法二六六条一項〈地代〉二七六条〈永小作権の消滅請求〉に基づく地上権消滅請求

裁判要旨一 当事者双方不出頭の口頭弁論期日において弁論を終結するに際し、裁判長が法廷において判決言渡期日を指定し、これを告知する方法としてその言渡をしたときは、当事者に対してその効力を生じ、更に右期日に出頭すべき旨の呼出状を送達することを要しない。

二 土地所有者が地代の受領を拒絶し又は地上権の存在を否定する等弁済を受領しない意思が明確であるため地上権者が言語上の提供をするまでもなく地代債務の不履行の責を免れるという事情がある場合には、土地所有者は、みずから受領拒絶の態度を改め、以後地代を提供されればこれを確実に受領すべき旨を明らかにしたのち相当期間を経過したか、又は相当期間を定めて催告をしたにもかかわらず地上権者が右期間を徒過した等、自己の受領遅滞又はこれに準ずる事態を解消させる措置を講じたのちでなければ、民法二六六条一項〈地代〉、二七六条〈永小作権の消滅請求〉に基づく地上権消滅請求の意思表示をすることができない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和56年3月20日 昭和53(オ)400
登載
民集 第35巻2号219頁
参照法条
民訴法190条2項,民訴法207条,民法266条1項,民法276条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民法 第270条(永小作権の内容) 詳細ページ
(永小作権の内容)
第二百七十条永小作人は、小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利を有する。
民法 第271条(永小作人による土地の変更の制限) 詳細ページ
(永小作人による土地の変更の制限)
第二百七十一条永小作人は、土地に対して、回復することのできない損害を生ずべき変更を加えることができない。
民法 第272条(永小作権の譲渡又は土地の賃貸) 詳細ページ
(永小作権の譲渡又は土地の賃貸)
第二百七十二条永小作人は、その権利を他人に譲り渡し、又はその権利の存続期間内において耕作若しくは牧畜のため土地を賃貸することができる。ただし、設定行為で禁じたときは、この限りでない。
民法 第273条(賃貸借に関する規定の準用) 詳細ページ
(賃貸借に関する規定の準用)
第二百七十三条永小作人の義務については、この章の規定及び設定行為で定めるもののほか、その性質に反しない限り、賃貸借に関する規定を準用する。
民法 第274条(小作料の減免) 詳細ページ
(小作料の減免)
第二百七十四条永小作人は、不可抗力により収益について損失を受けたときであっても、小作料の免除又は減額を請求することができない。
民法 第275条(永小作権の放棄) 詳細ページ
(永小作権の放棄)
第二百七十五条永小作人は、不可抗力によって、引き続き三年以上全く収益を得ず、又は五年以上小作料より少ない収益を得たときは、その権利を放棄することができる。
民法 第276条(永小作権の消滅請求) 詳細ページ
(永小作権の消滅請求)
第二百七十六条永小作人が引き続き二年以上小作料の支払を怠ったときは、土地の所有者は、永小作権の消滅を請求することができる。
民法 第277条(永小作権に関する慣習) 詳細ページ
(永小作権に関する慣習)
第二百七十七条第二百七十一条から前条までの規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。
民法 第278条(永小作権の存続期間) 詳細ページ
(永小作権の存続期間)
第二百七十八条永小作権の存続期間は、二十年以上五十年以下とする。設定行為で五十年より長い期間を定めたときであっても、その期間は、五十年とする。
2永小作権の設定は、更新することができる。ただし、その存続期間は、更新の時から五十年を超えることができない。
3設定行為で永小作権の存続期間を定めなかったときは、その期間は、別段の慣習がある場合を除き、三十年とする。
民法 第279条(工作物等の収去等) 詳細ページ
(工作物等の収去等)
第二百七十九条第二百六十九条の規定は、永小作権について準用する。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。