論点1第494条民法
土地の賃貸借契約を一部解除した賃貸人が解除した部分につき損害金として残余の部分につき賃料として金員の支払を求めたのに対し賃借人が全額を賃料として弁済のため供託した場合と供託の効力
裁判要旨土地の賃貸人が、一括して賃貸した土地の一部につき賃貸借契約を解除し、賃借人に対し右部分については損害金として残余の部分については賃料として金員の支払を求め、賃借人が右土地の全部につき全額を賃料として弁済のため供託した場合には、右供託は、右賃料部分に関しては有効な弁済供託があつたものと解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和53年12月5日 昭和53(オ)73
- 登載
- 集民 第125号783頁
- 参照法条
- 民法494条
論点2第494条民法
正当な賃料支払の相手方を確知できないため賃料の支払をしなかつた土地賃借人につきその責に帰すべき履行遅滞がないとされた事例
裁判要旨賃貸人甲が係争土地をその弟乙に売渡し、乙がさらにこれを甲の養子丙、丁に売渡した場合において、甲の死亡後その実子とされている戊と丙、丁との間に係争土地及び甲の相続財産の帰属に関し深刻な紛争を生じ、戊から丙、丁を相手方として係争土地に処分禁止の仮処分をし、また、戊の訴提起により甲〜丙、丁間の養子縁組の無効確認を求める訴訟及び係争土地の所有権移転登記手続を求める訴訟が係属していたなど判示の事情があるときは、正当な賃料支払の相手方を確知できないため賃料の支払をしなかつた係争土地の賃借人につき、その責に帰すべき履行遅滞はない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和50年2月27日 昭和48(オ)345
- 登載
- 集民 第114号241頁
- 参照法条
- 民法412条,民法494条
論点3第494条民法
本人のためにすることを示さないでした代理人による弁済供託と民法一〇〇条但書の適用
裁判要旨供託者が、債務者の代理人としてする意思で、本人のためにすることを表示することなく、債権者を被供託者として弁済供託をした場合、被供託者において本人のためにされたものであることを知り又は知りうべきであつたときは、右弁済供託は債務者より債権者に対するものとしての効力を有する。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和50年11月20日 昭和46(オ)279
- 登載
- 集民 第116号489頁
- 参照法条
- 民法100条,民法494条,民法495条
論点4第494条民法
債務の一部ずつの弁済供託が債務全額に達した場合と供託の効力
裁判要旨債務の一部ずつの弁済供託がなされた場合であつても、各供託金の合計額が債務全額に達したときは、その全額について有効な供託があつたものと解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和46年9月21日 昭和44(オ)852
- 登載
- 民集 第25巻6号857頁
- 参照法条
- 民法494条
論点5第494条民法
家屋の賃借権の存否につき争いがある場合において家屋の所有者が家賃の弁済として供託された金員の還付を受けたときの効果
裁判要旨家屋の賃借権の存否につき争いがある場合において、家屋の所有者が家賃の弁済として家屋の占有者から供託された金員の還付を受けた事実があつても、右家屋の所有者が右占有者に対しその当時まで一度も右家屋を賃貸したことがなく、また、右家屋の所有者が、右供託金の還付を受けた日時の前後を通じ、右占有者が何らの権原もなく右家屋を占有していると主張して、その明渡等を求める訴訟を続けていたときには、右供託金の還付を受けた事実をもつて、右家屋を賃貸することを承認したものとはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和44年7月24日 昭和44(オ)497
- 登載
- 集民 第96号401頁
- 参照法条
- 民法494条,民法601条
論点6第494条民法
供託金につき一部弁済の効力が否定された事例
裁判要旨原判決認定の事実関係(原判決理由参照)のもとにおいて、土地の賃料として金員(一三三二万余円)が供託され、また、右供託金につき賃貸人(土地所有者)に対する税金滞納処分により強制的に還付手続が行なわれたとしても、一部弁済の効力を生ずるものとはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和43年6月21日 昭和40(オ)1479
- 登載
- 集民 第91号387頁
- 参照法条
- 民法493条,民法494条
論点7第494条民法
訴訟中請求金額に不足する弁済供託金を受領した場合に供託金額をこえる部分について留保の意思表示があるとされた事例
裁判要旨金額に争のある債権について全額に対する弁済を供託原因として供託した金額が債権者の主張する額に足りないのに、債権者がその供託金を受領した場合であつても、右供託金を受領するまで、一貫して供託金額をこえる金額を請求する訴訟が維持続行されているときは、右請求の金額中供託金額をこえる部分については、留保の意思表示がされていると解すべきで、その部分の債務は消滅しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和42年8月24日 昭和41(オ)1180
- 登載
- 民集 第21巻7号1719頁
- 参照法条
- 民法494条,民法496条
論点8第494条民法
訴訟中請求金額に不足する弁済供託金を受領した場合に、供託金額をこえる部分について留保の意思表示があるとされた事例
裁判要旨金額に争いのある債権につき、全額に対する弁済を供託原因として供託した金額が債権者の主張する額に足りないのに、債権者がその供託金を受領した場合であつても、債権者において、右供託金を受領するまで一貫して供託金額をこえる金額を請求する訴訟を維持続行していたときには、請求金額中供託金額をこえる部分については、当然留保の意思表示がなされているものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和42年11月2日 昭和40(オ)914
- 登載
- 集民 第89号47頁
- 参照法条
- 民法494条,民法496条
論点9第494条民法
同時履行の関係にないものを反対給付の内容とした供託の効力
裁判要旨抵当権設定登記の抹消を反対給付の内容としてした被担保債権の供託は無効である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和41年9月16日 昭和41(オ)633
- 登載
- 集民 第84号397頁
- 参照法条
- 民法494条,供託法10条
論点10第494条民法
賃借人のした延滞賃料の弁済提供・供託金額の不足が債務の本旨に従わないものでないとされた事例
裁判要旨賃料債務について履行遅滞にある賃借人が、賃貸人から賃貸借を解除される前に右延滞賃料額金一、六二〇円を弁済のため提供し、供託した場合において、右金額が正当な債務額より遅延損害金たる金一二円七〇銭ないし一四円が不足するとしても、右弁済提供および供託が、ただちに、債務の本旨に従わないものであるとはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和41年3月29日 昭和39(オ)1318
- 登載
- 集民 第82号785頁
- 参照法条
- 民法493条,民法494条
論点11第494条民法
供託無効確認の訴の適否。
裁判要旨単に供託が無効であることの確認を求める訴は、許されない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和40年11月25日 昭和39(オ)327
- 登載
- 民集 第19巻8号2040頁
- 参照法条
- 民法494条,民訴法225条
論点12第494条民法
賃貸人が賃貸借契約解除後その効力を争う賃借人が賃料として供託した金員を受領した場合の効果。
裁判要旨賃貸人が賃貸借契約解除の意思表示をなした後に、右解除の効力を争う賃借人が右解除の日以降の賃料として供託した金員を受領した場合であつても、右受領により賃貸借の解除の効果を消滅せしめ、もしくはそのときに新たな賃貸借契約を締結したものと認めるべき特別の事情でもあれば格別、却つて右供託金受領の前後を通じて賃貸借契約が解除されたことを主張して家屋明渡訴訟を維持している場合には右解除の効力に影響はない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和39年4月10日 昭和36(オ)323
- 登載
- 集民 第73号71頁
- 参照法条
- 民法494条,民法540条
論点13第494条民法
土地賃借権の存否につき争いのある場合において地代の弁済としての供託金および地代として支払われた現金を土地所有者が受領したときの効果。
裁判要旨土地賃借権の存否につき争いのある場合において、土地所有者が地代の弁済としての供託金および地代として支払われた現金を受領した事実があつても、かつて土地の賃貸借がなされた事実なく地上建物も土地所有者の承諾を得ずに建築されたものであり、右供託金および現金の受領も、両者間の紛争の仲裁に入つた第三者からこれを受領しないと物事に角が立つからとすすめられた結果なされたものであるときは、右受領により、土地所有者において賃貸借を承認し、もしくは新たに賃貸借契約を結んだことになるものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和39年2月14日 昭和36(オ)215
- 登載
- 集民 第72号171頁
- 参照法条
- 民法494条
論点14第494条民法
不足の弁済供託金を債権の一部弁済として受領する旨あらかじめ留保して還付を受けた場合の効力。
裁判要旨債権全額に対する弁済として債務者のなした供託金額が債権額に足りない場合において、債権者が債務者に対して右供託金を債権の一部に充当する旨通知し、かつ、供託所に対して右留保の意思を明らかにして還付を受けたときは、右供託金は債権の一部の弁済に充当されたものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和38年9月19日 昭和35(オ)724
- 登載
- 民集 第17巻8号981頁
- 参照法条
- 民法494条
論点15第494条民法
債権者に対する供託受領証書の交付は弁済供託の有効要件か
裁判要旨債権者に対し供託受領証書を交付することは、弁済供託の有効要件ではない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和37年3月30日 昭和34(オ)1018
- 登載
- 集民 第59号721頁
- 参照法条
- 民法494条
論点16第494条民法
供託した旨の主張と受領拒絶を前提とする主張かどうかの釈明義務
裁判要旨供託した旨の主張中に、提供したけれども受領を拒絶された旨の主張が包含されているとはかぎらず、後者の主張を前提とするかどうかを釈明させる義務は裁判所にない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和37年2月22日 昭和35(オ)1353
- 登載
- 集民 第58号827頁
- 参照法条
- 民法494条,民訴法127条
論点17第494条民法
一 供託金額の不足が弁済提供および供託の効力に影響を及ぼさない事例
二 売渡担保の目的物返還義務不履行による損害額算定の時期
裁判要旨一 消費貸借上の債務弁済のため提供供託された元利合計金一五万三一四〇円が、正当な元利合計額に金一、三〇〇余円不足するとしても、この一事により弁済提供および供託の効果を否定することはできない。
二 債権者が弁済期到来前売渡担保の目的物である山林の立木を伐採したため、弁済により右山林の所有権が債務者に復帰した場合立木の引渡不能によつて債務者の被るべき損害の額は、右不能が確定的となつた伐採時の価格を基準として算出すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和35年12月15日 昭和33(オ)483
- 登載
- 民集 第14巻14号3060頁
- 参照法条
- 民法492条,民法494条,民法415条
論点18第494条民法
不足の弁済供託金を無留保で受領した場合の効力。
裁判要旨金額に争のある債権につき、全額に対する弁済を供託原因として供託した金額が、債権者の主張する額に足らない場合であつても、債権者が供託書の交付を受けてその供託金を受領したときは、受領の際別段の留保の意思表示をなした等特別の事情のない限り、その債権の金額に対する弁済供託の効力を認めたものと解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和33年12月18日 昭和33(オ)119
- 登載
- 民集 第12巻16号3323頁
- 参照法条
- 民法494条,民法496条
論点19第494条民法
抵当権の物上代位と抵当不動産について供託された賃料の還付請求権
裁判要旨抵当不動産が賃貸された場合においては、抵当権者は、民法
三七二条〈留置権等の規定の準用〉、
三〇四条〈物上代位〉の規定の趣旨に従い、賃借人が供託した賃料の還付請求権についても抵当権を行使することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成元年10月27日 昭和60(オ)1270
- 登載
- 民集 第43巻9号1070頁
- 参照法条
- 民法304条,民法372条,民法494条
論点20第494条民法
被害者の受領拒絶を理由とする損害賠償債務についての弁済供託と自動車損害賠償保障法一五条にいう「支払」
裁判要旨被害者の受領拒絶を理由とする損害賠償債務についての弁済供託は、自動車損害賠償保障法一五条にいう「支払」に当たる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成7年4月25日 平成5(オ)843
- 登載
- 集民 第175号123頁
- 参照法条
- 自動車損害賠償保障法15条,民法494条
論点21第494条民法
交通事故による損害賠償債務についての一部の弁済の提供及び供託が有効である場合
裁判要旨交通事故によって被った損害の賠償を求める訴訟の控訴審係属中に、加害者が被害者に対し、第一審判決によって支払を命じられた損害賠償金の全額を任意に弁済のため提供した場合には、その提供額が損害賠償債務の全額に満たないことが控訴審における審理判断の結果判明したときであっても、原則として、その弁済の提供はその範囲において有効であり、被害者においてその受領を拒絶したことを理由にされた弁済のための供託もまた有効である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成6年7月18日 平成3(オ)1311
- 登載
- 民集 第48巻5号1165頁
- 参照法条
- 民法493条,民法494条
論点22第494条民法
債権者を確知することができないことを理由とする弁済供託の被供託者の中に権利義務の帰属主体となる実体を備えていないものが含まれる場合と供託の効力
裁判要旨債権者を確知することができないことを理由とする弁済供託は、被供託者の中に、還付請求権を有する者が含まれている以上、権利義務の帰属主体となる実体を備えていないものが含まれていても、無効とはならない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成6年3月10日 平成4(オ)281
- 登載
- 集民 第172号55頁
- 参照法条
- 民法494条後段,供託法9条
論点23第495条民法
債務履行地外の供託所に対する弁済供託が有効とされた事例
裁判要旨債務履行地である群馬県吾妻郡a町に供託所がない場合において、前橋地方法務局にした弁済供託は、相当の供託所に対する供託として有効である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和55年11月11日 昭和55(オ)528
- 登載
- 集民 第131号121頁
- 参照法条
- 民法495条,供託法1条
論点24第496条民法
債務の弁済供託により譲渡担保権が消滅した場合と民法四九六条二項の類推適用
裁判要旨債務の弁済供託により譲渡担保権が消滅した場合にも、民法
四九六条二項〈供託物の取戻し〉が類推適用される。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和53年12月22日 昭和51(オ)521
- 登載
- 集民 第125号913頁
- 参照法条
- 民法369条,民法496条2項
論点25第496条民法
一、弁済供託における供託金取戻請求が供託官により却下された場合と訴訟の形式
二、弁済供託における供託金取戻請求権の消滅時効の起算点および期間
裁判要旨一、弁済供託における供託金取戻請求が供託官により却下された場合には、供託官を被告として却下処分の取消の訴を提起することができる。
二、弁済供託における供託金取戻請求権の消滅時効は、供託の基礎となつた債務について紛争の解決などによつてその不存在が確定するなど、供託者が免責の効果を受ける必要が消滅した時から進行し、一〇年をもつて完成する。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和45年7月15日 昭和40(行ツ)100
- 登載
- 民集 第24巻7号771頁
- 参照法条
- 供託法1条ノ3,供託法8条2項,供託規則38条,民法166条1項,民法167条1項,民法496条1項,行政事件訴訟法3条2項,会計法30条
論点26第496条民法
弁済供託の供託金取戻請求権に対する転付命令の効力。
裁判要旨弁済供託の供託金取戻請求権が転付命令により供託者の他の債権者に転付されただけでは、被供託者の供託金還付請求権に消長をきたすものではなく、したがつて供託の効力が失われるものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和37年7月13日 昭和36(オ)340
- 登載
- 民集 第16巻8号1556頁
- 参照法条
- 民法496条,民訴法601条
論点27第496条民法
1 弁済供託における供託金取戻請求権の消滅時効の起算点
2 債権者不確知を原因とする弁済供託に係る供託金取戻請求の却下処分が違法とされた事例
裁判要旨1 弁済供託における供託金取戻請求権の消滅時効は,過失なくして債権者を確知することができないことを原因とする弁済供託の場合を含め,供託者が免責の効果を受ける必要が消滅した時から進行する。
2 過失なくして債権者を確知することができないことを原因として賃料債務についてされた弁済供託につき,同債務の各弁済期の翌日から民法169条所定の5年の時効期間が経過した時から更に10年が経過する前にされた供託金取戻請求に対し,同取戻請求権の消滅時効が完成したとしてこれを却下した処分は,違法である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成13年11月27日 平成10(行ツ)22
- 登載
- 民集 第55巻6号1334頁
- 参照法条
- 供託法8条2項,民法166条1項,民法167条1項,民法169条,民法496条1項