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夫婦財産制/法定財産制

法定財産制の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

法定財産制は、夫婦間で財産契約を結ばなかった場合に適用される財産関係のルールです。婚姻費用の分担、日常家事債務の連帯責任、夫婦の財産の帰属という3つの場面について定めています。

法定財産制
場面誰が対象か内容根拠条文
婚姻費用の分担夫婦双方資産・収入等を考慮し分担760条
日常家事債務行為をした本人以外の配偶者連帯して責任を負う761条
予告した場合の例外責任を負わないと予告した配偶者連帯責任を負わない761条ただし書
婚姻前・婚姻中自己名義の財産財産を得た配偶者特有財産(単独所有)762条1項
帰属が不明な財産夫婦共有と推定762条2項
  • 婚姻費用の分担は「その他一切の事情」も考慮対象とされている(760条)。
  • 761条ただし書の適用は、あらかじめ第三者に責任を負わない旨を予告した場合に限られる。
  • 762条2項の「共有に属するものと推定する」は推定であり、確定的な帰属ではない。
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法定財産制

法定財産制について、条文は何を定めているか。

第760条婚姻費用の分担夫婦は資産や収入等に応じ生活費を分担する1項判例 10件
  • 婚姻から生じる費用をどう分担するかのルール
  • 資産、収入その他一切の事情を考慮して決める
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第761条日常の家事に関する債務の連帯責任日常家事の債務は夫婦が連帯して負う1項判例 2件
  • 夫婦の一方が日常家事で第三者と結んだ債務は他方も連帯責任を負う
  • 事前に第三者へ責任を負わないと予告していれば連帯責任を負わない
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第762条夫婦間における財産の帰属婚姻前・自己名義の財産は各自のもの、不明な財産は共有推定2項判例 2件
  • 婚姻前から持つ財産と婚姻中に自分の名義で得た財産は特有財産(単独所有)
  • どちらの財産か明らかでないものは共有に属すると推定される
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第760条民法

調停によつて将来にわたり支払うこととされた婚姻費用分担に関する債権を被保全債権とする詐害行為取消権の成否

裁判要旨調停によつて毎月一定額を支払うことと定められた将来の婚姻費用の分担に関する債権は、詐害行為当時いまだその支払期日が到来しない場合であつても、詐害行為取消権の成否を判断するにあたつては、これをもつてすでに発生した債権というを妨げず、詐害行為当時、当事者間の婚姻関係その他の事情から、右調停の前提たる事実関係の存続がかなりの蓋然性をもつて予測される限度において、これを被保全債権とする詐害行為取消権が成立するものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和46年9月21日 昭和43(オ)1215
登載
民集 第25巻6号823頁
参照法条
民法424条,民法760条
論点2第760条民法

判決手続による婚姻費用の請求とその分担額の決定

裁判要旨民法第七六〇条〈婚姻費用の分担〉の規定による婚姻費用の分担額は、協議がととのわないかぎり、家庭裁判所が決定すべきであつて、通常裁判所が判決手続で判定すべきものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年9月20日 昭和43(オ)458
登載
民集 第22巻9号1938頁
参照法条
民法760条,家事審判法9条1項乙類3号
論点3第760条民法

一 内縁関係を破綻させた第三者の不法行為の成否
二 内縁に民法第七六〇条の規定は類推適用されるか

裁判要旨一 内縁関係に不当な干渉をしてこれを破綻するにいたらしめた者は、不法行為に基づく損害賠償の責任を負う。
二 民法第七六〇条〈婚姻費用の分担〉の規定は、内縁に類推適用されるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和41年2月22日 昭和39(オ)714
登載
集民 第82号453頁
参照法条
民法709条,民法760条
論点4第760条民法

一 家事審判法第九条第一項乙類第三号の婚姻費用の分担に関する処分の審判の合憲性。
二 婚姻費用の分担に関する審判の効力。
三 家庭裁判所は審判時から過去に遡つて婚姻費用の分担に関する処分をすることができるか。

裁判要旨一 家事審判法第九条第一項乙類第三号の婚姻費用の分担に関する処分の審判は、憲法第三二条、第八二条に違反しない。
二 婚姻費用分担義務を前提とする審判がなされた場合でも、右分担義務の存否については、別に訴を提起することを妨げない。
三 家庭裁判所は、審判時から過去に遡つて、婚姻費用の分担に関する処分をすることができる。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和40年6月30日 昭和37(ク)243
登載
民集 第19巻4号1114頁
参照法条
憲法32条,憲法82条,民法760条,家事審判法9条1項乙類3号,家事審判法7条,家事審判法15条,家事審判規則6条
論点5第760条民法

一 内縁不当破棄と不法行為の成否
二 内縁に民法第七六〇条の規定は準用されるか

裁判要旨一 内縁を不当に破棄された者は、相手方に対し不法行為を理由として損害の賠償を求めることができる
二 民法第七六〇条〈婚姻費用の分担〉の規定は、内縁に準用されるものと解すべきである
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和33年4月11日 昭和32(オ)21
登載
民集 第12巻5号789頁
参照法条
民法709条,民法760条
論点6第760条民法

仮の地位を定める仮処分の適法な限界を超えない一場合

裁判要旨甲の土地所有権につき仮の地位を定めるため、右土地に対する乙の占有を解きその立入を禁止し、甲の委任する執行吏の保管に付するとともに、執行吏に土地の荒廃を防ぐため適当の措置を講ずることを命じ且つ耕作を目的とするかぎり甲の立入を許す権限を与える旨の仮処分は、保全処分の限界を越えるものではなく適法である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和28年9月8日 昭和26(オ)165
登載
民集 第7巻9号882頁
参照法条
民法760条
論点7第760条民法

婚姻費用の分担に関する処分の審判に対する抗告審が抗告の相手方に対し抗告状及び抗告理由書の副本を送達せず,反論の機会を与えることなく不利益な判断をしたことと憲法32条

裁判要旨婚姻費用の分担に関する処分の審判に対する抗告審が,抗告の相手方に対し抗告状及び抗告理由書の副本を送達せず,反論の機会を与えることなく不利益な判断をしたことは,憲法32条所定の「裁判を受ける権利」を侵害したものとはいえない。
(補足意見及び反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成20年5月8日 平成19(ク)1128
登載
集民 第228号1頁
参照法条
憲法32条,民法760条,家事審判法7条,家事審判法9条1項乙類3号,家事審判規則18条,非訟事件手続法25条,民訴法289条1項,民訴法331条本文
論点8第760条民法

夫婦間における婚姻費用の分担の内容を定める合意の無効確認を求める訴えの適否

裁判要旨夫婦間における婚姻費用の分担の内容を定める合意の無効確認を求める訴えは、確認の利益を欠くものとして不適法である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 令和7年9月4日 令和6(受)239
登載
民集 第79巻6号2637頁
参照法条
民法760条、民訴法134条の2、家事事件手続法39条、家事事件手続法別表第2の2の項
論点9第760条民法

婚姻費用分担審判において、夫とその妻が婚姻後に出産し戸籍上夫婦の嫡出子とされている子であって民法772条による嫡出の推定を受けないものとの間の父子関係の存否を審理判断することなく、夫の上記子に対する上記父子関係に基づく扶養義務を認めた原審の判断に違法があるとされた事例

裁判要旨婚姻費用分担審判において、夫とその妻が婚姻後に出産し戸籍上夫婦の嫡出子とされている子であって民法772条による嫡出の推定を受けないものとの間の父子関係の存否は訴訟において最終的に判断されるべきものであることを理由に、上記父子関係の不存在を確認する旨の判決が確定するまで夫は扶養義務を免れないとして、上記父子関係の存否を審理判断することなく、夫の上記子に対する上記父子関係に基づく扶養義務を認めた原審の判断には、違法がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 令和5年5月17日 令和4(許)17
登載
集民 第270号103頁
参照法条
民法760条、民法772条、民法877条1項、家事事件手続法39条、家事事件手続法別表第2の2の項
論点10第760条民法

婚姻費用分担審判の申立て後に当事者が離婚した場合における婚姻費用分担請求権の帰すう

裁判要旨婚姻費用分担審判の申立て後に当事者が離婚したとしても,これにより婚姻費用分担請求権は消滅しない
裁判
最高裁判所第一小法廷 令和2年1月23日 平成31(許)1
登載
民集 第74巻1号1頁
参照法条
民法760条,家事事件手続法39条,家事事件手続法別表第2の2の項
論点11第761条民法

一、民法七六一条〈日常の家事に関する債務の連帯責任〉と夫婦相互の代理権
二、民法七六一条と表見代理

裁判要旨一、民法七六一条〈日常の家事に関する債務の連帯責任〉は、夫婦が相互に日常の家事に関する法律行為につき他方を代理する権限を有することをも規定しているものと解すべきである。
二、夫婦の一方が民法七六一条所定の日常の家事に関する代理権の範囲を越えて第三者と法律行為をした場合においては、その代理権を基礎として一般的に同法一一〇条所定の表見代理の成立を肯定すべきではなく、その越権行為の相手方である第三者においてその行為がその夫婦の日常の家事に関する法律行為に属すると信ずるにつき正当の理由のあるときにかぎり、同条の趣旨を類推して第三者の保護をはかるべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和44年12月18日 昭和43(オ)971
登載
民集 第23巻12号2476頁
参照法条
民法761条,民法110条
論点12第761条民法

売買契約が民法第七六一条にいわゆる「日常の家事」にあたらないとされた事例

裁判要旨原審が本件売買契約に関し確定した諸般の事情のもとでは、同契約が民法第七六一条にいわゆる「日常の家事」に属するものとはいえない旨の原審の判断は正当である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和40年10月15日 昭和40(オ)128
登載
集民 第80号817頁
参照法条
民法761条
論点13第762条民法

一 民法第七六二条第一項〈夫婦間における財産の帰属〉の憲法第二四条適否。
二 所得税法が夫婦の所得を合算切半して計算することにしていないことの憲法第二四条適否。

裁判要旨一 民法第七六二条第一項〈夫婦間における財産の帰属〉は憲法第二四条に違反しない。
二 所得税法が夫婦の所得を合算切半して計算することにしていないからといつて憲法第二四条に違反しない。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和36年9月6日 昭和34(オ)1193
登載
民集 第15巻8号2047頁
参照法条
憲法24条,民法762条1項,所得税法1条1項,所得税法9条1項本文
論点14第762条民法

登記簿上の所有名義人と特有財産。

裁判要旨夫婦間の合意で、夫の買い入れた土地の登記簿上の所有名義人を妻としただけでは、右の土地を妻の特有財産と解すべきではない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和34年7月14日 昭和32(オ)636
登載
民集 第13巻7号1023頁
参照法条
民法762条1項
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民法 第760条(婚姻費用の分担) 詳細ページ
(婚姻費用の分担)
第七百六十条夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
民法 第761条(日常の家事に関する債務の連帯責任) 詳細ページ
(日常の家事に関する債務の連帯責任)
第七百六十一条夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。
民法 第762条(夫婦間における財産の帰属) 詳細ページ
(夫婦間における財産の帰属)
第七百六十二条夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。
2夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。
出

一次情報

原文ママ

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